第32回(R6年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前61~65】

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問題61 左心不全の身体所見はどれか。

1.腹水
2.下肢の浮腫
3.肝腫大
4.起坐呼吸

解答

解説

心不全とは?

心不全は心臓のポンプ機能低下のため末梢組織の酸素需要に見合った血液量を供給できない状態である。肺循環系にうっ血が著明なものを左心不全、体循環系にうっ血が著明なものを右心不全という。体液の著明やうっ血を生じ、主な症状として呼吸困難、咳嗽、チアノーゼ、血性・泡沫状喀痰(ピンクの痰)などがある。

心拍出量の低下を起こす原因として、
・左心不全:肺循環系にうっ血が著明なもの(呼吸困難、起座呼吸、尿量減少など)
・右心不全:体循環系にうっ血が著明なもの(頸静脈怒張、胸水・腹水、下腿浮腫、肝腫大など)
右室拡張末期圧の上昇(体循環の静脈系のうっ血)により右心不全は引き起こされる。

1~3.× 腹水/下肢の浮腫/肝腫大は、右心不全の症状である。

4.〇 正しい。起坐呼吸は、左心不全の身体所見である。起坐呼吸とは、呼吸困難が臥位で増強し、起坐位(または半坐位)で軽減することをいう。起坐呼吸は、臥位をとると静脈還流が増え血液が肺にたまりやすくなり呼吸困難が増強するためみられる。

 

 

 

 

 

問題62 急性心筋梗塞で上昇する血液検査項目として最も適切なのはどれか。

1.γ-GTP
2.ALP
3.ALT
4.AST

解答

解説

急性心筋梗塞とは?

急性心筋梗塞とは、冠状動脈内に血栓が形成され、動脈を閉塞し心筋が壊死することである。リスクファクターとして、①高血圧、②喫煙、③糖尿病、④脂質代謝異常などである。ちなみに、労作性狭心症とは、心臓に栄養を送る血管である冠動脈の一部が動脈硬化によって75%以上狭窄し、血流の流れが悪くなってしまう状態である。症状として、胸痛発作の頻度(数回/周以下)、持続時間(数分以内)、強度などが一定であることや、一定以上の運動や動作によって発作が出現する。その4大危険因子は、「①喫煙、②脂質異常症、③糖尿病、④高血圧」である。そのほかにも、加齢・肥満・家族歴・メタボリックシンドロームなどがある。

1.× γ-GTP(γグルタミルトランスペプチダーゼ)は、肝胆道系の異常を推測する指標である。肝臓の解毒作用(タンパク質分解)に関係する酵素である。

2.× ALP(アルカリフォスファターゼ)は、肝臓や骨の疾患の診断などに用いられる。リン酸化合物を分解する働きを持つ酵素で、肝臓や小腸、腎臓、骨などの多くの臓器や器官に存在している。これらの組織に異常があるとアルカリフォスファターゼが血液のなかに漏れ出てくる。基準値:38〜113U/L(成人男女)である。

3.× ALT(GPTとも、アラニンアミノトランスフェラーゼ)は、肝臓の細胞で作られる酵素である。肝臓に障害が起こって細胞が壊れると血液に流れ出るため、血液中の濃度が上昇する。したがって、肝障害の指標となる。

4.〇 正しい。AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)は、急性心筋伷塞で上昇する血液検査項目である。酵素の一種で、心臓の筋肉や骨格筋、肝臓に多く含まれ、心臓や肝臓などの臓器に障害・損傷があると、血液中にアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼが漏れ出し値が上昇する。

急性心筋梗塞後に上昇する血液検査所見

【血液検査】
・WBC:2~3時間上昇(7日に正常化)
・CK:2~4時間上昇(3~7日に正常化)
・トロポニンT:3~4時間上昇(14~21日に正常化)
・AST:6~12時間上昇(3~7日に正常化)
・LD(LDH):12~24時間上昇(8~14日に正常化)
・CRP:1~3日上昇(21日に正常化)
・ESR:2~3日上昇(5~6週)

 ※急性心筋梗塞を来した場合、血液検査にて心筋壊死所見を示すデータがみられるのは、通常、発症2時間以降である。WBC、CKの異常が最も早く出現する。

 

 

 

 

 

問題63 L5神経根障害の所見として誤っているのはどれか。

1.足背の知覚障害
2.アキレス腱反射消失
3.足関節背屈筋力低下
4.SLRテスト陽性

解答

解説

神経根障害

L3‒L4間(支配神経根L4):膝蓋腱反射低下、大腿~下腿内側の感覚麻痺、大腿四頭筋力低下。

L4‒L5間(支配神経根L5):下腿外側~母趾の感覚麻痺、前脛骨筋、長母指伸筋、長趾伸筋の筋力低下。

L5‒S1間(支配神経根S1):アキレス腱反射低下、足部尺側側の感覚麻痺、下腿三頭筋、長母指屈筋、長趾屈筋の筋力低下。

1.3~4.〇 足背の知覚障害/足関節背屈筋力低下(前脛骨筋)/SLRテスト陽性は、L5神経根障害の所見である。SLRテスト(下肢伸展挙上テスト)は、脊髄後根で圧迫を受ける疾患(坐骨神経痛、椎間板ヘルニアなど)の有無、ハムストリングス損傷や短縮をみる。背臥位で、下肢を挙上し痛みが生じたら陽性である。

