第30回(R4年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前26~30】

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問題26 消化液と消化酵素の組合せで正しいのはどれか。

1.唾液:アミラーゼ
2.胃液:リパーゼ
3.膵液:マルターゼ
4.腸液:ペプシン

解答

解説
1.〇 正しい。唾液:アミラーゼ
アミラーゼとは、でんぷんを分解して糖にする酵素である。体内では主に、膵臓、耳下腺(唾液腺)から分泌される。

2.× リパーゼは、「胃液」ではなく膵液である。
膵液にはアミラーゼ、リパーゼ、トリプシンどの酵素が含まれている。リパーゼとは、中性脂肪を脂肪酸とグリセリンに加水分解する反応を触媒する酵素である。

3.× マルターゼは、「膵液」ではなく腸液である。
マルターゼは、マルトースをグルコースに分解する酵素である。つまり糖を分解する。膵液・腸液に含まれる。

4.× ペプシンは、「腸液」ではなく胃液である。
胃主細胞から分泌されたペプシノーゲンは、壁細胞が分泌する塩酸によりペプシンとなる。ペプシンは、胃底腺の主細胞の分泌物に由来するタンパク分解酵素である。蛋白質の消化酵素として、ペプシン(胃)、トリプシン(膵)、ペプチターゼ(膵・小腸)があげられる。

 

 

 

 

 

問題27 体温について正しいのはどれか。

1.体温調節中枢は延髄にある。
2.細菌感染では産熱は抑制される。
3.セットポイントの下降により発熱が起こる。
4.核心温度の変化は温度感受性ニューロンにより感受される。

解答

解説
1.× 体温調節中枢は、「延髄」ではなく視床下部にある。
視床下部の体温調節中枢のセットポイントの低下は、体温が上昇しており体温を低下させたいときに生じる。

2.× 細菌感染では産熱は、「抑制」ではなく亢進される。
なぜなら、細菌やウイルスなどが体内に侵入すると、体内では免疫に関与する白血球からサイトカインという物質が分泌され免疫機構が活性化されるため。この中の一部のサイトカインがプロスタグランジンという物質を産生して、これが体温調節中枢を刺激し、体温の設定温度を上昇させる。

3.× セットポイントの「下降」ではなく上昇により発熱が起こる。
セットポイントとは、設定値という意味である。体温のセットポイント(設定値)が突然高くなると、通常の体温(平熱)を体温が低すぎる(寒い)と認識し、寒冷にさらされた場合と同様に体温を上昇させる反応が起こる。主に、細菌やウイルスなどの感染により白血球から放出される発熱物質により生じる。

4.〇 正しい。核心温度の変化は温度感受性ニューロンにより感受される
温度感受性ニューロンとは、深部体温を感知するニューロンのことで、体温調節中枢である視索前野や前視床下部に存在する。

 

 

 

 

 

問題28 糖質コルチコイドの作用で正しいのはどれか。

1.血糖値を低下させる。
2.血圧を低下させる。
3.胃酸分泌を抑制する。
4.炎症反応を抑制する。

解答

解説

糖質コルチコイドとは?

糖質コルチコイドとは、副腎皮質の束状帯の細胞で産生されるステロイドホルモンのことである。副腎皮質ホルモンには、コルチゾール・アルドステロン・アンドロゲン(男性ホルモン)などがある。コルチゾールは、血糖値の上昇や脂質・蛋白質代謝の亢進、免疫抑制・抗炎症作用、血圧の調節など、さまざまな働きがある。過剰になるとクッシング症候群、不足するとアジソン病を引き起こす。

1.× 血糖値を「低下」ではなく上昇させる。
糖質コルチコイドは、全身の筋肉のタンパク質を分解し、グルコースの合成を促進させ、血糖値を上げさせる。

2.× 血圧を「低下」ではなく調整する(一定に保つ)。

3.× 胃酸分泌を「抑制」ではなく亢進する。
グルココルチコイド過剰では、胃などの消化器系への影響が生じ、胃酸分泌が増加し、過剰量では消化性潰瘍を発症させることがある。

4.〇 正しい。炎症反応を抑制する。
糖質コルチコイドは、細胞膜を通り抜けて受容体と結合し、さらに核内に移行して、遺伝子発現のレベルで影響を与える。これによって合成されるタンパク質のひとつは、アラキドン酸カスケードの最初の段階、すなわち細胞膜からアラキドン酸を切り出す過程を抑制して、抗炎症作用を発揮する。

Cushing〈クッシング〉症候群とは?

