第28回(R2年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後96~100】

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問題96 次の文で示す患者の病証で最もみられる汗の状態はどれか。
 「36歳の男性。主訴は咳嗽。水様の鼻汁を伴い、息切れ、倦怠感も訴える。脈は弱。」

1.自汗
2.盗汗
3.大汗
4.絶汗

解答

解説

本症例のポイント

・36歳の男性(主訴:咳嗽)
水様の鼻汁を伴い、息切れ倦怠感
・脈:弱。
→本症例は、気虚の症状がみられる。気虚は、倦怠感、無力感、眩暈、息切れ、懶言、自汗、易感冒などである。

1.〇 正しい。自汗が、患者の病証で最もみられる汗の状態である。
自汗は、気虚や陽虚の症状である。本症例は、気虚の症状がみられる。気虚は、倦怠感、無力感、眩暈、息切れ、懶言、自汗、易感冒などである。

2.× 盗汗
盗汗は、陰虚の症状である。陰虚(陰熱)は、ほてり、のぼせ、五心煩熱、手足身熱、盗汗、頬部紅潮、消痩、潮熱、舌質(紅)、舌苔(少)、脈(細脈)などである。

3.× 大汗
大汗は、実熱の症状である。陽盛(実熱)は、身熱、顔面紅潮、口渇、煩躁、小便短赤、便秘、冷飲を好む、舌質(紅)、舌苔(黄)、脈(数)などである。

4.× 絶汗
絶汗・脱汗は、危篤状態である。

 

 

 

 

 

問題97 経脈病証で「顔がくすみ、皮膚がかさかさして艶がない。口が苦く、よくため息をつく。痛みで寝返りが打てない。」のはどれか。

1.手の太陰経病証
2.手の太陽経病証
3.足の少陽経病証
4.足の厥陰経病証

解答

解説

本症例のポイント

顔がくすみ、皮膚がかさかさして艶がない
・口が苦く、よくため息をつく。
・痛みで寝返りが打てない。
→本症例は、足の少陰腎経の病証がみられる。足の少陰腎経の病証として、空腹感があるが食べられない。顔面が黒くすすけて艶がない。咳をして唾を吐くと血が混じっている。咳をしてあえぐ。目がボーっとしてハッキリしない、不安感や煩悶感を覚え、よく恐れを抱き、恐れたり、驚いたり、不安を覚えたりする。口の中や喉の渇き上実下虚になり、咽頭が乾いたり痛んだりする。足底全体に熱感を感じて痛む。

1.× 手の太陰経病証
手の太陰肺経:あえぎ、咳、喉の痛み上腕、前腕の経所の流れる所が痛んだり、感覚異常が起こる。手の平が熱くなる。肩背が痛み、風寒の邪が襲ってくると汗が出る。小便が少しずつ出で回数が多い、もしくは小便がしばしば出てあくびをする。肩背が冷えて痛み、酸素不足の様な感じがする。尿の色が変わる。

2.× 手の太陽経病証
手の太陽小腸経の病証として、咽頭の痛み、顎の付け根の腫れ、後ろを振り返ることができない。肩が抜けるように痛み、上腕が折れるように痛む。耳が聞こえなくなり、目が黄ばんだり充血したり、類の辺りが腫れてくる。顎から顎の付け根、肩、上腕、肘など経脈の流注上が痛む。

3.〇 正しい。足の少陽経病証は、経脈病証である。
足の少陰腎経の病証として、空腹感があるが食べられない。顔面が黒くすすけて艶がない。咳をして唾を吐くと血が混じっている。咳をしてあえぐ。目がボーっとしてハッキリしない、不安感や煩悶感を覚え、よく恐れを抱き、恐れたり、驚いたり、不安を覚えたりする。口の中や喉の渇き上実下虚になり、咽頭が乾いたり痛んだりする。足底全体に熱感を感じて痛む。

4.× 足の厥陰経病証
足の厥陰肝経の病証として、腰痛が起こり、仰向けになったりうつ伏せになれなくなる。男性は睾丸が腫れ少腹が拘急疼痛し、婦人は少腹が腫れる。のどが乾き、顔面が垢がたまっている様に黒くなる。嘔吐や粥状の下痢をしたり、鼠径ヘルニア、小便失禁、尿開が起こる。

六経弁証

太陽病:外感病初期、表寒証。悪寒、発熱、頭痛、項強痛、脈浮など。
少陽病:半表半裹証。発汗、寒熱往来、胸脇苦満、口苦、眩暈、脈弦など。
陽明病:裏実熱証。発汗、壮熱、口渇、潮熱、大便秘結、譫語、洪脈など。
太陰病:裏虚寒証(初期)。食欲不振、腹部膨満感、水様便など。
少陰病:外感病の極期~後期、虚寒/虚熱証。四肢厥冷、心煩、不眠など。
厥陰病:外感病末期。寒熱錯雑。胸部不快感、口渇、四肢厥冷、嘔吐、下痢など。

 

 

 

 

 

問題98 虚証で最もみられるのはどれか。

1.脱肛
2.拒按
3.滑脈
4.口苦

解答

解説

虚証とは?

