第34回(R8年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後136~140】

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問題136 アトピー性皮膚炎の生活指導について誤っているのはどれか。

1.室内を清掃してアレルゲンの除去に努める。
2.発汗時には汗をシャワーで流す。
3.入浴後は保湿剤を塗布する。
4.顔面の痒みは手掌で叩いて対処する。

解答

解説

アトピー性皮膚炎とは?

アトピー性皮膚炎とは、皮膚のバリア機能が低下し、かゆみを伴う湿疹がよくなったり悪くなったりを繰り返す病気のことである。子どもの頃に発症することが多く、一般的には成長とともに症状は改善していくが、一部の患者は成人になってからもかゆみや湿疹などの症状が続く。原因は不明、アレルギーを起こしやすい体質や遺伝などが発症に関与していると考えられている。

1.〇 正しい。室内を清掃してアレルゲンの除去に努める。なぜなら、アトピー性皮膚炎では、室内アレルゲン(ダニ・カビ・動物の毛やフケなど)が悪化因子になりうるため。
・アレルゲンとは、アレルギー疾患を持っている人の抗体と特異的に反応する抗原のことである。一般には、そのアレルギー症状を引き起こす原因となる物質をいう。

2.〇 正しい。発汗時には汗をシャワーで流す。なぜなら、汗はアトピー性皮膚炎の非特異的刺激となって悪化因子になりうるため。汗のほかにも、唾液や衣類との摩擦などの日常生活の刺激でアトピー性皮膚炎が悪化することがある。

3.〇 正しい。入浴後は保湿剤を塗布する。なぜなら、アトピー性皮膚炎では、皮膚バリア機能が低下しやすく、入浴後は水分が蒸散して乾燥しやすいため。

4.× 顔面の痒みは、「手掌で叩いて」ではなく原因に対処する。例えば、冷やす、汗を流す、保湿や外用薬を適切に使う、爪を短く保つなどである。なぜなら、アトピー性皮膚炎では、掻く・こする・叩くなどの物理刺激そのものが皮膚炎を悪化させるため。

 

 

 

 

 

問題137 次の症例で最も適切な疾患はどれか。
 「45歳の男性。長時間のパソコン作業が続き、眼が疲れる。右頸部から肩、前腕にかけて鈍痛としびれがある。筋力や知覚に異常はなく、頸部の運動制限も明確でない。スパーリングテスト、ルーステストは陰性。」

1.バレー・リュー症候群
2.VDT症候群(情報機器作業に伴う健康障害)
3.胸郭出口症候群
4.頸椎椎間板ヘルニア

解答

解説

本症例のポイント

・45歳の男性。
長時間のパソコン作業が続き、眼が疲れる
・右頸部から肩、前腕にかけて鈍痛としびれがある。
・筋力や知覚:異常なし、頸部の運動制限も明確でない
・スパーリングテスト、ルーステスト:陰性
→ほかの選択肢が消去できる理由をあげられるようにしよう。

1.× バレー・リュー症候群より優先されるものが他にある。なぜなら、バレー・リュー症候群の場合、頸部症状に加えて、頭痛、めまい、耳鳴、眼症状、自律神経症状などがみられるため。
・バレー・リュー症候群とは、事故のあと頚部交感神経が刺激されることによって、後頭部痛、めまい、耳鳴、眼精疲労、全身倦怠、動悸などの症状のことをいう。バレー・リュー症候群、自律神経失調症、外傷性頚部症候群などと呼ぶことがある。

2.〇 正しい。VDT症候群(情報機器作業に伴う健康障害)が最も疑われる。なぜなら、VDT作業は長時間の同一姿勢・眼精疲労・精神的ストレスにより筋骨格系・神経系の障害を生じやすいため。特に肩こり・腕のしびれ・眼精疲労などが起こる(※詳しくは下参照)。

