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はり理論試験問題(問題141~150)
問題141 毫鍼について誤っているのはどれか。
1.5番鍼の鍼体径は0.26mmである。
2.2寸の鍼体長は60mmである。
3.鍼尖の形状の一つに卵型がある。
4.鍼体長は鍼尖から鍼根までをいう。
解答1
解説
鍼体長:1寸は30mmである。※1寸3分は40mm
鍼体径:1番鍼は0.16mm、1番増ごとに0.02mm太くなる。
※0.16mm=16号鍼。0.14mm以下は毛鍼・霞鍼などと呼ばれる。
1.× 5番鍼の鍼体径は、「0.26mm」ではなく0.24mmである。
鍼体径:1番鍼は0.16mm、1番増ごとに0.02mm太くなる。
2.〇 正しい。2寸の鍼体長は60mmである。
鍼体長:1寸は30mmである。1寸3分は40mmである。
3.〇 正しい。鍼尖の形状の一つに卵型がある。
松葉形:ノゲ形に丸味をもたせたもの(刺入しやすく痛みも少ない)。
柳葉形:ノゲと松葉の中間の形にしたもの。
卵型:松葉形より先端に丸みをもたせたもの。組織が硬いと進みにくい。
ノゲ形:撚鍼法(鍼管を使わない刺入)で刺入しやすい。刺入技術が未熟だと痛みを伴いやすい。
スリオロシ形:鍼体の途中から徐々に細くしたもので、現在はほとんど製造されていない。
4.〇 正しい。鍼体長は鍼尖から鍼根までをいう。
①鍼柄(軸または竜頭):鍼の弾入時に叩いたり、刺入、各種の術式を行う部位。
②鍼根(鍼脚):鍼体が鍼柄に組み込まれている部分である。
③鍼体(穂):鍼根から鍼尖にかけての部分である。
④鍼尖(穂先):弾入時に皮膚を切る部分である。
(※図引用:「鍼の解説」北京堂鍼灸 伊東様HPより)
問題142 現行17手技で鍼を一方向に回すのはどれか。
1.細指術
2.回旋術
3.間歇術
4.旋撚術
解答2
解説
1.× 細指術
刺鍼する部位に対して弾入だけを繰り返す。
2.〇 正しい。回旋術が、現行17手技で鍼を一方向に回す。
左右のどちらか一方向に回しながら刺入する(または一定の深さで行う)。
3.× 間歇術
目的の深さへ刺入し、半分抜いて留め、また前の深さまで刺して留める、を繰り返す。
4.× 旋撚術
刺入または抜鍼時、鍼を左右に半回転ずつ交互にひねりながら行う。
問題143 深刺により化膿性関節炎のリスクがある経穴はどれか。
1.膏肓
2.欠盆
3.肩髎
4.天宗
解答3
解説
化膿性関節炎とは、関節に細菌(黄色ブドウ球菌が最も多い)が入り込んで感染し、炎症を起こす病気である。 関節に炎症が起こると、その部位が激しく痛み、表面の皮膚が赤くはれあがって熱を持つ。 そのほか、全身に現れる症状として、悪寒や倦怠感、食欲の低下などがある。血液検査で高値を示すのは白血球数とCRPである。
化膿性関節炎の感染経路は、①血行性感染(最も多い)、②外傷、手術、関節内注射などの直接感染、③骨髄炎、軟部組織感染などの近接病巣からの拡大などがある。 糖尿病や高齢者などの免疫機能が低下した患者に多くみられる。
1.× 膏肓(※読み:こうこう)
膏肓は、上背部、第4胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸に位置する。
2.× 欠盆(※読み:けつぼん)
欠盆は、前頸部、大鎖骨上窩、前正中線の外方4寸、鎖骨上方の陥凹部に位置する。斜角筋の治療穴である。
3.〇 正しい。肩髎が、深刺により化膿性関節炎のリスクがある経穴である。