Cushing〈クッシング〉症候群は、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の過剰によって起こる症候群である。原因の多くは副腎皮質腺腫である。コルチゾール過剰によってみられる症候は、ステロイド剤の副作用と共通する。コルチゾール過剰に伴う特徴的な症候として、満月様顔貌、赤ら顔、中心性肥満、水牛様脂肪沈着(水牛様肩)、皮膚の非薄化、皮下溢血、四肢近位筋萎縮・筋力低下、赤色皮膚線条がある。

 

 

 

 

 

問題29 加齢に伴い増加するのはどれか。

1.副腎皮質ホルモン分泌
2.肺活量
3.神経伝導速度
4.重心動揺

解答

解説
1.× 副腎皮質ホルモン分泌は、一概に加齢に伴い減少するとはいえない。
これは、高齢者では、視床下部下垂体-副腎系の感受性が低下し、コルチゾール分泌におけるネガティブフィードバックが減少するためといわれている。ちなみに、副腎皮質ホルモンとは、副腎皮質より産生されるホルモンの総称で、①アルドステロン、②コルチゾール、③アンドロゲンがある。炎症の制御、炭水化物の代謝、タンパク質の異化、血液の電解質のレベル、免疫反応など広範囲の生理学系に関わっている。

2.× 肺活量は、加齢に伴い減少する。
なぜなら、加齢により、肺の弾力性が低下するため。
【加齢に伴う呼吸器の変化】
・肺残気量は増大し、肺活量、1秒率、拡散能は低下する。
・咳嗽反射、気道粘膜の線毛運動が低下する。
・喀痰排出が不十分になる。

3.× 神経伝導速度は、加齢に伴い低下する。
神経伝導速度は、3~5歳頃で成人の伝導速度に達するが、40歳以降は徐々に低下し、60〜80歳でも伝導速度の低下は10m/sec程度に止まる。これによって、転倒のしやすさが発生するといわれている。

4.〇 正しい。重心動揺は、加齢に伴い増加する。
重心動揺からみた、立位の安定性の年齢による変化の様相は、おおむね以下のように要約することができる。幼児期から10歳前後までは急速に安定性が向上するが、60歳代以降には再び著しい低下傾向を示す。なお、このいずれの時期も女子の方が男子に比べて重心動揺は小さく安定性に優れている。踵からの重心位置は、年齢に伴って徐々に足先方向に偏椅するが、高齢になっても若年成人の値と変わらない。立ち始めの幼児は、支持脚と運動脚が共に利き手側にあるが、運動発達に伴って支持脚が反対側に分離していく(※引用:「重心動揺の発達的変化」著:臼井 永男)。

MEMO

静止立位時の重心動揺面積は、測定値が小さい場合にバランス機能が良好であると判断できる。
重心動揺面積に加え、重力動揺軌跡長の値が小さいほど、立位姿勢が安定していることを示す。

(図引用:「加齢による身体機能の変化」著:瀬尾 芳輝)

 

 

 

 

 

問題30 脳波について正しいのはどれか。

1.α波は安静覚醒閉眼時に現れる。
2.β波はα波より周波数が低い。
3.δ波は運動時に多く現れる。
4.深睡眠時には脳波は平坦となる。

解答

解説

脳波の分類

δ(デルタ)【0.5~4.0Hz】:深い睡眠
θ(シータ)【4.0~8.0Hz】:浅い睡眠
α(アルファ)【8.0~13.0Hz】:安静閉眼時
β(ベータ)【14.0~30.0Hz】:覚醒・活動時にみられる

1.〇 正しい。α波は安静覚醒閉眼時に現れる
α波とは、8.0~13.0Hzで、安静閉眼時にみられる。

2.× β波は、α波より周波数が「低い」ではなく高い
振幅の大きさは、1位δ(デルタ)、2位θ(シータ)、3位α(アルファ)、4位β(ベータ)、5位γ(ガンマ)の順である。

3.× 運動時に多く現れるのは、「δ波」ではなくβ波である。
ちなみに、δ波は、0.5~4.0Hzで深い睡眠にみられる。

4.× 深睡眠時には脳波は、「平坦」ではなくδ波となる。

 

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