この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
次の文で示す症例について、問題135、問題136の問いに答えよ。
「71歳の男性。100mの歩行で左下腿後面に絞扼痛が出現、休息で軽快。仰臥位で両下肢を挙上させ30秒足趾を屈伸させると患側足底部が白くなる。SLRテスト陰性。」
問題136 本症例で、症状のある筋の支配神経近傍に刺鍼し、低周波鍼通電療法を行う場合、最も適切な経穴はどれか。
1.陰廉
2.委中
3.足三里
4.陽陵泉
解答2
解説
・71歳の男性。
・100m歩行:左下腿後面に絞扼痛が出現、休息で軽快。
・仰臥位:両下肢を挙上させ30秒足趾を屈伸させると患側足底部が白くなる。
・SLRテスト:陰性。
→本症例の左下腿後面に絞扼痛(脛骨神経)に対し治療する。しかし、特殊鍼法である鍼通電の禁忌として、循環障害、重篤な動脈疾患があげあれるため、注意が必要である。
1.× 陰廉(※読み:いんれん)
陰廉は、大腿部内側、気衝の下方2寸に位置する。大腿神経領域である。
2.〇 正しい。委中が、低周波鍼通電療法を行う場合、最も適切な経穴である。
なぜなら、委中(※読み:いちゅう)の深部に脛骨神経が通るため。ちなみに、委中は、膝後面、膝窩横紋の中点に位置する。
3.× 足三里(※読み:あしさんり)
足三里は、下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方3寸に位置する。前脛骨筋の治療穴である。
4.× 陽陵泉(※読み:ようりょうせん)
陽陵泉は、下腿外側、腓骨頭前下方の陥凹部に位置する。長腓骨筋の治療穴である。
特殊鍼法である鍼通電は、鍼に低周波通電する方法で、鍼麻酔が代表的である。鍼の腐食を考慮し、3~5番鍼(20~24号銅)以上の鍼を用いる。通電(電気療法)は妊婦、ペースメーカー、知覚脱失、循環障害、重篤な動脈疾患、原因不明の発熱、強い皮膚病変などの患者には禁忌とされる。また、通電装置の出力に影響を及ぼすため、通電装置と超短波治療器あるいはマイクロ波治療器を近接して使用すべきではない。20号鍼(3番鍼)以上の太さが推奨される。病的共同運動には高Hz(100HZ)で行うとよい。
次の文で示す症例について、問題137、問題138の問いに答えよ。
「26歳の男性。主訴は腹痛と下痢。IT企業でストレスの多い仕事に従事している。1日数回排便する。器質的な病変はない。」
問題137 下痢の病態で最も適切なのはどれか。
1.消化管からの分泌亢進
2.消化管運動の亢進
3.消化管知覚閾値の上昇
4.消化管支配の交感神経機能亢進
解答2
解説
・26歳の男性(主訴:腹痛と下痢)
・IT企業でストレスの多い仕事。
・1日数回排便する。
・器質的な病変はない。
→本症例は、過敏性腸症候群の下痢型が疑われる。過敏性腸症候群とは、通常の検査では腸に炎症・潰瘍・内分泌異常などが認められないにも関わらず、慢性的に腹部の膨張感や腹痛を訴えたり、下痢や便秘などの便通の異常を感じる症候群である。腸の内臓神経が何らかの原因で過敏になっていることにより、引き起こされると考えられている。それぞれタイプが存在し、①下痢型(ストレスや緊張などのわずかなきっかけによって腹痛と激しい便意とともに下痢を生じる)、②便秘型(便秘に伴ってお腹の張りなどの症状が起こる)、③混合型(便秘と下痢が交互に繰り返すもの)がある。
