第26回(H30年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後96~100】

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問題96 次の文で示す患者の病証はどれか。
「最近、息切れと無力感があり動くと汗が出る。顔色は蒼白く、不眠、舌質は淡嚇。脈は細弱。」

1.気虚血瘀
2.気血虚
3.気滞血瘀
4.気不摂血

解答

解説

本症例のポイント

・最近:息切れと無力感があり動くと汗が出る
・顔色:蒼白く、不眠、舌質は淡嚇
・脈:細弱
→本症例は、気血虚が疑われる。

1.× 気虚血瘀は考えにくい。血の病証である血瘀は、疼痛(固定痛・刺痛、夜間に増悪)、腫脹、腫塊、肌膚甲錯。瘀斑、月経痛・血塊、皮下出血斑、色素沈着、紫舌・暗紅舌があげられる。

2.〇 正しい。気血虚が本症例の病証である。気血虚とは、気虚(気の不足)と血虚(血の不足)が同時に起こる病証である。血虚は、眩暈、顔面蒼白、動悸、不眠、健忘、目のかすみ、しびれ、痙攣、月経痛、経少、経色淡白、視力減退、爪の変形などである。

3.× 気滞血瘀とは、気滞(気の流れの滞り)と血瘀が同時に起こる病証である。気鬱(気滞)は、 脹痛、胸悶、胸肋部痛、抑鬱感、腹部膨満感など。増悪と緩解を繰り返し、不安定となりやすい。

4.× 気不摂血は考えにくい。気不摂血とは、脾気虚・脾陽虚・中気下陥の症候とともにみられる出血で、気の固摂作用が減弱したことによるものである。

 

 

 

 

 

問題97 病証と病因の組合せで正しいのはどれか。

1.肝胆湿熱:肝血虚が胆火に波及したもの
2.心火亢盛:心陰が亢進したもの
3.脾胃湿熱:湿が脾胃に長く影響し化熱したもの
4.腎陰虚:腎気虚が進行し気の温煦作用が低下したもの

解答

解説
1.× 肝胆湿熱は、「肝血虚が胆火に波及したもの」ではなく、脾虚などによる内湿が熱化して生じる。肝胆湿熱は、口苦、黄疸、脇痛、身熱、眩暈、耳鳴、舌質紅、舌苔膩、脈滑などが起こる。ちなみに、肝血虚は、目乾、目花、転筋、しびれ、不眠、多夢、脈細、舌質淡白などがあげられる。

2.× 心火亢盛(心火亢盛)は、「心陰」ではなく「心陽」が亢進したものである。ちなみに、心火亢盛(心火亢盛)は、心悸、心煩、不眠、顏面紅潮、口渇、暑がり、舌尖紅、脈数などがあげられる。

3.〇 正しい。脾胃湿熱(※読み:ひいしつねつ)は、湿が脾胃に長く影響し化熱したものである。脾胃湿熱は、だるさ、体の重さなどの湿の症状に熱象の症状として口渇、皮膚の痒み、泥状の熱感を伴った排便など湿熱の症候を呈す。

4.× 腎陰虚は、「腎気虚」ではなく腎の陰の不足が進行し、気の温煦作用が低下したものである。腎陰虚は、手足心熱、のぼせ、耳鳴、難聴、腰膝酸軟、口乾、舌質紅、脈数などがあげられる。

 

 

 

 

 

問題98 足の太陽膀胱経の病証はどれか。

1.前胸部・腹部・鼠径部の痛み、顔面の麻痺
2.前頭部・後頭部・脊柱の痛み、精神異常
3.側頭部・体幹外側・下肢外側の痛み、顔色のくすみ
4.腰部・大腿・下腿内側の痛み、顔色の黒ずみ

解答

解説
1.× 前胸部・腹部・鼠径部の痛み、顔面の麻痺は、足の陽明胃経の病証である。足の陽明胃経は、顔面神経麻痺、喉や膝の皿が腫れたり痛んだりする。胃腸が張る。気衝~髀関、足の甲と流注上に痛みや熱感が出る。食べても食べてもお腹が空き、濃黄色の小便が出る。びっくりして不安な状態になる。独り塞ぎこんで窓を閉め家の中に閉じこもっている。高い所に登って歌を歌いだす。羞恥心を無くしたように裸になって走り出す。

