第31回(R5年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前6~10】

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問題6 上水道の水質基準で「検出されないこと」と決められているのはどれか。

1.大腸菌
2.水銀
3.ヒ素
4.総トリハロメタン

解答

解説

(※引用:「水質基準項目と基準値(51項目)」厚生労働省HPより)

1.〇 正しい。大腸菌は、「検出されないこと」と決められている。

2.× 水銀(及びその化合物)は、「水銀の量に関して、0.0005mg/L以下」と決められている。

3.× ヒ素(及びその化合物)は、「ヒ素の量に関して、0.01mg/L以下」と決められている。

4.× 総トリハロメタンは、「0.1mg/L以下」と決められている。

有機水銀について

有機水銀は特に胎児の中枢神経の発達に影響を及ぼすとされている。妊婦、幼児、近く妊娠を予定されている方は、有機水銀濃度が高い水産物を主菜とする料理を週1回以内(合計で週におおむね50~100g程度以下)にすることをお勧めしている。主に多くの有機水銀が含まれるものとして、マグロ類(マグロ、カジキ)、サメ類、深海魚類(キンメダイ、ムツ、ウスメバルなど)、鯨類(鯨、イルカ)などがあげられる。ちなみに、サンマ、イワシ、サバなどは、一般的に有機水銀濃度が低い水産物であるため、控える必要はない。

①四日市喘息(三重県):主に亜硫酸ガスによる大気汚染を原因。
②新潟水俣病:有機水銀(メチル水銀)による水質汚染や底質汚染を原因。
③イタイイタイ病(富山県):カドミウムによる水質汚染を原因
④熊本水俣病:有機水銀(メチル水銀)による水質汚染や底質汚染を原因

 

 

 

 

 

問題7 結核対策で早期発見を目的とするのはどれか。

1.結核登録
2.定期健康診断
3.定期予防接種
4.家庭訪問指導

解答

解説
1.× 結核登録
結核登録者とは、結核のために保健所に登録されている人のことである。現在、結核の治療中の人はもとより、治療終了後一定期間の経過観察中の人も含まれる。ただし、発病していても一部登録から漏れている患者もありうる。

2.〇 正しい。定期健康診断は、結核対策で早期発見を目的とする。
一般健康診断とは、事業主が労働者に対して実施することが法律(労働安全衛生規則)により義務づけられている健康診断のことである。主なものとして、「雇い入れ時の健康診断」「定期健康診断」「特定業務従事者の健康診断」「海外派遣労働者の健康診断」などがある。定期健康診断とは、事業者に対し、事業者が雇用したパートを含む週30時間以上(正規従業員の労働時間4分の3以上)働く労働者に対し医師による健康診断を義務づけている制度である。定期健康診断は1年以内ごとに1回、定期に実施することが、労働安全衛生規則にて定められている。(※図引用:「一般健康診断の項目一覧表」厚生労働省HPより)

3.× 定期予防接種
定期予防接種とは、「予防接種法」に規定されたワクチン接種のことである。現在、定期接種のワクチンとして10種類が認められている。

4.× 家庭訪問指導
家庭訪問指導とは、保健指導が必要な地域住民に対し、保健師や看護師などが家庭を訪問し、必要な指導を行うことである。

予防接種法とは?

予防接種法とは、公衆衛生の観点から伝染のおそれがある疾病の発生・まん延を予防するためにワクチンの予防接種を行うとともに、予防接種による健康被害の迅速な救済を図ることを目的として制定された日本の法律である。予防接種法に基づく予防接種には、①定期予防接種と②臨時予防接種があり、定期予防接種の対象疾患には、①A類疾病と②B類疾病がある。さらに同法に基づかない任意接種もある。

A類疾病:主に集団予防、重篤な疾患の予防に重点を置き、国の積極的な勧奨があり、本人(保護者)に努力義務がある。
疾患:結核、ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、麻疹、風疹、日本脳炎、ヒブ(インフルエンザ菌b型)感染症、小児の肺炎球菌感染症、水痘、ヒトパピローマウイルス感染症、B型肝炎

B類疾病:主に個人予防に重点を置き、国の積極的な勧奨なく、本人(保護者)に努力義務はない。
疾患:季節性インフルエンザと高齢者の肺炎球菌感染症

(参考:「予防接種とは?」東京都医師会HPより)

 

 

 

 

 

