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問題141 後骨間神経麻痺で生じるのはどれか。
1.猿手
2.鷲手
3.下垂指
4.尺側偏位
解答3
解説
前骨間神経と後骨間神経は、前腕の橈骨と尺骨という2つ骨の間を繋ぐ骨間膜の前後を走る神経である。両者とも触覚に異常がないのが特徴である。神経炎以外にも、外傷、絞扼性神経障害でも生じる。
【前骨間神経】
・肘の辺りで正中神経から分岐して主に母指(親指)と示指の第1関節を動かす筋肉を支配している。ほかにも、長母指屈筋、方形回内筋を支配する。
→涙のしずくが陽性。
【後骨間神経】
・肘の辺りで橈骨神経から分岐して回外筋にもぐりこみ、指を伸展する筋肉を支配している。
→下垂指(drop finger)となる。
1.× 猿手とは、母指球が萎縮し、母指が内転位となり、母指とその他の手指との対立運動が不能となる状態である。正中神経麻痺により生じる。
2.× 鷲手(鉤爪)とは、尺骨神経麻痺により手内筋が萎縮し、とくに環指と小指の付け根の関節(MP関節、中手指骨関節)が過伸展する一方、指先の関節(DIP関節、遠位指節間関節)と中央の関節(PIP関節、近位指節間関節)が屈曲した状態である。
3.〇 正しい。下垂指は、後骨間神経麻痺で生じる。下垂指とは、手首の背屈は可能だが、手指の付け根の関節の伸展ができなくなり、指のみが下がった状態である。
4.× 尺側偏位は、関節リウマチで生じる。尺側偏位とは、手関節が尺骨側(手の小指側)に偏位する変形をいう。
①環軸椎亜脱臼、②肩関節可動域制限、③肘関節屈曲拘縮、④手関節尺側偏位、⑤手指変形(PIPやMP関節)、⑥股関節屈曲拘縮、⑦膝関節内外反変形・屈曲拘縮、⑨足・足趾変形などがある。
問題142 三叉神経第2枝の神経痛に対する局所治療穴として適切なのはどれか。
1.曲差
2.陽白
3.四白
4.大迎
解答3
解説
1.× 曲差は、眼窩上神経(三叉神経第1枝)である。曲差は、頭部、前髪際の後方5分、前正中線の外方1寸5分に位置する。
2.× 陽白は、眼神経(三叉神経第1枝)である。陽白は、頭部、眉の上方1寸、瞳孔線上に位置する。
3.〇 正しい。四白は、三叉神経第2枝(上顎神経)の神経痛に対する局所治療穴である。四白は、顔面部、眼窩下孔部に位置する。眼窩下神経の出る部にあたる。
4.× 大迎は、下顎神経(三叉神経第3枝)である。大迎は、顔面部、下顎角の前方、咬筋付着部の前方陥凹部、顔面動脈上に位置する。
問題143 六部定位脈診で右手寸口の沈が虚している場合、難経六十九難に基づく配穴で適切なのはどれか。
1.太淵と太白
2.復溜と経渠
3.曲泉と陰谷
4.大都と少府
解答1
解説
・右手寸口の沈が虚している場合。
・右手寸口の沈の部:肺。
→虚している場合:つまり、肺虚証に該当する。したがって、肺の虚証(補法)を行うことが望ましく、対象は太淵と太白となる。
~六部定位脈診~
【部位】
①左:浮・沈
寸:小腸・心
関:胆・肝
尺:膀胱・腎
②右:浮・沈
寸:大腸・肺
関:胃・脾
尺:三焦・心包
1.〇 正しい。太淵と太白は、六部定位脈診で右手寸口の沈が虚している場合、難経六十九難に基づく配穴である。なぜなら、太淵・太白は、肺の虚証(補法)に該当するため。
2.× 復溜と経渠は、腎の虚証(補法)に該当する。
3.× 曲泉と陰谷は、肝の虚証(補法)に該当する。
4.× 大都と少府は、脾の虚証(補法)に該当する。
【部位】虚証(補法):実証(瀉法)
【肝】曲泉・陰谷:行間・少府・労宮
【肺】太淵・太白:尺沢・陰谷
【心】少衝・大敦:神門・太白
【腎】復溜・経渠:湧泉・大敦
【脾】大都・少府・労宮:商丘・経渠
【心包】中衝・大敦:大陵・太白
【胆】侠渓・足通谷:陽輔・陽谷・支溝
【大腸】曲池・足三里:二間・足通谷
【小腸】後渓・足臨泣:小海・足三里
【膀胱】至陰・商陽:束骨・足臨泣
【胃】解渓・陽谷・支溝:厲兌・商陽
【三焦】中渚・足臨泣:天井・足三里
問題144 取穴部位が主治症の局所にある奇穴はどれか。
1.寝違えに対する落枕
2.腹痛に対する胆嚢点
3.腰痛に対する腰痛点
4.足背痛に対する八風
解答4
解説
1.× 寝違えに対する落枕
落沈は、手背、第2・3中手指節関節の間の近位陥凹部に取る。別名は、外労宮という。【主治】寝違えである。
2.× 腹痛に対する胆嚢点
胆嚢点は、陽陵泉(胆)の下約1寸に取る。【主治】胆嚢炎、胆石症、胸脇痛、下肢痛、下肢運動麻痺である。
ちなみに、陽陵泉は、下腿外側、腓骨頭前下方の陥凹部に位置する。
3.× 腰痛に対する腰痛点
腰痛点は、手背、第2・3および第4・5中手骨底間の陥凹部の2点に取る。別名は、腰腿点という。【主治】急性腰痛、捻挫、腱鞘炎、リウマチ
4.〇 正しい。足背痛に対する八風は、取穴部位が主治症の局所にある奇穴である。
八風は、足背、各中足指節関節の間に取る。【主治】足の痛み(脚気、足背痛、足指の発赤・腫張、関節リウマチ)
問題145 次の文で示す病証に対する治療方針として最も適切なのはどれか。
「56歳の男性。職場の人間関係のストレスから不眠となり、動悸も感じている。最近は物忘れや腰下肢の重だるさ、歯のぐらつきもある。舌質は紅、脈は数を認める。」
1.肝血を補う。
2.腎陽を補う。
3.心火を除く。
4.肝陽を降ろす。
解答3
解説
・56歳の男性。
・職場の人間関係のストレスから不眠、動悸。
・最近:物忘れや腰下肢の重だるさ、歯のぐらつき。
・舌質:紅、脈:数。
→本症例は、心腎不交が疑われる。心腎不交とは、腎陰が損耗し、心陰を補えず、心火が亢進しすぎて不眠を生じる状態のことである。五心煩熱とは、手掌・足底がほてり、同時に胸の部分でそわそわして落ち着かない状態である。盗汗とは、睡眠中にかく汗のことである。
1.× 肝血を補う優先度は低い。
肝血虚は、目乾、目花、転筋、しびれ、不眠、多夢、脈細、舌質淡白などがあげられる。
2.× 腎陽を補う優先度は低い。腎陽虚は、腰膝酸軟、冷え、畏寒、陽萎、不妊、泄瀉、夜間尿、舌苔白などがあげられる。
3.〇 正しい。心火を除く。心腎不交とは、腎陰が損耗し、心陰を補えず、心火が亢進しすぎて不眠を生じる状態のことである。
4.× 肝陽を降ろす優先度は低い。肝陽上亢とは、眩暈、耳鳴、頭痛、目赤、陰虚によるほてり・のぼせ、腰膝酸軟などである。