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問題56 鉄欠乏性貧血について正しいのはどれか。
1.大球性貧血である。
2.正色素性貧血である。
3.総鉄結合能は低下する。
4.鉄剤投与によって網状赤血球は増加する。
解答4
解説
①小球性低色素性貧血:鉄欠乏性血・鉄芽球性血・サラセミア・異常へモグロビン症・慢性炎症による貧血など。
②正球性正色素性貧血:再生不良性貧血・溶血性貧血・遺伝性球状赤血球症・自己免疫性溶血性貧血・発作性夜間血色素尿症など。
③大球性貧血(大球性正色素性貧血)
巨赤芽球性貧血:悪性貧血・胃切除後貧血・葉酸欠乏性貧血・ビタミンB12欠乏性貧血など。
非巨赤芽球性貧血:溶血性貧血・出血性血・肝障害・甲状腺機能低下症・骨髄異形成症候群など。
1.× 大球性貧血であるのは、巨赤芽球性貧血である。巨赤芽球性貧血とは、ビタミンB12あるいは葉酸の不足が原因の、骨髄に巨赤芽球が出現する貧血の総称である。偏食や過度の飲酒などを背景にビタミン欠乏症の患者がみられる。貧血の症状(動悸や息切れ、疲労感)の他に、萎縮性胃炎やハンター舌炎(味覚障害や舌の痛みを伴う炎症)など消化器系に異常をきたす。また、ビタミンB12欠乏症において、手足のしびれ、思考力の低下、性格変化などの神経症状もみられる。
2.× 正色素性貧血であるのは、再生不良性貧血や溶血性貧血である。再生不良性貧血とは、骨髄の造血幹細胞の減少と、それによる末梢血の汎血球減少を主徴とする症候群で、骨髄で血液が造られないために血液中 の赤血球、白血球、血小板のすべての血球が減ってしまう病気である。白血球(Tリンパ球)の働きが何らかの原因で異常をきたし、自分自身の造血幹細胞を攻撃して壊してしまうことが原因と考えられている。
3.× 鉄欠乏性貧血の場合、総鉄結合能は、「低下」ではなく上昇する。なぜなら、体内の鉄が不足しているため。したがって、相対的に、鉄を結合する能力を持つトランスフェリンの量が増える。ちなみに、トランスフェリンとは、血液中の鉄を輸送する糖蛋白質で、主に肝臓で合成される。
4.〇 正しい。鉄剤投与によって網状赤血球は増加する。網状赤血球は塩基性色素で超生体染色すると、顆粒状あるいは網状の構造物が染まる幼若な赤血球である。つまり、網状赤血球は赤血球への分化の過程のものである。1~2日で成熟して消失する。 網状赤血球の上昇は造血能が亢進する場合で、鉄材を投与する貧血治療の際にみられる。ちなみに、鉄欠乏性貧血とは、小球性貧血に該当する体内に流れている赤血球に多く含まれるヘモグロビンと鉄分が欠乏する事により、酸素の運搬能力が低下し全身に十分な酸素が供給されず倦怠感や動悸、息切れなどの症状がみられる貧血の種類の中でも最も多く特に女性に多い疾患である。原因としては、栄養の偏りなどによる鉄分の摂取不足、消化性潰瘍やがん、痔などの慢性出血による鉄の喪失、腸管からの鉄吸収阻害などがあげられる。
問題57 出血性素因について正しいのはどれか。
1.一次血栓はフィブリンで構成される。
2.血液凝固反応にはビタミンCが重要である。
3.血友病は男性には認められない。
4.特発性血小板減少性紫斑病は自己免疫疾患である。
解答4
解説
出血性素因とは、出血しやすく止血しにくい状態(出血傾向)の素因・原因のことを指す。
1.× 一次血栓は、「フィブリン」ではなく血小板凝集で構成される。一次血栓とは、血小板が損傷部位に集まり、仮止めとして形成される。その後、フィブリンが絡み合って二次血栓が形成され、これが最終的にしっかりとした血栓となる。つまり、血液凝固は一次止血と二次止血の二段階で行われる。ちなみに、フィブリンとは、血液凝固に関連するタンパク質のフィブリノゲンが分解され活性化したものである。フィブリンは、出血した際の傷口を防いで止血する血液凝固の役割を果たす。
