第29回(R3年)柔道整復師国家試験 解説【午前96~100】

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問題96 分娩を促進するのはどれか。

1.オキシトシン
2.プロラクチン
3.プロゲステロン
4.ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン

答え.1

解説
1.〇 正しい。オキシトシンは、分娩を促進する。
オキシトシンとは、脳下垂体後葉から分泌される。乳汁射出、子宮収縮作用がある。また、分娩開始前後には分泌が亢進し、分娩時に子宮の収縮を促し、胎児が下界に出られるように働きかける。

2.× プロラクチン
プロラクチン(催乳ホルモン)は、下垂体前葉から分泌されるホルモンである。プロラクチン放出ホルモンは視床下部から分泌される。乳腺の発育と乳汁の産生に働く。

3.× プロゲステロン
プロゲステロン(黄体ホルモン)は、基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすい状態にする作用を持つ。プロゲステロン(黄体ホルモン)は、性周期が規則的で健常な成人女性において、着床が起こる時期に血中濃度が最も高くなるホルモンである。着床が起こる時期とは、月経の黄体期である。黄体期は、排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期である。

4.× ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン
hCG<ヒト絨毛性ゴナドトロピン>は、主に絨毛組織において産生され、妊娠初期の卵巣黄体を刺激してプロゲステロン産生を高め、妊娠の維持に重要な働きをしているほか、胎児精巣に対する性分化作用や母体甲状腺刺激作用も報告されている。 

 

 

 

 

 

問題97 内分泌腺で貯蔵されないのはどれか。

1.カルシトニン
2.グルカゴン
3.コルチゾール
4.成長ホルモン

答え.3

解説
1.〇 カルシトニン:甲状腺内に貯蔵される。
カルシトニンとは、甲状腺から分泌され、骨吸収を抑制する働きを持つ。つまり、血中カルシウム濃度を低下させる働きをもつ。

2.〇 グルカゴン:膵臓内に貯蔵される。
グルカゴンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるα細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖上昇、②脂肪分解の作用がある。

3.× コルチゾールは、内分泌腺で貯蔵されない。
コルチゾールは、分泌されるとすぐに血流に放出されるため、副腎内には貯蔵されない。コルチゾールとは、副腎皮質から分泌されるホルモンで、血糖値の上昇や脂質・蛋白質代謝の亢進、免疫抑制・抗炎症作用、血圧の調節など、さまざまな働きがあるが、過剰になるとクッシング症候群、不足するとアジソン病を引き起こす。

4.〇 成長ホルモン:脳下垂体内に貯蔵される。
成長ホルモンとは、下垂体前葉から合成・分泌されるホルモンで、成長促進作用や代謝作用などの作用がある。

 

 

 

 

 

問題98 骨の吸収を促進するのはどれか。

1.エストロゲン
2.カルシトニン
3.ビタミンA
4.上皮小体(副甲状腺)ホルモン

答え.4

解説
1.× エストロゲン
エストロゲンとは、女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。

2.× カルシトニン
カルシトニンとは、甲状腺から分泌され、骨吸収を抑制する働きを持つ。

3.× ビタミンA
一般的に、ビタミンAは脂溶性ビタミンで、レチノール、レチナール、レチノイン酸の総称で、目や皮膚の粘膜を健康に保ち、抵抗力を強める役割があり、暗いところでの視力を保つ働きがある。妊娠3ヶ月までの過剰摂取により赤ちゃんの耳の形態異常が増える。 妊娠中の必要量は1日2000 IU(600μg)で、上限は1日 5000 IU(1500μg)である。

4.〇 正しい。上皮小体(副甲状腺)ホルモンは、骨の吸収を促進する。
副甲状腺ホルモンは、腎臓のカルシウム再吸収およびリンの排泄促進作用などがあり、血中のカルシウム濃度を上昇させる。副甲状腺ホルモンの過剰な分泌は、骨のカルシウムを血液中にどんどん溶出してしまうため、骨がもろくなる「線維性骨炎」となり、骨痛や骨変形・病的骨折などの原因となる。また、過剰な副甲状腺ホルモンは、さまざまな場所へカルシウムを沈着(異所性石灰化)させ、動脈硬化や心臓弁膜症・関節炎などを引き起こす。一方、副甲状腺ホルモン〈PTH〉の分泌が低下すると、血中カルシウム濃度が低下する。それに伴い、しびれ感、テタニー(手指の不随意な筋収縮)、けいれんなどの症状が起こる。

 

 

 

 

 

問題99 レム睡眠で正しいのはどれか。

1.入眠直後に現れる。
2.急速眼球運動が起こる。
3.脳波で高振幅徐波が出現する。
4.姿勢維持に関わる筋が緊張する。

答え.2

解説

1.× 入眠直後に現れるのは、ノンレム睡眠である。
ノンレム睡眠とは、脳の睡眠といわれ、①新陳代謝を促進する成長ホルモンの分泌が増加、②エネルギー代謝の抑制、③体温の低下があげられる。

2.〇 正しい。急速眼球運動が起こる
レム睡眠とは、脳が活発に働いており、記憶の整理や定着が行われ、夢を見る浅い眠りである。目がぴくぴく活発に動く、Rapid Eye Movement(急速眼球運動)があることからREM(レム)睡眠と呼ばれる。

3.× 脳波で高振幅徐波が出現するのは、ノンレム睡眠である。
徐波とは、 α(アルファ)波より周波数が低いものをいう。つまり、①δ(デルタ)波【0.5~4.0Hz】、②θ(シータ)波【4.0~8.0Hz】に分けられる。 両者とも覚醒状態にある正常成人の安静閉眼時には、ほとんど出現しない。

4.× 姿勢維持に関わる筋が緊張するのは、ノンレム睡眠である。
寝返りなどのある程度の活動がみられるのが特徴である。

脳波の分類

δ(デルタ)【0.5~4.0Hz】:深い睡眠
θ(シータ)【4.0~8.0Hz】:浅い睡眠
α(アルファ)【8.0~13.0Hz】:安静閉眼時
β(ベータ)【14.0~30.0Hz】:覚醒・活動時にみられる

 

 

 

 

 

問題100 下肢の屈曲反射時に起こるのはどれか。

1.刺激側の伸筋群の収縮
2.刺激側の屈筋群の弛緩
3.刺激の反対側の伸筋群の収縮
4.刺激の反対側の屈筋群の収縮

答え.3

解説

屈曲反射とは?

屈曲反射とは、逃避反射ともいい、四肢の皮膚に強い刺激(痛み刺激)を加えると、その肢が屈曲する反射である。

1.× 刺激側の「伸筋群」ではなく屈筋群の収縮が起こる。

2.× 刺激側の屈筋群の「弛緩」ではなく収縮が起こる。

3.〇 正しい。刺激の反対側の伸筋群の収縮は、下肢の屈曲反射時に起こる。
屈曲反射とは、逃避反射ともいい、四肢の皮膚に強い刺激(痛み刺激)を加えると、その肢が屈曲する反射である。この時、反対側の下肢は身体を支えるために伸展することを交叉性伸展反射という。これは、刺激側の下肢が屈曲するとき、対側下肢が伸展して、体を支えられるように働くためである。

4.× 刺激の反対側の「屈筋群」ではなく伸筋群の収縮が起こる。

 

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