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問題26 呼吸運動を促進するのはどれか。
1.体液の浸透圧上昇
2.体液のpH低下
3.動脈血酸素分圧の上昇
4.動脈血二酸化炭素分圧の低下
解答2
解説
【酸塩基平衡】
血液(体液)のpH:7.40 ± 0.05
→pH7.30:酸性に傾いている状態
→pH7.50:アルカリ性に傾いている状態
アシドーシス(酸性):pHが低下している状態。
アルカローシス(アルカリ性):pHが上昇している状態。
1.× 体液の浸透圧上昇は、呼吸運動を抑制する。なぜなら、代謝性アルカローシスとなるため。代謝性アルカローシスは、嘔吐など電解質と水分の喪失が、体液の浸透圧の上昇している状態である。胃液(酸性)が失われ、HCO3−が高値となるのが特徴である。
2.〇 正しい。体液のpH低下は、呼吸運動を促進する。体液のpHが低下することにより、アシドーシス(酸性)に傾く。アシドーシスは、酸性である二酸化炭素が蓄積されている状態であるため、呼吸運動を促進し、pHの正常化に働く。
3.× 動脈血酸素分圧の上昇は、呼吸運動を抑制する。動脈血酸素分圧(PaO2)は、肺における血液酸素化能力の指標である。
4.× 動脈血二酸化炭素分圧の低下は、呼吸運動を抑制する。二酸化炭素(酸性)が蓄積されている状態だと呼吸は促進される。
問題27 放熱を促すのはどれか。
1.立毛筋の収縮
2.甲状腺ホルモンの分泌
3.皮膚血管の拡張
4.骨格筋の収縮
解答3
解説
1.× 立毛筋の収縮は、熱の放出を止める仕組みである。立毛筋は交感神経の支配を受けているため、冷感ストレスや恐怖などの情緒性ストレスを受けた際に収縮する。
2.× 甲状腺ホルモンの分泌は、交感神経が優位な場合に起こる。甲状腺ホルモンとは、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)があり、新陳代謝を調節している。脈拍数や体温、自律神経の働きを調節し、エネルギーの消費を一定に保つ働きがある。
3.〇 正しい。皮膚血管の拡張は、放熱を促す。放熱とは、体温が高くなりすぎると汗をかいたりして熱を体外に逃がそうと体温調節をすることをいう。
4.× 骨格筋の収縮は、身体の運動の際に行われる。また、低体温から回復するための生体の反応である。この現象をふるえ熱産生という。小刻みな収縮:シバリングによって生体内で熱が産生される現象である。寒さによる「ふるえ」は骨格筋の不随意運動による筋収縮で発生するエネルギーが熱となるため、熱産生が増加する。
問題28 プロラクチンについて正しいのはどれか。
1.乳汁産生を促す。
2.排卵を促す。
3.ステロイドホルモンである。
4.下垂体後葉から分泌される。
解答1
解説
ホルモンは、①ペプチドホルモン、②ステロイドホルモン、③アミン・アミノホルモン、④糖タンパクホルモン、⑤その他の5つ分類される。
①ペプチドホルモンは、成長ホルモン・インスリンなど大部分のホルモンが含まれる。②ステロイドホルモンは、副腎皮質ホルモンの他に性腺ホルモンも含まれる。コレステロールを原料として作られたステロイド骨格を盛るホルモンである。③アミン・アミノホルモンは、副腎髄質ホルモン(アドレナリン、ノルアドレナリン)、甲状腺ホルモンがある。
1.〇 正しい。プロラクチンは、乳汁産生を促す。プロラクチンとは、乳腺刺激ホルモンともいい、脳の下垂体から分泌され、妊娠すると高くなり乳腺を成長させ乳汁産生を行う。一般的に出産後など授乳期間中において、乳頭の刺激で高くなり乳汁を分泌する。
2.× 排卵を「促す」ではなく抑制する。プロゲステロン(黄体ホルモン)とは、妊娠の準備のため基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすいように子宮内膜を安定させ、乳腺を発達させる働きがある。また栄養や水分を体にたくわえようとするため浮腫や体重増加しやすい。妊娠が成立しなければ、排卵の1週間後くらいから黄体ホルモン(プロゲステロン)は減り始め、さらに1週間くらい経つと子宮内膜がはがれ月経が始まる。
3.× 「ステロイドホルモン」ではなくペプチドホルモンである。
4.× 下垂体「後葉」ではなく前葉から分泌される。下垂体の前葉からは、副腎皮質刺激ホルモン、成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、乳汁分泌ホルモン、性腺刺激ホルモンが、下垂体の後葉からはオキシトシンと抗利尿ホルモン(バソプレシン)が分泌される。
問題29 副交感神経活動に対する応答で正しいのはどれか。
1.発汗の促進
2.気管支筋の弛緩
3.心収縮力の増加
4.直腸平滑筋の収縮
解答4
解説
1~3.× 発汗の促進/気管支筋の弛緩/心収縮力の増加は、主に交感神経の活動による。
4.〇 正しい。直腸平滑筋の収縮は、副交感神経活動に対する応答である。これにより、排便を促進する。
問題30 骨格筋の収縮について正しいのはどれか。
1.筋細胞の活動電位は筋収縮と同時に起こる。
2.収縮のエネルギーはADPの分解による。
3.筋小胞体からのカルシウムイオン放出により起こる。
4.日常の運動は単収縮によって行われる。
解答3
解説
【筋収縮の機序】
①筋小胞体から放出されたCa2+がトロポニンと結合する。
②ATPエネルギーを利用したミオシンの頭部首振り運動が起こる。
③アクチンフィラメントを引き寄せながらミオシンフィラメント上を滑走して筋収縮が起こる。
【運動による筋疲労によって起こる事象】
①代謝産物の蓄積(乳酸の増加やpHの低下)
②エネルギー供給率の低下(ATP低下、ADP増加、グリコーゲン低下)
③興奮収縮連関不全(筋小胞体へのCa2+取り込み低下)
1.× 筋細胞の活動電位は、「筋収縮と同時」ではなく筋収縮前に起こる。その後、Ca2+がトロポニンと結合する。
2.× 収縮のエネルギーは、「ADP」ではなくATPの分解による。ATPエネルギーを利用したミオシンの頭部首振り運動が起こる。ちなみに、ATP(アデノシン三リン酸)は、筋肉の収縮など生命活動で利用されるエネルギーの貯蔵・利用にかかわる。
3.〇 正しい。筋小胞体からのカルシウムイオン放出により起こる。筋収縮の機序として、まず、筋小胞体から放出されたCa2+(カルシウムイオン)がトロポニンと結合することから始まる。カルシウムイオンは、筋小胞体中に貯蔵されており、筋収縮時に細胞質内へ放出され、カルシウムイオンの濃度上昇が筋収縮の引き金となる。
4.× 日常の運動は、「単収縮」ではなく強縮によって行われる。単収縮とは、一回の運動神経の活動電位によって、神経筋接合部を介して、筋細胞に一回の活動電位が生じ、筋収縮が起こる現象のことである。一方、強縮とは、単収縮を加重させると収縮力は大きくなる現象のことである。
カルシウムイオンは、生体内の主要な陽イオンの1つで、血液の細胞外液中におけるその濃度は約1%である。骨石灰化や、心臓および骨格筋系の収縮、神経筋伝達、ホルモン分泌や血液凝固における一連の反応に寄与する。