第30回(R4年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後161~165】

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はり理論試験問題(問題161~170)

問題161 打鍼法で用いる鍼の鍼尖形状はどれか。

1.卵形
2.松葉形
3.ノゲ形
4.スリオロシ形

解答

解説

(※図引用:「鍼の解説」北京堂鍼灸 伊東様HPより)

刺鍼の方式

・管鍼法:杉山和一が創案した鍼法。松葉形の鍼が適している。
・打鍼法:御園意斎が大成した鍼法。スリオロシ形の鍼が適している。
→打鍼法の手技:勝曳の鍼、火曳の鍼、散ずる鍼、止める鍼、胃快の鍼、吐かす鍼などがある。※打鍼法は主に腹証から腹部の治療を行う。
・撚鍼法:最も古くからある鍼法。柳葉形の鍼が適している。

1.× 卵形
卵型は、松葉形より先端に丸みをもたせたものである。組織が硬いと進みにくい。

2.× 松葉形
松葉形は、ノゲ形に丸味をもたせたものである。刺入しやすく痛みも少ない。

3.× ノゲ形
ノゲ形は、撚鍼法(鍼管を使わない刺入)で刺入しやすい。刺入技術が未熟だと痛みを伴いやすい。

4.〇 正しい。スリオロシ形は、打鍼法で用いる鍼の鍼尖形状である。
スリオロシ形は、鍼体の途中から徐々に細くしたものである。

MEMO

松葉形:ノゲ形に丸味をもたせたもの(刺入しやすく痛みも少ない)。
柳葉形:ノゲと松葉の中間の形にしたもの。
卵型:松葉形より先端に丸みをもたせたもの。組織が硬いと進みにくい。
ノゲ形:撚鍼法(鍼管を使わない刺入)で刺入しやすい。刺入技術が未熟だと痛みを伴いやすい。
スリオロシ形:鍼体の途中から徐々に細くしたもので、現在はほとんど製造されていない。

 

 

 

 

 

問題162 刺鍼法と手技の組合せで正しいのはどれか。

1.撚鍼法:示指打法
2.打鍼法:気拍法
3.管鍼法:内調術
4.小児鍼法:火曳の鍼

解答

解説
1.× 示指打法は、撚鍼法ではなく打鍼法である。
撚鍼法:最も古くからある鍼法。柳葉形の鍼が適している。
示指打法:刺入した鍼に鍼管をかぶせ、弾入の要領で鍼管の上端を叩く。

2.× 気拍法は、打鍼法ではなく撚鍼法である。
打鍼法:御園意斎が大成した鍼法。スリオロシ形の鍼が適している。打鍼法の手技:勝曳の鍼、火曳の鍼、散ずる鍼、止める鍼、胃快の鍼、吐かす鍼などがある。※打鍼法は主に腹証から腹部の治療を行う。
副刺激術(気拍法):刺入した鍼の周囲を鍼管や指頭で叩き、響きを与える。

3.〇 正しい。管鍼法:内調術
管鍼法:杉山和一が創案した鍼法。松葉形の鍼が適している。
内調術:刺入した鍼の鍼柄を鍼管で叩打し、鍼体に動揺を与える。

4.× 小児鍼法は、「火曳の鍼」ではなく摩擦鍼や接触鍼である。
小児鍼法とは、主な対象は生後2週間後~小学生で、①摩擦鍼や②接触鍼のことを指す。
火曳の鍼は、温熱刺激によって経穴や部位に刺激を与え、身体の陽気を高め、正気を元気づける鍼治療である。

 

 

 

 

 

問題163 古代九鍼のうち三稜鍼のもとになったのはどれか。

1.鋒鍼
2.鈹鍼
3.大鍼
4.鑱鍼

解答

解説

MEMO

三稜鍼は、古代九鍼の一種である鋒鍼の別名である。三稜鍼は、三ツ目錐(三稜)であることからこの名前が付けられた。

1.〇 正しい。鋒鍼(※読み:ほうしん)が、古代九鍼のうち三稜鍼のもとになった。
鋒鍼(1寸6分)は、頑な痛み・しびれ、できものの時、手足末端経穴や局所を瀉す。

2.× 鈹鍼(※読み:ひしん)
鈹鍼(4寸)は、癰や大膿を切り開く。

3.× 大鍼(※読み:だいしん)
大鍼(4寸)は、関節に水がたまり腫れたときに瀉す。

4.× 鑱鍼(※読み:ていしん)
鑱鍼(1寸6分)は、熱が頭身の皮膚にあり、動くときに陽気(熱)を瀉す。

 

