第30回(R4年)柔道整復師国家試験 解説【午前36~40】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

問題36 包帯の名称で始端にあたるのはどれか。

1.体
2.頭
3.尾
4.軸

答え.

解説

包帯の名称

帯頭:軸(巻軸)の両端
帯耳:一般的に帯身の両端
帯身:包帯を広げた時の表面
帯尾:包帯を巻軸状に巻き始め、最終の端の部分
帯軸:包帯が巻となった本体部分。

1.× 体(身)
帯身とは、包帯を広げた時の表面のこと。

2.× 頭
帯頭とは、軸(巻軸)の両端のこと。

3.〇 正しい。は、包帯の名称で始端にあたる。
帯尾とは、包帯を巻軸状に巻き始め、最終の端の部分である。

4.× 軸
帯軸とは、包帯が巻となった本体部分である。

 

 

 

 

 

問題37 基本包帯法で8の字を描くように巻くのはどれか。

1.螺旋帯
2.亀甲帯
3.折転帯
4.蛇行帯

答え.

解説
1.× 螺旋帯(らせんたい)
包帯を1/2~1/3程度重ねながら、らせん状に巻く方法である。広範囲の保護・固定をする場合や、ガーゼの保護や副え木を固定する場合などに用いられる。

2.〇 正しい。亀甲帯は、基本包帯法で8の字を描くように巻く。
亀甲帯(きっこうたい)は、関節部位を屈側で交差させながら交互に巻く方法である。

3.× 折転帯(せってんたい)
前腕、下腿など太さが変化する部位に、包帯を折り返しながら巻く方法である。折り返すことで包帯が解けにくくなり、広範囲に巻くことができる。

4.× 蛇行帯(だこうたい)
骨折部位のギプスシャーレや副え木を固定するために用いられ、包帯を重ねず、等間隔を空けて巻く方法である。骨折や脱臼などの治療において一時的な固定を行う際に使用される。弾性包帯のような伸縮性のある包帯では、ギプスシャーレや副え木をしっかり固定することが難しいため、伸縮性が低い包帯が用いられる。

 

 

 

 

 

問題38 患者の権利(リスボン宣言)で規定されていないのはどれか(※不適切問題:高難易度)。

1.健康教育を受ける権利がある。
2.情報に対する権利がある。
3.医療従事者と連携する権利がある。
4.宗教的支援を受ける権利がある。

答え.(ただし全員正解とする)
理由:問題として適切であるが、必修問題としては妥当でないため。

解説

リスボン宣言とは?

リスボン宣言とは、1981年にポルトガルのリスボンで採択され、患者の権利に関する宣言である。①良質の医療を受ける権利、②選択の自由の権利、③自己決定の権利、④情報を得る権利、⑤プライバシーを守られる権利、⑥人間としての尊厳を得る権利が規定されている。

1.〇 健康教育を受ける権利がある。
すべての人は、個人の健康と保健サービスの利用について、情報を与えられたうえでの選択が可能となるような健康教育を受ける権利がある。この教育には、健康的なライフスタイルや、疾病の予防および早期発見についての手法に関する情報が含まれていなければならない。健康に対するすべての人の自己責任が強調されるべきである。医師は教育的努力に積極的に関わっていく義務がある。

2.〇 情報に対する権利がある。
患者は、いかなる医療上の記録であろうと、そこに記載されている自己の情報を受ける権利を有し、また症状についての医学的事実を含む健康状態に関して十分な説明を受ける権利を有する。

3.× 医療従事者と連携する権利は規定されていない
患者の権利(リスボン宣言)で規定されていない。

4.〇 宗教的支援を受ける権利がある。
患者は、信仰する宗教の聖職者による支援を含む、精神的、道徳的慰問を受けるか受けないかを決める権利を有する。

 

 

 

 

 

問題39 健康保険の被保険者の自己負担割合で誤っているのはどれか。

1.無料:就学前児童
2.1割:75歳以上(現役並み所得者を除く)
3.2割:70歳以上75歳未満(現役並み所得者を除く)
4.3割:70歳未満

答え.

解説

(※図引用:「医療費の一部負担(自己負担)割合について」厚生労働省HPより)

1.× 無料は、「就学前児童」ではなく生活保護などである。生活保護受給者は、国民健康保険の被保険者から除外されているため、ほとんどの生活保護受給者の医療費はその全額を医療扶助で負担される。ちなみに、就学前児童は、3割負担である。

2.〇 1割は、75歳以上(現役並み所得者を除く)である。

3.〇 2割は、70歳以上75歳未満(現役並み所得者を除く)である。

4.〇 3割は、70歳未満である。

生活保護制度とは?

