第29回(R3年)柔道整復師国家試験 解説【午前36~40】

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問題36 基本包帯法と部位の組合せで誤っているのはどれか。

1.麦穂帯:肩関節部
2.螺旋帯:上腕部
3.折転帯:下腿部
4.三節帯:大腿部

答え.4

解説
1.〇 正しい。麦穂帯は、肩関節部に行える。
麦穂帯(ばくすいたい)とは、手関節、足関節、股関節、肩といった屈曲する部位、下腿などの太さが一定でない部位に対して行われる方法である。8の字を描くように交差させながら巻く。関節部分をきれいに覆うことができるだけでなく、各関節の良肢位を保ったまま固定できる。

2.〇 正しい。螺旋帯は、上腕部に行える。

螺旋帯(らせんたい)とは、包帯を1/2~1/3程度重ねながら、らせん状に巻く方法である。つまり、上腕部などの円筒形の部位に適している。広範囲の保護・固定をする場合や、ガーゼの保護や副え木を固定する場合などに用いられる。

3.〇 正しい。折転帯は、下腿部に行える。
折転帯(せってんたい)とは、前腕、下腿など太さが変化する部位に、包帯を折り返しながら巻く方法である。折り返すことで包帯が解けにくくなり、広範囲に巻くことができる。

4.× 三節帯は、「大腿部」ではなく手や足の指などに行う。
三節帯(さんせつたい) とは、包帯を三つの節に分けて巻く方法で、主に手や足の指などの小さな部位に適している。

 

 

 

 

 

問題37 肩関節強制内転位で固定する包帯法はどれか。

1.デゾー
2.チューブ
3.セイヤー
4.ヴェルポー

答え.4

解説

冠名包帯法(デゾー包帯)とは?

鎖骨骨折時の固定法である。腋→肩→肘の順番で包帯が巻かれる。
【目的】
第1帯:枕子の固定
第2帯:患肢の固定
第3帯:患部の固定・患肢の保持
第4帯:提肘

1.× デゾー
デゾー包帯は、鎖骨骨折の固定法で、腋→肩→肘の順番で包帯が巻かれる。

2.× チューブ
包帯は①巻軸包帯、②管状包帯、③その他の包帯に分類されている。②管状包帯には、ネット包帯と弾力チューブ包帯があり、どちらも伸縮性に富む。つまり、チューブ包帯は、包帯の種類であり、特定の部位に限定されたものではない。

3.× セイヤー
セイヤー包帯は、鎖骨骨折の固定法である。

4.〇 正しい。ヴェルポーは、肩関節強制内転位で固定する包帯法である。
ヴェルポー包帯は、肩関節を内転位に固定するための包帯法である。肩関節を体の中心に近い位置に保つことで、肩関節の安定性を向上させる。

セイヤー絆創膏固定法

セイヤー絆創膏固定法とは、鎖骨骨折時の固定法である。
【役割】
腋窩枕子:末梢牽引を行うためのテコの支点の働き。
第1帯:肩を外方に引き鎖骨の短縮転位を防止する。
第2帯:患肢を挙上させて下方転位を防止する。
第3帯:前腕の重量で骨折部に圧迫力を加える。

 

 

 

 

 

問題38 患者の権利で正しいのはどれか。

1.法令遵守
2.危機管理
3.秘密保持
4.利益供与

答え.3

解説

リスボン宣言とは?

リスボン宣言とは、1981年にポルトガルのリスボンで採択され、患者の権利に関する宣言である。①良質の医療を受ける権利、②選択の自由の権利、③自己決定の権利、④情報を得る権利、⑤プライバシーを守られる権利、⑥人間としての尊厳を得る権利が規定されている。

1.× 法令遵守
コンプライアンス(遵守行動)とは、法令や指示に従うこと(法令遵守)である。専門職が健康のために必要であると勧めた指示を患者が遵守する行動のことである。

2.× 危機管理
危機管理とは、医療機関が危機状況を適切に管理する能力を示す。選択肢1同様これも患者の権利というよりは医療機関の責任である。

3.〇 正しい。秘密保持は、患者の権利である。
リスボン宣言とは、1981年にポルトガルのリスボンで採択され、患者の権利に関する宣言である。①良質の医療を受ける権利、②選択の自由の権利、③自己決定の権利、④情報を得る権利、⑤プライバシーを守られる権利、⑥人間としての尊厳を得る権利が規定されている。

