第31回(R5年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後96~100】

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問題96 降濁作用の補助を受けている作用はどれか。

1.伝化
2.疏泄
3.粛降
4.化物

解答

解説

降濁作用とは?

降濁作用とは、胃が消化した飲食物の残りを小腸に送る働きである。胃は、残った粕(濁)を小腸に送ることで、新たに飲食物を受け入れることができる。胃と脾は表裏の関係にあり、脾の昇清作用と胃の降濁作用により栄養を全身に送っている。

1.〇 正しい。伝化(※読み:でんか)は、降濁作用の補助を受けている作用である。
伝化とは、大腸が小腸から送られてきた飲食物の余分な水分を再吸収し、残りを糞便にしたあと排泄させることである。

2.× 疏泄(※読み:そせつ)
疏泄とは、肝臓が持つ機能の一つで、情志・気機・月経の調節・脾胃の補助など、体内の気の流れを調節する働きである。

3.× 粛降(※読み:しゅくこう)
粛降とは、静粛・下降といった通調水道、水の上源であり、の機能で、各臓腑へ降ろすという意味がある。下降させることにより、吸気や水分を下方へ移動させることである。

4.× 化物(※読み:けつぶつ)
化物とは、小腸の機能の一つで、水穀を変化させることである。小腸は、化物の機能があり、静濁の泌別を主る。

 

 

 

 

 

問題97 経脈病証で、喉に症状があり、外側前腕皮神経の支配領域に痛みがあるのはどれか。

1.手の少陰経
2.手の少陽経
3.手の陽明経
4.手の太陽経

解答

解説

六経弁証

太陽病:外感病初期、表寒証。悪寒、発熱、頭痛、項強痛、脈浮など。
少陽病:半表半裹証。発汗、寒熱往来、胸脇苦満、口苦、眩暈、脈弦など。
陽明病:裏実熱証。発汗、壮熱、口渇、潮熱、大便秘結、譫語、洪脈など。
太陰病:裏虚寒証(初期)。食欲不振、腹部膨満感、水様便など。
少陰病:外感病の極期~後期、虚寒/虚熱証。四肢厥冷、心煩、不眠など。
厥陰病:外感病末期。寒熱錯雑。胸部不快感、口渇、四肢厥冷、嘔吐、下痢など。

1.× 手の少陰経
少陰病の症状として、外感病の極期~後期、虚寒/虚熱証。四肢厥冷、心煩、不眠などがあげられる。
手の少陰心経:吸願の乾燥、上腹部から前胸部にかけてが痛み、口渇が起こり、水分を取ろうとする。目の黄疽や充血、脇痛、経脈の流注部分が痛み、厥してくる。手掌に熱がこもり痛む。

2.× 手の少陽経
少陽病の症状として、半表半裹証。発汗、寒熱往来、胸脇苦満、口苦、眩暈、脈弦などがあげられる。
手の少陽三焦経:耳が聞こえにくく、耳が燃え上がるような感じがしたり、耳鳴りがする。咽頭が腫れ、喉を起こす。汗が出て、経絡の流注上に沿って病症が現れる。

3.〇 正しい。手の陽明経は、経脈病証で、喉に症状があり、外側前腕皮神経の支配領域に痛みがある。
陽明病の症状として、裏実熱証。発汗、壮熱、口渇、潮熱、大便秘結、譫語、洪脈などがあげられる。
手の陽明大腸経:下の歯が痛み、頸が腫れる。目が黄ばみ、口が乾き、鼻血が出て、扁桃炎のような症状が出る。肩髃から臂臑あたりの経脈の流注上に痛みが出る。示指が痛んで使えない。冷えたままでなかなか温まりにくい。

4.× 手の太陽経
太陽病の症状として、外感病初期、表寒証。悪寒、発熱、頭痛、項強痛、脈浮などがあげられる。
手の太陽小腸経:咽頭の痛み、顎の付け根の腫れ、後ろを振り返ることができない。肩が抜けるように痛み、上腕が折れるように痛む。耳が聞こえなくなり、目が黄ばんだり充血したり、類の辺りが腫れてくる。顎から顎の付け根、肩、上腕、肘など経脈の流注上が痛む。

 

 

 

 

 

問題98 六淫で生風を特徴とするのはどれか。

1.風邪
2.暑邪
3.燥邪
4.火邪

解答

解説

六淫とは?

