第21回(H25年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前36~40】

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36.グルコースについて正しいのはどれか。

1.多糖類である。
2.蛋白質の合成に利用される。
3.グリセロールから合成される。
4.ミトコンドリアで分解される。

解答

解説

グルコースとは?

グルコースとは、果物や穀類などに多く含まれ、自然界に最も多く存在する単糖類である。血液中の主要な糖分であり、脳のエネルギー源として関与する。小腸上皮でブドウ糖(グルコース)や果糖(フルクトース)などの単糖に分解され、吸収される。

1.× 「多糖類」ではなく単糖である。

2.× 蛋白質の合成に利用されるのは、「グルコース」ではなくアミノ酸である。

3.〇 正しい。グリセロールから合成される。この反応を糖新生という。糖新生とは、肝臓などで血中のブドウ糖が低下した場合に、ブドウ糖以外の物質からブドウ糖を産生する過程である。乳酸やアミノ酸、グリセロールなどの栄養素からグルコースを合成する反応で、解糖系の逆反応とも呼ばれる。

4.△ ミトコンドリアで分解される。糖新生は、主に肝臓と腎臓で行われ、一部の反応はミトコンドリアのTCA回路を経由する。この選択肢の否定できる理由をご存じの方いらしたら、コメント欄にて教えてください。

 

 

 

 

 

37.尿量を増やすのはどれか。

1.循環血液量の減少
2.血漿浸透圧の上昇
3.バゾプレシン分泌の増加
4.心肺部圧受容器活動の亢進

解答

解説
1.× 循環血液量の減少は、尿量の減らす。なぜなら、循環血液量の減少は、腎血流量の低下を招くため。腎血流量が低下すると、腎臓でのろ過圧が低下し、尿生成が減少する。

2.× 血漿浸透圧の上昇は、尿量の減らす。なぜなら、下垂体からのバゾプレシン(抗利尿ホルモン)の分泌が促進されるため。

3.× バゾプレシン分泌の増加は、尿量の減らす。なぜななら、バゾプレシン(抗利尿ホルモン)は、腎臓での水の再吸収が亢進されるため。

4.〇 正しい。心肺部圧受容器活動の亢進は、尿量を増やす。心肺部圧受容器は、右心房や大静脈などに存在し、循環血液量や静脈還流量の増加を感知する。圧受容器の活動が亢進すると、バゾプレシンの分泌が抑制される。したがって、水の再吸収が減少し、尿量が増加する。

 

 

 

 

 

38.作用発現に標的細胞内のセカンドメッセンジャーを介するのはどれか。

1.カテコールアミン
2.アルドステロン
3.テストステロン
4.トリヨードサイロニン

解答

解説

ホルモンの作用機序

受容体には、①細胞内(核内)受容体、②細胞膜受容体があげられる。

①細胞内(核内)受容体:受容体が細胞内、または核内に存在する。
・脂溶性ホルモンといわれる。
・具体的には甲状腺ホルモンやステロイドホルモンなど。

②細胞膜受容体:受容体が細胞膜表面に存在する。
・水溶性ホルモンといわれる。
・具体的にはペプチドホルモンやカテコールアミンなど。

1.〇 正しい。カテコールアミンは、作用発現に標的細胞内のセカンドメッセンジャーを介する。なぜなら、カテコールアミンは、水溶性ホルモンであるため。水溶性ホルモンは細胞膜を通過できないため、受容体は細胞膜上に存在し、セカンドメッセンジャーという細胞内の情報伝達物質を介して作用を発揮する。ちなみに、セカンドメッセンジャーは、細胞膜上の受容体がホルモンや神経伝達物質(ファーストメッセンジャー)を認識した際に、細胞内で信号を伝達する物質である。cAMP(サイクリックAMP)やIP3(イノシトール三リン酸)などが該当する。カテコールアミンとは、アドレナリンやノルアドレナリンなどのことで、血管を収縮させ、心拍数を増加させる。

2.× アルドステロンは、脂溶性ホルモンに該当する。アルドステロンとは、腎臓に作用してナトリウムと水の再吸収を促進し、循環血漿量増加を促し血圧を上昇させる。アルドステロンが過剰に分泌されると、高血圧や低カリウム血症、筋力低下などがみられる。

