第27回(H31年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前46~50】

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問題46 バレー徴候で患側上肢にみられる陽性所見はどれか。

1.外旋する。
2.下降する。
3.振戦が出現する。
4.しびれを自覚する。

解答

解説
1.× 「外旋」ではなく回内しながら下降する。

2.〇 正しい。下降することは、バレー徴候で患側上肢にみられる陽性所見である。
バレー徴候とは、脳血管障害などによって起こる。上位運動ニューロン障害による片側性の軽い運動麻痺を評価するための方法である。上肢の筋力が低下する(麻痺がある)と、両腕を水平に維持することが困難となるため、麻痺側がゆっくりと回内しながら下降してくる。

3.× 振戦が出現しない
振戦(企図振戦)は、小脳機能の障害でみられやすく、測定障害は指鼻試験、鼻指鼻試験、足指手指試験、指耳試験、踵膝試験などで評価する。ちなみに、企図振戦とは、安静時にはほとんど生じないが、運動時、特に運動終了直前に生じる律動的な運動疾患である。

4.× しびれを自覚しない
しびれは、神経圧迫症状である。例えば、椎間板ヘルニアや胸郭出口症候群などである。

胸郭出口症候群とは?

胸郭出口症候群は、胸郭出口付近における神経と動静脈の圧迫症状を総称したものである。症状として、上肢のしびれ、脱力感、冷感などが出現する。胸郭出口は、鎖骨、第1肋骨、前・中斜角筋で構成される。原因として、①前斜角筋と中斜角筋の間で圧迫される斜角筋症候群、②鎖骨と第一肋骨の間で圧迫される肋鎖症候群、③小胸筋を通過するときに圧迫される小胸筋症候群、④頭肋で圧迫される頸肋症候群などがある。

 

 

 

 

 

問題47 月経異常はどれか。

1.持続期間5日
2.周期の変動2日
3.初経12歳
4.閉経38歳

解答

解説

米国産婦人科学会若年女性ヘルスケア委員会は検査が必要な思春期の月経異常の定義

【検査が必要な思春期の月経異常の定義】
① 乳房発育後3年以内に初経がない。
② 陰毛発育後14歳になっても初経がない。
③ 食行動の異常があり14歳になっても初経がない。
④ 15歳になっても初経がない。
⑤ 月経周期が21日未満あるいは46日以上。
⑥ 月経持続が8日以上。
⑦ 1~2時間でパット交換が必要なくらい月経量が多い。

(※参考:「米国産婦人科学会若年女性ヘルスケア委員会」)

1.× 持続期間5日は正常範囲である。
平均生理期間は、3~7日間である。 ちなみに、過短月経とは、2日以内に生理が終わる人である。一方、過長月経とは、8日以上生理が続くという場合である。

2.× 周期の変動2日は正常範囲である。
生理予定日の前後2~5日程度のずれなら正常の範囲内である。

3.× 初経12歳は正常範囲である。
15歳になっても初経がない場合、検査が必要な思春期の月経異常の定義とされる。

4.〇 正しい。閉経38歳は、月経異常である。
閉経とは、卵巣の活動性が次第に消失し、ついに月経が永久に停止した状態をいう。月経が来ない状態が12か月以上続いた時に、1年前を振り返って閉経としている。日本人の平均閉経年齢は約50歳である。個人差が大きく、早い人では40歳台前半、遅い人では50歳台後半に閉経を迎える。

 

 

 

 

 

問題48 異常歩行と疾患の組合せで正しいのはどれか。

1.突進歩行:変形性膝関節症
2.あひる歩行:進行性筋ジストロフィー
3.はさみ脚歩行:パーキンソン病
4.硬性墜落性跛行:脳性麻痺

解答

解説
1.× 突進歩行は、「変形性膝関節症」ではなくパーキンソン病である。
突進歩行は、パーキンソン病の症状(姿勢反射障害や寡動)で生じる。突進歩行とは、前のめりになって、急に小走りの状態で、何かにぶつかるまで自分の意志で止まることができない症状である。

2.〇 正しい。あひる歩行:進行性筋ジストロフィー
動揺性歩行(アヒル歩行)は、下腹部と殿部を突き出して腰椎前弯を強めた姿勢で、腰部を左右に振りながら歩く様子が観察できる。Duchenne型筋ジストロフィー児や両中殿筋の低下・麻痺、発育性股関節形成不全などが原因として起こる。

3.× はさみ脚歩行は、「パーキンソン病」ではなく脳性麻痺である。
はさみ脚歩行とは、両足をはさみのように組み合わせて歩く痙性対麻痺歩行のことをいう。要因として、痙直型両麻痺児などでみられる。

4.× 硬性墜落性跛行は、「脳性麻痺」ではなく変形性膝関節症である。
墜落性跛行とは、左右の足の長さが異なり、片方の足が地面につくときに墜落するように落下する歩き方のことをいう。

パーキンソン病とは?

