第32回(R6年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後146~150】

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問題146 右足の第1趾と第2趾に慢性的な痛みがある患者に対し、表裏する経脈を同時に治療する目的で用いる要穴として最も適切なのはどれか。

1.行間
2.公孫
3.衝陽
4.中都

解答

解説
1.× 行間(※読み:こうかん)
行間は、足背、第1~2指間、みずかきの近位、赤白肉際に位置する。足の厥陰肝経である。

2.〇 正しい。公孫(※読み:こうそん)は、右足の第1趾と第2趾に慢性的な痛みがある患者に対し、表裏する経脈を同時に治療する目的で用いる。
公孫は、足内側、第1中足骨底の前下方、赤白肉際に位置する。足の太陰脾経である。

3.× 衝陽(※読み:しょうよう)
衝陽は、足背、第2中足骨底部と中間楔状骨の間、足背動脈拍動部に位置する。足の陽明胃経である。

4.× 中都(※読み:ちゅうと)
中都は、下腿前内側、脛骨内側面の中央、内果尖の上方7寸に位置する。足の厥陰肝経である。

難経六十九難に基づく取穴

【部位】虚証(補法):実証(瀉法)
【肝】曲泉・陰谷:行間・少府・労宮
【肺】太淵・太白:尺沢・陰谷
【心】少衝・大敦:神門・太白
【腎】復溜・経渠:湧泉・大敦
【脾】大都・少府・労宮:商丘・経渠
【心包】中衝・大敦:大陵・太白
【胆】侠渓・足通谷:陽輔・陽谷・支溝
【大腸】曲池・足三里:二間・足通谷
【小腸】後渓・足臨泣:小海・足三里
【膀胱】至陰・商陽:束骨・足臨泣
【胃】解渓・陽谷・支溝:厲兌・商陽
【三焦】中渚・足臨泣:天井・足三里

 

 

 

 

 

問題147 足陽明経の経脈病証でみられるのはどれか。

1.口が歪む。
2.口が苦い。
3.口が乾く。
4.口が熱い。

解答

解説
1.〇 正しい。口が歪む。足陽明経の経脈病証でみられる。足の陽明胃経:顔面神経麻痺、喉や膝の皿が腫れたり痛んだりする。胃腸が張る。気衝~髀関、足の甲と流注上に痛みや熱感が出る。食べても食べてもお腹が空き、濃黄色の小便が出る。びっくりして不安な状態になる。独り塞ぎこんで窓を閉め家の中に閉じこもっている。高い所に登って歌を歌いだす。羞恥心を無くしたように裸になって走り出す。

2.× 口が苦い。
足の少陽胆経:口苦が起こり、大きなため息をつく、寝返りが打てない。顔に少し垢が付いたように黒くなる。体の艶が無くなる。足外反しほてる。頭やエラの所が痛む。まなじりが痛む。首に結核性のリンパ節炎ができる。往来寒熱の状態になり、あらゆる関節が痛む。

3.× 口が乾く。
足の厥陰肝経:腰痛が起こり、仰向けになったりうつ伏せになれなくなる。男性は睾丸が腫れ少腹が拘急疼痛し、婦人は少腹が腫れる。のどが乾き、顔面が垢がたまっている様に黒くなる。嘔吐や粥状の下痢をしたり、鼠径ヘルニア、小便失禁、尿開が起きる。

4.× 口が熱いの、経脈病証でみられない。

六経弁証

太陽病:外感病初期、表寒証。悪寒、発熱、頭痛、項強痛、脈浮など。
少陽病:半表半裹証。発汗、寒熱往来、胸脇苦満、口苦、眩暈、脈弦など。
陽明病:裏実熱証。発汗、壮熱、口渇、潮熱、大便秘結、譫語、洪脈など。
太陰病:裏虚寒証(初期)。食欲不振、腹部膨満感、水様便など。
少陰病:外感病の極期~後期、虚寒/虚熱証。四肢厥冷、心煩、不眠など。
厥陰病:外感病末期。寒熱錯雑。胸部不快感、口渇、四肢厥冷、嘔吐、下痢など。

 

 

 

 

 

問題148 次の文で示す病証に対する十二刺として最も適切なのはどれか。
「45歳の男性。仕事のストレスでのぼせ感が続く。最近はイライラして気持ちがたかぶり眠れない日が多くなっている。舌尖は紅、脈は数で有力を認める。」

