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51.抗原に対する初回の反応で最初に増加する免疫グロブリンはどれか。
1.IgA
2.IgE
3.IgG
4.IgM
解答4
解説
1.× IgAとは、体内では2番目に多い免疫グロブリンで、鼻汁、涙腺、唾液、消化管、膣など、全身の粘膜に存在している。IgAは、粘膜の表面で病原体やウイルスと結合し、病原体やウイルスが持っている毒素を無効化して感染しないように阻止する働きがある。母乳(特に初乳)に多く含まれる。児が自分自身でも生産するため、徐々に濃度が上昇し10歳ごろに成人と同じレベルに達する。
2.× IgEとは、肥満細胞や好塩基球の細胞表面に存在している。ヒスタミン遊離によりアレルギー疾患を引き起こす。生後6か月以降の乳幼児では、しばしばアトピー性アレルギー疾患の進行に伴って血清中のIgE抗体が上昇する。したがって、I型反応(即時型、アナフィラキシー型)のアレルギー反応に関与する。
3.× IgGとは、分子量が最も小さい抗体であるため、唯一、胎盤を通過する免疫グロブリンである。IgMが生成された後に生成され始め、血中で最も多く存在する抗体である。一般的に抗体検査というとこのIgGを調べることが多い。比較的長期間持続されるとされており、その期間は数ヶ月〜数年とウイルスによって異なる。
4.〇 正しい。IgMは、抗原に対する初回の反応で最初に増加する免疫グロブリンである。IgMとは、新生児由来であり、児に感染が起きたときに産生される免疫グロブリンである。しかし、感染防御力は低い。出生直後の新生児の血中IgMが高値の場合は、胎内または分娩時の感染が示唆される。感染の初期に発現し、生体防御の初段階を担うのはこのIgMに属するいずれかの抗体で、それらは症状が進むと再び発現するようになる。
(※引用:「アレルギー総論」厚生労働省HPより)
52.糖尿病性昏睡時にみられるのはどれか。
1.チェーン・ストークス呼吸
2.クスマウル呼吸
3.ビオー呼吸
4.口すぼめ呼吸
解答2
解説
糖尿病ケトアシドーシスとは、糖尿病急性合併症である「糖尿病昏睡」のひとつであり、 喉の乾き、多尿、全身の倦怠感などの症状に引き続いて急激に発症し、悪化すると呼吸困難や吐き気、嘔吐、腹痛、意識障害などが起こる。
1.× チェーン・ストークス呼吸とは、数十秒間程度の無呼吸が続いた後、外呼吸を再開すると1回換気量が次第に増加し、極大に達すると今度は1回換気量が減少して、再び数十秒間の無呼吸に至るというサイクルが続く、異常な外呼吸の仕方である。呼吸中枢の低酸素症(脳出血、脳梗塞)、動脈血循環の不良、低酸素血症のいずれかが原因となる。
2.〇 正しい。クスマウル呼吸は、糖尿病性昏睡時にみられる。クスマウル呼吸とは、異常呼吸のひとつで、異常に深大な呼吸が連続し、規則正しく続く状態で深い呼吸が規則正しく続く。運動時にも同様の呼吸がみられることがある。 糖尿病性ケトアシドーシス、腎不全に伴う尿毒症、昏睡時などに認められる。
3.× ビオー呼吸とは、不規則に早く深い呼吸が突然中断され、無呼吸となり、また早く深い呼吸に戻る呼吸である。原因疾患は、①呼吸中枢の障害、②髄膜炎の末期に起こる。
4.× 口すぼめ呼吸とは、口をすぼめることによって、呼気に抵抗をかける呼吸である。これにより、気道内圧が上昇し、末梢の気管支の虚脱を防ぐ。
主に慢性閉塞性肺疾患の患者に対し呼吸リハビリテーションとして実施する。
(※図引用:「異常呼吸」日本臨床検査医学会様HPより)
53.血漿膠質浸透圧低下による浮腫がみられるのはどれか。
1.うっ血性心不全
