第32回(R6年)柔道整復師国家試験 解説【午前46~50】

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問題46 都道府県知事が施術所に命じることができないのはどれか。

1.一定期間の使用禁止
2.当該構造設備の改善
3.当該衛生上の措置
4.施術管理者の交代

解答

解説
1~3.〇 一定期間の使用禁止/当該構造設備の改善/当該衛生上の措置は、都道府県知事が施術所に命じることができる。柔道整復師法の第十八条(都道府県知事の指示)において、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあつては、市長又は区長。以下同じ。)は、衛生上害を生ずるおそれがあると認めるときは、柔道整復師に対し、その業務に関して必要な指示をすることができる(※引用:「柔道整復師法」e-GOV法令検索様より)。

4.× 施術管理者の交代は、都道府県知事が施術所に命じることができない。なぜなら、施術管理者の交代は、施術所の内部の人事権に関わる事項であり、行政が直接介入する範囲ではないため。

 

 

 

 

 

問題47 柔道整復師が取り扱う保険の支払い方式で誤っているのはどれか。

1.賦課方式
2.償還払い方式
3.出来高払い方式
4.受領委任払い方式

解答

解説
1.× 賦課方式は、柔道整復師が取り扱う保険の支払い方式ではない。賦課方式(ふかほうしき)とは、保険料を積み立てないでそのときの給付の財源にあてる方式である。主に、年金受給者の給付費を現役世代の保険料で賄う賦課方式である。

2.〇 償還払い方式とは、いったん費用の全額を立て替えて支払い、申請により後で規定の額が払い戻される仕組みのことをいう。ほかに高額介護サービス費の支給も償還払いとなる。償還払いは、患者(被保険者)が請求する。一方、代理受領、受領委任については、施術所等が請求するものとなる。

3.〇 出来高払い方式とは、患者に提供した医療サービスに対応する報酬を支払う方式である。

4.〇 受領委任払い方式とは、償還払いでは約2か月後に返る介護保険の請求の権利を事業者に委任することにより利用者の一時的な負担をなくそうとするものである。

 

 

 

 

 

問題48 医師法で正しいのはどれか。

1.医業報酬の不払いがあれば診療を拒否できる。
2.医学部大学院生であれば医業ができる。
3.免許権は厚生労働大臣である。
4.臨床研修期間は任意である。

解答

解説

医師法とは?

医師法とは、医師全般の職務・資格などを規定する日本の法律である。つまり、一般人には禁止されている医療行為を、医師という有資格者に限って許可する法律である。

(※引用:「医師の応召義務について」厚生労働省様)

1.× 医業報酬の不払いがあった場合でも、診療を拒否「できない」。診療拒否が認められる「正当な事由」とは、原則として医師の不在または病気等により事実上診療が不可能である場合を指す。

2.× 医学部大学院生であれば医業ができる「とはいえない」。なぜなら、大学院生であっても、医師免許を取得していなければ医業を行うことができないため。医師国家試験に落ちて、医学部大学院生へ進学しているケースもある。ちなみに、医師法の第十七条の二において、「大学において医学を専攻する学生であつて、当該学生が臨床実習を開始する前に修得すべき知識及び技能を具有しているかどうかを評価するために大学が共用する試験として厚生労働省令で定めるものに合格したものは、前条の規定にかかわらず、当該大学が行う臨床実習において、医師の指導監督の下に、医師として具有すべき知識及び技能の修得のために医業(政令で定めるものを除く。次条において同じ。)をすることができる」と規定されている(※引用:「医師法」e-GOV法令検索様より)。

3.〇 正しい。免許権は厚生労働大臣である。免許権者とは、免許を与える者のことである。医師法第六条において、「免許は、医師国家試験に合格した者の申請により、医籍に登録することによつて行う。2 厚生労働大臣は、免許を与えたときは、医師免許証を交付する」と規定されている(※引用:「医師法」e-GOV法令検索様より)。

4.× 臨床研修期間は、「任意」ではなく2年以上の義務である。医師法第十六条の二において、「診療に従事しようとする医師は、二年以上、都道府県知事の指定する病院又は外国の病院で厚生労働大臣の指定するものにおいて、臨床研修を受けなければならない」と規定されている(※引用:「医師法」e-GOV法令検索様より)。

 

 

 

 

 

