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問題121 次の文で示す患者の病証に対する治療方針で最も適切なのはどれか。
「35歳の女性。主訴は月経痛。1年前に第4子を出産してから月経後に疲労・倦怠感が強くなり、足腰がだるく、耳鳴りもある。経血は色が淡く、量は少なく稀薄。舌質は淡、脈は沈細。」
1.肝気を疏通し、血を去る。
2.下焦を温め、痛みを緩和する。
3.肝腎経を補益する。
4.陰液を養い、熱を去る。
解答3
解説
・35歳の女性(主訴:月経痛)。
・1年前:第4子を出産してから月経後に疲労・倦怠感が強くなり、足腰がだるく、耳鳴りもある。
・経血は色が淡く、量は少なく稀薄。
・舌質は淡、脈は沈細。
→本症例は、肝腎両虚(血虚)が疑われる。血虚は、眩暈、顔面蒼白、動悸、不眠、健忘、目のかすみ、しびれ、痙攣、月経痛、経少、経色淡白、視力減退、爪の変形などである。肝血虚は、目乾、目花、転筋、しびれ、不眠、多夢、脈細、舌質淡白などがあげられる。
1.× 肝気を疏通し、血を去る。
これは、気滞に対する治療方針である。本症例は、気滞よりも虚証(肝腎の不足)が主な原因と考えられる。
2.× 下焦を温め、痛みを緩和する。
これは、寒証に対する治療方針である。
3.〇 正しい。肝腎経を補益することは、本症例の病証に対する治療方針である。なぜなら、本症例は、肝腎両虚が疑われるため。血虚は、眩暈、顔面蒼白、動悸、不眠、健忘、目のかすみ、しびれ、痙攣、月経痛、経少、経色淡白、視力減退、爪の変形などである。肝血虚は、目乾、目花、転筋、しびれ、不眠、多夢、脈細、舌質淡白などがあげられる。
4.× 陰液を養い、熱を去る。
これは、陰虚に対する治療方針である。
問題122 次の文で示す症例に対して障害部位を走行する経脈の同名経の治療穴で最も適切なのはどれか。
「52歳の男性。主訴は膝外側の痛み。最近、趣味である朝のジョギング時に膝外側の痛みを自覚したことから来院。徒手検査でグラスピングサインが陽性であった。」
1.下廉
2.大陵
3.会宗
4.少府
解答3
解説
・52歳の男性(主訴:膝外側の痛み)。
・最近:朝のジョギング時に膝外側の痛みを自覚。
・グラスピングサイン:陽性。
→Graspingテスト(グラスピングテスト)が陽性であることからも腸脛靱帯炎が疑われる。腸脛靱帯炎とは、ランナー膝ともいい、膝の屈伸運動を繰り返すことによって腸脛靱帯が大腿骨外顆と接触して炎症(滑膜炎)を起こし、疼痛が発生している状態を指す。特にマラソンなどの長距離ランナーに好発し、ほかにバスケットボール、水泳、自転車、エアロビクス、バレエ等にも多い。ちなみに、Graspingテスト(グラスピングテスト)は、腸脛靭帯を圧迫してテンションをかけた状態で、膝の曲げ伸ばしで症状が再現されるかどうかで判断する。
1.× 下廉は、手の陽明大腸経のひとつである。下廉(※読み:げれん)は、前腕後外側、陽渓と曲池を結ぶ線上、肘窩横紋の下方4寸に位置する。
2.× 大陵は、手の厥陰心包経のひとつである。大陵(※読み:だいりょう)は、手関節前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋上に位置する。
3.〇 正しい。会宗は、本症例に対して障害部位を走行する経脈の同名経の治療穴である。なぜなら、膝外側の痛みは、主に足の少陽胆経の経絡に沿って発生するため。同名経とは、経絡の名前が同じ系統のものを指す。例えば、足の少陽胆経と手の少陽三焦経は同名経である。ちなみに、会宗は、手の陽明大腸経のひとつである。会宗(※読み:えそう)は、前腕後面、尺骨の橈側縁、手関節背側横紋の上方3寸に位置する。