生活保護制度は、『日本国憲法』25条の理念に基づき、生活困窮者を対象に、国の責任において、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長することを目的としている。8つの扶助(生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助)があり、原則現金給付であるが、医療扶助と介護扶助は現物給付である。被保護人員は約216.4万人(平成27年度,1か月平均)で過去最高となっている。

生活扶助:日常生活に必要な費用
住宅扶助:アパート等の家賃
教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費
医療扶助:医療サービスの費用
介護扶助:介護サービスの費用
出産扶助:出産費用
生業扶助:就労に必要な技能の修得等にかかる費用
葬祭扶助:葬祭費用

【生活保護法の4つの基本原理】
①国家責任の原理:法の目的を定めた最も根本的原理で、憲法第25条の生存権を実現する為、国がその責任を持って生活に困窮する国民の保護を行う。
②無差別平等の原理:全ての国民は、この法に定める要件を満たす限り、生活困窮に陥った理由や社会的身分等に関わらず無差別平等に保護を受給できる。また、現時点の経済的状態に着目して保護が実施される。
③最低生活の原理:法で保障する最低生活水準について、健康で文化的な最低限度の生活を維持できるものを保障する。
④保護の補足性の原理:保護を受ける側、つまり国民に要請される原理で、各自が持てる能力や資産、他法や他施策といったあらゆるものを活用し、最善の努力をしても最低生活が維持できない場合に初めて生活保護制度を活用できる。

【4つの原則】
①申請保護の原則:保護を受けるためには必ず申請手続きを要し、本人や扶養義務者、親族等による申請に基づいて保護が開始。
②基準及び程度の原則:保護は最低限度の生活基準を超えない枠で行われ、厚生労働大臣の定める保護基準により測定した要保護者の需要を基とし、その不足分を補う程度の保護が行われる。
③必要即応の原則:要保護者の年齢や性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行われる。
④世帯単位の原則:世帯を単位として保護の要否及び程度が定められる。また、特別な事情がある場合は世帯分離を行い個人を世帯の単位として定めることもできる。

(※参考:「生活保護制度」厚生労働省HPより)
(※参考:「生活保護法の基本原理と基本原則」室蘭市HPより)

 

 

 

 

 

問題40 業務上の災害に対する保険給付はどれか。

1.介護保険
2.雇用保険
3.健康保険
4.労働者災害補償保険

答え.

解説
1.× 介護保険
介護保険とは、平成12年4月から開始された介護を必要とする方に費用を給付し、適切なサービスを受けられるようにサポートする保険制度である。40歳以上の人は、介護保険の被保険者となり、①65歳以上の人(第1号被保険者)と、②40~64歳までの医療保険に加入している人(第2号被保険者)になる。

2.× 雇用保険
雇用保険とは、労働者が失業した場合などに必要な給付を行い、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに再就職の援助を行うことなどを目的とした雇用に関する総合的な機能をもった制度である。保険者は日本政府である。(参考:「雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!」厚生労働省HPより)

3.× 健康保険
国民健康保険とは、日本の国民健康保険法等を根拠とする、法定強制保険の医療保険である。病気やケガで医療機関や薬局を受診する場合に、「国民健康保険証」を窓口に提示することで医療費の一定の割合を国民健康保険が負担できる。国民健康保険の加入者は、職場の健康保険(協会けんぽ、健康保険組合、共済組合)の加入者、75歳以上等で後期高齢者医療制度の加入者および生活保護を受けている人以外の方となる。

4.〇 正しい。労働者災害補償保険は、業務上の災害に対する保険給付である。
労働者災害補償保険とは、労働者災害補償保険法に基づき、業務災害及び通勤災害に遭った労働者又はその遺族に給付を行う。略称は労災保険と呼ばれる。保険料は全額事業主の負担で、労災保険の対象となる労働者は、使用されて賃金を支給される人すべてをいうため雇用形態には関係ない。

労働者災害補償保険法とは?

労働者災害補償保険法とは、労働者災害補償保険により、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするために制定された法律である。必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、適正な労働条件の確保等を図り、労働者の福祉の増進に寄与する。

第三節 通勤災害に関する保険給付
第二十一条 第七条第一項第三号の通勤災害に関する保険給付は、次に掲げる保険給付とする。
一 療養給付
二 休業給付
三 障害給付
四 遺族給付
五 葬祭給付
六 傷病年金
七 介護給付

(※参考:「労働者災害補償保険法」e-GOV法令検索様HPより)

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)