第26回(H30年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前6~10】

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問題6 平成25年の国民生活基礎調査において、高齢者が要介護となる原因として最も頻度が高いのはどれか。

1.関節疾患
2.高齢者による衰弱
3.骨折・転倒
4.脳血管疾患

解答

解説

(※図引用:「平成25年国民生活基礎調査の概況」厚生労働省HPより)

1.× 関節疾患は、要支援となる原因として最も高い(20.7%)。

2.× 高齢者による衰弱は、要介護となる原因は3番目である(12.6%)。

3.× 骨折・転倒は、要支援となる原因は3番目である(14.6%)。

4.〇 正しい。脳血管疾患は、平成25年の国民生活基礎調査において、高齢者が要介護となる原因として最も頻度が高い(21.7%)。

 

 

 

 

 

問題7 人口静態統計で調べる項目はどれか。

1.人口
2.死亡
3.出生
4.結婚

解答

解説
1.〇 正しい。人口は、人口静態統計で調べる項目である。人口静態統計とは、ある時点(時間の瞬間的な断面)における人口に関する統計のことである。人口静態統計に対し、人口の動的な側面をとらえる統計のことである。ちなみに、国勢調査は、人口静態統計のもとになる調査である。国勢調査とは、日本に住んでいるすべての人を対象に5年に1回行う調査で、国内の人口や世帯の実態を把握するために行われる。男女の別、出生の年月、就業状態、従業地または通学地、世帯員の数、住居の種類、住宅の建て方などを調べる調査である。

2~4.× 死亡/出生/結婚は、人口動態統計で調べる項目である。人口動態統計とは、一年を通して厚生労働省が集計・公表を行う出生・死亡・死産・婚姻・離婚の集計である。 日本の人口動態事象を把握し、人口及び厚生労働行政施策の基礎資料を得ることを目的とする。

 

 

 

 

 

問題8 アニサキス症の主症状はどれか。

1.発熱
2.腹痛
3.下痢
4.血尿

解答

解説

炎症4徴候とは?

炎症4徴候として、疼痛や腫脹、発赤、熱感があげられる。基本的に、RICE処置を実施する。RICE処置とは、疼痛を防ぐことを目的に患肢や患部を安静(Rest)にし、氷で冷却(Icing)し、弾性包帯やテーピングで圧迫(Compression)し、患肢を挙上すること(Elevation)である。頭文字をそれぞれ取り、RICE処置といわれる。

1.× 発熱は、アニサキス症の主症状とはいえない。主に、発熱は炎症症状の一つで、感染症などが疑われる。

2.〇 正しい。腹痛は、アニサキス症の主症状である。アニサキス症とは、アニサキスという寄生虫が海産魚介類に寄生しており、ヒトがその魚介類を生(不十分な冷凍や加熱をしたものも含む)で食べることで引き起こされる食品媒介寄生虫症である。アニサキスとは、寄生虫(線虫)の一種である。アニサキス幼虫は、長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで、白色の少し太い糸のように見える。生の魚介類を摂取した際に、消化器系に寄生することがあり、アニサキス症と呼ばれる感染症を引き起こすことがある。症状として、食後数時間後から十数時間後に、みぞおちの激しい痛み、悪心、嘔吐を生じる。食後十数時間後から数日後に、激しい下腹部痛、腹膜炎症状を生じる。

3.× 下痢は、アニサキス症の主症状とはいえない。下痢は、主にノロウイルスでみられる症状である。ノロウイルスは、もっとも一般的な胃腸炎の原因である。感染者の症状は、非血性下痢、嘔吐、胃痛(悪心・嘔吐、水様性下痢腹痛、発熱等の急性胃腸炎)が特徴である。発熱や頭痛も発生する可能性がある。症状は、通常ウイルス曝露後12〜48時間で発症し、回復は通常1〜3日以内である。合併症はまれだが、特に若人、年配者、他の健康上の問題を抱えている人では、脱水症状が起こることがある。原因として、①カキ等の二枚貝、②感染者の嘔吐物等への接触や飛沫による二次感染である。感染経路は、経口感染、接触感染、飛沫感染、空気(飛沫核)感染による。

4.× 血尿は、アニサキス症の主症状とはいえない。血尿は、主に糸球体腎炎などでみられる症状である。糸球体腎炎は、数週から数カ月の短い期間に急速に腎機能が低下する病気である。糸球体が侵される病気である。原因として、急性上気道炎などの感染後、10日ほど経ってから血尿、むくみ、高血圧などで発症する。症状として、血尿、蛋白尿、貧血を認め、倦怠感や発熱、体重減少などがあげられる。

 

 

 

 

 

問題9 精神保健について正しいのはどれか。

1.統合失調症は脳の器質的疾患である。
2.認知症では夜間せん妄を生じやすい。
3.うつ病では見当識障害を生じやすい。
4.適応障害の主症状は幻聴である。

解答

解説

”統合失調症とは?”

