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問題46 血圧について正しいのはどれか。
1.心臓の拡張期に最高となる。
2.脈圧は収縮期血圧と拡張期血圧の差である。
3.触診法で拡張期血圧が測定できる。
4.圧迫帯は肘関節に巻く。
解答2
解説
血圧とは、心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押す力のことである。血圧は、体のすべての血管にあるが、一般的に動脈特に上腕動脈の圧力を意味する。血圧の高さは、心臓が血液を押し出す力と血管の拡張で決まる。
1.× 心臓の「拡張期」ではなく収縮期に最高となる。
拡張期血圧とは、心臓が拡張したときの血圧を指す。拡張期圧、最小血圧、最低血圧ともいう。 拡張期とは、全身から戻った血液が心臓にたまり、心臓が拡張している状態である。
2.〇 正しい。脈圧は収縮期血圧と拡張期血圧の差である。
正常値は40~60で、この差が大きいほど動脈硬化が進んでいている指標となる。
3.× 拡張期血圧が測定できるのは、「触診法」ではなく聴診法である。
4.× 圧迫帯は、「肘関節」ではなく上腕部に巻く。
血圧測定には①触診法と②聴診法がある。
【触診法(収縮期血圧の測定)】
①橈骨動脈(または肘窩上腕動脈)を触知し、70mmHgまで速やかに加圧する。
②脈を触知しなくなるまで、10mmHgずつ加圧する。
③脈を触知しなくなった点から、20~30mmHg加圧する。
④1拍動に2~4mmHgの速度で減圧する。
⑤脈が触れ始めた時点の圧を収縮期血圧とする。
【聴診法(収縮期血圧と拡張期血圧の測定)】
①聴診器を肘窩上腕動脈の上に置く(マンシェットより末梢側)。
②触診法で確認した収縮期血圧の20~30mmHg上まで加圧する。
③1拍動につき2~4mmHgの速度で減圧する。
④コロトコフ音が聴こえ始めた時点の圧を収縮期血圧とする。
⑤1拍動につき2~4mmHgの速度で減圧を続ける。
⑥ コロトコフ音が聴こえなくなった時点の圧を拡張期血圧とする。
問題47 反復する回転性めまいをきたしやすい疾患はどれか。
1.貧血
2.髄膜炎
3.メニエール病
4.脳幹梗塞
解答3
解説
1.× 貧血のめまいは、脳が酸素不足になるため、足元が安定せず、ふわふわと雲の上を漂っているような浮遊感を伴う。
ちなみに、貧血とは、血液中のヘモグロビン濃度が低下した状態である。
2.× 髄膜炎のめまいは、めまいは起こりにくい。
髄膜炎とは、なんらかの理由(主な病原体:髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌)で、髄膜が炎症を起こす病気である。症状は、髄膜炎の3大症状でもある発熱、頭痛、項部硬直で、75%以上の意識障害(傾眠~昏睡と程度は様々)である。他にも、嘔吐や羞明もよくみられる。けいれんは初期症状にみられ、髄膜炎の全経過を通して20~40%に起こる。
3.〇 正しい。メニエール病は、反復する回転性めまいをきたしやすい疾患である。
Ménière病とは、膜迷路を満たしている内リンパ液の内圧が上昇し、内リンパ水腫が生じる内耳疾患である。4大症状として、①激しい回転性のめまい、②難聴(感音難聴)、③耳鳴り、④耳閉感を繰り返す内耳の疾患である。主な原因は「内リンパ水腫」で、 その根底にはストレス・睡眠不足・疲労・気圧の変化・几帳面な性格などがあると考えられている。耳発作時では安静を第一に考えた指導を行い、間欠期では発作が起こらないようにするための指導をする。回転性めまいとは、自分は動いていないにも関わらず、自分や周囲(天井や壁など)がぐるぐる回っているようなめまいのことである。
4.× 脳幹梗塞のめまいは、突然の激しい失調性である。
なぜなら、脳幹と小脳は密接な関係であるため。
・小脳半球(新小脳)は、四肢(特に上肢)の協調運動を司っている(失調性歩行、企図振戦、構音障害など)。失調性歩行は、ワイドベースや酩酊歩行、よろめき歩行ともいう。
・小脳虫部は、体幹と下肢の協調運動、片葉小節葉を含む古小脳は身体のバランス維持と頭頸部の協調運動を司る(主に体幹失調)。
問題48 黄疸をきたす疾患はどれか。
1.糖尿病
2.慢性心不全
3.脂質異常症
4.溶血性貧血
解答4
解説
黄疸とは、皮膚や粘膜が胆汁色素(ビリルビン)で黄色に染まることで、胆汁色素の血漿中濃度の上昇により生じる。原因としては、①溶血によるもの、②肝細胞の障害によるもの、③胆汁の流れの障害によるもの、④体質によるもの、などがある。胆汁は肝臓で作られ、胆管を通じて十二指腸に排出されるが、その流れが障害されたときに生じる黄疸のことを閉塞性黄疸と呼ぶ。多くは総胆管結石や腫瘍により、胆管が閉塞することが原因となる。
1.× 糖尿病
2型糖尿病とは、遺伝的な体質(インスリン分泌低下、インスリン抵抗性)に過食、運動不足、肥満が加わることにより起こる糖尿病を指す。一方で、1型糖尿病の原因として、自己免疫異常によるインスリン分泌細胞の破壊などがあげられる。ちなみに、低血糖症状は、①自律神経症状と②中枢神経症状に分けられる。①自律神経症状は、冷感・顔面蒼白・頻脈・動悸・発汗・手の震え・空腹感などである。②中枢神経症状は、頭痛・集中力低下・視力低下・痙攣・昏睡などである。予防法として、飴や角砂糖などを携帯してもらう。