問題49 国家試験と業務の組み合わせで正しいのはどれか。

1.看護師-導尿
2.理学療法士-注射
3.歯科技工士-印象採得
4.臨床検査技師-血液浄化装置の操作

解答

解説
1.〇 正しい。看護師は、導尿を行う。看護師とは、医師の診察にもとづき、診療や治療の補助を行い、病気やケガなどで不自由な生活を送る患者さんに対して、看護を提供する職業である。また、医師の補助、患者さんと医療スタッフ間のコミュニケーションの円滑、患者さんの相談や指導などといった心のケアを行う。ちなみに、新生児の保健指導は保健師や助産師が行う。

2.× 注射は、「理学療法士」ではなく医師や看護師が行う。理学療法士とは、医師の指示のもとに治療体操や運動・マッサージ・電気刺激・温熱などの物理的手段を用いて、運動機能の回復を目的とした治療法・物理療法(理学療法)を行う専門職である。つまり、関節可動域や筋力の向上などが役割である。

3.× 印象採得は、「歯科技工士」ではなく歯科医師が行う。印象採得とは、歯科治療において、患者さんの歯の型(印象)をとることを指す。印象は、歯の詰め物やかぶせ物などの製作に必要な口の模型を作るために使用される。ちなみに、歯科技工士とは、歯科医師が作成した指示書を元に義歯や補綴物などの製作・加工を行う医療系技術専門職である。あん摩マッサージ指圧師とは、あん摩マッサージ指圧師国家試験に合格した者のことである。あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律に基づく国家資格である。按摩、マッサージ、指圧を行う。

4.× 血液浄化装置の操作は、「臨床検査技師」ではなく臨床工学技士が行う。臨床工学技士とは、医療機器の専門医療職である。血液浄化装置、人工心肺装置、人工呼吸器といった生命維持管理装置を安全かつ的確に操作・管理するのが主な仕事である。ちなみに、臨床検査技師とは、病院などの医療機関において種々の臨床検査を行う技術者で、患者の血液や尿などの検体や脳をはじめとした患者の身体の検査を行う職業である。検体検査、生理学的検査、および採血などの検体採取が業務である。

 

 

 

 

 

問題50 医師法で医療提供施設でないのはどれか。

1.助産所
2.調剤薬局
3.老人福祉施設
4.介護老人保健施設

解答
※医療提供施設の記載は、医師法ではなく医療法であると考えられる。修正もなく不適切問題とならなかった。分かる方いらしたらコメントください。

解説

医療法とは?

医療法とは、病院、診療所、助産院の開設、管理、整備の方法などを定める日本の法律である。①医療を受けるものの利益と保護、②良好かつ適切な医療を効率的に提供する体制確保を主目的としている。

「第一条の二 2 医療は、国民自らの健康の保持増進のための努力を基礎として、医療を受ける者の意向を十分に尊重し、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院、調剤を実施する薬局その他の医療を提供する施設(以下「医療提供施設」という。)、医療を受ける者の居宅等(居宅その他厚生労働省令で定める場所をいう。以下同じ。)において、医療提供施設の機能に応じ効率的に、かつ、福祉サービスその他の関連するサービスとの有機的な連携を図りつつ提供されなければならない」と規定されている(※引用:「医療法」e-GOV法令検索様より)。

1~2.〇 助産所/調剤薬局は、医療提供施設である。助産所とは、助産師が公衆又は特定多数人のためその業務(病院又は診療所において行うものを除く)を行う場所をいう。助産師が助産を行う場所、又は妊婦・褥婦もしくは新生児の保健指導などを行う場所として適法に設置された施設をいう(※引用:「医療法2条」e-GOV法令検索様)。

3.× 老人福祉施設は、医師法で医療提供施設でない。医療提供施設とは、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院、調剤を実施する薬局その他の医療を提供する施設である。ちなみに、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)とは、常時介護を必要とし、在宅での生活が困難な高齢者に対して、生活全般の介護を提供する施設である。入浴、排泄、食事などの介護、その他の日常生活の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行う。原則として要介護3以上の認定を受けた高齢者が対象である。ただし、要介護1・2の特例的な入所が認められる要件があり、「認知症で日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態にあること」である。

4.〇 介護老人保健施設は、医療提供施設である。介護老人保健施設とは、要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者(要介護者)に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設として、第九十四条第一項の都道府県知事の許可を受けたものをいい、介護保健施設サービスとは、介護老人保健施設に入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話をいう。(※引用:「介護保険法」e-GOV法令検索様より)

 

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