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次の文で示す症例について、問題75、問題76の問いに答えよ。
「35歳の女性看護師。皮膚の黄染、全身倦怠感にて受診。針刺しの既往がある。肝炎ウイルスマーカーでは、HCV抗体陽性、HCV-RNA陽性で、他は陰性であった。」
問題76 本疾患に合併する悪性腫瘍で上昇する腫瘍マーカーはどれか。
1.CA125
2.SCC
3.CEA
4.AFP
解答4
解説
・35歳の女性看護師。
・皮膚の黄染、全身倦怠感にて受診。
・針刺しの既往がある。
・肝炎ウイルスマーカー:HCV抗体陽性、HCV-RNA陽性、他は陰性。
→本症例は、C型肝炎が疑われる。C型肝炎とは、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染することによって起こる肝臓の病気である。C型肝炎ウイルスは、主に感染者の血液や体液から感染する。感染の危険性がある行為としては注射器の使い回しや剃刀(かみそり)の共用などがある。
1.× CA125
CA125(carbohydrate antigen 125)とは、卵巣がん、子宮頸がん、子宮体がんの腫瘍マーカーとして最も一般的に使用されている糖鎖抗原である。子宮内膜や腹膜に存在するタンパク質で、卵巣がんや子宮がんなどの婦人科系の病気で血液中に増加する。
2.× SCC
SCC抗原(squamous cell carcinoma)は、扁平上皮がん関連抗原であり、宮頸部扁平上皮がんで発見されたタンパク質で、扁平上皮がんで高値を示すがん関連抗原である。子宮頸癌、外陰・膣癌、肺癌、食道癌、頭頸部癌、皮膚癌、口腔・舌・上顎癌など多くの扁平上皮癌で陽性となる。
3.× CEA
CEA(Carcinoembryonic Antigen)は、大腸がん、胃がんなどの消化器系がんの腫瘍マーカーである。健康な人でも約3%の人は基準値を超える場合があるとされており、高齢や喫煙、肝硬変、糖尿病でもやや上昇する傾向がある。
4.〇 正しい。AFPは、本疾患に合併する悪性腫瘍で上昇する腫瘍マーカーである。
AFP(α-フェトプロテイン)とは、肝臓の疾患を見つける腫瘍マーカーのひとつである。健康な成人の血液には含まれないが、肝臓がんになると血液中に増加するため、肝臓がんのスクリーニング検査として用いられる。C型肝炎ウイルスが原因で肝細胞がんが発生することがある。C型肝炎に感染すると、約70%が慢性肝炎に移行し、そのうちの約60%が肝硬変へと進展する。
次の文で示す症例について、問題77、問題78の問いに答えよ。
「83歳の女性。昨夜から左膝痛と38℃の発熱が出現した。左膝関節に熱感、腫脹および膝蓋跳動を認める。関節液の偏光顕微鏡観察で異常を認めた。」
問題77 最も可能性の高い疾患はどれか。
1.化膿性関節炎
2.関節リウマチ
3.偽痛風
4.変形性膝関節症
解答3
解説
・83歳の女性。
・昨夜:左膝痛、38℃の発熱。
・左膝関節:熱感、腫脹、膝蓋跳動。
・関節液の偏光顕微鏡観察:異常。
→本症例は、偽痛風が疑われる。偽痛風とは、関節軟骨や周囲組織にピロリン酸カルシウム二水和物が沈着することで起こる関節炎の総称である。「痛風」は、尿酸結晶による関節炎であるが、「偽痛風」は尿酸以外の結晶誘発による関節炎となる。偽痛風の膝症状として、発赤・腫脹・熱感・疼痛がある。
1.× 化膿性関節炎
化膿性関節炎とは、関節に細菌(黄色ブドウ球菌が最も多い)が入り込んで感染し、炎症を起こす病気である。 関節に炎症が起こると、その部位が激しく痛み、表面の皮膚が赤くはれあがって熱を持つ。 そのほか、全身に現れる症状として、悪寒や倦怠感、食欲の低下などがある。血液検査で高値を示すのは白血球数とCRPである。
2.× 関節リウマチ
関節リウマチとは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。
