第26回(H30年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後101~105】

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問題101 肘関節に向けて刺入すると補法になる経穴の部位はどれか。

1.尺骨内縁と尺側手根屈筋の間、手関節背側横紋の上方5寸
2.長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方5寸
3.肘頭と肩峰角を結ぶ線上、肘頭の上方2寸
4.肘後外側、上腕骨外側上顆の上縁、外側顆上稜の前縁

解答

解説

MEMO

迎随の補瀉とは、「迎えて奪うを瀉と云い、随って補うを補と云う」との原典の言葉がその出所である。実地臨床上は、狭い意味に解釈し、経の流れに逆うを瀉法とし、経の流れに随うを補法とする。

1.〇 正しい。尺骨内縁と尺側手根屈筋の間、手関節背側横紋の上方5寸は、肘関節に向けて刺入すると補法になる経穴の部位である。尺骨内縁と尺側手根屈筋の間、手関節背側横紋の上方5寸は、支正(※読み:しせい)である。手の太陽小腸経である支正は、経の流れに随う。ちなみに、支正は、前腕後内側、尺骨内縁と尺側手根屈筋の間、手関節背側横紋の上方5寸に位置する。

2.× 長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方5寸は、手の厥陰心包経の郄門である。ちなみに、郄門(※読み:げきもん)前腕前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方5寸に位置する。

3.× 肘頭と肩峰角を結ぶ線上、肘頭の上方2寸は、手の少陽三焦経の清冷淵である。ちなみに、清冷淵(※読み:せいれいえん)は、上腕後面、肘頭と肩峰角を結ぶ線上、肘頭の上方2寸に位置する。

4.× 肘後外側、上腕骨外側上顆の上縁、外側顆上稜の前縁は、手の陽明大腸経の肘髎である。ちなみに、肘髎(※読み:ちゅうりょう):肘後外側、上腕骨外側上顆の上縁、外側顆上稜の前縁

難経六十九難に基づく取穴

【部位】虚証(補法):実証(瀉法)
【肝】曲泉・陰谷:行間・少府・労宮
【肺】太淵・太白:尺沢・陰谷
【心】少衝・大敦:神門・太白
【腎】復溜・経渠:湧泉・大敦
【脾】大都・少府・労宮:商丘・経渠
【心包】中衝・大敦:大陵・太白
【胆】侠渓・足通谷:陽輔・陽谷・支溝
【大腸】曲池・足三里:二間・足通谷
【小腸】後渓・足臨泣:小海・足三里
【膀胱】至陰・商陽:束骨・足臨泣
【胃】解渓・陽谷・支溝:厲兌・商陽
【三焦】中渚・足臨泣:天井・足三里

 

 

 

 

 

問題102 経脈の走行について正しいのはどれか。

1.頸部では胃経と小腸経の間を大腸経が上行する。
2.腹部では腎経と胃経の間を脾経が上行する。
3.前腕後面では大腸経と三焦経の間を小腸経が上行する。
4.下腿内側では肝経と脾経の間を腎経が上行する。

解答

解説
1.〇 正しい。頸部では胃経と小腸経の間を大腸経が上行する

2.× 腹部では、腎経と「胃経」ではなく脾経の間を、「脾経」ではなく胃経が上行する。

3.× 前腕後面では、大腸経と「三焦経」ではなく小腸経の間を、「小腸経」ではなく三焦経が上行する。

4.× 下腿内側では、肝経と「脾経」ではなく腎経の間を、「腎経」ではなく脾経が上行する。

 

 

 

 

 

問題103 奇経と関係する経穴の組合せで正しいのはどれか。

1.陽驕脈:金門
2.陰驕脈:築賓
3.陽維脈:居髎
4.陰維脈:府舍

解答

解説

奇経八脈の特徴

【奇経名(別名)】:起こる場所
①督脈(脳に入る、陽脈の海):胞中(小骨盤腔)
②任脈(陰脈の海):胞中(小骨盤腔)
③衝脈(十二正経の海、経脈の海、血海):胞中(小骨盤腔)
④帯脈:腰腹部を一回り
⑤陽蹻脈(膀胱経の別脈):踵
⑥陰蹻脈(腎経の別脈):踵
⑦陽維脈(すべての陽経脈と連絡している):金門
⑧陰維脈(すべての陰経脈と連絡している):築賓

