第34回(R8年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後141~145】

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問題141 脈が滑数を認める消穀善飢に対して、五行穴の特性を活かした治療穴に迎随の補瀉に基づき斜刺する場合、鍼尖の方向にある経穴として適切なのはどれか。

1.厲兌
2.陥谷
3.侠渓
4.行間

解答

解説

MEMO

・消穀善飢とは、食欲旺盛で食べてもすぐに空腹感があるものである。胃実熱などにみられる。

・迎随の補瀉とは、「迎えて奪うを瀉と云い、随って補うを補と云う」との原典の言葉がその出所である。実地臨床上は、狭い意味に解釈し、経の流れに逆うを瀉法とし、経の流れに随うを補法とする。

→消穀善飢+滑数は、胃の実熱である。熱には胃経の滎水穴(内庭)を用い、瀉法は流注に逆らう迎法なので鍼尖は近位の陥谷へ向ける。

1.× 厲兌は、補方向である。
・厲兌は、足の第2指、末節骨外側、爪甲角の近位外方1分(指寸)、爪甲外側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点に位置する。

2.〇 正しい。陥谷が該当する。本症例は、消穀善飢+滑数は、胃の実熱である。熱には胃経の滎水穴(内庭)を用い、瀉法は流注に逆らう迎法なので鍼尖は近位の陥谷へ向ける。
・内庭は、足背、第2~3足指間、みずかきの後縁、赤白肉際に位置する。
・陥谷は、足背、第2~3中足骨間、第2中足指節関節の近位陥凹部に位置する。

3.× 侠渓は、胆経である。
・侠渓は、足背、第4~5指間、みずかきの近位、赤白肉際に位置する。

4.× 行間は、肝経である。
・行間は、足背、第1~2指間、みずかきの近位、赤白肉際に位置する。

 

 

 

 

 

問題142 次の症例で難経六十九難に基づく治療を行う場合、上肢の取穴部位として最も適切なのはどれか。
 「40歳の女性。仕事で自信を喪失し食欲不振と軟便が続いている。倦怠感もある。ここ数日は眠りも浅く動悸を感じる。舌質は淡、舌苔は白、脈は細弱を認める。」

1.指先
2.手掌
3.手関節
4.肘関節

解答

解説

本症例のポイント

・40歳の女性(仕事で自信を喪失)。
食欲不振軟便倦怠感もある。
・ここ数日は眠りも浅く動悸を感じる。
・舌質は、舌苔は、脈は細弱を認める。
→本症例は、心脾両虚が疑われる。心脾両虚とは、心臓と脾臓の両方が虚弱になった状態である。症状として、不眠、貧血、物忘れ(健忘症)などがみられる。

1.× 指先より優先されるものが他にある。なぜなら、本症例の場合は、心脾両虚のうち脾虚を軸にみて、母である火を補うべきであるため。

2.〇 正しい。手掌が該当する(少府)。なぜならこの症例は心脾両虚で、六十九難では虚した脾(土)に対して母である火を補うため。五行の相生では火生土であり、陰経の栄穴は火穴である。
少府は、手の少陰心経のひとつである。少府は、手掌、第5中手指節関節の近位端と同じ高さ、第4・5中手骨の間に位置する。労宮(心包経)と同じ高さにあたる。

3.× 手関節より優先されるものが他にある。なぜなら、手関節にある心経の代表穴は神門で、神門は心経の兪土穴であるため。

4.× 肘関節より優先されるものが他にある。なぜなら、肘関節にある心経の少海は合水穴であるため。
・少海は、肘前内側、上腕骨内側上顆の前縁、肘窩横紋と同じ高さに位置する。

難経六十九難に基づく取穴

【部位】虚証(補法):実証(瀉法)
【肝】曲泉・陰谷:行間・少府・労宮
【肺】太淵・太白:尺沢・陰谷
【心】少衝・大敦:神門・太白
【腎】復溜・経渠:湧泉・大敦
【脾】大都・少府・労宮:商丘・経渠
【心包】中衝・大敦:大陵・太白
【胆】侠渓・足通谷:陽輔・陽谷・支溝
【大腸】曲池・足三里:二間・足通谷
【小腸】後渓・足臨泣:小海・足三里
【膀胱】至陰・商陽:束骨・足臨泣
【胃】解渓・陽谷・支溝:厲兌・商陽
【三焦】中渚・足臨泣:天井・足三里

 

 

 

 

 

