第26回(H30年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前1~5】

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専門基礎科目

問題1 平成26年度の国民医療費について正しいのはどれか。

1.40兆円を超える。
2.介護保険の費用が含まれる。
3.国民所得比は15%を超える。
4.財源は患者負担が30%を超える。

解答

解説

(※引用:「平成26年度 国民医療費の概況」厚生労働省様HPより)

1.〇 正しい。40兆円を超える。平成26年度の国民医療費は40兆8,071億円、前年度の40兆610億円に比べ7,461億円、1.9%の増加となっている(※引用:「平成26年度 国民医療費の概況」厚生労働省様HPより)。

2.× 介護保険の費用が「含まれない」。「国民医療費」とは、当該年度内の医療機関等における保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用を推計したものである。この費用には、医科診療や歯科診療にかかる診療費、薬局調剤医療費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費等が含まれる。なお、保険診療の対象とならない評価療養(先進医療(高度医療を含む)等)、選定療養(入院時室料差額分、歯科差額分等)及び不妊治療における生殖補助医療などに要した費用は含まない。また、傷病の治療費に限っているため、(1)正常な妊娠・分娩に要する費用、(2)健康の維持・増進を目的とした健康診断・予防接種等に要する費用、(3)固定した身体障害のために必要とする義眼や義肢等の費用も含まない(※一部抜粋:「国民医療費の範囲と推計方法の概要」厚生労働省HPより)。

3.× 国民所得比は15%を「超えていない」。国民所得比は、11.2%となっている。

4.× 財源は患者負担が30%を「超えていない」。財源は患者負担が11.07%である。ちなみに、対国民所得比とは、租税負担と社会保障負担(社会保険料など)の国民所得に占める割合のことである。

 

 

 

 

 

問題2 公的医療保険の対象となるのはどれか。

1.インフルエンザの予防接種
2.正常分娩
3.人間ドック
4.禁煙治療

解答

解説

医療保険とは?

(公的)医療保険とは、私たちやその家族が、病気やケガをしたときに医療費の一部を公的な機関が負担する制度のことである。つまり、医療保険は、疾病・負傷の治療が対象である。日本では「国民皆保険」といって、すべての人が何らかの公的医療保険に加入している

1.× インフルエンザの予防接種は、公的医療保険の対象外となる。なぜなら、予防接種は、病気重症化の予防を目的として行われるため。

2.× 正常分娩は、公的医療保険の対象外となる。なぜなら、なぜなら、正常分娩は、病気や怪我に対する治療ではないため。ただし、分娩に伴う合併症や異常分娩の場合は治療として扱われ、公的医療保険が適用され、また、出産に際しては「出産育児一時金」という別の制度が適用され、一定の補助が支給される。

3.× 人間ドックは、公的医療保険の対象外となる。なぜなら、人間ドックは、健康診断の一環として実施されるものであるため。

4.〇 正しい。禁煙治療は、公的医療保険の対象となる。ただし、条件が定められている。
【禁煙治療を受けることのできる方】以下の要件をすべて満たした方は、12週間に5回の禁煙治療に健康保険が適用されます。
①ニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS)で5点以上、ニコチン依存症と診断された方
②35歳以上の場合、ブリンクマン指数(=1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上の方
③直ちに禁煙することを希望されている方
④「禁煙治療のための標準手順書」に則った禁煙治療について説明を受け、当該治療を受けることを文書により同意された方TDSニコチン依存度テストについてはこちらから確認することができます。(※引用:「禁煙治療ってどんなもの?」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

問題3 施術者の倫理について正しいのはどれか。

1.業務上知り得た患者の秘密は研究目的であっても漏らしてはならない。
2.「ヒポクラテスの誓い」は現代には通用しない。
3.収益向上のためにはQOLは考えなくてもよい。
4.「患者の権利宣言」は日本には適用されない。

解答

解説

個人情報とは?

個人情報保護法(第2条)

『個人情報』とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名・生年月日その他の記述などにより特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう。

QOLとは?

QOL(Quality of life)とは、個人を主体としたその人自身の生命と生活の質のことである。人が人間らしく満足して生活しているか、自分らしい生活が送れているか「生活の質」を評価する概念である。

1.〇 正しい。業務上知り得た患者の秘密は、研究目的であっても漏らしてはならない。なぜなら、「個人情報保護法」に基づいて厳格に規定されているため。研究目的であっても、患者本人の同意がない限り、情報を漏らすことはできない。

2.× 「ヒポクラテスの誓い」は現代に「も通用する」。ジュネーブ宣言とは、1948年9月の第2回世界医師会総会で規定された医の倫理に関する規定であり、ヒポクラテスの誓いの倫理的精神を現代化・公式化したものである。守秘義務などが含まれている。

3.× 収益向上のためには、QOL(生活の質)も考える必要がある。むしろ、患者のQOL(生活の質)の向上が、患者の評判をあげ、収益向上に寄与する。医療は単に収益向上や病気を治療するだけでなく、患者のQOL(生活の質)を向上させることも重要な目的である。医療従事者は患者のQOLを常に念頭に置き、治療方針を決定する必要がある。