1.× 消化管からの分泌亢進
消化管からの分泌液(例えば、胃液)が亢進すると、胃酸過多ともいい、胃液が胃粘膜を傷つけ胃痛の原因となる。他にも、胃もたれ、胸やけなどの症状を起こす。過敏性腸症候群との関連性は薄い。
2.〇 正しい。消化管運動の亢進が、下痢の病態である。
なぜなら、消化管運動は、消化管において内容物を混和し、輸送する筋肉の収縮であるため。つまり、消化しきらず、弁となり下痢となる。
3.× 消化管知覚閾値は、「上昇」ではなく低下する。
閾値とは、感覚や反応や興奮を起こさせるのに必要な、最小の強度や刺激などの(物理)量である。したがって閾値が高いと(上がると)、 感覚を感じにくくなることをさす。
4.× 消化管支配の「交感神経」ではなく副交感神経機能亢進である。
なぜなら、副交感神経の興奮で、消化管運動が活発になるため。
次の文で示す症例について、問題137、問題138の問いに答えよ。
「26歳の男性。主訴は腹痛と下痢。IT企業でストレスの多い仕事に従事している。1日数回排便する。器質的な病変はない。」
問題138 本症例の病証として最も適切なのはどれか。
1.脾気虚
2.脾腎陽虚
3.肝脾不和
4.腎気虚
解答3
解説
・26歳の男性(主訴:腹痛と下痢)
・IT企業でストレスの多い仕事。
・1日数回排便する。
・器質的な病変はない。
→肝脾不和が、本症例の病証である。肝脾不和とは、肝臓と脾臓の連携が乱れ、脾臓から肝臓への受け渡しがうまくいかない状態である。症状として、胃痛、腹痛、食欲不振、お腹や胸の張り、イライラ、憂うつ感などである。
1.× 脾気虚
脾気虚は、食欲不振、腹脹、大便溏薄、倦怠感、息切れ、自汗、面色萎黄などである。
2.× 脾腎陽虚
五更泄瀉は、脾腎陽虚にみられ、夜明け前:午前3~5時の下痢、鷄鳴下痢のものをいう。
3.〇 正しい。肝脾不和が、本症例の病証である。
肝脾不和とは、肝臓と脾臓の連携が乱れ、脾臓から肝臓への受け渡しがうまくいかない状態である。症状として、胃痛、腹痛、食欲不振、お腹や胸の張り、イライラ、憂うつ感などである。
4.× 腎気虚
腎気虚は、①腎気不固(遺尿、頻尿、流産・早産、倦怠感、脈沈弱など)、②腎不納気(呼吸困難、息切れ、呼多吸少、倦怠感、脈沈弱など)がある。
次の文で示す症例について、問題139、問題140の問いに答えよ。
「18歳の男性。主訴は頭痛。7日前に薄着で体が冷え、その日の夜から悪寒、発熱、頭痛を自覚し、風邪薬を飲んでも完治しない。咳と痰はなく、汗をかきやすい。舌は薄白苔、脈は浮緩。」
問題139 病証として最も適切なのはどれか。
1.肺陰虚証
2.手の太陰経脈病証
3.手の少陰経脈病証
4.風寒表虚証
解答4
解説
・18歳の男性(主訴:頭痛)
・7日前:薄着で体が冷えた。
・7日前の夜:悪寒、発熱、頭痛を自覚、風邪薬を飲んでも完治しない。
・咳と痰はなく、汗をかきやすい。
・舌:薄白苔、脈:浮緩。
→本症例は、風寒表虚証が疑われる。風寒表虚証とは、風邪の風寒型で、発汗があるタイプ指す。気虚は、倦怠感、無力感、眩暈、息切れ、懶言、自汗、易感冒などがあげられる。
1.× 肺陰虚証
肺陰虚は、乾いた咳嗽、痰(粘稠で少量黄色)、盗汗、のぼせ、口乾、舌質紅などがあげられる。
2.× 手の太陰経脈病証
