第27回(H31年)柔道整復師国家試験 解説【午前36~40】

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問題36 距骨で正しいのはどれか。

1.外側縦足弓の頂点に位置する。
2.立方骨と関節を構成する。
3.下腿の筋が停止する。
4.距骨頸は距骨頭の近位に位置する。

答え.4

解説

縦アーチ

内側縦アーチ:踵骨・距骨・舟状骨(要石)・内側楔状骨・第1中足骨。
靭帯:底側踵舟靭帯、距踵靭帯、楔舟靭帯、足根中足靭帯など
筋:「土踏まず」を形成し、歩行時の衝撃吸収に重要な役割を持っている。外返しで低くなり、内返しで高くなる。つまり、前・後脛骨筋、長趾・長母趾屈筋、母趾外転筋が内側縦アーチに関与する。

外側縦アーチ:踵骨・立方骨・第5中足骨。
靭帯:長足底靭帯・立方靭帯・足根中足靭帯が関与する。
筋:長・短腓骨筋、小趾外転筋が関与する。

1.×  「外側縦足弓」ではなく内側縦足弓の頂点に位置する。
外側縦足弓は、踵骨、立方骨、第5中足骨で構成されており、距骨は関与しない。ちなみに、内側縦アーチは、踵骨・距骨・舟状骨(要石)・内側楔状骨・第1中足骨で構成されている。

2.× 立方骨と関節を構成していない
距骨は、舟状骨、踵骨と関節を構成する。一方、立方骨は、踵骨、外側楔状骨、舟状骨、第4・5中足骨と関節を構成する。

3.× 下腿の筋が停止しない
足根骨の中で唯一、筋が付着しない骨である。

4.〇 正しい。距骨頸は距骨頭の近位に位置する
距骨頚とは、距骨体と距骨頭を結ぶやや細い部分である。

 

 

 

 

 

問題37 前十字靭帯が防ぐ脛骨の転位の方向で正しいのはどれか。

1.外反
2.内反
3.前方
4.後方

答え.3

解説
1.× 外反ストレスに対し、内側側副靭帯により制御される。
内側側副靭帯とは、膝の外側からのストレス(外反ストレス)に抵抗することで、関節の内側部分が開きすぎるのを防ぐ役割を持つ。

2.× 内反ストレスに対し、外側側副靭帯により制御される。
外側側副靭帯とは、膝の内側からのストレス(内反ストレス)に抵抗することで、関節の外側部分が開きすぎるのを防ぐ役割を持つ。

3.〇 正しい。前方は、前十字靭帯が防ぐ脛骨の転位の方向である。
前十字靭帯とは、膝関節の中で、大腿骨と脛骨をつないでいる強力な靭帯である。役割は、主に①大腿骨に対して脛骨が前へ移動しないような制御(前後への安定性)と、②捻った方向に対して動きすぎないような制御(回旋方向への安定性)である。前十字靭帯損傷とは、スポーツによる膝外傷の中でも頻度が高く、バスケットボールやサッカー、スキーなどでのジャンプの着地や急な方向転換、急停止時に発生することが多い非接触損傷が特徴的な靭帯損傷である。Lachman test(ラックマンテスト)/軸移動テスト(pivot shift test:ピポットシフトテスト)/Jerkテスト(ジャークテスト)は、膝前十字靭帯損傷を検査する。

4.× 後方は、後十字靭帯が防ぐ脛骨の転位の方向である。
後十字靭帯を損傷する最も多い原因は、転倒の際に地面に強く膝の前面を打ち付けたり、ラグビーのようなコンタクトスポーツで脛(すね)の前面に相手プレイヤーがぶつかったり、交通事故で脛(すね)に強い衝撃が加わるなどである。

 

 

 

 

 

問題38 各孔を通る神経と支配する筋の組合せで正しいのはどれか。

1.梨状筋上孔:大殿筋
2.梨状筋下孔:中殿筋
3.閉鎖孔:長内転筋
4.筋裂孔:双子筋

答え.3

解説

(※図引用:「骨盤周辺の骨」イラストAC様より)

梨状筋上孔を通る神経

・梨状筋上孔:上殿動静脈、上殿神経が通過する。
・梨状筋下孔:下殿動静脈、下殿神経、内陰部動静脈、陰部神経、後大腿皮神経、坐骨神経が通過する。

1.× 大殿筋は、「梨状筋上孔」ではなく梨状筋下孔を通る。
なぜなら、大殿筋の支配神経は、下殿神経であるため。大殿筋の【起始】腸骨翼の外面で後殿筋線の後方、仙骨・尾骨の外側縁、仙結節靭帯、腰背筋膜、【停止】腸脛靭帯、大腿骨の殿筋粗面、【作用】股関節伸展、外旋、外転、上部:内転、下部:骨盤の下制、【支配神経】下殿神経である。