2.× 血液凝固反応には、「ビタミンC」ではなくビタミンKが重要である。ビタミンKとは、血液凝固のほかに骨形成(骨をつくる骨芽細胞の働き)を促進する作用と骨吸収(骨を壊す破骨細胞の働き)を抑制する作用がある。骨粗鬆症における骨量(骨の材料であるカルシウムとリンの量)の減少を抑えたり痛みを和らげる効果がある。一方、ビタミンCとは、抗酸化作用をもち、多くのホルモン合成や薬物代謝に関わる。ビタミンC欠乏は、壊血病を生じる。壊血病は、結合組織の異常から毛細血管が脆弱化して出血しやすくなる。
3.× 血友病は男性に「認められる」。なぜなら、伴性劣性遺伝であるため。
4.〇 正しい。特発性血小板減少性紫斑病は自己免疫疾患である。特発性血小板減少性紫斑病とは、血液中の血小板が減少することにより出血しやすくなる病気である。原因は不明であるが、体の中の免疫反応が過剰になり、自分の血小板を攻撃してしまうために、血小板が減少するといわれている。
血友病とは、血液を固めるのに必要な「血液凝固因子(第Ⅷ因子または第Ⅸ因子)が不足・活性低下する病気のことである。血友病の検査では、血が止まりにくいかどうかを調べるため、はじめに「血小板数」「プロトロンビン時間(PT)」「活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)」の3つを測定する。そこでAPTTだけが正常よりも延長している場合に血友病が疑われる。
【概念】
伴性劣性遺伝(男児に多い):生まれつき発症することがほとんどであるため、幼少期から①些細なことで出血する、②出血が止まりにくいといった症状が繰り返される。
血友病A:第Ⅷ凝固因子の活性低下
血友病B:第Ⅸ凝固因子の活性低下
【症状】関節内出血を繰り返し、疼痛、安静により関節拘縮を起こす。(筋肉内出血・血尿も引き起こす)肘・膝・足関節に多い。鼻出血、消化管出血、皮下出血等も起こす。
【治療】凝固因子製剤の投与、関節拘縮・筋力低下に対するリハビリテーション
(※参考:「血友病」Medical Note様HP)
問題58 ネフローゼ症候群について正しいのはどれか。
1.血清コレステロールが低値となる。
2.低蛋白血症を認める。
3.尿蛋白は陰性である。
4.小児では予後不良である。
解答2
解説
ネフローゼ症候群とは、尿から大量の蛋白が漏れ出すことで血液中の蛋白が減少、血液の浸透圧が低下し水分が血管内から血管外へ移動することで、全身の浮腫や腹水・胸水などを引き起こすものである。小児の治療として、ステロイド治療により改善することが多い。ネフローゼ症候群に対する食事に関しては、蛋白尿が陽性の間は減塩食にする。一般的に水分の制限は必要ないとされており、その理由は水分制限による脱水や血栓症の危険性が増加するためである。
1.× 血清コレステロールが「低値」ではなく高値となる。なぜなら、ネフローゼ症候群では、尿中に大量のタンパク質が排泄され、同時にコレステロールに関する蛋白も作るため。
2.〇 正しい。低蛋白血症を認める。なぜなら、ネフローゼ症候群では、尿中に大量のタンパク質が排泄されるため、血清アルブミンが低下するため。血清総蛋白とは、血清中に含まれているタンパク質の濃度を測定したものである。基準値は6.5~8.0g/dlで、低蛋白血症は6.0g/dl以下、高蛋白血症は8.5g/dl以上である。
3.× 尿蛋白は、「陰性」ではなく陽性である。なぜなら、大量の蛋白が尿中に排泄されるため。したがって、蛋白尿が陽性の間は減塩食にする。
4.× 小児では予後は、「不良」ではなく良好である。小児の治療として、ステロイド治療により改善することが多い。
問題59 ビタミンB1欠乏でみられるのはどれか。
1.ペラグラ
2.萎縮性胃炎
3.巨赤芽球性貧血
4.多発性末梢神経障害
解答4
解説
ビタミンB1欠乏は、乳児脚気やWernicke脳症(成人)である。脚気とは、炭水化物の代謝に関わる大切な栄養素(ビタミンB1)が不足するし、末梢神経障害や心不全、全身の倦怠感、食欲不振、手足のしびれ・むくみなどの症状が出る病気である。ちなみに、Wernicke脳症の症状は、意識障害、眼球運動障害、運動失調を3主徴とする。