手の太陰経脈は、あえぎ、咳、喉の痛み上腕、前腕の経所の流れる所が痛んだり、感覚異常が起こる。手の平が熱くなる。肩背が痛み、風寒の邪が襲ってくると汗が出る。小便が少しずつ出で回数が多い、もしくは小便がしばしば出てあくびをする。肩背が冷えて痛み、酸素不足の様な感じがする。尿の色が変わる。
3.× 手の少陰経脈病証
手の少陰心経は、吸願の乾燥、上腹部から前胸部にかけてが痛み、口渇が起こり、水分を取ろうとする。目の黄疽や充血、脇痛、経脈の流注部分が痛み、厥してくる。手掌に熱がこもり痛む。
4.〇 正しい。風寒表虚証が、本症例の病証である。
風寒表虚証とは、風邪の風寒型で、発汗があるタイプ指す。気虚は、倦怠感、無力感、眩暈、息切れ、懶言、自汗、易感冒などがあげられる。
風邪の初期は、①風寒型、②風熱型の大きく2つの「証」に分けられる。①風寒型は、「青い風邪」ともいわれ、悪寒、発熱、頭痛、鼻水、関節の痛みなどの症状が見られる。その中でも、発汗の有無によって、「風寒表実証」と「風寒表虚証」に分かれる。
次の文で示す症例について、問題139、問題140の問いに答えよ。
「18歳の男性。主訴は頭痛。7日前に薄着で体が冷え、その日の夜から悪寒、発熱、頭痛を自覚し、風邪薬を飲んでも完治しない。咳と痰はなく、汗をかきやすい。舌は薄白苔、脈は浮緩。」
問題140 本症例に対する治療として適切なのはどれか。
1.背部兪穴を瀉して去風する。
2.肺経の要穴を使って陰液を補う。
3.膀胱経の要穴を使って経脈を疏通する。
4.肺経の要穴を補して表を閉じる。
解答1or4
解説
・18歳の男性(主訴:頭痛)
・7日前:薄着で体が冷えた。
・7日前の夜:悪寒、発熱、頭痛を自覚、風邪薬を飲んでも完治しない。
・咳と痰はなく、汗をかきやすい。
・舌:薄白苔、脈:浮緩。
→本症例は、風寒表虚証が疑われる。風寒表虚証とは、風邪の風寒型で、発汗があるタイプ指す。気虚は、倦怠感、無力感、眩暈、息切れ、懶言、自汗、易感冒などがあげられる。
1.〇 正しい。背部兪穴を瀉して去風する。
去風とは、風邪を除くことである。風寒表虚証とは、風邪の風寒型で、発汗があるタイプ指す。気虚は、倦怠感、無力感、眩暈、息切れ、懶言、自汗、易感冒などがあげられる。
2.× 肺経の要穴を使って陰液を補う。
陰液とは、陰に属する血・津液・精をまとめた呼称である。気は陽に属する。陰虚に対し行う。
3.× 膀胱経の要穴を使って経脈を疏通する。
本症例は、足の太陽膀胱経の症状は見られない。足の太陽膀胱経は、腰が折れる様に痛む。膝裏の辺りが引きつって結ばれたようになる。下腿三頭筋辺りが裂けるような感じがする。痔、マラリアまたはマラリア様の熱病、精神疾患、癇癪、頭頂部から項にかけて痛む。目が黄ばんだり、充血したり、涙が出たり鼻閉が起こり鼻血が出る。項から背部、膝裏まで流れる経脈の流注上が痛む。ちなみに、疏通とは、支障なく通ること、途中で妨げられないこと、筋道がよく通じることを意味である。
4.〇 正しい。肺経の要穴を補して表を閉じる。
本症例は、風寒表虚証が疑われる。表を閉じることが治療となる。
風邪の初期は、①風寒型、②風熱型の大きく2つの「証」に分けられる。①風寒型は、「青い風邪」ともいわれ、悪寒、発熱、頭痛、鼻水、関節の痛みなどの症状が見られる。その中でも、発汗の有無によって、「風寒表実証」と「風寒表虚証」に分かれる。