第27回(H31年)柔道整復師国家試験 解説【午前31~35】

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問題31 血球で正しいのはどれか。

1.Bリンパ球は胸腺で成熟する。
2.好酸球は白血球中で最も数が多い。
3.血小板は巨核球からできる。
4.赤血球は円盤状の核をもつ。

答え.3

解説
1.× 「Bリンパ球」ではなくTリンパ球は胸腺で成熟する。
胸腺とは、胸骨裏面の前縦隔に位置する免疫担当臓器で、Tリンパ球が成熟する場所である。10~12歳頃に最も大きくなり、その後は加齢とともに小さくなる。高齢者では著しく萎縮し、CT画像で存在が判然としない場合もある。大人では摘出しても特に問題ない。ちなみに、Tリンパ球とは、T細胞ともいい、血液中に存在するリンパ球のうち、おおよそ60〜80%の割合を占める細胞である。ヘルパーT細胞は、樹状細胞(皮膚や血液中に存在する免疫細胞)から抗原の情報を伝達してもらい(抗原掲示)、キラーT細胞に指示をしたり、B細胞やマクロファージを活性させたりする役割を持つ。一方、Bリンパ球とは、B細胞ともいい、白血球のおおよそ20〜40%の割合を占めている免疫細胞である。侵入した異物(抗原)が危険であるかどうかを判断し、ウイルスなどを排除する働きがある。このB細胞が成熟すると、形質細胞となる。

2.× 「好酸球」ではなく好中球は白血球中で最も数が多い。
好中球とは、白血球の中で一番多く、細菌免疫の主役である。マクロファージが好中球に指令し、好中球は活性化・増殖する。末梢血白血球の40~70%を占め、生体内に細菌・真菌が侵入すると、まず好中球が感染部位に遊走し、菌を貧食する。ちなみに、好酸球とは、主に寄生虫に対する免疫反応が役割である。ほかにも、アトピー性皮膚炎や薬剤アレルギー、気管支喘息などでも増加する。末梢血白血球の1~6%を占め、呼吸器や腸管などに存在する。

3.〇 正しい。血小板は巨核球からできる
血小板は骨髄の巨核球から生まれ、血流に放出される。巨核球とは、骨髄中にみられる、血小板を産生する細胞である。直径40~100マイクロメートルと、骨髄中の細胞の中で最大である。不定型の核をもち、成熟すると多数の顆粒と小胞があらわれ、分離膜が形成される。無核の血小板は、巨核球の細胞質が分離膜によって分断されることで作られる。

4.× 赤血球は円盤状であるが、核を「もたない」。
なぜなら、骨髄で成熟し、核が失われるため。また、円盤状であるため、酸素と二酸化炭素の輸送効率を向上する。赤血球とは、細胞内にヘモグロビンを含み、主に酸素の運搬を行う。血液中の細胞成分である。ちなみに、ヘモグロビンのヘム鉄が、酸素分子と結合する性質を持ち、肺から全身へと酸素を運搬する役割を担っている。

 

 

 

 

 

問題32 付加骨はどれか。

1.鎖骨
2.上腕骨
3.大腿骨
4.腓骨

答え.1

解説

骨の発生

骨の発生には、2種類あげられる。
①置換骨:大部分が軟骨ができて、それが骨に変わってできたもの。長幹骨は骨端軟骨による軟骨内骨化(置換骨)である。
②付加骨:結合組織の中に骨芽細胞が現れて骨になったもの。 こうしてできた骨は、軟骨や靭帯とともに一定の方式で連結して骨組をつくる。代表的なものに鎖骨、前頭骨、頭頂骨、上・下顎骨などがある。

1.〇 正しい。鎖骨は、付加骨である。
2.× 上腕骨/大腿骨/腓骨は、骨端軟骨による軟骨内骨化(置換骨)である。

 

 

 

 

 

問題33 脊柱と関節をつくるのはどれか。

1.上腕骨
2.鎖骨
3.大腿骨
4.寛骨

答え.4

解説

(※図引用:「骨盤周辺の骨」illustAC様より)

1.× 上腕骨は、肩関節(肩甲上腕関節)肘関節(腕頭関節、腕尺関節)を構成する骨である。

2.× 鎖骨は、胸鎖関節肩鎖関節を構成する骨である。

3.× 大腿骨は、股関節膝関節を構成する骨である。

4.〇 正しい。寛骨は、脊柱と関節をつくる。
寛骨とは、骨盤の左右の壁を形成する左右一対の骨で、腸骨・坐骨・恥骨の三つの扁平骨が癒合してできている。なかでも腸骨が脊柱(仙骨)とともに、仙腸関節を構成する。ほかにも、寛骨は大腿骨とともに股関節を構成する。

 

 

 

 

 

問題34 頭蓋底の孔あるいは裂で正しいのはどれか。

1.aは角膜の感覚に関わる神経が通る。
2.bは眼球運動に関わる神経が通る。
3.cは顔面筋の運動に関わる神経が通る。
4.dは大脳を栄養する動脈が通る。

答え.2

解説

(※図引用:「イラストでわかる歯科医学の基礎 第4版 」永未書店HPより)

1.× a(視神経管)は、視覚を司る視神経が通る。
ちなみに、角膜の感覚に関わる神経は、三叉神経の第一枝である眼神経で、b(上眼窩裂)を通過する。

2.〇 正しい。b(上眼窩裂)は、眼球運動に関わる神経が通る。
b(上眼窩裂)は、動眼神経滑車神経、眼神経、外転神経が通る。

3.× c(正円孔)は、三叉神経の第2枝の上顎神経が通る。
上顎神経は、目の下・頬・上唇・上顎の口腔内の知覚を司る神経である。ちなみに、顔面筋の運動に関わる神経(顔面神経)は内耳孔を通る。

4.× d(棘孔)は、硬膜の血流を担う中硬膜動脈が通る。
ちなみに、大脳を栄養する動脈(内頸動脈)は、頸静脈孔を通る。

 

 

 

 

 

問題35 顔面神経支配を受けるのはどれか。

1.側頭筋
2.口輪筋
3.外側翼突筋
4.内側翼突筋

答え.2

解説

顔面神経とは?

顔面神経とは、表情筋の運動、涙腺や口蓋腺などの分泌作用制御の副交感神経、および味覚を司る感覚神経を含む混合神経である。したがって、顔面神経の障害により、顔面表情筋の障害、角膜反射低下、聴覚過敏、味覚低下(舌前2/3)、涙分泌低下、唾液分泌低下などが起こる。

1.3~4.× 側頭筋/外側翼突筋/内側翼突筋は、三叉神経支配である。
咀嚼筋とは、下顎骨の運動(主に咀嚼運動)に関わる筋肉の総称である。咀嚼筋は一般的に、咬筋、側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋の4種類が挙げられる。咀嚼筋は、主にⅤ:三叉神経支配である。
側頭筋の作用は、下顎を上げて、歯をかみ合させる(閉口)ほか、後部は下顎骨を後ろへ引く。
外側翼突筋の作用は、収縮すると関節包・関節円板に対して前内側方向の力が働く。
内側翼突筋の作用は、下顎骨を挙上し、口を閉じる運動の主要筋として働く。

2.〇 正しい。口輪筋は、顔面神経支配を受ける。
口輪筋は、表情筋の1つである。口唇周囲の口筋のなかで、口を閉じ、口の周囲を前方に尖らせる筋肉である。

 

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