第23回(H27年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後96~100】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

96.六経弁証の少陽病証でみられるのはどれか。

1.悪風
2.口苦
3.下痢
4.高熱

解答

解説
1.× 悪風とは、風や外気にあたると寒気を感じるものである。表実証、気虚(表虚証)などでみられる。

2.〇 正しい。口苦は、六経弁証の少陽病証でみられる。少陽病は、半表半裹証。発汗、寒熱往来、胸脇苦満、口苦、眩暈、脈弦などがみられる。

3.× 下痢は、厥陰病にみられる。厥陰病は、外感病末期。寒熱錯雑。胸部不快感、口渇、四肢厥冷、嘔吐、下痢などがみられる。

4.× 高熱は、陽明病にみられる。陽明病は、裏実熱証で、発汗、壮熱、口渇、潮熱、大便秘結、譫語、洪脈などがみられる。ちなみに、壮熱とは、高熱(身熱)が続き、悪寒せず悪熱するものである。裏実熱証などみられる。

六経弁証

太陽病:外感病初期、表寒証。悪寒、発熱、頭痛、項強痛、脈浮など。
少陽病:半表半裹証。発汗、寒熱往来、胸脇苦満、口苦、眩暈、脈弦など。
陽明病:裏実熱証。発汗、壮熱、口渇、潮熱、大便秘結、譫語、洪脈など。
太陰病:裏虚寒証(初期)。食欲不振、腹部膨満感、水様便など。
少陰病:外感病の極期~後期、虚寒/虚熱証。四肢厥冷、心煩、不眠など。
厥陰病:外感病末期。寒熱錯雑。胸部不快感、口渇、四肢厥冷、嘔吐、下痢など。

 

 

 

 

 

97.次の文で示す経脈病証はどれか。
 「上肢がひきつり、手掌のほてりがある。胸苦しく、精神的に不安定である。」

1.肺経
2.心経
3.心包経
4.三焦経

解答

解説

本症例のポイント

・上肢がひきつり、手掌のほてり。
・胸苦しく、精神的に不安定。
→本症例は、心包経の経脈病証が疑われる。ほかの選択肢が消去できる理由をしっかりおさえておこう。

1.× 肺経
手の太陰肺経の特徴として、あえぎ、咳、喉の痛み上腕、前腕の経所の流れる所が痛んだり、感覚異常が起きる。手の平が熱くなる。肩背が痛み、風寒の邪が襲ってくると汗が出る。小便が少しずつ出で回数が多い、もしくは小便がしばしば出てあくびをする。肩背が冷えて痛み、酸素不足の様な感じがする。尿の色が変わる。

2.× 心経
手の少陰心経の特徴として、吸願の乾燥、上腹部から前胸部にかけてが痛み、口渇が起こり、水分を取ろうとする。目の黄疽や充血、脇痛、経脈の流注部分が痛み、厥してくる。手掌に熱がこもり痛む。

3.〇 正しい。心包経は、本症例の経脈病証である。
手の厥陰心包経の特徴として、手掌全体が熱くなる。前腕から肘にかけて引きつったり強ばったりする。胸や脇腹が突っ張ったり、支えた感じや膨満感が起こってくる。心臓や胸中が憺憺として動悸を打ってくる。顔が赤黒くなり、目が黄ばむ、一旦笑い出すと止まらなくなる。胸中や心臓がモヤモヤし、心膜が痛んでくる。

4.× 三焦経
手の少陽三焦経の特徴として、耳が聞こえにくく、耳が燃え上がるような感じがしたり、耳鳴りがする。咽頭が腫れ、喉を起こす。汗が出て、経絡の流注上に沿って病症が現れる。

 

 

 

 

 

98.次の文で示す患者の病証で適切なのはどれか。
 「16歳の男子。試験前になると食欲不振、腹部膨満感が起こる。腹鳴や腹痛を伴う下痢を頻発する。」

1.脾胃の湿熱
2.肝腎の陰虚
3.脾腎の陽虚
4.肝脾の不調

解答

解説

本症例のポイント

・16歳の男子。
・試験前になると食欲不振、腹部膨満感。
・腹鳴や腹痛を伴う下痢を頻発する。
→本症例は、肝脾の不調が疑われる。
・脾の主な症状として、食欲不振、腹臓、下痢、浮種、身体の重だるさ、やせ、腹鳴などがみられる。
・胃の生理として、①受納(口から入った飲食物を受け入れる)、②腐熟(飲食物の初歩的な消化を行う)、③和降(消化した飲食物を小腸に下降させる)、④降濁(胃は濁なるものを腸へ送ること)などである。