4.× 利益供与
利益供与とは、会社が株主の権利行使に関して、株主などに財産上の利益を与えることである。企業などが特定の人物や団体に財産上の利益を提供し、与えることである。特に、株主総会などをのりきるために、総会屋などに不正に利益を提供する行為が一般的な使われ方である。

患者の権利

1.良質の医療を受ける権利
2.選択の自由の権利
3.自己決定の権利
4.意識喪失患者が代理人に付託する権利
5.法的無能力者が代理人に付託する権利
6.患者の意思に反する処置・治療に対する権利
7.医療情報に関する権利
8.秘密保持に関する権利
9.健康教育を受ける権利
10.人間としての尊厳が守られる権利
11.宗教的支援を受ける権利

 

 

 

 

 

問題39 個人情報の保護に関する法律で正しいのはどれか。

1.国の機関は個人情報取扱事業者となる。
2.生存する個人の情報が対象である。
3.要配慮個人情報から病歴は除かれる。
4.個人識別符号に電磁的方式で記録された文字は含まない。

答え.2

解説

個人情報保護法とは?

個人情報保護法とは、個人情報の保護に関する法律の略称である。個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とした個人情報の取扱いに関連する日本の法律である。定義(第2条)には、「この法律において『個人情報』とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などにより特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう」とされている。

1.× 国の機関は個人情報取扱事業者とは「ならない」。
国の機関の一例は、首相官邸や内閣府、外務省が該当する。個人情報取扱事業者とは、個人情報保護法第2条第5項において、「個人情報データベースなどを事業の用に供している者」と定義されている。ほとんどの個人・企業・団体はこの定義に含まれている。

2.〇 正しい。生存する個人の情報が対象である
定義(第2条)には、「この法律において『個人情報』とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などにより特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう」とされている。

3.× 要配慮個人情報から病歴は「除かれない(該当する)」。
要配慮個人情報とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう(※引用:「個人情報の保護に関する法律」e-GOV法令検索様HPより)。

4.× 個人識別符号に電磁的方式で記録された文字は「含む」。
これは、第2条1項「当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録(電磁的方式)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。以下同じ。)により特定の個人を識別することができるもの」と記載されている(※引用:「個人情報の保護に関する法律」e-GOV法令検索様HPより)。

 

 

 

 

 

問題40 医療事故調査制度で医療事故の報告先はどれか。

1.厚生労働大臣
2.都道府県知事
3.医療安全支援センター
4.医療事故調査・支援センター

答え.4

解説

医療事故調査制度とは?

【概要】
・医療事故調査制度は、平成26年6月18日に成立した、医療法の改正に盛り込まれた制度である。制度施行は平成27年10月1日である。医療事故が発生した医療機関において院内調査を行い、その調査報告を民間の第三者機関(医療事故調査・支援センター)が収集・分析することで再発防止につなげるための医療事故に係る調査の仕組み等を、医療法に位置づけ、医療の安全を確保するものである。

1.× 厚生労働大臣
厚生労働大臣とは、日本の厚生労働省の長および主任の大臣たる国務大臣である。厚生労働省は、「国民生活の保障・向上」と「経済の発展」を目指すために、社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上・増進と、働く環境の整備、職業の安定・人材の育成を総合的・一体的に推進する。

2.× 都道府県知事
都道府県知事とは、日本の地方公共団体である都道府県の首長である。単に知事ともいう。都道府県知事のもとに置かれる部局を知事部局という。知事の主な仕事として、予算案をまとめて議会に提出したり、条例案を策定して議会に提出するというものがある。

3.× 医療安全支援センター
医療安全支援センターとは、医療法第6条の13の規定に基づき、都道府県、保健所を設置する市及び特別区により、日本全国で380箇所以上設置されている医療の安全に関する情報の提供、研修の実施、意識の啓発などを行う機関である。医療に関する苦情・心配や相談に対応するとともに、医療機関、患者さん・住民に対して、医療安全に関する助言および情報提供等を行っている。

4.〇 正しい。医療事故調査・支援センターは、医療事故調査制度で医療事故の報告先である。
医療事故調査・支援センターとは、医療法第6条の15第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定める団体で医療事故調査を実施する機関である。現在、社会問題となっている医療事故の再発防止を目的として、厚生労働省や日本医師会などを中心として、設置に向けた議論が進行している。

 

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