パーキンソン病とは、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である。4大症状として①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害を特徴とする。また、自律神経障害による便秘や起立性低血圧、排尿障害、レム睡眠行動障害などが起こる。レム睡眠行動障害とは、レム睡眠の時期に体が動き出してしまう睡眠障害の1つである。 睡眠時随伴症に分類される。

 

 

 

 

 

問題49 疾患と視診所見の組合せで誤っているのはどれか。

1.帯状疱疹:胸背部の発赤・水疱
2.肝硬変:眼球結膜の黄染
3.パーキンソン病:水牛様肩
4.バセドウ病:眼球突出

解答

解説

(※図:「看護師イラスト集」看護roo!様HPより)

1.〇 正しい。帯状疱疹:胸背部の発赤・水疱
帯状疱疹とは、身体の左右どちらか一方に、ピリピリと刺すような痛みと、これに続いて赤い斑点と小さな水ぶくれが帯状にあらわれる病気である。多くの人が子どものときに感染する水ぼうそうのウイルスが原因で起こる。

2.〇 正しい。肝硬変:眼球結膜の黄染
肝硬変とは、B型・C型肝炎ウイルス感染、多量・長期の飲酒、過栄養、自己免疫などにより起こる慢性肝炎や肝障害が徐々に進行して肝臓が硬くなった状態をいう。非代償性肝硬変とは、肝硬変の症状のうち黄疸、腹水、肝性脳症が認められる状態を指す。一方、代償性肝硬変とは、症状のないものを指す。ちなみに、眼球結膜の黄染は、血液中のビリルビン濃度が増加することで、眼球結膜が黄色く見える症状である。

3.× 水牛様肩は、「パーキンソン病」ではなくクッシング症候群にみられる。
クッシング症候群は、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の過剰によって起こる症候群である。原因の多くは副腎皮質腺腫である。コルチゾール過剰によってみられる症候は、ステロイド剤の副作用と共通する。コルチゾール過剰に伴う特徴的な症候として、満月様顔貌、赤ら顔、中心性肥満、水牛様脂肪沈着(水牛様肩)、皮膚の非薄化、皮下溢血、四肢近位筋萎縮・筋力低下、赤色皮膚線条がある。

4.〇 正しい。バセドウ病:眼球突出
バセドウ病とは、甲状腺刺激ホルモン受容体に対する自己抗体による甲状腺機能亢進症である。症状は、眼球突出、頻脈、びまん性甲状腺腫が特徴的である。ちなみに、眼球突出・甲状腺腫・頻脈をメルゼブルグの三徴候という。

パーキンソン病とは?

パーキンソン病とは、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である。4大症状として①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害を特徴とする。また、自律神経障害による便秘や起立性低血圧、排尿障害、レム睡眠行動障害などが起こる。レム睡眠行動障害とは、レム睡眠の時期に体が動き出してしまう睡眠障害の1つである。 睡眠時随伴症に分類される。

 

 

 

 

 

問題50 咳・痰について正しいのはどれか。

1.痰を伴う咳を乾性咳嗽という。
2.気管支喘息の発作時は咳・痰は通常ない。
3.血痰が出ても少量なら肺癌は考えない。
4.誤嚥時の咳・痰は防御反応の一つである。

解答

解説

咳嗽とは?

咳嗽とは、気管や喉の粘膜から刺激を受け、胸や肺を使って空気を吐き出す反射的な行動で、つまり咳のことである。咳嗽は、喉や気管の炎症、感染、アレルギー、肺疾患、煙草の使用などの原因で引き起こされる。

1.× 痰を伴う咳を「乾性咳嗽」ではなく湿性咳嗽という。
一方、乾性咳嗽とは、痰を伴わない咳である。胸膜・間質病変に多い。

2.× 気管支喘息の発作時は咳・痰は「通常みられる」。
気管支喘息とは、主に気管支に炎症が起きている状態である。炎症により気管支が狭くなったり(狭窄)、刺激に対して過敏な反応を示したりする。症状として、喘鳴、呼吸困難、呼気延長など(1秒率の低下)、アレルギー反応やウイルス感染が誘引となる。喘息は乳幼児期に発症することが多く、全体の60~70%が2~3歳までに発症する。子どもの喘息の多くは思春期の頃には症状がよくなるが、そのうちの約30%は大人になっても続くといわれている。

3.× 血痰が出ても少量なら肺癌も「考える」。
なぜなら、肺がんで最も多い症状は咳と痰で、肺がんの初期症状として、血痰があげられるため。風邪をひいているわけでもないのに、2週間以上咳と痰が続く、血が混じった痰(血痰)が出る場合や、発熱が5日間以上長引く場合など疑われる。ちなみに、喀血とは、気道(気管・肺)から出血した時に見られる出血である。気道の出血が少量であれば痰に血が混じっている状態、血痰という。喀血は血液そのものを咳とともに吐く状態である。一方、吐血との区別は口から血が出たときに伴う症状で区別する。①喀血:下気道(気管支肺)からの出血、②吐血:上部消化管からの出血がある。したがって、喀血は吐血と比べると赤みが強く、泡が混じることが多く、固まりにくいという特徴がある。

4.〇 正しい。誤嚥時の咳・痰は防御反応の一つである
生体防御反応とは、異物の侵入を防ぎ、侵入した異物や異物に起因する障害を取り除き、修復するための連動した機構のことである。

 

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