1.× 脾胃の湿熱とは、湿が脾胃に長く影響し化熱したものである。脾胃湿熱は、だるさ、体の重さなどの湿の症状に熱象の症状として口渇、皮膚の痒み、泥状の熱感を伴った排便など湿熱の症候を呈す。

2.× 肝腎の陰虚とは、肝・腎が陰虚状態であることをさす。陰虚(陰熱)は、ほてり、のぼせ、五心煩熱、手足身熱、盗汗、頬部紅潮、消痩、潮熱、舌質(紅)、舌苔(少)、脈(細脈)などである。

3.× 脾腎の陽虚とは、脾と腎の陽が不足している状態である。脾腎陽虚になると、慢性の下痢や腰痛、浮腫(むくみ)、尿量減少、冷えなどが起こる。ちなみに、五更泄瀉は、脾腎陽虚にみられ、夜明け前:午前3~5時の下痢、鷄鳴下痢のものをいう。

4.〇 正しい。肝脾の不調は、この患者の病証である。肝脾不和とは、肝臓と脾臓の連携が乱れ、脾臓から肝臓への受け渡しがうまくいかない状態である。症状として、胃痛、腹痛、食欲不振、お腹や胸の張り、イライラ、憂うつ感などである。

 

 

 

 

 

99.「56歳の男性。主訴は食欲不振。腹部の痞えや膨満感、重痛を伴う。口が粘る、口苦、臭いの強い下痢がみられる。」
 最も適切な病証はどれか。

1.気滞
2.陽虚
3.陰虚
4.湿熱

解答

解説

本症例のポイント

56歳の男性(主訴:食欲不振)。
・腹部の痞えや膨満感、重痛を伴う。
口が粘る、口苦、臭いの強い下痢がみられる。
→本症例は、湿熱が疑われる。ほかの選択肢も消去できる理由をおさえておこう。主に、ほかの選択肢は、口が粘る、口苦、臭いの強い下痢はみられない。

1.× 気滞は、脹痛、胸悶、胸肋部痛、抑鬱感、腹部膨満感などで、増悪と緩解を繰り返し、不安定となりやすい。

2.× 陽虚(虚寒)は、寒証+気虚症状。寒がり、四肢の冷え、顔面蒼白、下痢、白色帯下、腹痛、自汗、倦怠感、息切れ、食欲不振、脈遅・弱などである。

3.× 陰虚陰虚とは、陰熱の症状で、ほてり、のぼせ、五心煩熱、手足身熱、盗汗、頬部紅潮、消痩、潮熱、舌質(紅)、舌苔(少)、脈(細脈)などである。

4.〇 正しい。湿熱は、この患者の病証である。湿熱とは、体内に余分な水分(湿)と熱が合わさり、ドロドロした状態になることである。自律神経や血液の巡りを邪魔し、体の様々な箇所で不調を引き起こすきっかけとなる。原因は暴飲暴食が多い。

 

 

 

 

 

100.「56歳の男性。主訴は食欲不振。腹部の痞えや膨満感、重痛を伴う。口が粘る、口苦、臭いの強い下痢がみられる。」
 本患者の病証でみられる脈状はどれか。

1.濇脈
2.滑脈
3.結脈
4.細脈

解答

解説

本症例のポイント

56歳の男性(主訴:食欲不振)。
・腹部の痞えや膨満感、重痛を伴う。
口が粘る、口苦、臭いの強い下痢がみられる。
→本症例は、湿熱が疑われる。ほかの選択肢も消去できる理由をおさえておこう。湿熱とは、体内に余分な水分(湿)と熱が合わさり、ドロドロした状態になることである。自律神経や血液の巡りを邪魔し、体の様々な箇所で不調を引き起こすきっかけとなる。原因は暴飲暴食が多い。

1.× 濇脈(渋脈)は、血瘀でみられ、脈の流れが悪く、ざらざらとして渋滞したようなものである。

2.〇 正しい。滑脈は、この病証でみられる脈状である。滑脈は、痰湿、食滞で起こり、脈の流れが滑らかで、円滑に指に触れるものをさす。

3.× 結脈は、脈が一拍欠落する不整脈のことである。決まった法則性はなく、ゆるやかな脈で、時々止まる。主に陰寒や積滞内阻による。

4.× 細脈は、脈が細く、幅が狭く感じられる脈のことである。指の下で糸のように触れ、脈拍は遅く、軟弱無力である。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)