第30回(R4年)柔道整復師国家試験 解説【午前111~115】

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問題111 縫工筋の股関節に対する作用で誤っているのはどれか。

1.屈曲
2.外転
3.内転
4.外旋

答え.

解説

縫工筋

【起始】上前腸骨棘
【停止】脛骨粗面の内側(鵞足を形成)
【作用】股関節屈曲、外転、外旋、膝関節屈曲、内旋
【神経】大腿神経

1~2.4.〇 屈曲/外転/外旋
縫工筋の股関節に対する作用である。ほかにも、膝関節屈曲、内旋の作用を持つ。

3.× 内転は、縫工筋の股関節に対する作用ではない。
内転筋群(恥骨筋・長内転筋・短内転筋・大内転筋・薄筋・外閉鎖筋)である。

 

 

 

 

 

問題112 重心動揺面積が最小となるのはどれか。

1.10歳
2.25歳
3.50歳
4.75歳

答え.

解説

MEMO

静止立位時の重心動揺面積は、測定値が小さい場合にバランス機能が良好であると判断できる。
重心動揺面積に加え、重力動揺軌跡長の値が小さいほど、立位姿勢が安定していることを示す。

1.3~4.× 10歳/50歳/75歳
重心動揺からみた、立位の安定性の年齢による変化の様相は、おおむね以下のように要約することができる。幼児期から10歳前後までは急速に安定性が向上するが、60歳代以降には再び著しい低下傾向を示す。なお、このいずれの時期も女子の方が男子に比べて重心動揺は小さく安定性に優れている。踵からの重心位置は、年齢に伴って徐々に足先方向に偏椅するが、高齢になっても若年成人の値と変わらない。立ち始めの幼児は、支持脚と運動脚が共に利き手側にあるが、運動発達に伴って支持脚が反対側に分離していく(※引用:「重心動揺の発達的変化」著:臼井 永男)。

2.〇 正しい。25歳は、重心動揺面積が最小となる。

 

 

 

 

 

問題113 正常歩行時に重心の位置が最も高くなる時期はどれか。

1.踵接地
2.足底接地
3.立脚中期
4.踵離地

答え.

解説


1.4.× 踵接地/踵離地
重心が低くなるのは踵接地期・踵離地である。なぜなら、股関節が最も開くため。

2.× 足底接地
踵接地から足底接地となる。踵接地期の前脛骨筋は遠心性収縮し、踵接地直後にすぐ足底接地にならないように足関節の底屈するスピードを抑えている。

3.〇 正しい。立脚中期は、正常歩行時に重心の位置が最も高くなる時期である。
なぜなら、両下肢がそろうため。

歩行周期

【立脚期】

 1. 初期接地(Initial Contact;以下,IC):観測肢の接地の瞬間
 2. 荷重応答期(Lording Response;以下,LR):IC から対側爪先離地まで
 3. 立脚中期(Mid Stance;以下,MSt):対側爪先離地から対側下腿下垂位まで
   立脚中期前半:対側爪先離地から両下腿の交差まで
   立脚中期後半:両下腿交差から対側下腿下垂位まで
 4. 立脚終期(Terminal Stance;以下,TSt):対側下腿下垂位から対側 IC まで
 5. 前遊脚期(Pre Swing;以下,PSw):対側 IC から観測肢爪先離地まで

【遊脚期】

 6. 遊脚初期(Initial Swing;以下,ISw):観測肢爪先離地から両下腿の交差まで
 7. 遊脚中期(Mid Swing;以下,MSw):両下腿交差から下腿下垂位まで
 8. 遊脚終期(Terminal Swing;以下,TSw):下腿下垂位から IC まで

 

 

 

 

 

問題114 パーキンソン(Parkinson)病でみられるのはどれか。

1.すくみ足
2.酩酊歩行
3.片麻痺歩行
4.間欠性跛行

答え.

解説

パーキンソン病とは?

パーキンソン病とは、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である。4大症状として①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害を特徴とする。また、自律神経障害による便秘や起立性低血圧、排尿障害、レム睡眠行動障害などが起こる。レム睡眠行動障害とは、レム睡眠の時期に体が動き出してしまう睡眠障害の1つである。 睡眠時随伴症に分類される。

1.〇 正しい。すくみ足が、パーキンソン病でみられる。
すくみ足歩行とは、足が地面に張り付いたように歩き始めの1歩がなかなか出ない状態をいう。矛盾性運動(逆説的運動)とは、本来難易度が高いはずであるが、スムーズに足が出るといった現象である。すくみ足の症状があっても、床の上の横棒をまたぐことができること、リズムをとったり、視覚的な目標物を踏み越えさせたりすると、本来難易度が高いはずであるが、スムーズに足が出るといった現象である。ちなみに、階段昇降もこれに含まれ、平地歩行に比べて障害されにくい。階段昇降は、歩行の改善、下肢筋力強化の効果も期待される。

2.× 酩酊歩行
酩酊歩行とは、体の中心である体幹のバランスがとりにくくなるため、歩くときに両足を開き、体幹を揺らしながら不安定に歩く状態をいう。小脳障害で起こりやすい。

3.× 片麻痺歩行
片麻痺歩行は、麻痺により下肢がうまく動かず、円を書くようにぶん回し歩行(痙性片麻痺歩行)のことをいうことが多い。脳血管障害で起こりやすい。

4.× 間欠性跛行
間欠性跛行とは、歩行を続けると下肢の痛みと疲労感が強くなり、足を引きずるようになるが、休むと再び歩けるというものである。「体幹前傾」ではなく休むと改善する。ちなみに、体幹前傾で改善するのは腰部脊柱管狭窄症である。

 

 

 

 

 

問題115 ニューロンの髄鞘化が最も早く終了するのはどれか。

1.小脳
2.網様体
3.感覚神経根
4.運動神経根

答え.

解説

髄鞘化とは?

大人の神経細胞の軸索は、髄鞘という膜で覆われているが、出生時の神経細胞の軸索には髄鞘がない。髄鞘を持つ神経線維は髄鞘のない神経線維に比べて非常に速い速度で情報を伝達できる。髄鞘化とは、髄鞘を持たない神経線維が髄鞘を持つ家庭をいう。

1.× 小脳
小脳は、運動制御や調節、平衡、学習などの役割を果たしている。

2.× 網様体
網様体は、睡眠と覚醒のレベルを調整する役割を持つ。

3.× 感覚神経根
感覚神経根は、身体の感覚を脳へ伝達する役割を果たしている。

4.〇 正しい。運動神経根は、ニューロンの髄鞘化が最も早く終了する。
運動神経根は、脳からの指令を筋肉に伝達して、運動を制御する役割を果たしている。

 

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