2.肝硬変
3.癌性胸膜炎
4.フィラリア症
解答2
解説
浮腫とは、体液のうち間質液が異常に増加した状態を指す。主に皮下に水分が貯留するが、胸腔に溜まった場合は胸水・腹腔に溜まった場合は腹水と呼ばれる。軽度の浮腫であれば、寝不足や塩分の過剰摂取、長時間の起立などが要因で起きることがある。病的な浮腫の原因はさまざまだが、①血漿膠質浸透圧の低下(低アルブミン血症など)、②心臓のポンプ機能低下による血液のうっ滞(心不全など)、③リンパ管の閉塞によるリンパ液のうっ滞、④血管透過性の亢進(アナフィラキシーショックなど)に大別することができる。
1.× うっ血性心不全とは、心臓のポンプ機能が弱まり、充分な量の血液を全身に送れなくなって、血液の滞留(うっ血)が起こしている状態である。 このため、呼吸困難や倦怠感、むくみなどが生じる。BNPが 100pg/mL以上であることが診断基準である。症例のBNP値は正常範囲内である。
2.〇 正しい。肝硬変は、血漿膠質浸透圧低下による浮腫がみられる。なぜなら、肝硬変では、肝臓の機能低下によりアルブミン合成が低下するため。血漿中のアルブミンが減少することで、血漿膠質浸透圧が低下し、浮腫や腹水が生じる。ちなみに、肝硬変とは、B型・C型肝炎ウイルス感染、多量・長期の飲酒、過栄養、自己免疫などにより起こる慢性肝炎や肝障害が徐々に進行して肝臓が硬くなった状態をいう。 慢性肝炎が起こると肝細胞が壊れ、壊れた部分を補うように線維質が蓄積して肝臓のなかに壁ができる。
3.× 癌性胸膜炎とは、がんを原因に肺を覆う胸膜と胸壁側を覆う胸膜の間(胸膜腔)に胸水が異常にたまる病気で、悪性胸水とも呼ばれる。胸膜の炎症やリンパ流の障害によって胸水が貯留する。したがって、浮腫の原因は、主に胸膜の透過性亢進やリンパ流の障害によるものである。
4.× フィラリア症とは、蚊によって媒介される寄生虫(線虫)による感染症である。リンパ系を侵すことがあります。感染は、通常、小児期に成立し、リンパ系組織に症状が現れないまま障害を起こし、後に、この疾患による疼痛を伴う外観の大きな変形、リンパ浮腫、象皮病、陰嚢水腫が、生涯のうちに現れてきて、永続的な身体の障害へと進展する。したがって、浮腫の原因は、寄生虫によってリンパ管が閉塞し、リンパ流の障害によるものである。
54.吐血の原因となるのはどれか。
1.大腸癌
2.クローン病
3.気管支拡張症
4.胃潰瘍
解答4
解説
①喀血とは、下気道(気管支肺)からの出血。喀血は血液そのものを咳とともに吐く状態である。
②血痰とは、気道の出血が少量であれば痰に血が混じっている状態である。
③吐血とは、上部消化管(口から十二指腸までの食道、胃、十二指腸)からの出血。
したがって、喀血は吐血と比べると赤みが強く、泡が混じることが多く、固まりにくいという特徴がある。
1.× 大腸癌は、血便がみられる。ちなみに、下血とは、肛門から黒い血が出ることである。血便と下血は別のものであり、血便とは、赤い血が混じっている便である。一方、下血は黒い血が混じっている便のことをいう。赤い便(血便)は、下部消化管、すなわち回腸や大腸・肛門からの出血が原因である。一方、黒い便(下血)の原因は、上部消化管、つまり食道、胃、十二指腸などの上部小腸からの出血である。