問題143 痛痹による肩の痛みに対し、十二刺を用いて治療する場合、最も適切なのはどれか。

1.斉刺
2.輸刺
3.賛刺
4.直鍼刺

解答

解説

MEMO

痛痹は、寒邪による痛みで、温めると症状は改善しやすい。

1.〇 正しい。斉刺が該当する。
・斉刺とは、寒気・痹気の範囲が狭く深部のとき、中心とその両側に刺す方法である。3本使用する。

2.× 輸刺とは、気が盛んで熱があるとき、真っ直ぐ深く刺し、真っ直ぐに抜く方法である。

3.× 賛刺は、癰腫のとき、何度も繰り返し浅く刺して出血させる。

4.× 直鍼刺より優先されるものが他にある。なぜなら、本症例は、「痛痹による肩の痛み」で、痛痹は寒邪が強く、しかも肩関節部の痛みは一般に表在より深部として捉えるほうが自然であるため。
・直鍼刺とは、寒気の浅いとき、皮膚をつまんで引っ張り、これに刺す方法である。

 

 

 

 

 

問題144 風熱犯肺により生じる浮腫の特徴はどれか。

1.緩やかに発症する。
2.眼瞼部から発症する。
3.陰水に分類される。
4.圧痕の回復が遅い。

解答

解説

風熱犯肺とは?

風熱犯肺とは、発熱、悪寒、頭痛咳嗽、鼻汁、咽頭痛、舌尖紅、脈浮数などである。

1.× 「緩やか」ではなく急に発症する。なぜなら、外感の風熱による浮腫は陽水であるため。

2.〇 正しい。眼瞼部から発症する。なぜなら、外感の風熱による浮腫は陽水であるため。
症状は、①陽水の場合は顔面・眼瞼から、②陰水の場合は下肢から生じやすい。

3.× 「陰水」ではなく陽水に分類される。なぜなら、風熱犯肺は外邪による実証寄りの病態であるため。ちなみに、陰水は主に、脾陽虚や腎陽虚など、体を温めて水分を動かす力が不足した虚証で起こる。

4.× 圧痕の回復は「早い」。なぜなら、陽水の場合、病位が比較的浅く、外邪による急性の水液停滞が主体であるため。

MEMO

風邪の初期は、①風寒型、②風熱型の大きく2つの「証」に分けられる。

①風寒型は、「青い風邪」ともいわれ、悪寒、発熱、頭痛、鼻水、関節の痛みなどの症状が見られる。その中でも、発汗の有無によって、「風寒表実証」と「風寒表虚証」に分かれる。

②風熱型とは、体に熱の邪気が入り、のどの痛み、発熱、黄色い鼻水や痰、口の渇きなどが出やすい風邪の型である。悪寒は軽く、熱感や炎症症状が目立つのが特徴である。

 

 

 

 

 

問題145 次の経脈病証に対して原絡配穴法で治療する場合、治療穴の組合せで最も適切なのはどれか。
 「動悸と胸苦しさ、上肢痛があり、その後、耳鳴りと難聴も発症した。」

1.大陵:外関
2.神門:支正
3.大陵:内関
4.神門:通里

解答

解説

本症例のポイント

動悸と胸苦しさ、上肢痛があり(手の厥陰心包経)、その後、耳鳴りと難聴(手の少陽三焦経)も発症した。
→【本症例の場合】
・主:手の厥陰心包経が病み、
・客:次に手の少陽三焦経が病んだ。
したがって、心包経の原穴と三焦経の絡穴を選ぶ。

→原絡配穴法は、主に病んでいる経脈の原穴と、それに関連する表裏の経脈の絡穴を組み合わせて治療する方法である。
・原穴:経絡における気の流れを調整する穴、臓腑や経絡の病証に対して行う。
・絡穴:表裏関係にある別の経絡に影響を与え、その経絡の病証を改善を図る。

1.〇 正しい。大陵:外関
心包経の原穴である大陵は、手関節前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋上に位置する。
三焦経の絡穴である外関は、前腕後面、橈骨と尺骨の骨間の中点、手関節背側横敏の上方2寸に位置する。

2.× 神門:支正
心経の原穴である神門は、手関節前内側、尺側手根屈筋腱の橈側縁、手関節掌側横紋上に位置する。
小腸経の絡穴である支正は、前腕後内側、尺骨内縁と尺側手根屈筋の間、手関節背側横紋の上方5寸に位置する。

3.× 大陵:内関
心包経の原穴である大陵は、手関節前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋上に位置する。
心包経の絡穴である内関は、前腕前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方2寸に位置する。

4.× 神門:通里
心経の原穴である神門は、手関節前内側、尺側手根屈筋腱の橈側縁、手関節掌側横紋上に位置する。
心経の絡穴である通里は、前腕前内側、尺側手根屈筋腱の橈側縁、手関節掌側横紋の上方1寸に位置する。

 

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