1.× 金門は、「陽蹻脈」ではなく陽維脈である。陽蹻脈は、膀胱経の申脈・僕参・跗陽、胆経の居髎、小腸経の臑兪、大腸経の肩髃・巨骨、胃経の地倉・巨髎・承泣、膀胱経の睛明の左右それぞれ11穴、計22穴と関係する。

2.× 築賓は、「陰蹻脈」ではなく陰維脈である。陰蹻脈は、腎経の然谷・照海・交信、膀胱経の睛明の左右それぞれ4穴、計8穴と関係する。

3.× 居髎は、「陽維脈」ではなく陽蹻脈である。陽維脈は、膀胱経の金門、胆経の陽交・肩井・陽白・本神・頭臨泣・正営・脳空・風池、小腸経の臑兪、三焦経の天髎の左右それぞれ11穴と、督脈の瘂門・風府の2穴、計24穴と関係する。

4.〇 正しい。府舍は、陰維脈である。陰維脈は、腎経の築賓、脾経の府舎・大横・腹哀、肝経の期門の左右それぞれ5穴と、任脈の天突・廉泉の2穴、計12穴と関係する。

 

 

 

 

 

問題104 心包経の経金穴と合水穴の間と同じ骨度はどれか。

1.両乳頭間
2.両乳様突起間
3.眉間から前髪際中点
4.臍中央から恥骨結合上縁

解答

解説

心包経

・心包経の経金穴:間使
間使は、前腕前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方3寸に位置する。

・心包経の合水穴:曲沢
曲沢は、肘前面、肘窩横紋上、上腕二頭筋腱内方の陥凹部に位置する。上腕動脈拍動部で、尺沢(肺経)と少海(心経)とのほぼ中点にあたる。

※参考:肘窩~手関節横紋は、1尺2寸である。

1.× 両乳頭間は、8寸である。

2.〇 正しい。両乳様突起間は、9寸であり、心包経の経金穴と合水穴の間と同じ骨度である。

3.× 眉間から前髪際中点は、3寸である。

4.× 臍中央から恥骨結合上縁は、5寸である。

骨度法とは?

骨度法とは、骨を基準にして、身体各所の長さを尺寸によって定める方法である。

骨度法:1尺10寸、1寸10分
【頭顔面部】
前髪際中点~後髪際中点:1尺2寸
眉間~前髮際中点:3寸
両額角際間:9寸
両乳様突起間:9寸

【胸腹部】
頸切痕~胸骨体端:9寸
胸骨体下端~臍中央:8寸
臍中央~恥骨結合上縁:5寸
両乳頭間:8寸

【上肢】
左右の肩甲棘内端縁間:6寸
中指尖~手関節横紋:8寸5分
腋窩横紋前端または後端~肘窩:9寸
肘窩~手関節横紋:1尺2寸

【下肢】
恥骨結合上縁~膝蓋骨上縁:1尺8寸
膝蓋骨尖~内果尖:1尺5寸
脛骨内側顆下縁~内果尖:1尺3寸
脛骨内側顆下縁~膝蓋骨尖:2寸
大転子頂点~膝窩:1尺9寸
殿溝~膝窩:1尺4寸
膝窩~外果尖:1尺6寸
内果尖~足底:3寸
足指尖~踵(足底):1尺2寸

 

 

 

 

 

問題105 経穴とその部位を支配している神経の組合せで正しいのはどれか。

1.天牖:大後頭神経
2.天窓:大耳介神経
3.天突:頸横神経
4.欠盆:鎖骨下神経

解答

解説
1.× 天牖は、「大後頭神経」ではなく頚横神経である。天牖は、前頸部、下顎角と同じ高さ、胸鎖乳突筋後方の陥凹部に位置する。胸鎖乳突筋をはさんで、天容(小腸経)と相対するところにあたる。頭板状筋や胸鎖乳突筋の治療穴である。

2.× 天窓は、「大耳介神経」ではなく小後頭神経である。天窓は、前頸部、胸鎖乳突筋の後縁、甲状軟骨上縁と同じ高さに位置する。取穴部位が後頸三角の領域にある。胸鎖乳突筋の治療穴である。

3.〇 正しい。天突は、頸横神経である。天突は、前頸部、前正中線上、胸骨上窩(頸窩)の中央にある。

4.× 欠盆は、「鎖骨下神経」ではなく鎖骨上神経である。欠盆は、前頸部、大鎖骨上窩、前正中線の外方4寸、鎖骨上方の陥凹部に位置する。斜角筋の治療穴である。

 

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