第27回(H31年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前51~55】

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問題51 血液疾患に伴う病態について正しいのはどれか。

1.貧血は血小板を指標にする。
2.出血傾向は先天的には起こらない。
3.白血球数が正常であれば易感染性はない。
4.繰り返す歯肉出血は出血傾向を疑う。

解答

解説
1.× 貧血は、「血小板」ではなく赤血球を指標にする。
赤血球とは、細胞内にヘモグロビンを含み、主に酸素の運搬を行う。血液中の細胞成分である。ヘモグロビンとは、酸素分子と結合する性質を持ち、肺から全身へと酸素を運搬する役割を担っている。ヘモグロビンの値が、男性は13g/dl以下、女性は11g/dl以下になると、「貧血」と診断される。

2.× 出血傾向は先天的にも起こる
例えば、第Ⅷ因子欠乏で起こる血友病Aである。血友病とは、血液を固めるのに必要な「血液凝固因子(第Ⅷ因子または第Ⅸ因子)が不足・活性低下する病気のことである。伴性劣性遺伝(男児に多い)で、生まれつき発症することがほとんどであるため、幼少期から①些細なことで出血する、②出血が止まりにくいといった症状が繰り返される。治療として、凝固因子製剤の投与、関節拘縮・筋力低下に対するリハビリテーションが行われる。

3.× 白血球数が正常であっても、易感染性はあり得る。
易感染性とは、免疫力が低下し、病原菌に感染しやすい状態のことである。その原因疾患として、手術後・糖尿病・肝硬変・腎不全・低栄養・悪性腫瘍などがあげられる。

4.〇 正しい。繰り返す歯肉出血は、出血傾向を疑う
出血傾向とは、血が止まらない、あるいは出血しやすくなる状態である。出血傾向の所見として、あおあざができる、鼻血、歯ぐきの出血、皮膚に点状の紫斑がみられる、ぶつけたところがあざになりやすいなどがあげられる。

 

 

 

 

 

問題52 膝関節障害の徒手検査法はどれか。

1.ケンプテスト
2.ジャクソンテスト
3.パトリックテスト
4.アプレイテスト

解答

解説
1.× ケンプテスト
Kempテスト(ケンプテスト)の陽性は、脊椎管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアを疑う。検者は患者の両肩に手を置き、患者の体幹を回旋しながら左右の斜め後方に伸展させる。

2.× ジャクソンテスト
Jacksonテスト(ジャクソンテスト)は、頚部神経根障害(頚椎椎間板ヘルニア)を検査する。方法として、被験者は頸部伸展し、検査者が上から下に押し下げる。このとき肩や上腕、前腕、手などに痛みやしびれが誘発されるかどうかで神経根に障害が生じているか否かを診断する。

3.× パトリックテスト
Patrickテスト(パトリックテスト)は、股関節の炎症や痛みのテストである。背臥位で評価側の足背を反対側の膝蓋骨に載せ、評価側の膝を床へ押さえる。鼠径部に痛みが出れば陽性である。

4.〇 正しい。アプレイテストは、膝関節障害の徒手検査法である。
一般的にApleyテスト(アプレーテスト)といっても、アプレー・スクラッチテスト(Apley scratch test)やアプレー圧迫・牽引テストとApleyとつくテストがいくつかある。アプレー・スクラッチテスト(Apley scratch test)は、棘上筋腱の変性性筋炎を疑う。アプレー圧迫テストは半月板損傷、アプレー牽引テストは、側副靭帯損傷を疑う。

 

 

 

 

 

問題53 ターミナルケアについて誤っているのはどれか。

1.苦痛の緩和が主体である。
2.病気の根治治療が目標である。
3.多職種間での協力が重要である。
4.QOLの向上を目指す。

解答

解説

ターミナルケアとは?

ターミナルケアとは、終末期医療ともいい、末期がんの患者などが、残された余命を平穏に過ごせるように行われるケアのことである。主に身体的・精神的苦痛を取り除くための処置が行われる。終末期看護の役割は、患者の残された時間の生活の質(QOL)を高め、その人らしいまっとうできるように援助を行うことである。患者が可能な限り前向きに生活できるような支援体制を提供するという。従来、医療・介護の現場では、終末期における治療の開始・中止・変更の問題は重要な課題のひとつである。疾病の根治を目的とせず延命のみを目的とした対症療法を一般的に延命治療と称し、人工呼吸・人工栄養(経管栄養)、人工透析などが含まれる。しかし、終末期患者では意思疎通の困難な場合も多く、患者の意思に反する治療(延命)になりかねない。治療・ケア内容に関する患者や家族の意思や希望を病状などに応じて繰り返し確認し、それを患者・家族・医療者で共有し、方針を見いだすことが非常に重要である。

1.〇 正しい。苦痛の緩和が主体である。
主に身体的・精神的苦痛を取り除くための処置が行われる。末期がんの患者などが、残された余命を平穏に過ごせるように行われるケアのことである。