2.× 中殿筋は、「梨状筋下孔」ではなく梨状筋上孔を通る。
なぜなら、中殿筋の支配神経は、上殿神経であるため。中殿筋の【起始】腸骨翼の外面で前および後殿筋線の間、腸骨稜外唇および殿筋筋膜、【停止】大転子の外側面、【作用】股関節外転、前部:内旋、後部:外旋、【支配神経】上殿神経:L4~S1である。

3.〇 正しい。長内転筋の支配神経である閉鎖神経は、「閉鎖孔」を通る。
閉鎖孔とは、骨盤腔の下方で坐骨・恥骨・腸骨に囲まれる三角形の空隙のことである。その中に、閉鎖神経と閉鎖動静脈脈が通る。長内転筋の【起始】恥骨結節の下方、【停止】大腿骨粗線内側唇の中部1/3、【作用】股関節内転、屈曲、【支配神経】閉鎖神経前枝:L2~L4である。

4.× 筋裂孔は、「双子筋(仙骨神経叢)」ではなく大腿神経(大腿四頭筋や縫工筋)が通る。
双子筋には、上双子筋と下双子筋があり、支配神経は仙骨神経叢の枝:(L4)L5~S2である。鼡径靭帯下の筋裂孔とは、鼠経靭帯と寛骨で形成される間隙で、腸恥筋膜弓によって分割された空間のことである。①筋裂孔は、外側の空間を、②血管製孔内側の空間をとよぶ 。①筋裂孔を通過するものは、①腸腰筋、②大腿神経である。また、血管裂孔を通過するものは、①大腿動脈、②大腿静脈、③大腿管(リンパ管)、④陰部大腿神経の大腿枝である。

 

 

 

 

 

問題39 心臓で正しいのはどれか。

1.卵円窩は心房中隔にある。
2.心尖は第2肋間隙に位置する。
3.冠状動脈は大動脈弓から分枝する。
4.大動脈弁には腱索が付着している。

答え.1

解説

(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」より)

1.〇 正しい。卵円窩は心房中隔にある
卵円窩は、右心房と左心房の間の心房中隔にある、小さなくぼみ状の構造をしている。心房中隔にある卵円孔が遺残したものが卵円窩である。卵円孔は、胎児のとき開いており、胎盤を通して流れてくる酵素を含んだ血液を胎児の全身に循環させるためにある。出生後、卵円孔は閉じ、卵円窩が形成される。

2.× 心尖は、「第2肋間隙」ではなく第5肋間隙に位置する。
ちなみに、心基部はほぼ第2肋間の高さにある。

3.× 冠状動脈は「大動脈弓」ではなく大動脈起始部から分枝する。
冠状動脈は大動脈から分岐し、右冠動脈と左冠動脈に分かれる。左冠動脈はさらに、前行枝と回旋枝に分岐する。拡張期に冠動脈に血液が流れやすいのが特徴である。

4.× 腱索が付着しているのは、「大動脈弁」ではなく「房室弁(僧房弁と三尖弁)」である。
腱索とは、左心室側から弁尖に伸びたひも状のもので、左心室壁から伸びている。乳頭筋に付着しており、乳頭筋は、心房内に反転しないように支える役割を果たす。

(※画像引用:岡山第一病院様より)

 

 

 

 

 

問題40 動脈の走行で正しいのはどれか。

1.左鎖骨下動脈は腕頭動脈から分枝する。
2.尺骨動脈と橈骨動脈は手掌において吻合する。
3.大腿動脈は内腸骨動脈から続く。
4.足背動脈は後脛骨動脈から続く。

答え.2

解説

(※画像引用:岡山第一病院様より)

1.× 左鎖骨下動脈は、「腕頭動脈」ではなく大動脈弓から分枝する。
ちなみに、鎖骨下動脈は、腕頭動脈から分枝する。

2.〇 正しい。尺骨動脈と橈骨動脈は手掌において吻合する
動静脈吻合とは、毛細血管を通さずに、大きな連絡管により動脈と静脈を結ぶ血管である。熱を皮膚表面へ 運び出し環境へ放散するために極めて重要な役割を担っている。からだのさまざまな箇所にあるが、とくに手掌、足底および指の皮膚、爪床、鼻、耳などに見られる。(※読み:どうじょうみゃくふんごう)

3.× 大腿動脈は、「内腸骨動脈」ではなく外腸骨動脈から続く。
外腸骨動脈→大腿動脈→膝窩動脈→①前脛骨動脈(→足背動脈)、②後脛骨動脈(→足底動脈)となる。

4.× 足背動脈は、「後脛骨動脈」ではなく前脛骨動脈から続く。
外腸骨動脈→大腿動脈→膝窩動脈→①前脛骨動脈(→足背動脈)、②後脛骨動脈(→足底動脈)となる。

(※図引用、一部改変:「動脈蝕知」イラストAC様より)

 

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