3.× テストステロンは、脂溶性ホルモンに該当する。テストステロンとは、男子の第二次性徴に最も関与するホルモンである。

4.× トリヨードサイロニンは、脂溶性ホルモンに該当する。甲状腺ホルモンとは、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)があり、新陳代謝を調節している。脈拍数や体温、自律神経の働きを調節し、エネルギーの消費を一定に保つ働きがある。

 

 

 

 

 

39.排卵を誘発するホルモンはどれか。

1.プロゲステロン
2.プロラクチン
3.黄体形成ホルモン
4.オキシトシン

解答

解説
1.× プロゲステロンとは、基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすい状態にする作用を持つ。プロゲステロン(黄体ホルモン)は、性周期が規則的で健常な成人女性において、着床が起こる時期に血中濃度が最も高くなるホルモンである。着床が起こる時期とは、月経の黄体期である。黄体期は、排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期である。

2.× プロラクチンとは、乳腺刺激ホルモンともいい、脳の下垂体から分泌され、妊娠すると高くなり乳腺を成長させ乳汁産生を行う。一般的に出産後など授乳期間中において、乳頭の刺激で高くなり乳汁を分泌する。

3.〇 正しい。黄体形成ホルモンは、排卵を誘発するホルモンである。黄体形成ホルモンとは、下垂体前葉から分泌され、卵巣に影響し排卵を起こす上で重要な役割を担う。また、思春期に増加し、精巣においてテストステロン、卵巣においてエストロゲンの分泌を増加させる。

4.× オキシトシンとは、脳下垂体後葉から分泌される。出産後に乳汁射出、子宮収縮作用がある。また、分娩開始前後には分泌が亢進し、分娩時に子宮の収縮を促し、胎児が下界に出られるように働きかける。児の吸啜刺激によって分泌が亢進し、分娩後の母体の子宮筋の収縮を促す。

(※画像引用:日本医師会様HPより)

月経周期

・卵胞期:1回の月経周期が始まると脳の底の方にある下垂体というところから、卵を包んでいる卵胞を刺激する卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されはじめ、卵胞は大きくなると同時に女性ホルモン(エストロゲン)を分泌する時期。
・増殖期:女性ホルモン(エストロゲン)が新しい子宮内膜を成長させていく時期。卵胞期と増殖期とはだいたい同じ時期。
・黄体期:排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期。
・分泌期:子宮内膜が成長を止めて受精卵が着床できるよう準備をする時期。

 

 

 

 

 

40.シナプス伝達の可塑性を示すのはどれか。

1.長期増強
2.シナプス遅延
3.周辺抑制
4.加重

解答

解説

シナプス伝達の可塑性とは?

シナプス伝達の可塑性は、シナプスの効率が時間とともに変化する現象を指す。よく使われる記憶を蓄え、使われない記憶を消去して情報を整理するという働きもする。この可塑性は、学習や記憶の基盤となる重要な機能である。

1.〇 正しい。長期増強は、シナプス伝達の可塑性を示す。長期増強は、シナプス伝達効率が持続的に高まる現象で、主に海馬などで観察される。

2.× シナプス遅延は、神経伝達の物理的特性である。シナプス前ニューロンから放出された神経伝達物質が、シナプス後ニューロンに到達して反応を引き起こすまでの遅延時間(通常約0.5ms)を指す。

3.× 周辺抑制は、情報処理の一形態である。周辺抑制は、特定のニューロンが周囲のニューロンの活動を抑制する現象で、感覚処理(例:視覚や触覚)でコントラストを強調する役割を果たす。

4.× 加重は、シナプス伝達の性質である。加重は、複数のシナプス入力が時間的または空間的に合わさり、シナプス後ニューロンの活動電位を引き起こす現象を指す。
・時間的加重:短い時間間隔での刺激の累積。
・空間的加重:複数のシナプスからの入力の統合。

神経線維の興奮伝導の4原則

①絶縁性(隔絶) 伝導:隣接する他の神経線維を興奮させない。
②不減衰伝導:興奮は減衰しない。
③両方向 (両側) 性伝導:興奮は両方向に伝導する。ただし、シナプスからの出力は原則一方向性である。
④等速伝導:1本の軸索上を興奮は一定の速度で伝導していく。ただし、有髄線維では跳躍伝導が起こる。

 

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