統合失調症とは、幻覚・妄想・まとまりのない発語および行動・感情の平板化・認知障害ならびに職業的および社会的機能障害を特徴とする。原因は不明であるが、遺伝的および環境的要因を示唆する強固なエビデンスがある。好発年齢は、青年期に始まる。治療は薬物療法・認知療法・心理社会的リハビリテーションを行う。早期発見および早期治療が長期的機能の改善につながる。統合失調症患者の約80%は、生涯のある時点で、1回以上うつ病のエピソードを経験する。統合失調症患者の約5~6%が自殺し,約20%で自殺企図がみられる。したがって、うつ症状にも配慮して、工程がはっきりしたものや安全で受け身的で非競争的なものであるリハビリを提供する必要がある。

(※参考:「統合失調症」MSDマニュアル様HPより)

1.× 統合失調症は、脳の「器質的」ではなく機能性疾患(原因は不明)である。機能性疾患とは、臓器に明らかな異常がないにも関わらず、症状がある状態のことを指す。ちなみに、器質的疾患とは、臓器そのものに炎症や癌などがあり、その結果として様々な症状が出現する病気や病態のことをいう。器質性疾患が原因のうつ病でも、抗うつ薬による治療を行う。

2.〇 正しい。認知症では夜間せん妄を生じやすい。なぜなら、認知症の「サンセット症候群」によるため。サンセット症候群とは、夕方から夜にかけて症状が悪化することで、混乱、幻覚、不安、攻撃性などが現れる。ちなみに、夜間せん妄とは、夜間にせん妄が出現する状態を指す。夜間せん妄では、夜間に大声を出したり暴れたりする症状が現れることもある。高齢者に多く、脳が混乱しやすい状況(入院で急に環境が変わるなど)や、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の投与でも生じやすくなる。

3.× うつ病では見当識障害を「生じにくい」生じやすい。見当識障害とは、「今がいつか(時間)」「ここがどこか(場所)」がわからなくなる状態である。自分の周囲の状況や、 自分が置かれている状況(人や時間、 場所)が正しく理解できなくなる。一方、うつ病とは、抑うつ感、希望や元気を失ったり、興味を失ったり、生産性が低下したり、睡眠障害、食欲の低下、身体症状などが2週間以上続いている状態である。原因は多岐にわたり、生物学的、環境的、社会的要因が関係していることが知られている。

4.× 幻聴が主症状であるのは、「適応障害」ではなく統合失調症である。適応障害とは、大きな生活の変化(進学、就職、転居など)やストレス性の出来事(離別、死別など)に対して、順応するまでに様々な症状(抑うつ気分、不安など)を呈するものをいう。例としては、職場の勤務異動により、新しい部署の仕事や人間関係に慣れることができずに、苦悩や情緒不安定な状態が特続することが挙げられる。非常に適応障害と心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状は似ているが、心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、【トラウマ級のストレス】+PTSDの三徴(「過覚醒」「再体験症状(フラッシュバック)」「回避」)が診断に重要な基準となっている。

せん妄とは?

せん妄とは、疾患や全身疾患・外因性物質などによって出現する軽度~中等度の意識障害であり、睡眠障害や興奮・幻覚などが加わった状態をいう。高齢者は薬剤によってせん妄が引き起こされる場合も多い。
【原因】脳疾患、心疾患、脱水、感染症、手術などに伴って起こることが多い。他にも、心理的因子、薬物、環境にも起因する。

【症状】
①意識がぼんやりする。
②その場にそぐわない行動をする。
③夜間に起こることが多い。 (夜間せん妄)
④通常は数日から1週間でよくなる。

【主な予防方法】
①術前の十分な説明や家族との面会などで手術の不安を取り除く。
②昼間の働きかけを多くし、睡眠・覚醒リズムの調整をする。
③術後早期からの離床を促し、リハビリテーションを行う。

 

 

 

 

 

問題10 リケッチア感染症はどれか。

1.梅毒
2.デング熱
3.ジフテリア
4.ツツガムシ病

解答

解説
1.× 梅毒とは、性感染症の一種で、梅毒トレポネーマという細菌が粘膜から感染することによって起こる。感染後3~6週間前後の潜伏期間後に性器、肛門、口などの感染部位にしこり、びらん、潰瘍などが現れるが、治療をしなくても一定期間が過ぎると最初の症状は消える。感染後数ヶ月すると手のひらや足の裏を含めた全身に赤い斑点(バラ疹)が広がる。

2.× デング熱とは、蚊(デングウイルス)に刺されることによって感染する疾患である。 症状として、急激な発熱で発症し、発疹、頭痛、骨関節痛、嘔気・嘔吐などがみられる。通常、発症後2~7日で解熱し、発疹は解熱時期に出現する。

3.× ジフテリアとは、ジフテリア菌により発生する疾病で、主に気道の分泌物によってうつり、喉などに感染して毒素を放出する。最後に報告されたのが1999年であるが、かつては年間8万人以上の患者が発生し、そのうち10%程度が亡くなっていた。ジフテリアは、予防接種にトキソイドが使用される。

4.〇 正しい。ツツガムシ病は、リケッチア感染症である。ツツガムシ病とは、病原体はつつが虫病リケッチア(細菌)で、つつが虫病リケッチアを保有するツツガムシに刺されて感染する感染症である。全身倦怠感、食欲不振とともに頭痛、悪寒、発熱などを伴って発症する。体温は段階的に上昇し数日で40℃にも達する。刺し口は皮膚の柔らかい隠れた部分に多い。刺し口の所属リンパ節は発熱する前頃から次第に腫脹する。第3~4病日より不定型の発疹が出現するが、発疹は顔面、体幹に多く四肢には少ない。テトラサイクリン系の有効な抗菌薬による治療が適切に行われると劇的に症状の改善がみられる。重症になると肺炎や脳炎症状を来す。北海道を除く全国で発生がみられる。

 

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