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問題166 低周波鍼通電療法の安全対策で正しいのはどれか。
1.電流は直流パルスを用いる。
2.鍼の材質はステンレスを用いる。
3.心臓を挟む形で電極を配置する。
4.通電装置の出力レベルは最大値から始める。
解答2
解説
鍼通電:鍼に低周波通電する方法で、鍼麻酔が代表的。鍼の腐食を考慮し、3~5番鍼(20~24号銅)以上の鍼を用いる。通電(電気療法)は妊婦、ペースメーカー、知覚脱失、循環障害、重篤な動脈疾患、原因不明の発熱、強い皮膚病変などの患者には禁忌とされる。また、通電装置の出力に影響を及ぼすため、通電装置と超短波治療器あるいはマイクロ波治療器を近接して使用すべきではない。20号鍼(3番鍼)以上の太さが推奨される。病的共同運動には高Hz(100HZ)で行うとよい。
1.× 電流は、「直流パルス」ではなく交流パルスを用いる。
なぜなら、感電防止や電気分解の折鍼防止のため。
2.〇 正しい。鍼の材質はステンレスを用いる。
なぜなら、鍼の腐食を予防するため。
3.× 心臓を「挟む」ではなく挟まない形で電極を配置する。
なぜなら、心臓への影響を考慮するため。ちなみに、通電(電気療法)は、妊婦、ペースメーカー、知覚脱失、循環障害、重篤な動脈疾患、原因不明の発熱、強い皮膚病変などの患者には禁忌とされる。
4.× 通電装置の出力レベルは「最大値」ではなく最小値から徐々に始める。
なぜなら、最大値が必ずしも、すべての患者に適応なレベルとはいえないため。また、いきなりの出力最大は、皮膚や軟部組織の損傷を助長しかねない。
問題167 鍼施術に関する衛生管理で正しいのはどれか。
1.小児鍼は洗浄して使用する。
2.手指の消毒にはベースン法を用いる。
3.滅菌済単回使用毫鍼を開封後にスワブ法で清拭する。
4.施術野の消毒には70%イソプロピルアルコールを用いる。
解答4
解説
1.× 小児鍼は、「洗浄」ではなく消毒(滅菌)して使用する。
ちなみに、小児鍼法とは、主な対象は生後2週間後~小学生で、①摩擦鍼や②接触鍼のことを指す。
2.× 手指の消毒には、「ベースン法」ではなくラビング法を用いる。
なぜなら、ベースン法は交差感染の危険性があるため。ベースン法(浸漬法)は、消毒液をベースン(容器)に入れて手指を浸漬する消毒法である。一方、ラビング法(擦式法)とは、アルコール擦式製剤を手掌にとり、乾燥するまで擦り込んで消毒する方法である。特別な手洗い設備を必要としないため、簡便に手洗いができる。
3.× 滅菌済単回使用毫鍼を開封後にスワブ法で清拭する必要はない。
なぜなら、「滅菌済」単回使用毫鍼は、すでに滅菌してあるため。滅菌とは、物体の表面または容器内のすべての生命形態(細菌、ウイルス、胞子、真菌など)を完全に除去または死滅させるプロセスを指す。ちなみに、拭き取り法(スワブ法)は、物体表面の付着微 生物を拭き取って捕捉する方法である。曲面や凹凸の激しい面でも場所を選ばず環 境中の付着面の捕捉ができるので、調理器具や手指、食品など様々なものを拭き取る事が出来る。
4.〇 正しい。施術野の消毒には70%イソプロピルアルコールを用いる。
イソプロピルアルコールとは、微生物のタンパク質を変形させ凝固させる作用や代謝障害、細菌の死滅・溶解による殺菌作用がある。そのため手や指、皮膚などの人体の消毒から医療機器などの消毒に幅広く使用されている。
問題168 鍼の刺入によりポリモーダル受容器の反応性を増大させるのはどれか。
1.血管作動性腸ペプチド(VIP)
2.CGRP
3.サブスタンスP
4.プロスタグランジン
解答4
解説
1.× 血管作動性腸ペプチド(VIP)
血管作動性腸ペプチド(VIP)は、28のアミノ酸残基で構成されるペプチドホルモンである。消化管、膵臓、脳の視床下部の視交叉上核を含む人体内の多数の場所で作られる。血管を広げ、血液の流れる量を増やす作用を持つ。消化管組織に広く存在し、胃酸の分泌を抑制し、腸液の分泌を促進する。他にも、小腸から水と電解質の分泌を促進するなどの作用がある。
2.× CGRP