3.× 胸郭出口症候群より優先されるものが他にある。なぜなら、本症例のルーステストは陰性であるため。
・Roosテスト(ルーステスト)は、胸郭出口症候群で陽性となる検査である。腕を外転90度、外旋90度、肘を90度曲げた状態にし、この状態で指の曲げ伸ばし(グー・パー)を行う。これを3分間続けられなければ、陽性と判断する。
・胸郭出口症候群とは、胸郭出口付近における神経と動静脈の圧迫症状を総称したものである。症状として、上肢のしびれ、脱力感、冷感などが出現する。胸郭出口は、鎖骨、第1肋骨、前・中斜角筋で構成される。原因として、①前斜角筋と中斜角筋の間で圧迫される斜角筋症候群、②鎖骨と第一肋骨の間で圧迫される肋鎖症候群、③小胸筋を通過するときに圧迫される小胸筋症候群、④頭肋で圧迫される頸肋症候群などがある。

4.× 頸椎椎間板ヘルニアより優先されるものが他にある。なぜなら、本症例のスパーリングテストは陰性であるため。
・Spurlingテスト(スパーリングテスト)は、頚椎の椎間孔圧迫試験である。方法は、頭部を患側に傾斜したまま下方に圧迫を加える。患側上肢に疼痛やしびれを認めれば陽性である。陽性の場合、椎間板ヘルニアや頚椎症による椎間孔狭窄(頚部神経根障害)などが考えられる。
・頸椎椎間板ヘルニアとは、首の骨の間にある椎間板が飛び出し、神経を圧迫する病気である。首や肩の痛み、腕や手のしびれ、力の入りにくさなどが起こることがある。

VDT作業とは?

VDT作業とは、ディスプレイを持つ画面表示装置(VDT:Visual Display Terminals) を用いた作業のこと。コンピュータや監視カメラを用いた作業を指す。 VDT作業はVDT症候群のように、心身の負担を感じさせることにつながるため、厚生労働省においても「VDT作業における労働衛生環境管理のためのガイドライン」を定めている。

【作業環境管理】
(1)照明及び採光
①室内は、できるだけ明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせないようにすること。
②ディスプレイを用いる場合のディスプレイ画面上における照度は500ルクス以下、書類上及びキーボード上における照度は300ルクス以上とすること。また、ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと周辺の明るさの差はなるべく小さくすること。
③ディスプレイ画面に直接又は間接的に太陽光等が入射する場合は、必要に応じて窓にブラインド又はカーテン等を設け、適切な明るさとなるようにすること。

(2)一連続作業時間及び作業休止時間
一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10分~15分の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において1回~2回程度の小休止を設けること。

(3)その他
換気、温度及び湿度の調整、空気調和、静電気除去、休憩等のための設備等について事務所
衛生基準規則に定める措置等を講じること。

(※一部引用:「VDT作業における労働衛生環境管理のためのガイドライン」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

問題138 橈骨神経麻痺で、萎縮した筋に対する施術部位として最も適切なのはどれか。

1.母指球
2.小指球
3.前腕前側
4.前腕後側

解答

解説

橈骨神経麻痺とは?

橈骨神経麻痺とは、母指背側の感覚障害と上腕三頭筋・腕橈骨筋・長、短橈側手根伸筋、総指伸筋などの伸筋群の麻痺(下垂手)を認める。感覚領域は、親指から中指の背側、手背の橈側(親指側)、前腕の背側、上腕の背側と外側である。

1.× 母指球は、正中神経支配である。

2.× 小指球は、尺骨神経支配である。

3.× 前腕前側は、主に屈筋群であり、支配神経は主として正中神経、一部が尺骨神経である。

4.〇 正しい。前腕後側が、橈骨神経麻痺で、萎縮した筋に対する施術部位である。

 

 

 

 

 

問題139 疾患と罹患筋に対する治療穴の組合せで適切なのはどれか。

1.鵞足炎:足三里
2.アキレス腱炎:太衝
3.オスグッド病:伏兎
4.シンスプリント:陰陵泉

解答

解説

治療穴

①外側広筋:伏兎、陰市、梁丘(胃)
②大腿直筋:髀関、伏兎(胃)
③内側広筋:血海(脾)