3.〇 正しい。偽痛風が最も可能性の高い疾患である。
偽痛風とは、関節軟骨や周囲組織にピロリン酸カルシウム二水和物が沈着することで起こる関節炎の総称である。「痛風」は、尿酸結晶による関節炎であるが、「偽痛風」は尿酸以外の結晶誘発による関節炎となる。偽痛風の膝症状として、発赤・腫脹・熱感・疼痛がある。
4.× 変形性膝関節症
変形性膝関節症は、①疼痛、②可動域制限、③腫脹、④関節変形などがみられる。進行度にかかわらず、保存療法が第一選択となる。減量や膝に負荷のかかる動作を回避するような日常生活動作指導、筋力トレーニングやストレッチなどの運動療法、装具や足底板などの装具療法、鎮痛薬や関節内注射などの薬物療法が行われる。
関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。
(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)
次の文で示す症例について、問題77、問題78の問いに答えよ。
「83歳の女性。昨夜から左膝痛と38℃の発熱が出現した。左膝関節に熱感、腫脹および膝蓋跳動を認める。関節液の偏光顕微鏡観察で異常を認めた。」
問題78 本症例に特徴的な単純エックス線所見はどれか。
1.骨棘形成
2.関節裂隙狭小化
3.骨びらん
4.半月板石灰化
解答4
解説
・83歳の女性。
・昨夜:左膝痛、38℃の発熱。
・左膝関節:熱感、腫脹、膝蓋跳動。
・関節液の偏光顕微鏡観察:異常。
→本症例は、偽痛風が疑われる。偽痛風とは、関節軟骨や周囲組織にピロリン酸カルシウム二水和物が沈着することで起こる関節炎の総称である。「痛風」は、尿酸結晶による関節炎であるが、「偽痛風」は尿酸以外の結晶誘発による関節炎となる。偽痛風の膝症状として、発赤・腫脹・熱感・疼痛がある。
1.× 骨棘形成/関節裂隙狭小化は、変形性関節症に見られる所見である。
骨棘とは、骨同士の摩擦や変形によって発生する骨のトゲのことである。変形性膝関節症や変形性股関節症などでよく見られる。レントゲンによって判断が可能で、変形性関節症の進行度合いの確認指標となる。
3.× 骨びらんは、関節リウマチに見られる所見である。
骨びらんは、炎症や痛みがある関節の近傍の骨において骨密度が低下する病態を指す。関節リウマチ患者の骨折のリスクをあげ、関節リウマチの関節の腫れや痛みが現れる前から発症することが知られているがメカニズムは不明な点が多い。
4.〇 正しい。半月板石灰化が本症例に特徴的な単純エックス線所見である。
偽痛風は、軟骨にピロリン酸カルシウムが沈着する。したがって、石灰化像が線状に認められ、特に膝関節の典型例では、半月板に石灰化を認める。
変形性関節症とは、軟骨下骨、関節裂隙、関節周囲構造の変化を伴う関節軟骨の異常に関連した疾患である。 手関節症、膝関節症、股関節症など、部位によって臨床症状が異なるが、一般的な症状として、圧痛、筋力低下、骨棘と呼ばれる突起があり、骨に当たってすれることなどがあげられる。
次の文で示す症例について、問題79、問題80の問いに答えよ。
「60歳の男性。高血圧にて内服加療中。2日前から38℃の発熱、昨日から嘔吐と頭部全体の痛みがある。意識レベルはJCSでⅠ-1、血圧は178/90mmHgである。」
問題79 最も考えられる疾患はどれか。
1.高血圧性脳症
2.髄膜炎
3.群発頭痛
4.小脳出血
解答2
解説
・60歳の男性(高血圧にて内服加療中)
・2日前:38℃の発熱。
・昨日:嘔吐、頭部全体の痛み。
・意識レベル:JCSⅠ-1
・血圧は178/90mmHg。
→本症例は、髄膜炎が疑われる。髄膜炎とは、なんらかの理由(主な病原体:髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌)で、髄膜が炎症を起こす病気である。症状は、髄膜炎の3大症状でもある発熱、頭痛、項部硬直で、75%以上の意識障害(傾眠~昏睡と程度は様々)である。他にも、嘔吐や羞明もよくみられる。けいれんは初期症状にみられ、髄膜炎の全経過を通して20~40%に起こる。
