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問題71 柔道整復療養費の受領委任に係る施術録の取り扱いで誤っているのはどれか。
1.SOAPで記載する。
2.自費治療の施術録とは別とする。
3.施術開始日から5年間保管する。
4.同一保険同一施術録とする。
答え.3
解説
受領委任とは、施術者が、医療保険(療養費)で定める施術を行い、患者等から一部負担金を受け取り、患者等に代わって療養費支給申請書を作成・保険者等へ提出し、患者等から受領の委任を受けた施術者等が療養費を受け取る取扱いである。
1.〇 正しい。SOAPで記載する。
SOAP(subjective, objective, assessment, plan)とは、叙述的経過記録方式の問題志向型記録のことである。①S(Subjective):主観的情報、②O(Objective):客観的情報、③A(Assessment):評価、④P(Plan):計画で記載する。
2.〇 正しい。自費治療の施術録とは別とする。
療養費適用施術と自費施術は、区別して施術録を作成する。柔道整復、はりきゅう、あん摩マッサージ指圧の各施術においても、それぞれ別に施術録を作成しておく。
3.× 「施術開始日」ではなく施術完了日から5年間保管する。
なぜなら、例えば、はりきゅう、あん摩マッサージの場合は慢性疾患に対する施術のため。(※参考:「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について」厚生労働省HPより)
4.〇 正しい。同一保険同一施術録とする。
これは、第二5項 初検料「同一の患者について、自費施術途中に受領委任の取扱いができることとなった場合は、同一の負傷に関するものである限り、その切り替え時の施術について初検料は算定できないこと。その際、施術録及び支給申請書の「摘要」欄に「〇月〇日自費初検、〇月〇日健保被保険者資格取得」等の記載をしておくこと。なお、保険種別に変更があった場合も同様とすること。その際、施術録及び支給申請書の「摘要」欄に「〇月〇日初検、〇月〇日保険種別変更による健保被保険者資格取得」等の記載をしておくこと。」と記載されている(※引用:「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について」厚生労働省HPより)
問題志向型医療記録とは、患者の抱える問題に目を向け、患者の問題を中心に行う医療(POM:problem oriented medical)の考え方に合わせた記録方法のことをいう。問題(プロブレム) 毎に情報を整理し、問題毎にSOAP(subjective, objective, assessment, plan)に分けて記載する方法のこと。記載内容は以下のように整理する。
①S(Subjective):主観的情報
②O(Objective):客観的情報
③A(Assessment):評価
④P(Plan):計画
問題72 高齢者の外傷予防におけるエクササイズと目的の組合せで正しいのはどれか。
1.片足立ち:柔軟性の改善
2.ストレッチ:骨密度の増加
3.ジョギング:バランスの向上
4.スクワット:筋力の増強
答え.4
解説
1.× 片足立ちは、「柔軟性の改善」ではなくバランスの向上である。
バランス能力の検査として、片足立ち検査があげられる。開眼片脚立位では「15秒未満」で運動器不安定症のリスクが高まる。閉眼片脚立位では「5秒以下」 開眼片脚立位では「20秒以下」で転倒リスクが高まる(※参考:PTジャーナル 2009,9 高齢者の運動機能と理学療法)
2.× ストレッチは、「骨密度の増加」ではなく柔軟性の改善である。
・スタティック・ストレッチング(静的ストレッチ)とは、反動をつけずにゆっくりと静的に筋を伸張し、その肢位を数十秒間保持するストレッチ方法である。
・ダイナミック・ストレッチング(動的ストレッチ)とは、特定の競技や動作パターンに準じた動きの中で、その場で特定の筋群を動的に伸張する方法である。(例:ラジオ体操)
・バリスティックストレッチとは、反動をつけて行うストレッチである。(例:アキレス腱伸ばし)