2.× クローン病とは、小腸や大腸などの粘膜に、慢性的な炎症を引き起こす病気のことで、クローン病は10~20歳代で発症するケースが多く、主に小腸や大腸に炎症が現れる。現在のところ、はっきりした発症原因はよく分かっていない。一般的な症状は腹痛と下痢である。しかし、口から肛門まで全ての消化器官に炎症を引き起こす可能性があるため、症状は人によって大きく異なる。栄養の消化吸収障害、炎症による消耗に伴う必要エネルギーの増加などが起こるため、食事・栄養管理は重要である。したがって、クローン病の食事療法は高カロリー・低脂肪食・低残渣食が基本とされている。低残渣食とは、胃腸に負担をかけないように調整した食事のことで、日常の食事で胃腸にもっとも負担をかける成分は食物繊維で、それを制限し負担をかけやすい脂肪の多い物・刺激の強い物・極端に冷たい物などを控えた食事のことである。必要エネルギーの補給のほか、腸管の安静と食事性アレルゲンの除去を目的として栄養療法を行う。治療では小腸や大腸などの炎症や、過剰な免疫作用を抑える薬物療法が中心に行われる。
3.× 気管支拡張症とは、気道(特に中小気管支)が恒久的に拡張し、不可逆的な変化が生じる疾患である。主な症状は、咳・痰・血痰(喀血)である。原因は、先天的な原因や幼小児期の肺炎、繰り返す感染などで、気管支壁が壊れたり弱くなることにより生じる。異物を排除して感染予防に重要な呼吸器系の線毛の機能が低下するため感染が生じ易くなり、その結果、副鼻腔炎と気管支拡張症を生じる。また、線毛と関連して精子の鞭毛の異常を伴う。
4.〇 正しい。胃潰瘍は、吐血の原因となる。胃潰瘍とは、胃粘膜が炎症を起こし、粘膜の一部が欠損している状態である。症状として、みぞおちを中心とした鋭い痛み、吐き気、嘔吐、胸やけ、頻繁なげっぷ、食欲不振などである。
55.発疹がみられるのはどれか。
1.ベーチェット病
2.パーキンソン病
3.メニエール病
4.アルツハイマー病
解答1
解説
1.〇 正しい。ベーチェット病は、発疹がみられる。ベーチェット病とは、自己免疫疾患で、四徴として、①口腔粘膜のアフタ性潰瘍、②ぶどう膜炎、③皮膚症状(結節性紅斑や皮下硬結)、④外陰部潰瘍である。皮膚症状として、下腿に後発する。発赤や皮下結節を伴う結節性紅斑、圧痛を伴う皮下の遊走性血栓性静脈炎、顔面・頚部・背部などにみられる毛嚢炎様皮疹または痤瘡様皮疹などが出現する。
2.× パーキンソン病とは、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である。4大症状として①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害を特徴とする。また、自律神経障害による便秘や起立性低血圧、排尿障害、レム睡眠行動障害などが起こる。レム睡眠行動障害とは、レム睡眠の時期に体が動き出してしまう睡眠障害の1つである。 睡眠時随伴症に分類される。
3.× メニエール病とは、膜迷路を満たしている内リンパ液の内圧が上昇し、内リンパ水腫が生じる内耳疾患である。4大症状として、①激しい回転性のめまい、②難聴(感音難聴)、③耳鳴り、④耳閉感を繰り返す内耳の疾患である。主な原因は「内リンパ水腫」で、 その根底にはストレス・睡眠不足・疲労・気圧の変化・几帳面な性格などがあると考えられている。耳発作時では安静を第一に考えた指導を行い、間欠期では発作が起こらないようにするための指導をする。
4.× アルツハイマー病とは、認知症の中で最も多く、病理学的に大脳の全般的な萎縮、組織学的に老人斑(アミロイドβの蓄積)・神経原線維変化の出現を特徴とする神経変性疾患である。特徴は、①初期から病識が欠如、②著明な人格崩壊、③性格変化、④記銘力低下、⑤記憶障害、⑥見当識障害、⑦語間代、⑧多幸、⑨抑うつ、⑩徘徊、⑩保続などもみられる。Alzheimer型認知症の患者では、現在でもできる動作を続けられるように支援する。ちなみに、休息をとることや記銘力を試すような質問は意味がない。