2.× アキレス腱反射消失は、S1神経根障害の所見である。他にも、S1神経根障害の所見として、足部尺側側の感覚麻痺、下腿三頭筋、長母指屈筋、長趾屈筋の筋力低下などがあげられる。

 

 

 

 

 

問題64 原発性悪性骨腫瘍で最も頻度が高いのはどれか。

1.骨肉腫
2.軟骨肉腫
3.ユーイング肉腫
4.脊索腫

解答

解説

MEMO

悪性腫瘍は、上皮性のものを「癌(癌腫)」、非上皮性のものを「肉腫」と呼ぶ。骨肉腫には、他の臓器に発生したがんが骨に転移する「転移性骨腫瘍」と、骨自体からがんが発生する「原発性骨悪性腫瘍」の2種類があり、後者は主に肉腫と呼ばれる腫瘍がほとんどである。

(図引用:「骨に発生する原発性悪性腫瘍の内訳」国立がん研究センター様HPより)

1.〇 正しい。骨肉腫は、原発性悪性骨腫瘍で最も頻度が高い。骨肉腫とは、原発性悪性骨腫瘍の中で最も多く、10歳代に好発し、大腿骨遠位部と脛骨近位部の骨幹端部に多く発生する。骨Paget(骨ページェット病)などに続発する場合がある(二次性骨肉腫)。肺転移が多いが、5年生存率は近年70%以上にまで改善してきている。

2.× 軟骨肉腫とは、組織学的に腫瘍性の軟骨形成を伴うが、腫瘍性の類骨・骨形成を伴わない悪性骨腫瘍と定義される。つまり、軟骨肉腫は、他の多くの骨腫瘍と異なる。腫瘍は遅く成長し、薬物が適切に浸透しないため化学療法に感受性の低く、手術が主な治療法となる。

3.× ユーイング肉腫とは、主として小児や若年者の骨や軟部組織に発生する肉腫である。粘膜や皮膚などの上皮組織に発生する悪性腫瘍は「がん」といい、骨、軟骨、筋肉や神経などの非上皮組織に発生する悪性腫瘍を「肉腫」と呼ぶ。ユーイング肉腫の症状は、病巣部位の間欠的な痛み(一定の時間を置いて起こる痛み)や腫れが特徴である。

4.× 脊索腫とは、本来なくなるはずの脊索の一部が頭の中に残り、腫瘍になったものである。脊椎や頭蓋底の骨、軟骨近傍から発生し、小児にも成人にもみられる。

 

 

 

 

 

問題65 胃食道逆流症について正しいのはどれか。

1.るいそう患者に好発する。
2.近年減少傾向である。
3.一過性下部食道括約筋弛緩が関与する。
4.生命予後は不良である。

解答

解説

胃食道逆流症とは?

胃食道逆流症は、主に胃の中の酸が食道へ逆流することにより、胸やけや呑酸などの不快な自覚症状を感じたり、食道の粘膜がただれたり(食道炎)する病気である。胸が詰まるような痛みを感じたり、のどの違和感や慢性的に咳が持続する。胃酸の逆流は食後2~3時間までに起こることが多いため、食後にこれらの症状を感じたときは胃酸の逆流が起きている可能性を考える。治療としては、胃酸分泌抑制薬による内服が優先される。発症しやすい食生活の習慣として、①過食傾向、②早食い、③食べてすぐ寝る、④高脂肪食が好き、⑤アルコールをよく飲む、⑥タバコを吸う、⑦肥満傾向、⑧前かがみ姿勢になりがちなことがあげられる。

1.× 「るいそう」ではなく肥満患者に好発する。るいそうとは、やせの程度が著しい状態である。発症しやすい食生活の習慣として、①過食傾向、②早食い、③食べてすぐ寝る、④高脂肪食が好き、⑤アルコールをよく飲む、⑥タバコを吸う、⑦肥満傾向、⑧前かがみ姿勢になりがちなことがあげられる。

2.× 近年、「減少」ではなく増加傾向である。なぜなら、生活習慣の悪化やストレス、肥満の増加、高齢化などにより増加していると考えられているため。

3.〇 正しい。一過性下部食道括約筋弛緩が関与する。一過性下部食道括約筋弛緩とは、食事をせずに下部食道括約筋が一時的に緩むことで、胃内の空気が逆流してげっぷを起こす現象である。胃酸逆流の多くは嚥下を伴わない一過性下部食道括約筋弛緩によって発生する。

4.× 生命予後は、「不良」ではなく良好である。なぜなら、胃食道逆流症は、慢性的な病気であるため。適切な治療と管理が行われれば生命予後は良好である。一般的には直ちに生命予後が不良とはならない。

 

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