第29回(R3年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後156~160】

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「24歳の女性。月経開始から2日間ほど月経痛が激しく、吐き気がある。腰痛もあるが、特に下腹部痛が強く憂うつになる。不正性器出血や月経周期の異常はなく、器質的な障害もない。」

問題156 痛みの原因となっている器官名と同名の腧穴に刺鍼する場合、その取り方として正しいのはどれか。

1.関元の外方5分
2.関元の外方2寸
3.中極の外方2寸
4.中極の外方3寸

解答

解説

本症例のポイント

・24歳の女性。
・月経開始から2日間ほど月経痛が激しく、吐き気。
・腰痛、特に下腹部痛が強く憂うつ。
・不正性器出血や月経周期の異常はなし。
・器質的な障害もない。
→本症例は、月経痛が強い。月経痛の原因として、プロスタグランジンという痛みのもとが子宮を収縮させるため、下腹部痛や腹痛などが生じる。

1.× 関元の外方5分は、気穴である。
気穴(※読み:きけつ)は、下腹部、臍中央の下方3寸、前正中線の外方5分に位置する。ちなみに、関元(※読み:かんげん)は、下腹部、前正中線上、臍中央の下方3寸に位置する。

2.× 関元の外方2寸は、水道である。
水道(※読み:すいどう)は、下腹部、臍中央の下方3寸、前正中線の外方2寸に位置する。

3.× 中極の外方2寸は、帰来である。
帰来(※読み:きらい):下腹部、臍中央の下方4寸、前正中線の外方2寸に位置する。ちなみに、中極(※読み:ちゅうきょく)は、下腹部、前正中線上、臍中央の下方4寸に位置する。

4.〇 正しい。中極の外方3寸に刺鍼する。
奇穴のひとつである子宮(※読み:しきゅう)は、下腹部、臍下4寸、中極(任)の外方3寸に取る。
【主治】婦人科疾患(月経痛、月経不順、不妊、子宮下垂など)、膀胱炎

 

 

 

 

 

次の文で示す症例について、問題157、問題158の問いに答えよ。
 「54歳の男性。数日前から左耳に痛みがあり、しばらくしてから外耳道に水疱が出現した。同側の表情筋の麻痺と聴力の低下を伴っている。」

問題157 最も考えられる疾患はどれか。

1.ベル麻痺
2.脳幹梗塞
3.聴神経腫瘍
4.ラムゼイハント症候群

解答

解説

本症例のポイント

・54歳の男性。
・数日前:左耳に痛み、外耳道に水疱が出現。
・同側の表情筋の麻痺、聴力の低下。
→本症例は、ラムゼイハント症候群が疑われる。Ramsay Hunt症候群(ラムゼイ・ハント症候群:耳性帯状疱疹)は、水痘・帯状ヘルペスの顔面神経への感染が原因で発症する。主な症状として、末梢性顔面神経麻痺(障害側の眼輪筋と前頭筋の障害)、耳や口の中の水疱形成、耳鳴り、難聴、めまいなどを伴う。

1.× ベル麻痺
ベル麻痺とは、特発性の末梢性顔面神経麻痺のことである。他の麻痺(中枢性、感染によるRamsay-Hunt症候群、外傷、中耳炎、腫瘍など)を除いたものをさす。顔の片側の筋肉に起こる突然の筋力低下または麻痺がおこる。ちなみに、顔面神経は顔面の筋肉を動かし、唾液腺と涙腺を刺激し、舌の前方3分2の部分で味覚を感じることを可能にし、聴覚に関わる筋肉を制御している。

2.× 脳幹梗塞
脳幹梗塞とは、脳の脳幹(延髄・橋・間脳・中脳で構成)という部分で血栓や狭窄が起こるなどして血管が詰まってしまい起こる病気である。脳幹は、中枢神経系を構成する器官集合体で、意識と覚醒、呼吸、感覚神経、運動神経などの障害が起こりやすい。

3.× 聴神経腫瘍
聴神経腫瘍とは、聴力を伝える神経の周囲を鞘のように被っているシュワン細胞から発生する腫瘍である。小脳橋角部で好発する。症状として、難聴、耳鳴り、耳閉塞感、めまい、顔面のしびれなどがあげられる。

4.〇 正しい。ラムゼイハント症候群が最も考えられる疾患である。
Ramsay Hunt症候群(ラムゼイ・ハント症候群:耳性帯状疱疹)は、水痘・帯状ヘルペスの顔面神経への感染が原因で発症する。主な症状として、末梢性顔面神経麻痺(障害側の眼輪筋と前頭筋の障害)、耳や口の中の水疱形成、耳鳴り、難聴、めまいなどを伴う。

 

 

 

 

 

次の文で示す症例について、問題157、問題158の問いに答えよ。
 「54歳の男性。数日前から左耳に痛みがあり、しばらくしてから外耳道に水疱が出現した。同側の表情筋の麻痺と聴力の低下を伴っている。」