証には、「虚・実」がある。
①実証とは、体力や抵抗力が充実している状態である。②虚証とは、体力がなく、弱々しい感じの状態を指す。ほかの症状として、細くて華奢、顔色が悪くて、肌が荒れやすい。 細くて、小さな声。 胃腸が弱くて、下痢をしやすいなどである。

1.〇 正しい。脱肛が、虚証で最もみられる。
気陥は、気虚の症状、下垂症状(胃下垂・脱肛・子宮脱など)、慢性下痢などである。

2.× 拒按は、食滞胃脘でみられる。
食滞胃脘は、腹部脹痛、噯気、悪心嘔吐、拒按、便秘、失気の回数増、脈弦滑などである。拒按とは、痛みを伴う部位を押さえると痛みが強くなる、または押さえることを嫌がることを指す(※読み:きょあん)。

3.× 滑脈
滑脈は、痰湿、食滞で起こる。滑脈は、脈の流れが滑らかで、円滑に指に触れるものを指す。

4.× 口苦
口苦は、肝(単)の病証(熱証)で起こる。主な症状として、精神抑鬱、急躁、易怒、胸肋部痛、目赤、目のかすみ、舌辺紅、脈弦など。胆の機能失調で口苦・耳鳴・眩暈などである。

肝胆湿熱とは?

肝胆湿熱は、口苦、黄疸、脇痛、身熱、眩暈、耳鳴、舌質紅、舌苔膩、脈滑などが起こる。脾虚などによる内湿が熱化して生じる。

 

 

 

 

 

問題99 次の文で示す患者の病証で最もみられる舌所見はどれか。
 「54歳の女性。主訴は肩こり。2週間前に感冒にかかり咳が強く出た。現在も透明な鼻汁が出て痰が多い。」

1.膩苔
2.燥苔
3.黄苔
4.剥落苔

解答

解説

本症例のポイント

・54歳の女性(主訴:肩こり)
・2週間前:感冒にかかり咳が強く出た。
・現在:透明な鼻汁が出て痰が多い。
→本症例は、痰湿が疑われる。痰湿(津液の停滞)は、湿・水(身体が重だるい、浮腫、下痢)などがあげられる。
飲:腹鳴、動悸、喘息、浮腫など。
痰:眩暈、咳嗽、頭痛、動棒、意識障害、精神障害など。

1.〇 正しい。膩苔(※読み:じたい)が、この患者の病証で最もみられる舌所見である。
膩苔は、腐苔ともいい、痰湿の停滞、食滞でみられる。痰湿(津液の停滞)は、湿・水(身体が重だるい、浮腫、下痢)などがあげられる。

2.× 燥苔(※読み:そうたい)
燥苔は、津液の損傷、陽虚でみられる。

3.× 黄苔
黄苔は、熱証でみられる。

4.× 剥落苔
剥落(※読み:はくらく)は、胃気・胃陰の損傷(気陰両虚)でみられる。

 

 

 

 

 

問題100 難経六十九難の治療法則で原穴を選穴するのはどれか。

1.肝虚証
2.脾虚証
3.肺虚証
4.腎虚証

解答

解説

難経六十九難の治療法則

「虚すればその母を補い、実すればその子を瀉せ」に基づく。

1.× 肝虚証
肝の虚証(補法)は、曲泉・陰谷である。
合穴である曲泉(※読み:きょくせん)は、膝内側、半腱・半膜様筋腱内側の陥凹部、膝窩横紋の内側端に位置する。
合穴である陰谷(※読み:いんこく)は、膝後内側、半腱様筋腱の外縁、膝窩横紋上に位置する。

2.× 脾虚証
脾の虚証(補法)は、大都・少府・労宮である。
栄穴である大都(※読み:だいと):足の第1指、第1中足指節関節の遠位陥凹部、赤白肉際に位置する。
栄穴である少府(※読み:しょうふ):手掌、第5中手指節関節の近位端と同じ高さ、第4・5中手骨の間に位置する。
栄穴である労宮(※読み:ろうきゅう):手掌、第2~3中手骨間、中手指節関節の近位陥凹部に位置する。

3.〇 正しい。肺虚証は、難経六十九難の治療法則で原穴を選穴する。
肺の虚証(補法)は、太淵・太白である。
原穴である太淵(※読み:たいえん):手関節前外側、橈骨茎状突起と舟状骨の間、長母指外転筋腱の尺側陥凹部に位置する。
原穴である太白(※読み:たいはく):足内側、第1中足指節関節の近位陥凹部、赤白肉際に位置する。

4.× 腎虚証
腎の虚証(補法)は、復溜・経渠である。
経穴である復溜(※読み:ふくりゅう):下腿後内側、アキレス腱の前縁、内果尖の上方2寸に位置する。
経穴である経渠(※読み:けいきょ):前腕前外側、橈骨下端の橈側で外側に最も突出した部位と橈骨動脈の間、手関節掌側横紋の上方1寸に位置する。

難経六十九難に基づく取穴

【部位】虚証(補法):実証(瀉法)
【肝】曲泉・陰谷:行間・少府・労宮
【肺】太淵・太白:尺沢・陰谷
【心】少衝・大敦:神門・太白
【腎】復溜・経渠:湧泉・大敦
【脾】大都・少府・労宮:商丘・経渠
【心包】中衝・大敦:大陵・太白
【胆】侠渓・足通谷:陽輔・陽谷・支溝
【大腸】曲池・足三里:二間・足通谷
【小腸】後渓・足臨泣:小海・足三里
【膀胱】至陰・商陽:束骨・足臨泣
【胃】解渓・陽谷・支溝:厲兌・商陽
【三焦】中渚・足臨泣:天井・足三里

 

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