2.× 慢性心不全
慢性心不全とは、心臓だけではなく、全身症状(息切れや脱力感など)をきたし、日常生活に支障をきたしている状態である。代表的な症状は、動悸・動作時の息切れ・呼吸困難・体のむくみ・体重増加などあり、さらに悪化すれば、夜間に急に息が苦しくなって目が覚めたり、じっとしていても息が切れることもある。日常生活の指導では、①塩分の過剰摂取を控える、②息切れしないように休みながら活動する、③適度な運動で体力をつける等が挙げられる。
3.× 脂質異常症
脂質異常症とは、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、高トリグリセリド(TG)血症を指し、動脈硬化の原因となる。その治療で重要なのは、薬物療法のほか、食事指導による適正体重の維持や内臓脂肪の減量である。まず食事指導の基本は、総摂取エネルギーと栄養素配分を適正化することである。
4.〇 正しい。溶血性貧血は、黄疸をきたす疾患である。
溶血性貧血とは、血管の中を流れる赤血球が破壊される(溶血)ことにより起こる貧血の一種である。これにより、血液中の赤血球の数が減少し、貧血状態になる。溶血性貧血は、血液中のビリルビン(赤血球の分解産物)の量が増加することで黄疸となる。
問題49 生後3か月の女児が乳児健康診査で股関節開排制限を指摘された。診察で誤っているのはどれか。
1.大腿部の皮膚のしわを観察する。
2.開排位での大転子と坐骨結節間の距離を診る。
3.ラックマン徴候を診る。
4.超音波断層像を診る。
解答3
解説
・生後3か月の女児
・股関節開排制限を指摘
→本症例は、発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)が疑われる。股関節開排制限や大腿皮膚溝、鼠径皮膚溝の非対称を確認する。発育性股関節形成不全とは、生下時の女児(0~1歳)におこる股関節の脱臼などの状態である。現在では、先天性股関節脱臼のことを発育性股関節形成不全と呼ぶ傾向にある。変形性股関節症の原因となることが多い。片側に発症することが多く、リーメンビューゲル装具(アブミ式吊りバンド)で開排(屈曲・外転)肢位にして治療する。リーメンビューゲル装具で改善しない場合、牽引療法を、さらに治療が困難な場合は、観血的整復術や補正手術を検討する。
1.〇 大腿部の皮膚のしわを観察する。
大腿皮膚溝、鼠径皮膚溝の非対称を確認することで、発育性股関節形成不全の有無を確認できる。
2.〇 開排位での大転子と坐骨結節間の距離を診る。
触診にて、大転子と坐骨結節の距離が左右対称かどうか確認する。
3.× ラックマン徴候を診る必要はない。
なぜなら、ラックマン徴候は、膝関節の前十字靱帯損傷を確認する徒手検査法であるため。Lachmanテスト(ラックマンテスト)は、背臥位で膝関節を20~30度屈曲させて、下腿部近位端を斜め前方へ引き出す。陽性の場合、脛骨は止まることなく前方に出てくる。
4.〇 超音波断層像を診る。
超音波断層像とは、超音波断層法によって得られる画像のことである。
問題50 特発性側弯症について正しいのはどれか。
1.男性に多い。
2.前屈姿勢で左右の鎖骨の張り出しの差を診る。
3.コブ角は脊椎側面エックス線写真で測定する。
4.早期発見には学校健康診断が重要である。
解答4
解説
側弯症とは、背骨が左右に弯曲した状態で、背骨自体のねじれを伴うことがある。通常、小児期にみられる脊柱変形を指す。左右の肩の高さの違い、肩甲骨の突出、腰の高さの非対称、胸郭の変形、肋骨や腰部の隆起(前かがみをした姿勢で後ろから背中をみた場合)、などの変形を生じる。診断基準として、「コブ角」が 10°以上の場合が一般的である。コブ角とは、脊柱の上下で最も曲がりの強い椎体 から直線を伸ばし、その 2 本の直線の交差する角度のことである。
1.× 「男性」ではなく女性に多い。
特発性側弯症は、原因がはっきりと分かっていない側弯症の約80%を占める。成長期である小学校高学年から中学校時代に発症する思春期特発性側弯症が最も多いもので、女子が男子の5~7倍発症する。
2.× 前屈姿勢で左右の「鎖骨」ではなく肋骨の張り出しの差を診る。
側弯症は、脊柱が左右に湾曲する状態を指す。これにより、脊柱が湾曲した側の肋骨が突出し、体表から見て明らかに肋骨が隆起して見える。これは側弯症の典型的な症状の一つである。
3.× コブ角は、脊椎「側面」ではなく前後面エックス線写真で測定する。
コブ角とは、脊柱の上下で最も曲がりの強い椎体から直線を伸ばし、その2本の直線の交差する角度のことである。
4.〇 正しい。早期発見には学校健康診断が重要である。
なぜなら、成長期である小学校高学年から中学校時代に発症する思春期特発性側弯症が最も多いため。学校健康診断とは、学校保健安全法に基づいて、学校で児童生徒や職員の健康を維持増進するために実施される健康診断である。