4.× 少府は、手の少陰心経のひとつである。少府(※読み:しょうふ)は、手掌、第5中手指節関節の近位端と同じ高さ、第4・5中手骨の間に位置する。労宮(心包経)と同じ高さにあたる。
問題123 次の文で示す症例に対して障害神経を考慮して循経取穴を行う場合、最も適切な治療穴はどれか。
「46歳の女性。最近、指尖で物をつまむピンチ動作ができなくなったため来院。ティアドロップ徴候は陽性。知覚障害は認められなかった。」
1.肘髎
2.小海
3.消濼
4.曲沢
解答4
解説
・46歳の女性。
・最近:指尖で物をつまむピンチ動作ができなくなった。
・ティアドロップ徴候:陽性。
・知覚障害は認められなかった。
→正中神経麻痺で、tear drop sign(ティア ドロップ サイン)または、perfect O(パーフェクト Oテスト)や、Phalen(ファレンテスト)が陽性となる。perfect O(パーフェクト Oテスト)とは、親指と人差し指の先端をくっつけて丸形を作る検査である。
1.× 肘髎は、肘後外側、上腕骨外側上顆の上縁、外側顆上稜の前縁に位置する。手の陽明大腸経である。
2.× 小海は、肘後内側、肘頭と上腕骨内側上顆の間の陥凹部に位置する。手の太陽小腸経である。尺側手根屈筋の治療穴として使用される。
3.× 消濼は、上腕後面、肘頭と肩峰角を結ぶ線上、肘頭の上方5寸に位置する。橈骨神経溝中に取る。手の少陽三焦経である。上腕三頭筋の治療穴として使用される。
4.〇 正しい。曲沢が、正中神経の走行を考慮しての循経取穴である。手の厥陰心包経である曲沢は、肘前面、肘窩横紋上、上腕二頭筋腱内方の陥凹部に位置する。上腕動脈拍動部で、尺沢(肺経)と少海(心経)とのほぼ中点にあたる。上腕二頭筋の治療穴として使用される。
問題124 十二刺のうち、筋の異常緊張に対して関節近傍の腱に刺鍼するのはどれか。
1.賛刺
2.短刺
3.陰刺
4.恢刺
解答4
解説
1.× 賛刺(※読み:さんし)は、癰腫のとき、何度も繰り返し浅く刺して出血させる。
2.× 短刺(※読み:たんし)は、骨痹のとき、鍼を揺すりながら骨に至らせ、上下にこする。
3.× 陰刺(※読み:いんし)寒厥のとき、左右の太渓穴に同時に刺入する。
4.〇 正しい。恢刺は、十二刺のうち、筋の異常緊張に対して関節近傍の腱に刺鍼する。恢刺(※読み:かいし)とは、筋痹のとき、まず直刺し、その後に方向を変えたり揺らしたりする方法である。
問題125 医療面接で開放的質問に相当するのはどれか。
1.今日はどうされましたか。
2.いつから痛みますか。
3.アレルギーをおもちですか。
4.過去に大きな病気にかかったことがありますか。
解答1
解説
自由質問法(開かれた質問、開放的な質問)とは、質問された者が自由に答えることのできる質問法のことである。
1.〇 正しい。今日はどうされましたか。これは、医療面接で開放的質問に相当する。なぜなら、患者が自由に症状や状況を説明できるため。
2.× いつから痛みますか。
これは、閉鎖的質問である。なぜなら、患者が具体的な時期で答える質問で、患者の答えは限られた範囲内であるため。
3.× アレルギーをおもちですか。
これは、閉鎖的質問である。なぜなら、患者が「はい」か「いいえ」で答える質問で、患者の答えは限られた範囲内であるため。
4.× 過去に大きな病気にかかったことがありますか。
これは、閉鎖的質問である。なぜなら、患者が「はい」か「いいえ」で答える質問で、患者の答えは限られた範囲内であるため。
開かれた質問
患者の自由な答えを求める質問
例:「他に気になるところはありますか?」
閉じられた質問
「はい・いいえ」で答えられる質問
例:「吐き気はありますか?」
中立的な質問
1つの答えしか求めない質問法
例:「水分はいつからとれていないですか?」
焦点型質問
1つの事柄を深く掘り下げる質問法
例:「頭痛についてもう少し詳しく教えてください。」