なぜなら、深刺により肩関節にあたるため。肩髎(※読み:けんりょう)は、肩周囲部、肩峰角と上腕骨大結節の間の陥凹部に位置する。三角筋の治療穴である。
4.× 天宗(※読み:てんそう)
天宗は、肩甲部、肩甲棘の中点と肩甲骨下角を結んだ線上、肩甲棘から1/3にある陥凹部に位置する。棘下筋の治療穴である。
問題144 患者の体動により抜鍼困難が生じた場合の対応として適切でないのはどれか。
1.返し鍼を行う。
2.副刺激術を行う。
3.患者をリラックスさせる。
4.筋緊張が緩解するまで待つ。
解答1
解説
原因:回旋による筋組織の巻き付き、筋撃縮や反射的筋収縮などによる銀体の固定、体動による鍼体の弯曲、など
処置:リラックス、逆方向への回旋、放置(置鍼術)、副刺激術、示指打法、迎え鍼(周囲に刺鍼する)など
1.× 返し鍼を行うのは、「脳貧血(脳虚血)」の処置である。
ちなみに、返し鍼とは、合谷、足三里などの四肢末端に近い部位への刺鍼である。
2.〇 正しい。副刺激術を行う。
副刺激術は、刺入した鍼の周囲を鍼管や指頭で叩き、響きを与える方法である。(気拍法)
3~4.〇 正しい。患者をリラックスさせる/筋緊張が緩解するまで待つ。
抜鍼困難(渋鍼)の原因として、回旋による筋組織の巻き付き、筋撃縮や反射的筋収縮などによる銀体の固定、体動による鍼体の弯曲、などであるため。
原因:精神的緊張や不安状態がある患者への座位・立位での刺鍼、全身状態の良くない患者への粗暴な施術、など
症状:顔面蒼白、冷や汗、悪心・嘔吐、血圧低下、失神など
処置:仰臥位で頭を低くして安静にさせる、返し鍼(合谷、足三里などの四肢末端に近い部位への刺鍼)、など
問題145 毫鍼の製造工程で滅菌に用いるのはどれか。
1.グルコン酸クロルヘキシジン
2.塩化ベンザルコニウム
3.酸化エチレンガス
4.ポビドンヨード
解答3
解説
1.× グルコン酸クロルヘキシジン
クロルヘキシジンとは、手術時手洗い、手術部位の皮膚、創傷部位(創傷周辺皮膚)、血管内留置カテーテル挿入部位の皮膚などに使用する。特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対しても有効である。
2.× 塩化ベンザルコニウム
塩化ベンザルコニウムとは、一般細菌・真菌類に抗菌作用を示す。使用出来る用途が幅広く、手指の殺菌・消毒をはじめ、創傷面・口腔内の殺菌・消毒から理容室・美容室での消毒や食器・器具類,家屋・乗物等、ゴミ箱・冷蔵庫等,幅広い箇所の消毒に使用できる。ただし、低水準消毒薬であるため、ノロウイルスに有効とは言えない。
3.〇 正しい。酸化エチレンガスは、毫鍼の製造工程で滅菌に用いる。
酸化エチレンガス滅菌は、温度や湿度の繊細な医療器具に適した滅菌方法である。酸化エチレンガスとは、比較的低い温度でも極めて強い殺菌力を発揮し、金属・非金属の区別なく利用できるため理想的な滅菌法として普及している。適用:カテーテル類、プラスチック製品、不織布、ゴム製品など。適用外:液体、ガスが通りにくい形状のもの、直ぐに使用したいもの。欠点として、滅菌処理・エアレーション時間(ガスの残留毒性が強いため、これらを除去する処理)が長いことがあげられる。
4.× ポビドンヨード
ポビドンヨードとは、世界中で感染対策に使われている代表的な殺菌消毒剤の有効成分のひとつである。施設に感染症が流行していない場合は、ポビドンヨードやアルコール溶液などで断端を消毒することは勧められていない。臍帯断端は清潔で乾いた状態にしておく必要がある。