2.× 「病気の根治治療」ではなく「患者が可能な限り前向きに生活できること」が目標である。
治療・ケア内容に関する患者や家族の意思や希望を病状などに応じて繰り返し確認し、それを患者・家族・医療者で共有し、方針を見いだすことが非常に重要である。

3.〇 正しい。多職種間での協力が重要である。
なぜなら、終末期患者では意思疎通の困難な場合も多く、患者の意思に反する治療(延命)になりかねないため。患者・家族・医療者で共有し、方針を見いだす。

4.〇 正しい。QOLの向上を目指す。
終末期看護の役割は、患者の残された時間の生活の質(QOL)を高め、その人らしいまっとうできるように援助を行うことである。

 

 

 

 

 

問題54 感音性難聴がみられるのはどれか。

1.急性中耳炎
2.メニエール病
3.耳管狭窄症
4.耳垢塞栓

解答

解説

(※図引用:「耳の構造・説明図」illustAC様より)

伝音性難聴とは?

伝音性難聴とは、外耳や中耳などの「伝音器」と呼ばれる部分の障害によって起こる難聴である。一方、感音性難聴とは、内耳や聴神経など「感音器」と呼ばれる部分の障害によって起こる難聴である。

1.× 急性中耳炎は、伝音性難聴をきたす。
急性中耳炎とは、細菌やウイルスなどの病原体が鼻やのどから中耳へと耳管を通って侵入し、そこでも感染することで生じる病気である。症状は、中耳に膿が溜って腫れることで、ズキズキとした激しい耳の痛み、発熱、耳だれ(耳漏)、耳がつまった感じなどである。

2.〇 正しい。メニエール病は、感音性難聴がみられる。
Ménière病とは、膜迷路を満たしている内リンパ液の内圧が上昇し、内リンパ水腫が生じる内耳疾患である。4大症状として、①激しい回転性のめまい、②難聴(感音難聴)、③耳鳴り、④耳閉感を繰り返す内耳の疾患である。主な原因は「内リンパ水腫」で、 その根底にはストレス・睡眠不足・疲労・気圧の変化・几帳面な性格などがあると考えられている。耳発作時では安静を第一に考えた指導を行い、間欠期では発作が起こらないようにするための指導をする。

3.× 耳管狭窄症は、伝音性難聴をきたす。
耳管狭窄症とは、鼻の奥と耳をつなぐ耳管が狭くなってしまう病気である。耳管は耳の中の圧力を調整する働きを持っている。したがって、耳がつまった感じ(電車に乗ってトンネルに入った時の感じ、高い山に登った時の感じ)、自分の声がひびいて聴こえる、自分の呼吸の音が耳にひびくといった症状が起こる。

4.× 耳垢塞栓は、伝音性難聴をきたす。
耳垢栓塞とは、耳垢が溜まってしまって、耳の穴の中(外耳道)をふさいでしまう状態のことをいう。外耳道をふさがれてしまうと、音の聞こえが悪くなったり、耳に圧迫感が生じたり、耳鳴りが起こったりする場合がある。

 

 

 

 

 

問題55 脳血管性パーキンソニズムの特徴について正しいのはどれか。

1.手指振戦
2.前傾前屈姿勢
3.歯車様筋強剛
4.歩行障害

解答

解説

脳血管性パーキンソニズムとは?

パーキンソニズムとは、パーキンソン病の症状(①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害)を呈する疾患の総称のことをいう。パーキンソニズムは、脳の病気、脳損傷、または特定の薬剤や毒素によって引き起こされる。

脳血管性パーキンソニズムとは、大脳基底核から中脳に至る部分の血管の病変(脳梗塞または脳出血)によって筋肉の固縮、緩慢動作、小刻み歩行(小歩)、姿勢保持反射障害などのParkinson病に似た症状が発現することである。一方で、脳血管性パーキンソニズムでは、安静時振戦は現れにくく、錐体路徴候が現れやすい。

1.× 手指振戦(安静時振戦)
これは、脳血管性パーキンソニズムで起こりにくい。脳血管性パーキンソニズムに見られやすい錐体路徴候は、深部腱反射亢進、病的反射(+)、表在反射(消失)、痙性麻痺がみられる。

2.× 前傾前屈姿勢
パーキンソン病・脳血管性パーキンソニズムの両者に見られる。

3.× 歯車様筋強剛
パーキンソン病の特徴である。歯車様固縮とは、固縮の1つであり、関節を受動運動すると歯車様抵抗がみられる。脳血管性パーキンソニズムでは、歯車様固縮よりも鉛管様固縮を呈する例が多い。

4.〇 正しい。歩行障害は、脳血管性パーキンソニズムの特徴である。
脳血管性パーキンソニズムは、基底核の多発性小梗塞や大脳皮質下白質の広範な梗塞などで生じやすく、前頭葉と線条体との連絡が障害されるためにその症候が出現する機序が想定されている。その中核症状は、歩行障害すなわち、左右に足を広げた(開脚)小刻み歩行やすくみ足である(※引用:「2.脳血管性パーキンソニズム」より)

Parkinson病の4大症状

静止時振戦
寡動(無動)
筋強剛(固縮)
姿勢反射障害

 

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