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問題101 病証において虚実挟雑証でないのはどれか。
1.風熱犯肺
2.心腎不交
3.脾虚湿盛
4.肝陽上亢
解答1
解説
虚実挟雑とは、虚証と実証が混ざり合った状態である(※読み:きょじつきょうざつ)。珍しいことではなく慢性的に体調を崩している方のほとんどはこの虚実挟雑証に陥っていることが多い。なぜなら、虚証が慢性化すると、もう一方の要素への抑制が効かず病的存在が追い越すため。
1.× 風熱犯肺(※読み:ふうねつはんはい)は、病証において虚実挟雑証でない。
風熱犯肺とは、発熱、悪寒、頭痛、咳嗽、鼻汁、咽頭痛、舌尖紅、脈浮数などである。
2.〇 心腎不交(※読み:しんじんふこう)
心腎不交とは、腎陰が損耗し、心陰を補えず、心火が亢進しすぎて不眠を生じる状態のことである。五心煩熱とは、手掌・足底がほてり、同時に胸の部分でそわそわして落ち着かない状態である。盗汗とは、睡眠中にかく汗のことである。
3.〇 脾虚湿盛(※読み:ひきょしつせい)
脾虚湿盛とは、食欲不振、腹脹、大便溏薄、浮腫、口乾、舌苔厚膩、脈緩・脈滑などである。
4.〇 肝陽上亢(※読み:かんようじょうこう)
肝陽上亢とは、眩暈、耳鳴、頭痛、目赤、陰虚によるほてり・のぼせ、腰膝酸軟などである。
問題102 次の文で示す経脈の病証はどれか。
「48歳の女性。発汗、目尻から頬の痛みがあり、耳鳴りが続き耳が聞こえにくい。」
1.足の陽明経
2.手の太陽経
3.足の少陰経
4.手の少陽経
解答4
解説
・48歳の女性。
・発汗、目尻から頬の痛み
・耳鳴り、耳が聞こえにくい。
→本症例は、手の少陽経の病証である。手の少陽三焦経の病証として、耳が聞こえにくく、耳が燃え上がるような感じがしたり、耳鳴りがする。咽頭が腫れ、喉を起こす。汗が出て、経絡の流注上に沿って病症が現れる。
1.× 足の陽明経
足の陽明胃経の病証として、顔面神経麻痺、喉や膝の皿が腫れたり痛んだりする。胃腸が張る。気衝~髀関、足の甲と流注上に痛みや熱感が出る。食べても食べてもお腹が空き、濃黄色の小便が出る。びっくりして不安な状態になる。独り塞ぎこんで窓を閉め家の中に閉じこもっている。高い所に登って歌を歌いだす。羞恥心を無くしたように裸になって走り出す。
2.× 手の太陽経
手の太陽小腸経の病証として、咽頭の痛み、顎の付け根の腫れ、後ろを振り返ることができない。肩が抜けるように痛み、上腕が折れるように痛む。耳が聞こえなくなり、目が黄ばんだり充血したり、類の辺りが腫れてくる。顎から顎の付け根、肩、上腕、肘など経脈の流注上が痛む。
3.× 足の少陰経
足の少陰腎経の病証として、空腹感があるが食べられない。顔面が黒くすすけて艶がない。咳をして唾を吐くと血が混じっている。咳をしてあえぐ。目がボーっとしてハッキリしない、不安感や煩悶感を覚え、よく恐れを抱き、恐れたり、驚いたり、不安を覚えたりする。口の中や喉の渇き上実下虚になり、咽頭が乾いたり痛んだりする。足底全体に熱感を感じて痛む。
4.〇 正しい。手の少陽経が、この症例の経脈の病証である。
手の少陽三焦経の病証として、耳が聞こえにくく、耳が燃え上がるような感じがしたり、耳鳴りがする。咽頭が腫れ、喉を起こす。汗が出て、経絡の流注上に沿って病症が現れる。
問題103 次の文で示す患者の病証で最もみられる症状はどれか。
「42歳の女性。主訴は月経周期の乱れ。子どもの面倒をみながらの在宅勤務でイライラすることが多い。」
1.太息
2.呵欠
3.短気
4.噴嚔
解答1
解説
・42歳の女性(主訴:月経周期の乱れ)。
・子どもの面倒をみながらの在宅勤務でイライラする。
→本症例は、肝の不調(肝鬱気滞)が疑われる。肝鬱気滞は、精神抑鬱、急躁、易怒、胸肋部痛、脈弦、梅核気などがあらわれる。
1.〇 正しい。太息は、この症例の病証で最もみられる症状である。