2.〇 正しい。前頭部・後頭部・脊柱の痛み、精神異常は、足の太陽膀胱経の病証である。足の太陽膀胱経は、腰が折れる様に痛む。膝裏の辺りが引きつって結ばれたようになる。下腿三頭筋辺りが裂けるような感じがする。痔、マラリアまたはマラリア様の熱病、精神疾患、癇癪、頭頂部から項にかけて痛む。目が黄ばんだり、充血したり、涙が出たり鼻閉が起こり鼻血が出る。項から背部、膝裏まで流れる経脈の流注上が痛む。

3.× 側頭部・体幹外側・下肢外側の痛み、顔色のくすみは、足の少陽胆経の病証である。足の少陽胆経は、口苦が起こり、大きなため息をつく、寝返りが打てない。顔に少し垢が付いたように黒くなる。体の艶が無くなる。足外反しほてる。頭やエラの所が痛む。まなじりが痛む。首に結核性のリンパ節炎ができる。往来寒熱の状態になり、あらゆる関節が痛む。

4.× 腰部・大腿・下腿内側の痛み、顔色の黒ずみは、足の少陰腎経の病証である。足の少陰腎経:空腹感があるが食べられない。顔面が黒くすすけて艶がない。咳をして唾を吐くと血が混じっている。咳をしてあえぐ。目がボーっとしてハッキリしない、不安感や煩悶感を覚え、よく恐れを抱き、恐れたり、驚いたり、不安を覚えたりする。口の中や喉の渇き上実下虚になり、咽頭が乾いたり痛んだりする。足底全体に熱感を感じて痛む。

 

 

 

 

 

問題99 次の文で示す患者の病証でみられる脈診所見はどれか。
「52歳の男性。主訴は腰痛。不眠や手足のほてりを伴う。仕事の疲れがたまると眩暈や盗汗が起こる。」

1.滑脈
2.弦脈
3.細脈
4.緊脈

解答

解説

本症例のポイント

・52歳の男性(主訴:腰痛)。
・不眠や手足のほてりを伴う。
・仕事の疲れがたまると眩暈や盗汗が起こる。

1.× 滑脈は、痰湿、食滞で起こり、脈の流れが滑らかで、円滑に指に触れるものをさす。

2.× 弦脈は、肝胆病、痛証、痰飲で起こり、琴の弦に触れたような、長く真っすぐで緊張したものを指す。

3.〇 正しい。細脈が本症例の病証でみられる脈診所見である。細脈は、血虚で起こり、脈幅が小さく細いが、指にはっきり感じられるものを指す。

4.× 緊脈は、実寒、痛証で起こり、張った縄に触れたような、緊張して有力なものを指す。弦脈に似る。

 

 

 

 

 

問題100 六部定位に配当される脈診部位と絡穴部位の組合せで正しいのはどれか。

1.右寸口:尺側手根屈筋腱の橈側縁、手関節掌側横紋の上方1寸
2.左関上:長母指外転筋腱と短母指伸筋腱の間、手関節掌側横紋の上方1寸5分
3.右関上:前脛骨筋の外縁、外果尖の上方8寸
4.左尺中:長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方2寸

解答

解説

六部定位脈診

【部位】
①左:浮・沈
寸:小腸・心
関:胆・肝
尺:膀胱・腎

②右:浮・沈
寸:大腸・肺
関:胃・脾
尺:三焦・心包

1.× 右寸口は、大腸・肺である。
尺側手根屈筋腱の橈側縁、手関節掌側横紋の上方1寸は、通里(※読み:つうり)となる。手の少陰心経のひとつである。

2.× 左関上は、胆・肝である。
長母指外転筋腱と短母指伸筋腱の間、手関節掌側横紋の上方1寸5分は、列欠(※読み:れっけつ)となる。手の太陰肺経のひとつである。

3.〇 正しい。右関上は、胃・脾である。
前脛骨筋の外縁、外果尖の上方8寸は、豊隆(※読み:ほうりゅう)となる。足の陽明胃経のひとつである。

4.× 左尺中は、膀胱・腎である。
長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方2寸は、内関(※読み:ないかん)となる。手の厥陰心包経のひとつである。

 

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