CGRPとは、カルシトニン遺伝子関連ペプチドのことで、片頭痛の痛みの直接の原因とされているタンパク質である。脊髄後根神経節で産生され、中枢および末梢の両側性に作用する。末梢血管を著しく拡張させ、血管透過性を亢進させる働きを持つ。鍼刺激ではCGRPを含む知覚神経が刺激され、軸索反射によりコリン作動性神経の末端に働いて血管が拡張するとされる。ポリモーダル受容器の興奮で放出されたCGRP・サブスタンスPは血管拡張や血漿蛋白の漏出を生じさせ、結果として神経原性炎症を起こす。
3.× サブスタンスP
サブスタンスPは、広作動域ニューロンのひとつである。広作動域ニューロンとは、非侵害刺激を含めた色々の種類の刺激を受け入れるC線維(ポリモーダル受容器)が受けた刺激を脳へ中継する神経細胞のことである。脊髄Ⅴ層に存在する。一次感覚細胞から広作動域ニューロンへの痛みの信号はサブスタンスPやグルタミン酸などの興奮性アミノ酸によって伝達される。ポリモーダル受容器の興奮で放出されたCGRP・サブスタンスPは血管拡張や血漿蛋白の漏出を生じさせ、結果として神経原性炎症を起こす。
4.〇 正しい。プロスタグランジンは、鍼の刺入によりポリモーダル受容器の反応性を増大させる。
プロスタグランジンとは、細菌感染による急性炎症反応で増加する。プロスタグランジンは、①血管拡張、②気管支平滑筋収縮、③急性炎症時の起炎物質で発痛作用がある。非ステロイド性抗炎症薬<NSAIDs>は、炎症などを引き起こすプロスタグランジンの生成を抑え、抗炎症作用や解熱、鎮痛に働く。副作用として、消化器症状(腹痛、吐き気、食欲不振、消化性潰瘍)、ぜんそく発作、腎機能障害が認められる。
問題169 延髄に投射する痛覚の伝導路はどれか。
1.後索路
2.脊髄網様体路
3.腹側脊髄視床路
4.外側脊髄視床路
解答2
解説
1.× 後索路は、深部感覚である。
後索路は、脊髄後角から同側の後索を通り、延髄でニューロンを換え、左右交差し、内側毛帯を通り、視床という経路となる。
2.〇 正しい。脊髄網様体路は、延髄に投射する痛覚の伝導路である。
脊髄網様体路は、脊椎動物の姿勢や歩行(移動)動作に関与する運動性下行路である。痛みに関しては、侵害刺激をポリモーダル受容器で受容→C線維(伝導速度0.5-2m/sec)→脊髄後角→前脊髄視床路・脊髄網様体→視床髄板内核・視床下部→大脳(辺縁)皮質である。
3.× 腹側脊髄視床路(前脊髄視床路)
前脊髄視床路(粗大な触覚・圧覚)は、感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄前索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野である。
4.× 外側脊髄視床路
外側脊髄視床路(温痛覚・粗大触圧覚)は、感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄側索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野である。
問題170 脊髄分節性鎮痛はどれか。
1.ゲートコントロール説
2.下行性疼痛抑制系
3.広汎性侵害抑制調節
4.末梢性オピオイド鎮痛
解答1
解説
脊髄分節性鎮痛とは、痛みを感じている部位またはその皮膚分節に触圧刺激を与えて、触圧受容器を興奮させることで、局所的な鎮痛効果をもたらす中枢性機序である。
1.〇 正しい。ゲートコントロール説は、脊髄分節性鎮痛である。
ゲートコントロール理論とは、高頻度刺激によって、脊髄の触・圧・振動覚などの低閾値感覚を伝える太い神経線維を刺激することで、脊髄後角の感覚神経を活性化させ、痛みの信号通路のゲートを閉ざし疼痛を抑制させる理論である。脳と脊髄は痛みやその他の接触刺激などを同時に感じ取らないように働いているため、このような理論が提唱されている。
2.× 下行性疼痛抑制系
下行性疼痛抑制系とは、脳幹部から神経線維が脊髄後角に下行し、そこで痛みの伝達を遮断するシステムのことである。ノルアドレナリンやセロトニンを伝達物質とする下行性疼痛抑制線維が主に寄与する。
3.× 広汎性侵害抑制調節
広汎性侵害抑制調節とは、侵害刺激が痛みを抑制する現象のことをいう。鎮痛効果は、刺激直後から全身に現れるが、刺激期間中に限られるという特徴をもっている。その発現には延髄の背側網様亜核が部分的に関与している。
4.× 末梢性オピオイド鎮痛
オピオイド鎮痛薬とは、鎮痛を目的として使用されるオピオイドのことで、モルヒネと構造的に類似した 物質や構造は異なるが薬理作用が類似する合成化合物である。