 

 

 

 

問題164 徒手検査法が陽性の病態に、局所刺鍼が最も有効なのはどれか。

1.マクマレーテスト
2.トーマステスト
3.ラックマンテスト
4.ドロップアームテスト

解答

解説
1.× マクマレーテスト
McMurrayテスト(マックマリーテスト)の陽性は、半月板損傷を疑う。①背臥位で膝を完全に屈曲させ片手で踵部を保持する。②下腿を外旋させながら膝を伸展させたときに痛みやクリックを感じれば内側半月の損傷、下腿を内旋させながら膝を伸展させたときに生じるならば外側半月の損傷を示唆する。

2.〇 正しい。トーマステストは、徒手検査法が陽性の病態に、局所刺鍼が最も有効である。
トーマステストは、股関節屈曲拘縮(腸腰筋の短縮)を診るテストである。背臥位で股関節・膝関節を屈曲する。反対側の膝が持ち上がると陽性である。ほかの部位は、炎症を伴う損傷であるため、局所刺鍼が炎症の増悪になりかねないため優先度は低い。

3.× ラックマンテスト
Lachmanテスト(ラックマンテスト)は、膝関節前十字靱帯損傷の検査である。背臥位で膝関節を20~30度屈曲させて、下腿部近位端を斜め前方へ引き出す。陽性の場合、脛骨は止まることなく前方に出てくる。

4.× ドロップアームテスト
drop arm(ドロップアーム)テストの陽性は、肩腱板断裂を疑う。方法は、座位で被験者の肩関節を90°より大きく外転させ、検者は手を離す。

炎症の対応

炎症4徴候として、疼痛や腫脹、発赤、熱感があげられる。基本的に、RICE処置を実施する。RICE処置とは、疼痛を防ぐことを目的に患肢や患部を安静(Rest)にし、氷で冷却(Icing)し、弾性包帯やテーピングで圧迫(Compression)し、患肢を挙上すること(Elevation)である。頭文字をそれぞれ取り、RICE処置といわれる。

Rest(安静):患部の活動を制限し、さらなる損傷を防ぐ。
Ice(冷却):局所的な炎症反応を抑え、疼痛を軽減する。
Compression(圧迫):浮腫や出血、腫脹を抑える。
Elevation(挙上):重力を利用して浮腫や腫脹の減少、血行改善させる。

 

 

 

 

 

問題165 仰臥位による置鍼時に患者がくしゃみをした場合、最も折鍼が起こりやすい部位はどれか。

1.印堂
2.膻中
3.天枢
4.中都

解答

解説

MEMO

・置鍼術:鍼を刺入した後、しばらく留め、反応をみて抜鍼する。
【折鍼】
原因:鍼自体の欠陥、患者の不意な体動、(直流)電流による通電、オートクレーブでの反復滅菌、湿気を含むなど
処置:体動を禁じ、皮膚表面に断端が出ればピンセットで引き抜く。抜鍼できない場合には外科手術が必要。

1.× 印堂(※読み:いんどう)
印堂は、顔面部、神庭(督)の下方、眉間中央陥凹部に取る。奇穴の【主治】として、小児ひきつけ、鼻疾患、頭痛、眩量、不眠があげられる。

2.× 膻中(※読み:だんちゅう)
任脈の膻中は、前胸部、前正中線上、第4肋間と同じ高さに位置する。

3.〇 正しい。天枢(※読み:てんすう)は、仰臥位による置鍼時に患者がくしゃみをした場合、最も折鍼が起こりやすい部位である。
なぜなら、くしゃみは腹筋の収縮が強くなるため。腹筋の収縮時、負担がかかり折鍼が生じる。ちなみに、足の陽明胃経である天枢は、上腹部、臍中央の外方2寸に位置する。

4.× 中都(※読み:ちゅうと)
足の厥陰肝経である中都は、下腿前内側、脛骨内側面の中央、内果尖の上方7寸に位置する。

 

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