第33回(R7年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前76~80】

 

問題76 改訂日本版フレイル基準に含まれる項目はどれか。

1.骨密度低下
2.聴力低下
3.認知機能低下
4.筋力低下

解答

解説

フレイルとは?

フレイルとは、「虚弱」「脆弱」という意味であり、加齢するにつれて体力や活力が弱まっている状態のことを指す。診断基準に含まれるのは【①体重減少(6か月間で2~3㎏以上)、②主観的疲労度、③日常生活活動量の低下、④歩行速度の低下、⑤握力の減弱】である。

1.× 骨密度低下は、改訂日本版フレイル基準に含まれない。骨密度低下は、骨粗鬆症の判断指標である。
・骨粗鬆症とは、骨量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気である。原因として、閉経による女性ホルモンの低下や運動不足・喫煙・飲酒・栄養不足・加齢などである。骨粗鬆症の患者は、わずかな外力でも容易に圧迫骨折(特に胸腰椎)、大腿骨頚部骨折、橈骨遠位端骨折を起こしやすい(※参考:「骨粗鬆症」日本整形外科学会様HPより)。

2~3.× 聴力低下/認知機能低下は、改訂日本版フレイル基準に含まれない

4.〇 正しい。筋力低下は、改訂日本版フレイル基準に含まれる。具体的には、握力計を用いて測定した握力値が、性別ごとの基準値(男性28kg未満、女性18kg未満)を下回るかどうかで判定される。

フレイルの基準

体重減少(6か月間で2~3㎏以上)
易疲労感
歩行速度の低下
握力の低下
身体活動量の低下

3項目以上該当で「フレイル」

1~2項目該当で「プレフレイル」

 

 

 

 

 

問題77 脳性麻痺の病型で最も多いのはどれか。

1.アテトーゼ型
2.痙直型
3.失調型
4.混合型

解答

解説

脳性麻痺とは?

脳性麻痺とは、お腹の中にいる間から、生後4週間までの間に発生した脳への損傷によって引き起こされる運動機能の障害を指す。失調型やアテトーゼ型などのタイプがある。

 

脳性麻痺には、①痙直型(約70%)が最も多く、次いで②低緊張型(16.5%)である。よって、選択肢2.痙直型が正しい。

(引用:脳性麻痺児の実態把握に関する疫学調査報告書

 

 

 

 

 

問題78 パーキンソン病におけるホーン・ヤールの重症度分類において、「姿勢反射障害を認めるが日常生活に介助は不要な状態」はどれか。

1.ステージⅠ
2.ステージⅡ
3.ステージⅢ
4.ステージⅣ

解答

解説

Hoehn&Yahr の重症度分類ステージ

ステージⅠ:片側のみの症状がみられる。軽症で機能障害はない。
ステージⅡ:両側の症状がみられるが、バランス障害はない。また日常生活・通院にほとんど介助を要さない。
ステージⅢ:歩行障害、姿勢保持反射障害が出現し、ADLの一部に介助が必要になる。
ステージⅣ:日常生活・通院に介助を必要とする。立位・歩行はどうにか可能。
ステージⅤ:寝たきりあるいは車いすで、全面的に介助を要する。歩行・起立は不能。

1.× ステージⅠは、片側のみの症状がみられる。軽症で機能障害はない

2.× ステージⅡは、両側の症状がみられるが、バランス障害はない。また日常生活・通院にほとんど介助を要さない。

3.△ ステージⅢは、姿勢反射障害を認めるが、「日常生活に介助は不要な状態?」である。
ただしくは、ステージⅢは、「歩行障害、姿勢保持反射障害が出現し、ADLの一部に介助が必要になる」。こちらが、答えとして正しいとわかる方いらしたら、コメント欄にてご教授ください。

4.× ステージⅣは、日常生活・通院に介助を必要とする。立位・歩行はどうにか可能。

 

 

 

 

 

問題79 膝関節伸展の徒手筋力テストで、被検者を側臥位にして評価するのはどれか。

1.MMT1
2.MMT2
3.MMT3
4.MMT4

解答

解説

MMTとは?

徒手筋力テスト(MMT:manual muscle testing)は、筋力を測定するための方法のひとつである。筋収縮のまったくみられない場合「0」、正常を「5」として6段階で評価する。

0(Zero:ゼロ):「筋収縮のまったくみられない」状態である。
1(trace:不可):「関節の運動は起こらないが、筋のわずかな収縮は起こる。筋収縮がみえる、または触知できる」状態である。
2(poor:可):「重力を除けば全可動域動かせる」状態である。
3(fair:良):「重力に打ち勝って全可動域動かせるが、抵抗があれば行えない」状態である。
4(good:優):「ある程度、徒手抵抗を加えても、全可動域動かせる」状態である。
5(normal:正常):「強い抵抗(最大抵抗)を加えても、完全に運動できる」状態である。

1.× MMT1は、背臥位で実施する。

2.〇 正しい。MMT2は、膝関節伸展の徒手筋力テストで、被検者を側臥位にして評価する。
なぜなら、重力の影響を除く必要があるため。

3~4.× MMT3~5は、座位で実施する。
なぜなら、抗重力肢位にて、徒手抵抗に抗す必要があるため。

 

 

 

 

 

問題80 成人の正常立位姿勢での重心は、重心線上の下から何%の位置にあるか。

1.約35%
2.約45%
3.約55%
4.約65%

解答

解説
1~2.5.× 約35%/約45%/約65%は、重心位置が該当しない。

3.〇 正しい。約55%(下から)に、成人の正常立位姿勢での重心が位置する。重心位置は、第2仙髄のやや前方にある。成人男性の平均的な重心位置の高さは床面からおよそ56%の位置ある。一方、4歳時の重心位置は頭部が大きい分、重心位置が高くなり、床面からおよそ57%の位置にあるとされる。

 

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