風邪:陽性の邪気で軽揚性、開泄性、遊走性があり、他の外邪の先導役となる(百病の長)。
寒邪:陰性の邪気で寒冷性、凝滞性、収引性があり、陽気を損傷しやすい。
暑邪(熱邪):陽性の邪気で夏季のみに出現し、炎熱性、昇散性がある。気・津液を損傷しやすく、湿邪を伴う。
湿邪:陰性の邪気で重濁性、粘滞性、下注性がある。脾を損傷しやすい。気機を滞らせやすい。
燥邪:陽性の邪気で乾燥性があり、肺を損傷しやすい。秋に現れることが多い。
火邪(熱邪):陽性の邪気で炎上性があり、気・津液を損傷する。また、生風、動血という特徴も持つ。

1.× 風邪(※読み:かぜ)
陽性の邪気で軽揚性、開泄性、遊走性があり、他の外邪の先導役となる(百病の長)

2.× 暑邪(※読み:しょじゃ)
陽性の邪気で夏季のみに出現し、炎熱性、昇散性がある。気・津液を損傷しやすく、湿邪を伴う。

3.× 燥邪(※読み:そうじゃ)
陽性の邪気で乾燥性があり、肺を損傷しやすい。秋に現れることが多い。

4.〇 正しい。火邪(※読み:かじゃ)は、六淫で生風を特徴とする。
生風(※読み:せいふう)とは、鍼灸治療における虚証のひとつで、肝血虚により筋肉や皮膚への栄養供給が障害されている状態を指す。

 

 

 

 

 

問題99 内因において、気を緩ませる感情が過度に生じることでみられる症状はどれか。

1.失禁
2.動悸
3.食欲不振
4.声のかすれ

解答

解説

内因について

内因は、七情に分けられ、七情の刺激は直接内蔵(五臓六腑の「五臓」)に影響して疾病を引き起こす原因となる。これを「内傷七情」という。また、7つの感情と「気」の動きにも関係がある。
7情:【5臓】→気と主な症状
喜:心臓→気は緩む。主な症状として無気力・不安感・不眠。
怒:肝臓→上昇する。主な症状として頭痛・目の充血。
思:脾臓(胃腸)→停滞する。主な症状としてみぞおちのつかえ、食欲不振。
憂・悲:肺→消耗する。主な症状として咳・息切れ・溜息。
恐:腎臓→下降する。主な症状として失禁・髪が抜ける。
驚:腎臓→乱れる。主な症状として記憶力衰退・集中力低下。

1.× 失禁
これは、内因において、(気が下降する)ことで見られる症状である。

2.〇 正しい。動悸は、内因において、気を緩ませる感情が過度に生じることでみられる症状である。

3.× 食欲不振
これは、内因において、(気が停滞する)ことで見られる症状である。

4.× 声のかすれ
これは、内因において、憂・悲(気が消耗する)ことで見られる症状である。

 

 

 

 

 

問題100 湯液療法(和漢薬)について正しいのはどれか。

1.鉱物を用いる。
2.副作用がない。
3.証をたてる必要はない。
4.多くは単味で用いる。

解答

解説

湯液療法とは?

湯液療法とは、漢方薬の一種で、薬草を煎じて服用する治療法である。

1.〇 正しい。鉱物を用いる
漢方薬の原料は、樹皮、葉、根、実などの植物由来のものが9割以上であるが、そのほか、竜骨など化石や鉱物、牡蠣(ぼれい)など動物性のものもある。生のものを乾燥させ、煎じて作るのが基本である。

2.× 副作用が「ない」とはいいきれない
最も一般的な副作用は消化器症状である。胃もたれ、食欲不振、下痢、腹痛、腹部膨満感、口渇、消化不良などがある。

3.× 証をたてる必要がある。ない。
証とは、自覚症状及び他覚的所見からお互いに関連し合っている症候を総合して得られた状態(体質、体力、抵抗力、症状の現れ方などの個人差)をあらわす漢方独特の用語で、治療の指示(処方の決定)につながる。

4.× 多くは、「単味」ではなく複数で用いる。
漢方薬は、さまざまな生薬を組み合わせて作られた薬である。漢方薬は、それぞれの病気に適した処方として使用される。ただし、漢方薬を複数処方された場合、一部の生薬が重複する可能性がある。

 

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