問題158 罹患筋を広範囲に刺激するのに最も適切な治療穴はどれか。

1.糸竹空
2.巨髎
3.顴髎
4.翳風

解答

解説

本症例のポイント

・54歳の男性。
・数日前:左耳に痛み、外耳道に水疱が出現。
・同側の表情筋の麻痺、聴力の低下。
→本症例は、ラムゼイハント症候群が疑われる。Ramsay Hunt症候群(ラムゼイ・ハント症候群:耳性帯状疱疹)は、水痘・帯状ヘルペスの顔面神経への感染が原因で発症する。主な症状として、末梢性顔面神経麻痺(障害側の眼輪筋と前頭筋の障害)、耳や口の中の水疱形成、耳鳴り、難聴、めまいなどを伴う。

1.× 糸竹空(※読み:しちくくう)
糸竹空は、頭部、眉毛外端の陥凹部に位置する。眼輪筋の治療穴である。

2.× 巨髎(※読み:こりょう)
巨髎は、顔面部、瞳孔線上、鼻翼下縁と同じ高さに位置する。

3.× 顴髎(※読み:けんりょう)
顴髎は、顔面部、外眼角の直下、頬骨下方の陥凹部に位置する。下関(胃経)の前方にあたる。

4.〇 正しい。翳風(※読み:えいふう)が、罹患筋を広範囲に刺激するのに最も適切な治療穴である。
翳風は、前頸部、耳垂後方、乳様突起下端前方の陥凹部に位置する。顔面神経は乳様突起下端から走行するため、罹患筋を広範囲に刺激するのに最も適切な治療穴である。

 

 

 

 

 

次の文で示す症例について、問題159、問題160の問いに答えよ。
 「29歳の女性。主訴は不眠。寝付きが悪い。起床時には四肢がだるい。足の冷えがあり、生ものを食べると下痢をしやすい。舌は淡白で胖大、脈は濡を認める。」

問題159 病証として最も適切なのはどれか。

1.肝血虚
2.心気虚
3.脾陽虚
4.腎気虚

解答

解説

本症例のポイント

・29歳の女性(主訴:不眠)
・寝付きが悪い。
・起床時には四肢がだるい。
・足の冷えがあり、生ものを食べると下痢をしやすい。
・舌:淡白で胖大、脈:濡。
→本症例は、脾陽虚が疑われる。陽虚(虚寒)は、寒証+気虚症状。寒がり、四肢の冷え、顔面蒼白、下痢、白色帯下、腹痛、自汗、倦怠感、息切れ、食欲不振、脈遅・弱などである。脾陽虚は、腹部の冷え、水様便・未消化便、食欲不振、顔面蒼白、畏寒などである。

1.× 肝血虚
肝血虚は、目乾、目花、転筋、しびれ、不眠、多夢、脈細、舌質淡白などである。

2.× 心気虚
心気虚は、心悸、征忡、胸悶、息切れ、倦怠感、自汗、顔面蒼白、言舌質淡などである。

3.〇 正しい。脾陽虚が病証である。
脾陽虚は、腹部の冷え、水様便・未消化便、食欲不振、顔面蒼白、畏寒などである。

4.× 腎気虚
腎気虚は、①腎気不固(遺尿、頻尿、流産・早産、倦怠感、脈沈弱など)、②腎不納気(呼吸困難、息切れ、呼多吸少、倦怠感、脈沈弱など)がある。

 

 

 

 

 

次の文で示す症例について、問題159、問題160の問いに答えよ。
 「29歳の女性。主訴は不眠。寝付きが悪い。起床時には四肢がだるい。足の冷えがあり、生ものを食べると下痢をしやすい。舌は淡白で胖大、脈は濡を認める。」

問題160 病証に対する治療穴で最も適切なのはどれか。

1.太衝
2.太白
3.神門
4.太渓

解答

解説

本症例のポイント

・29歳の女性(主訴:不眠)
・寝付きが悪い。
・起床時には四肢がだるい。
・足の冷えがあり、生ものを食べると下痢をしやすい。
・舌:淡白で胖大、脈:濡。
→本症例は、脾陽虚が疑われる。陽虚(虚寒)は、寒証+気虚症状。寒がり、四肢の冷え、顔面蒼白、下痢、白色帯下、腹痛、自汗、倦怠感、息切れ、食欲不振、脈遅・弱などである。脾陽虚は、腹部の冷え、水様便・未消化便、食欲不振、顔面蒼白、畏寒などである。

1.× 太衝(※読み:たいしょう)
足の厥陰経である太衝は、足背、第1~2指中足骨間、中足骨底接合部遠位の陥凹部、足背動脈拍動部に位置する。

2.〇 正しい。太白(※読み:たいはく)は、病証に対する治療穴である。
本症例は、脾陽虚が疑われる。足の太陰径である太白は、足内側、第1中足指節関節の近位陥凹部、赤白肉際に位置する。

3.× 神門(※読み:しんもん)
手の少陰経である神門は、手関節前内側、尺側手根屈筋腱の橈側縁、手関節掌側横紋上に位置する。

4.× 太渓(※読み:たいけい)
足の少陰経である太渓は、足関節後内側、内果尖とアキレス腱の間の陥凹部に位置する。

 

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