第30回(R4年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後171~175】

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きゅう理論試験問題(問題171~180)

問題171 艾の製造工程で使用する用具と用途の組合せで正しいのはどれか。

1.裁断機:夾雑物をふるい落とす。
2.石臼:葉脈を除去する。
3.けんどん(長唐箕):乾燥したヨモギを粉砕する。
4.唐箕:毛茸の表面付着物を除去する。

解答

解説

艾の製造

①ヨモギを採集(5~8月頃)→②葉を乾燥→③石臼でひく→④篩(長唐箕(けんどん))にかける→⑤唐箕で不純物を除去する。
※ヨモギ:キク科の多年生植物。生産量は新湯県が最も多い。

1.× 夾雑物をふるい落とすのは、「裁断機」ではなくけんどん(長唐箕)である。
裁断機は、乾燥ヨモギの葉をきざみ、細かく粉砕するために用いる。

2.× 葉脈を除去するのは、「石臼」ではなくけんどん(篩、長唐箕)である。
石臼は、葉柄、葉脈、葉肉を粉砕し、葉から毛茸・綿毛を剥離するのに用いられる。

3.× 乾燥したヨモギを粉砕するのは、「けんどん(長唐箕)」ではなく裁断機である。
けんどん(篩、長唐箕)は、篩(ふるい)ともいい、円筒形で葉枝・葉脈などを落とすのに用いられる。

4.〇 正しい。唐箕:毛茸の表面付着物を除去する。
唐箕は、風力で比重差による夾雑物の除去を行うために用いる。長時間かけると毛茸の表面付着物が除去されて、より純粋な毛茸となる。

 

 

 

 

 

問題172 無痕灸で主に輻射熱を用いるのはどれか。

1.漆灸
2.塩灸
3.艾条灸
4.味噌灸

解答

解説

熱伝導形態

熱には3つの熱伝導形態があり、①熱伝導、②対流熱、③熱放射である。
①熱伝導は、物質を介して熱が伝わることをいう。(簡単にいうと、直接触れることによる熱の移動)
②対流熱は、液体や気体の流れに乗って熱が移動することをいう。
③熱放射は、温度差がある物体の間で、熱が移動することをいう。
④エネルギー変換熱は、電磁波や超音波など体内で吸収されて熱エネルギーに変換することをいう。

1.× 漆灸(※読み:うるしきゅう)は、薬物灸に該当する。
薬物灸は、艾を使用せず、薬物を塗布して刺激を皮膚に加える方法ある。紅灸、うるし灸、水灸、油灸、硫黄灸など。

2.4.× 塩灸/味噌灸は、隔物灸に該当する。
隔物灸は、艾炷と皮膚の間に物を置いて施灸する方法である。塩灸、韮灸、墨灸、ニンニク灸、味噌灸、生姜灸、ビワの葉灸、押灸など。

3.〇 正しい。艾条灸は、無痕灸で主に輻射熱を用いる。
温灸は、艾を皮膚から距離を置いて燃焼させ、輻射熱で温熱刺激を与える方法である。棒灸、温灸器、温筒灸、艾条灸などがある。

 

 

 

 

 

問題173 施灸後に紅斑と痛みが出現した。該当する熱傷はどれか。

1.Ⅰ度
2.浅達性Ⅱ度
3.深達性Ⅱ度
4.Ⅲ度

解答

解説
1.〇 正しい。Ⅰ度が、該当する熱傷である。
Ⅰ度:【深さ】表皮【症状】発赤、熱感、軽度の腫脹と疼痛、水泡形成(ー)【治癒】数日間、瘢痕とはならない。

2.× 浅達性Ⅱ度
Ⅱ度:【深さ】真皮浅層(SDB)【症状】強い疼痛、腫脹、水泡形成(水泡底は赤色)【治癒】1~2週間、瘢痕再生する。

3.× 深達性Ⅱ度
Ⅱ度:【深さ】真皮深層(DDB)【症状】水泡形成(水泡底は白色、もしくは破壊)、知覚は鈍麻【治癒】3~4週間、瘢痕残す、感染併発でⅢ度に移行。