問題8 我が国の国民の1日平均歩数に関する公的統計を公表している調査はどれか。

1.国勢調査
2.人口動態調査
3.国民生活基礎調査
4.国民健康・栄養調査

解答

解説
1.× 国勢調査
国勢調査とは、日本に住んでいるすべての人を対象に5年に1回行う調査で、国内の人口や世帯の実態を把握するために行われる。男女の別、出生の年月、就業状態、従業地または通学地、世帯員の数、住居の種類、住宅の建て方などを調べる調査である。

2.× 人口動態調査
人口動態調査とは、出生、死亡、婚姻、離婚および死産の全数を対象とした悉皆調査(しっかいちょうさ)、全数調査である。それらの事象(人口動態事象)を把握する調査である。ちなみに、悉皆調査とは、対象となるものを全て調べる調査の事である。 全数調査は、誤差なく正確な結果が得られる反面、膨大な費用や手間がかかるという欠点もある。

3.× 国民生活基礎調査
国民生活基礎調査とは、保健、医療、福祉、年金、所得など国民生活の基礎的事項を調査し、厚生労働行政の企画及び運営に必要な基礎資料を得るとともに、各種調査の調査客体を抽出するための親標本を設定することを目的とした厚生労働省が行う基幹統計調査である。

4.〇 正しい。国民健康・栄養調査は、我が国の国民の1日平均歩数に関する公的統計を公表している調査である。
国民健康・栄養調査とは、国民の健康状態、生活習慣や栄養素摂取量を把握するための調査である。 毎年、食生活状況、各種身体・血液検査や飲酒、喫煙、運動習慣などを調べており、国における健康増進対策や生活習慣病対策に不可欠な調査となっている。国民健康・栄養調査は、『健康増進法』に基づき、国民の身体の状況、栄養素等摂取状況および生活習慣の状況についての調査で、標本調査により実施される。

 

 

 

 

 

問題9 特定健康診査・特定保健指導について正しいのはどれか。

1.健康増進法に基づいて実施される。
2.実施主体は医療保険者である。
3.75歳以上が対象となる。
4.がん検診のことである。

解答

解説

特定健康診査とは?

特定健康診査とは、40~74歳までの医療保険加入者を対象に実施されるものである。特定健診で行う検査は、主に①身体計測(身長・体重・BMI・腹囲)、②血中脂質検査(中性脂肪・HDLコレステロール・LDLコレステロール)、③肝機能検査(GOT・GPT・γ-GTP)、④血糖検査(空腹時血糖・HbA1c)、⑤尿検査(尿糖・尿蛋白)などである。

特定保健指導とは?

特定保健指導とは、予備群や軽症でまだお薬を必要としない人に対してもしっかり働きかけ、生活習慣病にならないようなしくみである。個人の生活習慣病予防への評価項目は、効率的・効果的な事業が行われていたか判断できるものを選択する。

1.× 「健康増進法」ではなく高齢者の医療の確保に関する法律に基づいて実施される。
高齢者の医療の確保に関する法律とは、国民の高齢期における適切な医療の確保を図るため、医療費の適正化を推進するための計画の作成および保険者による健康診査等の実施に関する措置を講ずるとともに、高齢者の医療について、国民の共同連帯の理念等に基づき、前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整、後期高齢者に対する適切な医療の給付等を行うために必要な制度を設け、もって国民保健の向上および高齢者の福祉の増進を図ることを目的とした法律である。

2.〇 正しい。実施主体は医療保険者である
特定健康診査は、医療保険者(健康保険組合や全国健康保険協会などの各被用者および国民健康保険)が実施主体となり、40~74歳の加入者(被保険者・被扶養者)を対象として行われる健診である。

3.× 「75歳以上」ではなく40~74歳が対象となる。
特定健康診査とは、40~74歳までの医療保険加入者を対象に実施されるものである。特定健診で行う検査は、主に①身体計測(身長・体重・BMI・腹囲)、②血中脂質検査(中性脂肪・HDLコレステロール・LDLコレステロール)、③肝機能検査(GOT・GPT・γ-GTP)、④血糖検査(空腹時血糖・HbA1c)、⑤尿検査(尿糖・尿蛋白)などである。

4.× がん検診のことではない
がん検診とは、がんの症状がない人々において、存在が知られていないがんを見つけようとする医学的検査である。がん検診は健康な人々に対して行うものである。

健康増進法とは?