1.輸刺
2.陰刺
3.斉刺
4.揚刺

解答

解説

本症例のポイント

・45歳の男性。
・仕事のストレスでのぼせ感が続く。
・最近:イライラして気持ちがたかぶり眠れない日が多くなっている。
・舌尖:紅、脈:数、有力を認める。
熱があるときに使用される十二刺を選択しよう。

1.〇 正しい。輸刺は、本病証に対する十二刺である。
輸刺(※読み:ゆし)は、 気が盛んで熱があるとき、真っ直ぐ深く刺し、真っ直ぐに抜く。

2.× 陰刺(※読み:いんし) 
陰刺は、寒厥のとき、左右の太渓穴に同時に刺入する。

3.× 斉刺(※読み:せいし)
斉刺とは、寒気・痹気の範囲が狭く深部のとき、中心とその両側に刺す方法である。3本使用する。

4.× 揚刺(※読み:ようし)
揚刺とは、寒気の範囲が広く大きいとき、その中心と、四隅から中心に向かって刺す方法である。5本使用する。

 

 

 

 

 

問題149 次の文で示す病証に対する治療方針として最も適切なのはどれか。
「51歳の男性。主訴は動悸。特に食後に起こることが多い。胸悶、息切れを伴う。腹診では胃部振水音を認めた。」

1.血を補う。
2.陰液を補う。
3.痰湿を除く。
4.瘀血を除く。

解答

解説

本症例のポイント

・51歳の男性(主訴:動悸)。
・特に食後に起こることが多い。
・胸悶、息切れを伴う。
・腹診:胃部振水音
→本症例は、食滞が起こっている。

1.× 血を補う優先度は低い
血虚は、眩暈、顔面蒼白、動悸、不眠、健忘、目のかすみ、しびれ、痙攣、月経痛、経少、経色淡白、視力減退、爪の変形などである。

2.× 陰液を補う優先度は低い
陰液とは、陰に属する血・津液・精をまとめた呼称である。気は陽に属する。陰虚に対し行う。

3.〇 正しい。痰湿を除く
気の病証のひとつである痰湿(津液の停滞)は、湿・水:(身体が重だるい、浮腫、下痢)など、飲:腹鳴、動悸、喘息、浮腫など、痰:眩暈、咳嗽、頭痛、動棒、意識障害、精神障害などの状態をいう。

4.× 瘀血を除く優先度は低い
瘀血(おけつ)とは、血液が汚れたり、滞ったり、固まりやすくなった状態のことである。瘀血になると、血の流れが悪くなり、全身に栄養が行き渡らなくなるため、さまざまな症状が現れやすくなる。

 

 

 

 

 

問題150 次の文で示す病証の状態として最も適切なのはどれか。
「52歳の男性。日頃から辛い物やアルコールを摂り過ぎたため、口渇が強く、みぞおちに灼熱感があった。その後、空腹感はあるが食が進まなくなってきた。舌質は紅、無苔、脈は細数を認める。」

1.胃熱が血を滞らせている。
2.胃熱が胃の津液を損傷している。
3.湿熱が疏泄機能を障害している。
4.湿熱が膀胱を熱化させている。

解答

解説

本症例のポイント

・52歳の男性。
・日頃から辛い物やアルコールを摂り過ぎた。
・口渇が強く、みぞおちに灼熱感。
・空腹感はあるが、食が進まなくなってきた
・舌質:無苔、脈:細数。
→本症例は、胃陰虚が疑われる。胃陰虚は、食少、乾嘔、舌質紅絳、舌苔無などがあげられる。また、陰虚・内熱・気逆なども。陰虚に対し、陰を補う必要がある。

1.× 胃熱が血を滞らせている。
胃火上炎は、胃熱の症状、頭痛、咽頭痛、口内炎がみられる。

2.〇 正しい。胃熱が胃の津液を損傷している
津液不足は口唇・咽喉などの乾き、皮膚・髪などの乾燥、尿量減少、乾燥便などがみられる。

3.× 湿熱が疏泄機能を障害している。
肝の生理として、疏泄(情志・気機・月経の調節、脾胃の補助)がみられる。

4.× 湿熱が膀胱を熱化させている。
膀胱湿熱として、頻尿、尿意促迫、隆閉、排尿痛、血尿、小便短赤、舌質紅、脈滑数などがみられる。

 

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