第30回(R4年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前71~75】

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問題71 社会的リハビリテーションに該当するのはどれか。

1.職業訓練
2.特別支援教育
3.二次的合併症の予防
4.施設入所支援

解答

解説

リハビリテーションの種類

①医学的リハビリテーション、②教育リハビリテーション、③職業リハビリテーション、④社会的リハビリテーション

1.× 職業訓練は、職業リハビリテーションである。
職業リハビリテーションとは、障害者が適当な雇用に就き、それを継続し、かつ、それにおいて向上することができるようにすること及びそれにより障害者の社会への統合又は再統合を促進することを目的とされているリハビリテーションである。

2~3.× 特別支援教育/二次的合併症の予防は、教育リハビリテーションである。
教育リハビリテーションとは、障害のある児童や人の能力を向上させ、潜在能力を開発し、自己実現を図れるように支援することを目的にした支援活動である。

4.〇 正しい。施設入所支援は、社会的リハビリテーションに該当する。
社会リハビリテーションとは、社会生活力を高めることを目的としたプロセスである。 社会生活力とは、様々な社会的な状況の中で、自分のニーズを満たし、一人ひとりにとって可能な最も豊かな社会参加を実現する権利を行使する力を意味する。

 

 

 

 

 

問題72 リハビリテーション医療チームのうち、退院後在宅での施設利用を調整する職種はどれか。

1.看護師
2.作業療法士
3.義肢装具士
4.医療ソーシャルワーカー

解答

解説
1.× 看護師
看護師とは、医師の診察にもとづき、診療や治療の補助を行い、病気やケガなどで不自由な生活を送る患者さんに対して、看護を提供する職業である。また、医師の補助、患者さんと医療スタッフ間のコミュニケーションの円滑、患者さんの相談や指導などといった心のケアを行う。

2.× 作業療法士
作業療法士とは、医師の指示のもとに手工芸・芸術・遊びやスポーツ・日常動作などを行うことにより、障害者の身体運動機能や精神心理機能の改善を目指す治療(作業療法)を行う専門職である。つまり、食事動作等、日常生活動作の回復が役割である。

3.× 義肢装具士
義肢装具士とは、法律上、「医師の指示の下に、義肢及び装具の装着部位の採型並びに義肢及び装具の製作及び身体への適合を行うことを業とする者」と定められ、医師の処方に従い患者さんの採型や採寸を行い、これを元に義肢装具を製作して、病院などで適合を行う。

4.〇 正しい。医療ソーシャルワーカーは、リハビリテーション医療チームのうち、退院後在宅での施設利用を調整する職種である。
医療ソーシャルワーカーとは、医療福祉(①医療、②保健衛生、③社会保険、④社会福祉及び介護)に関するサービスを提供する事業の総称である。したがって、それぞれのサービスを分類すると、職種には、「医療、医療補助系」「検査系」「介護系」「リハビリテーション系」などがあげられる。この職種は、医療機関などにおける福祉の専門職で、病気になった患者や家族を社会福祉の立場からサポートする。

 

 

 

 

 

問題73 疾患と異常歩行の組合せで正しいのはどれか。

1.腰部脊柱管狭窄症:間欠跛行
2.脊髄小脳変性症:分回し歩行
3.パーキンソン病:酩酊歩行
4.脳卒中片麻痺:小刻み歩行

解答

解説
1.〇 正しい。腰部脊柱管狭窄症:間欠跛行
腰部脊柱管狭窄症とは、脊柱管が腰部で狭くなる病気である。そのため、腰から下の神経に関連する症状(しびれや疼痛、脱力など)が出現する。歩行時には腰痛があまり強くならない事が多く、歩行と休息を繰り返す間欠性破行が特徴である。

2.× 脊髄小脳変性症は、「分回し歩行」ではなく酩酊歩行である。
脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とし、原因が、感染症、中毒、腫瘍、栄養素の欠乏、奇形、血管障害、自己免疫性疾患等によらない疾患の総称である。遺伝性と孤発性に大別され、①純粋小脳型(小脳症状のみが目立つ)と、②多系統障害型(小脳以外の症状が目立つ)に大別される。脊髄小脳変性症の割合として、孤発性(67.2%)、常染色体優性遺伝性(27%)、が常染色体劣性遺伝性(1.8%)であった。孤発性のものの大多数は多系統萎縮症である。(※参考:「18 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」厚生労働省様HPより)

3.× パーキンソン病は、「酩酊歩行」ではなく小刻み歩行である。
パーキンソン病とは、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である。4大症状として①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害を特徴とする。また、自律神経障害による便秘や起立性低血圧、排尿障害、レム睡眠行動障害などが起こる。レム睡眠行動障害とは、レム睡眠の時期に体が動き出してしまう睡眠障害の1つである。 睡眠時随伴症に分類される。

4.× 脳卒中片麻痺は、「小刻み歩行」ではなく分回し歩行である。
ぶん回し歩行(痙性片麻痺歩行)は、麻痺により下肢がうまく動かず、円を書くように歩く。脳血管障害で起こりやすい。

 

 

 

 

 

問題74 手関節背屈装具の適応となるのはどれか。

1.正中神経麻痺
2.橈骨神経麻痺
3.筋皮神経麻痺
4.尺骨神経麻痺

解答

解説

手関節背屈装具とは?

手関節背屈装具とは、コックアップ・スプリント(手関節固定装具)ともいい、手関節を機能的な位置に保持できないときに適応され、特に橈骨神経麻痺・中枢弛緩性麻痺の拘縮予防に用いられる。機能的把持動作を可能とする。

1.× 正中神経麻痺
正中神経麻痺とは、tear drop sign(ティア ドロップ サイン)または、perfect O(パーフェクト Oテスト)や、Phalen(ファレンテスト)が陽性となる麻痺である。ファーレン徴候(Phalen徴候)とは、手首を曲げて症状の再現性をみる検査である。perfect O(パーフェクト Oテスト)とは、親指と人差し指の先端をくっつけて丸形を作る検査である。

2.〇 正しい。橈骨神経麻痺は、手関節背屈装具の適応となる。
橈骨神経麻痺は、下垂手がみられる。手関節・手指の伸筋群と、長母指外転筋・短母指伸筋の麻痺により、手関節背屈、示指から小指のMP関節伸展、母指伸展・外転が困難となる。

3.× 筋皮神経麻痺
筋皮神経とは、頚から出た腕神経の束から枝分かれした神経である。主に、上腕二頭筋と前腕外側の感覚を司る。

4.× 尺骨神経麻痺
尺骨神経麻痺は、Froment徴候陽性や鷲手がみられる。Froment徴候(フローマン徴候)とは、母指の内転ができなくなり、母指と示指で紙片を保持させると母指が屈曲位をとることである。

 

 

 

 

 

問題75 スプーンを持ってスープを口に運ぶ際、前腕と手関節の運動方向の組合せで最も適切なのはどれか。

1.前腕回外:手関節屈曲
2.前腕回外:手関節伸展
3.前腕回内:手関節屈曲
4.前腕回内:手関節伸展

解答

解説
1.〇 正しい。前腕回外:手関節屈曲(掌屈)
スプーンを持ってスープを口に運ぶ際、前腕と手関節の運動方向の組合せである。

2.前腕回外:手関節伸展(背屈)
手関節伸展(背屈)は、スプーンで食べ物をすくう際に、最初に行われる運動である。

3.前腕回内:手関節屈曲
前腕回内は、スプーンで食べ物をすくう際に行われる運動である。

4.前腕回内:手関節伸展
手関節伸展(背屈)は、スプーンで食べ物をすくう際に、最初に行われる運動である。

 

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