3.× ジョギングは、「バランスの向上」ではなく有酸素運動:持続力運動である。
有酸素運動の効果は、①心肺機能の改善、②骨量減少の予防、③軽症高血圧の改善、④脂質代謝改善、⑤糖代謝改善などである。
4.〇 正しい。スクワットは、「筋力の増強」である。
特に、特に下半身の筋力(大腿四頭筋、ハムストリングス、大殿筋など)を増強できる。
問題73 競技者の外傷予防で誤っているのはどれか。
1.競技の特性を理解する。
2.選手の技術レベルを把握する。
3.精神論を重視する。
4.環境整備に留意する。
答え.3
解説
1.〇 正しい。競技の特性を理解する。
なぜなら、各スポーツはその特性により、特定の種類の外傷のリスクが高まるため。
2.〇 正しい。選手の技術レベルを把握する。
なぜなら、技術的に未熟な選手は、技術的に熟練した選手に比べて外傷を負うリスクが高い場合があるため。
3.× 精神論を重視するのは、競技者の外傷予防ではない。
精神論とは、「精神力次第で物質的な物事も思い通りにできるとする考え方」のことである。 簡単に言うと、自分の気持ち次第で、どんなことも乗り越えられるという考え方である。
4.〇 正しい。環境整備に留意する。
適切な地面環境の維持、良好な照明、適切な装備の使用などが含まれる。ほかにも、防御パッド、ヘルメット、シューズ、マウスピースのような体を保護する器具の装着が当てはまる。
問題74 成長期の外傷予防で誤っているのはどれか。
1.筋力強化を積極的に行う。
2.筋の柔軟性を獲得する。
3.用具の整備を行う。
4.練習量を調整する。
答え.1
解説
1.× 筋力強化を積極的に行うことは、成長期の外傷予防ではない。
なぜなら、成長期は、身長が勢いよく伸びる一方で、骨がもろく折れやすい時期であるため。筋力強化は、「積極的」ではなく適度に行う。大きな負荷がかかるトレーニングによって骨の成長にかかわる「骨端軟骨」をつぶしてしまう可能性もある。
2.〇 正しい。筋の柔軟性を獲得する。
なぜなら、筋の柔軟性は、関節可動域の拡大につながり、また、衝撃の吸収に寄与するため。
3.〇 正しい。用具の整備を行う。
なぜなら、運動時の安全性を確保できるため。
4.〇 正しい。練習量を調整する。
なぜなら、大きな負荷がかかるトレーニングによって骨の成長にかかわる「骨端軟骨」をつぶしてしまう可能性もあるため。
問題75 腱板断裂患者の日常生活上の指導で誤っているのはどれか。
1.就寝時に患側が下になるよう指導する。
2.不具合は遠慮なく訴えるよう指導する。
3.トイレでの清拭は健側使用を指導する。
4.重い物を患側で持たないよう指導する。
答え.1
解説
腱板断裂とは、肩のインナーマッスルである棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の腱が損傷・断裂していることをいう。肩峰や上腕骨頭とのインピンジメント(衝突)で損傷されやすい棘上筋腱の損傷がほとんどである。画像所見やインピンジメントの誘発テストによって診断される。また、断裂と断裂部に関節液の貯留を認めるため、超音波(エコー)やMRI検査で診断することが多い。MRIは時間がかかることや体内に磁性体がある場合は行うことができない。また画像をスライスでしか確認できないため連続性を追いにくいといった特徴がある。
1.× 就寝時に患側が「下」ではなく上になるよう指導する。
なぜなら、患側(断裂側)が下になると、重力による圧力がかかり、症状の悪化につながるため。
2.〇 正しい。不具合は遠慮なく訴えるよう指導する。
なぜなら、不具合(痛みや不快感)を感じた場合、それは問題が存在する可能性があるため。これを無視すると、さらなる損傷や合併症を引き起こす可能性がある。
3.〇 正しい。トイレでの清拭は健側使用を指導する。
なぜなら、断裂側の負担を減らすため。腱板断裂の患者は、日常生活の中で可能な限り患部(断裂側)を使用しないように指導する。
4.〇 正しい。重い物を患側で持たないよう指導する。
なぜなら、断裂側の負担を減らすため。重い物を持つことは、肩の腱板に大きなストレスをかけ、治療の進行を妨げる可能性がある。