太息は、ためいきのことで、嘆息ともいう。声の出るものは肝鬱気滞などが疑われる。
2.× 呵欠
呵欠は、あくびのことで、欠ともいう。労倦による虚証などが疑われる。
3.× 短気
短気は、息切れのことで、呼吸数が多く、短く途切れている状態を指す。肺気虚などが疑われる。
4.× 噴嚔
噴嚏は、くしゃみのことで、嚏ともいう。風寒邪による外感病などが疑われる。
問題104 経脈病証で咽喉の症状がみられないのはどれか。
1.手の陽明経脈
2.手の太陽経脈
3.足の陽明経脈
4.足の太陽経脈
解答4
解説
1.〇 手の陽明経脈
手の陽明大腸経:下の歯が痛み、頸が腫れる。目が黄ばみ、口が乾き、鼻血が出て、扁桃炎のような症状が出る。肩髃から臂臑あたりの経脈の流注上に痛みが出る。示指が痛んで使えない。冷えたままでなかなか温まりにくい。
2.〇 手の太陽経脈
手の太陽小腸経:咽頭の痛み、顎の付け根の腫れ、後ろを振り返ることができない。肩が抜けるように痛み、上腕が折れるように痛む。耳が聞こえなくなり、目が黄ばんだり充血したり、類の辺りが腫れてくる。顎から顎の付け根、肩、上腕、肘など経脈の流注上が痛む。
3.〇 足の陽明経脈
足の陽明胃経:顔面神経麻痺、喉や膝の皿が腫れたり痛んだりする。胃腸が張る。気衝~髀関、足の甲と流注上に痛みや熱感が出る。食べても食べてもお腹が空き、濃黄色の小便が出る。びっくりして不安な状態になる。独り塞ぎこんで窓を閉め家の中に閉じこもっている。高い所に登って歌を歌いだす。羞恥心を無くしたように裸になって走り出す。
4.× 足の太陽経脈は、経脈病証で咽喉の症状がみられない。
足の太陽膀胱経:腰が折れる様に痛む。膝裏の辺りが引きつって結ばれたようになる。下腿三頭筋辺りが裂けるような感じがする。痔、マラリアまたはマラリア様の熱病、精神疾患、癇癪、頭頂部から項にかけて痛む。目が黄ばんだり、充血したり、涙が出たり鼻閉が起こり鼻血が出る。項から背部、膝裏まで流れる経脈の流注上が痛む。
問題105 六部定位脈診で右手関上の沈の部が虚している場合、難経六十九難に基づく治療穴はどれか。
1.中渚
2.商丘
3.労宮
4.曲泉
解答3
解説
・右手関上の沈の部が虚している場合
→右手関上の沈の部:脾に該当する。
→虚している場合:つまり、脾虚証に該当する。したがって、脾の虚証(補法)を行うことが望ましく、対象は少府・労宮となる。
→難経六十九難「虚すればその母を補い、実すればその子を瀉せ」に基づき、脾(土)の母は心(火)となり、治療穴は、少府(または労宮)と大都を治療穴に用いる。
【部位】
①左:浮・沈
寸:小腸・心
関:胆・肝
尺:膀胱・腎
②右:浮・沈
寸:大腸・肺
関:胃・脾
尺:三焦・心包
1.× 中渚(※読み:ちゅうしょ)
三焦の虚証(補法)である。中渚は、手背、第4~5中手骨間、第4中手指節関節近位の陥凹部に位置する。
2.× 商丘(※読み:しょうきゅう)
脾の実証(瀉法)である。商丘は、足内側、内果の前下方、舟状骨粗面と内果尖の中央陥凹部に位置する。
3.〇 正しい。労宮(※読み:ろうきゅう)は、難経六十九難に基づく治療穴である。
肝の実証(瀉法)と脾の虚証(補法)である。労宮は、手掌、第2~3中手骨間、中手指節関節の近位陥凹部に位置する。
4.× 曲泉(※読み:きょくせん)
肝の虚証(補法)である。曲泉は、膝内側、半腱・半膜様筋腱内側の陥凹部、膝窩横紋の内側端に位置する。
【部位】虚証(補法):実証(瀉法)
【肝】曲泉・陰谷:行間・少府・労宮
【肺】太淵・太白:尺沢・陰谷
【心】少衝・大敦:神門・太白
【腎】復溜・経渠:湧泉・大敦
【脾】大都・少府・労宮:商丘・経渠
【心包】中衝・大敦:大陵・太白
【胆】侠渓・足通谷:陽輔・陽谷・支溝
【大腸】曲池・足三里:二間・足通谷
【小腸】後渓・足臨泣:小海・足三里
【膀胱】至陰・商陽:束骨・足臨泣
【胃】解渓・陽谷・支溝:厲兌・商陽
【三焦】中渚・足臨泣:天井・足三里