1.× ペラグラとは、ナイアシン(ビタミンB3)欠乏症のことで、手足や顔、首に皮膚炎が起こる。他の症状として、下痢や頭痛、進行していくと脳の機能に障害(意識障害など)が起こす。アルコール依存の患者に多くみられ、治療として、ニコチン酸アミド(ナイアシン)を毎日服用する。
2.× 萎縮性胃炎の原因は、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が8割といわれている。ヘリコバクター・ピロリ菌は、アンモニアを遊離し、局所をアルカリ化することによって胃粘膜の障害をきたす病原菌である。胃炎や胃潰瘍の発生に関与する。
3.× 巨赤芽球性貧血とは、ビタミンB12あるいは葉酸の不足が原因の、骨髄に巨赤芽球が出現する貧血の総称である。偏食や過度の飲酒などを背景にビタミン欠乏症の患者がみられる。貧血の症状(動悸や息切れ、疲労感)の他に、萎縮性胃炎やハンター舌炎(味覚障害や舌の痛みを伴う炎症)など消化器系に異常をきたす。また、ビタミンB12欠乏症において、手足のしびれ、思考力の低下、性格変化などの神経症状もみられる。
4.〇 正しい。多発性末梢神経障害は、ビタミンB1欠乏でみられるビタミンB1欠乏は、乳児脚気やWernicke脳症(成人)である。脚気とは、炭水化物の代謝に関わる大切な栄養素(ビタミンB1)が不足するし、末梢神経障害や心不全、全身の倦怠感、食欲不振、手足のしびれ・むくみなどの症状が出る病気である。ちなみに、Wernicke脳症の症状は、意識障害、眼球運動障害、運動失調を3主徴とする。
問題60 AEDによる除細動の適応となる不整脈はどれか。
1.心室細動
2.心房細動
3.心室性期外収縮
4.上室性期外収縮
解答1
解説
自動体外式除細動器とは、心臓がけいれんし血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)になった心臓に対して、電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器である。AEDの除細動の適応は、①心室細動(VF)、②無脈性心室頻拍(VT)である。
1.〇 正しい。心室細動は、AEDによる除細動の適応となる不整脈である。心室細動とは、脈のかたちが一定ではなく不規則で、心室がけいれんを起こし1分間の脈拍数が300など数えられないくらい速くなった状態である。心室頻拍は血圧が保たれ、すぐには意識を失わないこともあるが、心室細動になると、発症から5~10秒で意識がなくなって失神し、その状態が続くとそのまま亡くなることが多い。心室頻拍の場合も、ほうっておくと心室細動に移行して、意識がなくなって突然死を起こすことがある。除細動の適応である。また、基礎心疾患を伴う場合は、植え込み型除細動器(ICD)の適応となる。
2.× 心房細動とは、心臓がこまかく震えている状態である。血栓ができやすいため脳塞栓の原因となり最多である。心房細動の特徴として、心房の興奮が形・大きさともに不規則であり、基線が揺れている(f波)。心房が正常に収縮しないためにP波が消失し、QRS波が不規則である。心房細動を洞調律に戻す非薬物療法には、カテーテルアブレーションのほかに電気的除細動という方法もある。電気的除細動を行うのは、心房細動が起こると①血圧が急に下がって強い症状のために動けなってしまうような場合、②抗不整脈薬が有効でない場合、③肥大型心筋症・心アミロイドーシスや心不全などがあるため抗不整脈薬を使うよりも電気的除細動の方が安全と判断される場合などである。
3.× 心室性期外収縮とは、本来の洞結節からの興奮より早く、心室で興奮が開始していることをいう。つまり、P波が認められず、幅広い変形したQRS波がみられる。
4.× 上室性期外収縮とは、洞結節の興奮よりも早期に心房から興奮が出現する不整脈である。つまり、先行するP波と本来より早いQRS波が特徴である。運動の実施は可能である。