健康増進法は、国民の健康維持と現代病予防を目的として制定された日本の法律である。都道府県と市町村は、地域の実情に応じた健康づくりの促進のため、都道府県健康増進計画(義務)および市町村健康増進計画(努力義務)を策定する。平成14(2002)年に制定された。

【市町村が行う健康増進事業】
①健康手帳、②健康教育、③健康相談、④訪問指導、⑤総合的な保健推進事業、⑥歯周疾患検診、⑦骨粗鬆症検診、⑧肝炎ウイルス検診、⑨がん検診、⑩健康検査、⑪保健指導などである。

【都道府県の役割】
都道府県は、都道府県健康増進計画において、管内市町村が実施する健康増進事業に対する支援を行うことを明記する。都道府県保健所は、市町村が地域特性等を踏まえて健康増進事業を円滑かつ効果的に実施できるよう、必要な助言、技術的支援、連絡調整及び健康指標その他の保健医療情報の収集及び提供を行い、必要に応じ健康増進事業についての評価を行うことが望ましい。都道府県は、保健・医療・福祉の連携を図るとともに、市町村による健康増進事業と医療保険者による保健事業との効果的な連携を図るために、地域・職域連携推進協議会を活性化していくことが望ましい。

 

 

 

 

 

問題10 人口動態統計で示される指標はどれか。

1.健康寿命
2.有訴者率
3.離婚件数
4.通院者数

解答

解説

1.× 健康寿命は、国民生活基礎調査で示される。
国民生活基礎調査とは、保健、医療、福祉、年金、所得など国民生活の基礎的事項を調査し、厚生労働行政の企画及び運営に必要な基礎資料を得るとともに、各種調査の調査客体を抽出するための親標本を設定することを目的とした厚生労働省が行う基幹統計調査である。ちなみに、健康寿命とは、日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができる期間を指す。健康寿命の延伸の具体的な目標値として「平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加」が掲げられている。一方、平均寿命とは、生まれたばかりの子どもが平均して何年生きるかを示したものであり、0歳の平均余命のことである。

2.× 有訴者率は、国民生活基礎調査で示される。
病気やけが等で自覚症状のある者〔有訴者〕は人口千人当たり302.5(この割合を「有訴者率」という。)となっている。有訴者率(人口千対)を性別にみると、男270.8、女332.1で女が高くなっている。年齢階級別にみると、「10~19歳」の157.1が最も低く、年齢階級が高くなるにしたがって上昇し、「80歳以上」では511.0となっている。症状別にみると、男では「腰痛」での有訴者率が最も高く、次いで「肩こり」、「鼻がつまる・鼻汁が出る」、女では「肩こり」が最も高く、次いで「腰痛」、「手足の関節が痛む」となっている。なお、足腰に痛み(「腰痛」か「手足の関節が痛む」のいずれか若しくは両方の有訴者。以下「足腰に痛み」という。)のある高齢者(65歳以上)の割合は、男では205.5、女では254.5となっている。(※引用:「Ⅲ 世帯員の健康状況」厚生労働省HPより)

3.〇 正しい。離婚件数は、人口動態統計で示される指標である。
人口動態統計とは、出生・死亡・婚姻・離婚及び死産の5種類の「人口動態事象」を把握し、人口及び厚生労働行政施策の基礎資料を得ることを目的としている。出生・死亡・婚姻及び離婚については「戸籍法」により、死産については「死産の届出に関する規程」により、市区町村長に届け出られる各種届出書から「人口動態調査票」が市区町村で作成される。調査票は、保健所長及び都道府県知事を経由して、厚生労働大臣に提出され、厚生労働省ではこれらの調査票を集計して人口動態統計を作成している。(※引用:「人口動態統計について」厚生労働省様HPより)

4.× 通院者数は、患者調査で示される。
患者調査とは、
目的:病院・診療所を利用する患者について、傷病状況の実態を明らかにする。
調査頻度:3年に1回、医療施設静態調査と同時期に実施している。
調査対象:標本調査(全国の病院、一般診療所、歯科診療所から層化無作為により抽出した医療施設の患者)
調査項目:患者の性別、出生年月日、住所、入院・外来の種別、受療の状況等。
調査方法:医療施設の管理者が記入。(※参考:「患者調査(基幹統計)」厚生労働省HPより)

 

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