4.× 「患者の権利宣言」は日本にも「適用される」。なぜなら、「患者の権利宣言」は、患者の人権や医療における自己決定権を尊重するために定められたものであるため。日本でも患者の権利は重要視されており、例えば「インフォームド・コンセント」(十分な説明を受けた上での同意)などがその具体的な形として実践されている。リスボン宣言(患者の権利宣言)とは、1981年にポルトガルのリスボンで採択され、患者の権利に関する宣言である。①良質の医療を受ける権利、②選択の自由の権利、③自己決定の権利、④情報を得る権利、⑤プライバシーを守られる権利、⑥人間としての尊厳を得る権利が規定されている。

患者の権利

1.良質の医療を受ける権利
2.選択の自由の権利
3.自己決定の権利
4.意識喪失患者が代理人に付託する権利
5.法的無能力者が代理人に付託する権利
6.患者の意思に反する処置・治療に対する権利
7.医療情報に関する権利
8.秘密保持に関する権利
9.健康教育を受ける権利
10.人間としての尊厳が守られる権利
11.宗教的支援を受ける権利

 

 

 

 

 

問題4 市町村保健センターの役割はどれか。

1.食品衛生に関する業務
2.環境衛生に関する業務
3.エイズに関する相談
4.乳幼児健診

解答

解説

市町村保健センターとは?

市町村保健センターとは、健康相談、保健指導、健康診査など、地域保健に関する事業を地域住民に行うための施設である。地域保健法に基づいて多くの市町村に設置されている。産前・産後の事業も行われている。

地域保健法とは、地域保健対策の推進に関する基本指針、保健所の設置その他地域保健対策の推進に関し基本となる事項を定めることにより、母子保健法その他の地域保健対策に関する法律による対策が地域において総合的に推進されることを確保し、地域住民の健康の保持及び増進に寄与することを目的として制定された法律である。

1~2.× 食品衛生/環境衛生に関する業務は、保健所が担当する(下の保健所が実施する事業を参照)。

3.× エイズに関する相談は、保健所が担当する(下の保健所が実施する事業を参照)。

4.〇 正しい。乳幼児健診は、市町村保健センターの役割である。乳幼児健診とは、身長、体重、胸囲、頭囲を測定し、成長曲線と照らし合わせながら、成長度合いを確認する。身体的な健診に限らず、粗大運動・微細運動・精神面を含めた発達、疾患の有無に関しても確認する。また、発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)の有無を診るため、股関節開排制限や大腿皮膚溝、鼠径皮膚溝の非対称を確認する。

保健所が実施する事業

保健所は、次に掲げる事項につき、企画、調整、指導及びこれらに必要な事業を行う。
①地域保健に関する思想の普及及び向上に関する事項。
②人口動態統計その他、地域保健に係る統計に関する事項。
栄養の改善及び食品衛生に関する事項
住宅、水道、下水道、廃棄物の処理、清掃その他の環境の衛生に関する事項
⑤医事及び薬事に関する事項。
⑥保健師に関する事項。
⑦公共医療事業の向上及び増進に関する事項。
⑧母性及び乳幼児並びに老人の保健に関する事項。
⑨歯科保健に関する事項。
⑩精神保健に関する事項。
⑪治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病により、長期に療養を必要とする者の保健に関する事項。
エイズ、結核、性病、伝染病その他の疾病の予防に関する事項
⑬衛生上の試験及び検査に関する事項。
⑭その他地域住民の健康の保持及び増進に関する事項。

(※一部引用:「地域保健法」e-GOV法令検索様HPより)

 

 

 

 

 

問題5 母子健康手帳に標記載する項目はどれか。

1.学歴
2.職歴
3.婚姻歴
4.喫煙歴

解答2・3?・4

解説

母子健康手帳とは?

母子健康手帳とは、母子保健法に定められた市町村が交付する、妊娠、出産、育児の一貫した母子の健康状態を記録する手帳のことである。母子健康手帳の制度化は、母子保健法:昭和41年(1966年)である。

(※引用:「母子健康手帳」厚生労働省様HPより)

1.× 学歴は、母子健康手帳に標記載する項目ではない。なぜなら、母子健康手帳は、妊婦と子どもの健康管理や発育状況を記録するものであり、学歴は関連性が低いため。

2.〇 正しい。職歴(職業)は、母子健康手帳に標記載する項目である。なぜなら、胎児に影響を与える可能性があるため。例えば、職歴の場合、化学物質を吸い込みやすい環境(工事現場など)で働いていたことを確認できるため。

3.△ 婚姻歴は、母子健康手帳に標記載する項目ではない。ただし、いままでの妊娠という欄はある。

4.〇 正しい。喫煙歴は、母子健康手帳に標記載する項目である。『タバコは吸いますか?』という欄があり、『※喫煙と飲酒は、赤ちゃんの成長に大きな影響を及ぼしますので、やめましょう』と書かれている。

(※引用:「母子健康手帳」厚生労働省様HPより)

 

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