1.× 鵞足炎:足三里
・足三里は、下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方3寸に位置する。前脛骨筋の治療穴である。
・鵞足炎とは、膝下の内側にある鵞足部周辺が炎症を起こしている状態である。 鵞足とは、薄筋・縫工筋・半腱様筋がついている部位のことを指す。

2.× アキレス腱炎:太衝
・太衝は、足背、第1~2指中足骨間、中足骨底接合部遠位の陥凹部、足背動脈拍動部に位置する。
・アキレス腱炎とは、その名の通り、アキレス腱が炎症している状態である。スポーツや日常生活など様々な動作が原因となる。

3.〇 正しい。オスグッド病:伏兎
なぜなら、大腿直筋の治療穴であるため。
・伏兎は、大腿前外側、膝蓋骨底外端と上前腸骨棘を結ぶ線上、膝蓋骨底の上方6寸に位置する。
・オスグット-シュラッター病とは、小児の運動後に生じる膝の痛み、膝脛骨結節部の圧痛、さらに脛骨粗面に異常骨陰影を認める。男女比(4:3)で男児に多く発症する。運動などの大きな外力が繰り返しかかることにより、大腿四頭筋の膝蓋腱の脛骨付着部が機械的刺激を受けて、脛骨粗面部の運動時痛と膨隆が生じる。

4.× シンスプリント:陰陵泉
・シンスプリントとは、脛骨過労性骨膜炎ともいい、脛骨に付着している骨膜(筋肉)が炎症している状態である。運動中や運動後にすねの内側(広範囲)に痛みが出る。超音波にて治療を行う際は、下腿中央から遠位1/3部の脛骨後内方、前脛骨筋部、骨間膜などに照射する。
・陰陵泉は、下腿内側(脛側)、脛骨内側顆下縁と脛骨内縁が接する陥凹部に位置する。半腱様筋や腓腹筋の治療穴である。

 

 

 

 

 

問題140 次の症例で障害されている靱帯として最も適切なのはどれか。
 「32歳の男性。競輪選手。最近、レース中に右膝関節外側に痛みを感じるようになった。内反ストレステスト陰性、グラスピングテスト陽性。」

1.腸脛靱帯
2.膝蓋靱帯
3.膝後十字靱帯
4.膝外側側副靱帯

解答

解説

本症例のポイント

・32歳の男性(競輪選手)。
・最近、レース中に右膝関節外側に痛みを感じる。
・内反ストレステスト陰性、グラスピングテスト陽性
→本症例は、腸脛靱帯炎が疑われる。

1.〇 正しい。腸脛靱帯が本症例で障害されている靱帯である。
・グラスピングテストとは、腸脛靱帯炎の検査である。腸脛靭帯を圧迫してテンションをかけた状態で、膝の曲げ伸ばしで症状が再現されるかどうかで判断する。
・腸脛靱帯炎とは、ランナー膝ともいい、膝の屈伸運動を繰り返すことによって腸脛靱帯が大腿骨外顆と接触して炎症(滑膜炎)を起こし、疼痛が発生している状態を指す。特にマラソンなどの長距離ランナーに好発し、ほかにバスケットボール、水泳、自転車、エアロビクス、バレエ等にも多い。

2.× 膝蓋靱帯の障害は、通常は膝前面(特に、膝蓋骨下付近)の痛みとして出やすい。

3.× 膝後十字靱帯の障害は、後方不安定性が出やすい。
・後十字靭帯は、脛骨の後方への逸脱を防ぐ靭帯である。検査は、膝屈曲位での下腿の後方落ち込み現象(サギング)を観察する。

4.× 膝外側側副靱帯の障害は、内反ストレステストで異常が出やすい。
・膝の外側側副靱帯とは、膝関節の外側に位置し、膝関節の内反ストレス(膝が外側に「くの字」に曲がる力)に対して抵抗する靭帯である。

 

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