4.× Ⅲ度
Ⅲ度:【深さ】皮下組織【症状】疼痛(ー)、白く乾燥、炭化水泡形成はない【治癒】一か月以上、小さいものは瘢痕治癒、植皮が必要。

熱傷の分類

Ⅰ度:【深さ】表皮【症状】発赤、熱感、軽度の腫脹と疼痛、水泡形成(ー)【治癒】数日間、瘢痕とはならない。
Ⅱ度:【深さ】真皮浅層(SDB)【症状】強い疼痛、腫脹、水泡形成(水泡底は赤色)【治癒】1~2週間、瘢痕再生する。
Ⅱ度:【深さ】真皮深層(DDB)【症状】水泡形成(水泡底は白色、もしくは破壊)、知覚は鈍麻【治癒】3~4週間、瘢痕残す、感染併発でⅢ度に移行。
Ⅲ度:【深さ】皮下組織【症状】疼痛(ー)、白く乾燥、炭化水泡形成はない【治癒】一か月以上、小さいものは瘢痕治癒、植皮が必要。

 

 

 

 

 

問題174 灸痕の化膿を防止する方法で誤っているのはどれか。

1.艾炷を小さくする。
2.同一点に施灸する。
3.水疱を掻破する。
4.痂皮を保護する。

解答

解説

灸痕の化膿

原因:水疱・痂皮の破壊、不完全な消毒、体質、免疫力低下など
予防:同一点への施灸、艾炷を大きくしない、灸痕を破壊しない、消毒の反復など

1~2.4.〇 正しい。艾炷を小さく、同一点に施灸、痂皮を保護。
これらは、灸痕の化膿を防止する方法である。化膿とは、傷口や炎症を起こした場所に菌が入り込み、膿が出るほどまでに炎症が悪化した状態のことである。

3.× 水疱を掻破する。
これらは、灸痕の化膿を助長する方法である。掻破(そうは)とは、皮膚をかき壊す、かきむしる行動を伴う皮膚の不快な感覚のことである。掻破は、皮膚から異物を物理的に除去し、痒みのない元の状態に戻そうとする反応である。

 

 

 

 

 

問題175 副腎皮質ホルモン剤を長期服用している患者への施灸方法で最も適しているのはどれか。

1.棒灸
2.焦灼灸
3.透熱灸
4.糸状灸

解答

解説

副腎皮質ホルモン剤の副作用

副腎には、①副腎皮質と②副腎髄質からホルモンが分泌される。①副腎皮質ホルモンとは、副腎皮質より産生されるホルモンの総称で、①アルドステロン、②コルチゾール、③アンドロゲンがある。炎症の制御、炭水化物の代謝、タンパク質の異化、血液の電解質のレベル、免疫反応など広範囲の生理学系に関わっている。②副腎髄質からはアドレナリンとノルアドレナリンが分泌される。

副腎皮質ステロイドの副作用は、易感染、中心性肥満、満月様顔貌、高血糖、筋萎縮、赤色皮膚線条、多毛症、精神症状などがみられる。

1.〇 正しい。棒灸は、副腎皮質ホルモン剤を長期服用している患者への施灸方法である。
なぜなら、副腎皮質ホルモン剤を長期服用している患者(易感染症、免疫力低下)に対しても、安全に行えるため。棒灸は、温灸のひとつで、艾を皮膚から距離を置いて燃焼させ、輻射熱で温熱刺激を与える方法である。棒灸のほかにも、温灸器、温筒灸、艾条灸などがある。

2.× 焦灼灸は、皮膚への刺激が強すぎる。
焦灼灸は、イボ、ウオノメ、タコなどに用いる灸法である。施灸部の皮膚、組織を破壊する。タール成分(カテコール)の作用がある。

3.× 透熱灸/糸状灸は、皮膚への刺激が強すぎる。
透熱灸は、良質艾を米粒大前後で円錐形に捻り、経穴や圧痛点など皮膚上の治療点に直接施灸する。糸状灸も含まれる。

 

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