第26回(H30年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後111~115】

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問題111 鍼の深刺により気胸発生の危険性が最も高いのはどれか。

1.臓会
2.血会
3.肺の募穴
4.心の募穴

解答

解説

八会穴

腑会-中脘【任】
血会-膈兪【膀】
臟会-章門【肝】
骨会-大杼【膀】
筋会-陽陵泉【胆】
脈会-太淵【肺】
髄会-懸鍾【胆】
気会-膻中【任】

1.× 臓会は、章門となる。章門(※読み:しょうもん)は、側腹部、第11肋骨端下縁に位置する。章門は、脾の募穴である。

2.〇 正しい。血会は、鍼の深刺により気順発生の危険性が最も高い。血会は、膈兪となる。膈兪(※読み:かくゆ)は、上背部、第7胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分に位置する。

3.× 肺の募穴は、中府(※読み:ちゅうふ)である。中府は、前胸部、第1肋間と同じ高さ、鎖骨下高の外側、前正中線の外方6寸に位置する。

4.× 心の募穴は、巨闕(※読み:こけつ)である。巨闕は、上腹部、前正中線上、臍中央の上方6寸に位置する。

気胸とは?

気胸とは、肺と胸壁の間の空間に空気が溜まる状態を指す。交通事故による強い衝撃により、肺が損傷し、気胸が生じる。これを内開放性気胸といい、肺が外傷により損傷され起こる気胸のことである。症状には、胸痛、息切れ、速い呼吸、心拍数の増加などがあり、ときにショックに至る。

 

 

 

 

 

問題112 奇穴とその主治の組合せで正しいのはどれか。

1.八邪:頭痛
2.四縫:足の痛み
3.十宣:歯の痛み
4.八風:手の痛み

解答

解説
1.〇 正しい。八邪の主治は、頭痛である。
八邪(※読み:はちじゃ)は、手背、手を軽く握り、各中手指節関節の間の背側に取る。
【主治】頭痛、歯痛、手の痛み(中手指節関節の疾患、手の拘縮、関節リウマチ)

2.× 四縫の主治は、「足の痛み」ではなく小児疳虫症、手指の関節炎である。
四縫(※読み:しほう)は、示指・中指・薬指・小指の掌側、近位指節間関節横紋の中央に取る。

3.× 十宣の主治は、「歯の痛み」ではなく手指の知覚異常、発熱、救急(失神、ヒステリー、癲癇、卒中など)である。
十宣(※読み:じゅっせん)は、両手十指の各先端中央に取る※別名:鬼城(※読み:きじょう)・十指端(※読み:じゅっしたん)である。

4.× 八風の主治は、「手の痛み」ではなく足の痛み(脚気、足背痛、足指の発赤・腫張、関節リウマチ)である。
八風(※読み:はっぷう)は、足背、各中足指節関節の間に取る。

 

 

 

 

 

問題113 奇穴とその部位の組合せで正しいのはどれか。

1.鶴頂:膝蓋骨底上際中央の上約1寸
2.胆囊点:陽陵泉の下約1寸
3.闌尾:足三里の下約1寸
4.失眠:足底部の中央

解答

解説
1.× 鶴頂:膝蓋骨底上際中央の「上約1寸」ではなく陥凹部である。鶴頂(※読み:かくちょう)は、膝関節部、膝蓋骨底上際中央の陥凹部に取る。別名は、膝頂(※読み:しつちょう)で、主治は、膝関節疾患、下肢の麻痺である。

2.〇 正しい。胆嚢点(※読み:たんのうてん)は、陽陵泉(胆)の下約1寸に取る。主治は、胆嚢炎、胆石症、胸脇痛、下肢痛、下肢運動麻痺である。

3.× 闌尾は、足三里の「下約1寸」ではなく下約2寸である。闌尾(※読み:らんび)は、足三里(胃)の下約2寸に取る。主治は、急性虫垂炎である。

4.× 失眠は、「足底部」ではなく「足底部、踵」の中央である。失眠(※読み:しつみん)は、足底部、踵の中央に取る。主治は、不眠、下肢の冷え・むくみである。

 

 

 

 

 

問題114 圧痛部を押すと特定のパターンの関連痛を示し、索状硬結を認めた。最も適切な反応点はどれか。

1.トリガーポイント
2.撮診点
3.圧診点
4.丘疹点

解答

解説
1.〇 正しい。トリガーポイントが圧痛部を押すと特定のパターンの関連痛を示し、索状硬結を認めた場合の反応点である。トリガーポイントとは、身体の約200対に及ぶ筋肉の、筋組織内部の硬結上の結節に存在し、指圧刺激で鋭く身体の深部に感じる痛みを発する、引き金となる限局性のポイントのことを指す。特徴として、関連痛の出現、痛覚閾値の低下、索状硬結の触知のほかにも、単収縮反応などがあげられる。

2.× 撮診点(※読み:さっしんてん)とは、皮下組織をつまみ上げて軽く圧迫すると、その部位にピリピリした異常な知覚が発生する反応点である。

3~4.× 圧診点/丘疹点とは、圧痛点ともいい、内臓疾患の反応が、経穴部に丘疹、紅斑として現れるものである。鍼の響きがリンパ流の速度に近いことから、発生した活動電流が組織液に影響を与え、その変化が知覚神経に感知されると考えたのであり、筋運動主因性体液路系の学説と言えるのである。

MEMO

索状硬結とは、トリガーポイントである。トリガーポイントとは、身体の約200対に及ぶ筋肉の、筋組織内部の硬結上の結節に存在し、指圧刺激で鋭く身体の深部に感じる痛みを発する、引き金となる限局性のポイントのことを指す。特徴として、関連痛の出現、痛覚閾値の低下、索状硬結の触知のほかにも、単収縮反応などがあげられる。

 

 

 

 

 

問題115 次の文で示す患者の病証に対して経脈の流通を目的として治療する場合、最も適切な治療穴はどれか。
「56歳の男性。主訴は右肩関節痛。右手で引き戸を右に開こうとする動作時に激痛が起こる。整形外科では、四辺形間隙症候群と診断された。」

1.後溪
2.液門
3.二間
4.魚際

解答

解説

本症例のポイント

・56歳の男性(主訴:右肩関節痛)。
・右手で引き戸を右に開こうとする動作時に激痛が起こる。
・診断:四辺形間隙症候群
→小円筋と大円筋と上腕三頭筋の長頭と上腕骨で囲まれた四角形の隙き間を外側腋窩隙と呼ぶ。腋窩神経や後上腕回旋動静脈が通る。このすき間が狭くなると、腋窩神経の障害から、支配筋である三角筋の筋力低下が起こり、上腕挙上困難(四辺形間隙症候群)になる。

1.〇 正しい。後溪が、本症例の病証に対して経脈の流通を目的として治療穴である。なぜなら、四辺形間隙症候群と同部位に走行する経路は、手の太陽小腸経である後渓に該当するため。後渓(※読み:こうけい)は、手背、第5中手指節関節尺側の近位陥凹部、赤白肉際に位置する。

2.× 液門は、手の少陽三焦経である。ちなみに、液門(※読み:えきもん)は、手背、薬指と小指の間、みずかきの近位陥凹部、赤白肉際に位置する。

3.× 二間は、手の陽明大腸経である。ちなみに、二間(※読み:じかん)は、示指、第2中手指節関節橈側の遠位陥凹部、赤白肉際に位置する。

4.× 魚際は、手の太陰肺経である。ちなみに、魚際(※読み:ぎょさい)は、手掌、第1中手骨中点の橈側、赤白肉際に位置する。

 

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