1.× 高血圧性脳症
高血圧脳症とは、急激な高血圧により引き起こされる頭痛、発熱、意識障害、けいれんなどの症状が起こった状態である。一般に、180/110mmHg以上の異常高血圧を呈す。
2.〇 正しい。髄膜炎が、最も考えられる疾患である。
髄膜炎とは、なんらかの理由(主な病原体:髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌)で、髄膜が炎症を起こす病気である。症状は、髄膜炎の3大症状でもある発熱、頭痛、項部硬直で、75%以上の意識障害(傾眠~昏睡と程度は様々)である。他にも、嘔吐や羞明もよくみられる。けいれんは初期症状にみられ、髄膜炎の全経過を通して20~40%に起こる。
3.× 群発頭痛
群発頭痛とは、数週間から数か月ほどの間、片方の目の周りや頭の前側や後ろ側の辺りが毎日のように強く痛くなることである。はっきりとした原因は分かっておらず、体内時計の乱れなどが関係しているのではないかと考えられている。
4.× 小脳出血
小脳出血は、小脳に出血をきたしている状態で、一般的に後頭部痛、嘔気、嘔吐、めまい、歩行障害を引き起こす。小脳とは、後頭部の下方に位置し、筋緊張や身体の平衡の情報を処理し運動や姿勢の制御(運動系の統合的な調節)を行っている。
(※図引用:「意識レベル(JCS:Japan Coma Scale)」堺市HPより)
次の文で示す症例について、問題79、問題80の問いに答えよ。
「60歳の男性。高血圧にて内服加療中。2日前から38℃の発熱、昨日から嘔吐と頭部全体の痛みがある。意識レベルはJCSでⅠ-1、血圧は178/90mmHgである。」
問題80 本症例で確認すべき所見はどれか。
1.ケルニッヒ徴候
2.ホルネル徴候
3.バレー徴候
4.ロンベルグ徴候
解答1
解説
・60歳の男性(高血圧にて内服加療中)
・2日前:38℃の発熱。
・昨日:嘔吐、頭部全体の痛み。
・意識レベル:JCSⅠ-1
・血圧は178/90mmHg。
→本症例は、髄膜炎が疑われる。髄膜炎とは、なんらかの理由(主な病原体:髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌)で、髄膜が炎症を起こす病気である。症状は、髄膜炎の3大症状でもある発熱、頭痛、項部硬直で、75%以上の意識障害(傾眠~昏睡と程度は様々)である。他にも、嘔吐や羞明もよくみられる。けいれんは初期症状にみられ、髄膜炎の全経過を通して20~40%に起こる。
1.〇 正しい。ケルニッヒ徴候が、本症例で確認すべき所見である。Kernig徴候(ケルニッヒ徴候)は、膜刺激症状の検査で陽性の場合みられる。方法は、①背臥位にて股・膝関節90°屈曲位に保持する。②他動的に膝関節伸展する。③膝関節に痛みが出たら陽性。膝関節を135°以上伸展できない。
2.× ホルネル徴候
Horner 徴候(ホルナーもしくは、ホルネル徴候)とは、ホルネル(ホルナー)症候群の交感神経遠心路の障害によって生じる。中等度縮瞳、眼瞼下垂(眼裂狭小)、眼球陥凹(眼球後退)を三大徴候とする。
3.× バレー徴候
バレー徴候とは、脳血管障害などによって起こる。上位運動ニューロン障害による片側性の軽い運動麻痺を評価するための方法である。上肢の筋力が低下する(麻痺がある)と、両腕を水平に維持することが困難となるため、麻痺側がゆっくりと回内しながら下降してくる。
4.× ロンベルグ徴候
Romberg試験(ロンベルグ徴候)は、脊髄性障害(深部感覚の検査)に対して行う。Romberg試験(ロンベルグ徴候)は、①はじめは開眼にて、患者に直立不動の姿勢をとらせ、安定した姿勢保持が可能であることを確かめる。②次に、閉眼させ、体幹の動揺が生じたり、動揺が明らかに増悪、あるいは転倒した場合を陽性とする。