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46.最も頻度の高い塞栓はどれか。
1.腫瘍
2.血栓
3.空気
4.脂肪
解答2
解説
塞栓とは、血流内に外部から入った異物または血管内に生じた血栓が遊離して他臓器に運ばれ、末梢血管または臓器血管を閉塞する現象のことをいう。主に血栓形成や異物によって起こる。ちなみに、深部静脈血栓症とは、深部静脈に血の塊(血栓)ができることである。血栓が足の静脈から心臓や肺に向かって流され、肺の血管に詰まった場合、肺塞栓症を引き起こす。
1.× 腫瘍とは、体の中にできた細胞のかたまりのことである。悪性腫瘍とは、このような腫瘍のうち、無秩序に増殖しながら周囲にしみ出るように広がったり(浸潤)、体のあちこちに飛び火して新しいかたまりを作ったり(転移)するもののことをいう。
・腫瘍塞栓とは、血管の中にガン細胞が入り込み、そしてその中で増殖することによって血管が塞がれ、最終的に破壊されてしまう病気のことである。静脈で起こりやすく、血液の供給が充分でない場所が生じ、重症化すると壊死する。心臓や肺などで生じた場合は迅速な治療が必要である。ちなみに、急性白血病とは、骨髄の中にある幼若な血液細胞が癌化して白血病細胞となり骨髄の中で急速に分裂して数を増やす疾患である。白血病細胞が骨髄の中で増えてくる結果、骨髄の本来の機能である造血能が著しく障害される。初期症状として、発熱・貧血・出血傾向・骨痛・倦怠感がみられる。
2.〇 正しい。血栓は、最も頻度の高い塞栓である(特に静脈血栓:深部静脈血栓症)。血栓とは、血管内において形成される凝血塊。血栓によって生じる病態を総称して血栓症という。
3.× 空気塞栓とは、ガス塞栓とも呼ばれ、循環器系内の空気または他の気体の、1つまたは複数の気泡によって引き起こされる血管の閉塞である。 空気は、外科的処置、肺の過膨張による損傷(圧外傷)、減圧症、および他のいくつかの原因において循環系に引き込まれる可能性がある。ちなみに、潜函病とは、スキューバダイビングや潜水作業等に関連して生じる圧力の変動によって引き起こされる健康被害のことを指す。急性減圧症候群や潜水病などとも呼ばれる。発症初期には潜水中に息切れを感じる。重篤化すると、呼吸困難や血圧の低下などを認める。
4.× 脂肪
・脂肪塞栓症候群とは、大腿骨をはじめとする長管骨骨折や髄内釘手術を契機に、非乳化脂肪滴である中性脂肪が循環系に流入し、肺、脳、皮膚に脂肪塞栓症をきたし、呼吸器症候、中枢神経症候、皮膚点状出血などを呈する症候群である。長管骨骨折での発生率は0.9~2.2%とされている。
47.褐色萎縮のときに沈着する色素はどれか。
1.ヘモジデリン
2.メラニン
3.ビリルビン
4.リポフスチン
解答4
解説
1.× ヘモジデリンとは、ヘモグロビンの鉄を含む色素である。成人男性は50mg/kg、成人女性は35mg/kgの鉄分を体内に持ち、そのうちの約2/3はヘモグロビンの構成成分として用いられている。残りの1/3のうちほとんどは、フェリチンやヘモジデリンといった貯蔵鉄として、脾臓、骨髄、肝臓中に含まれる。
2.× メラニンとは、肌や毛髪・瞳の色を構成する黒色の色素のことで紫外線から皮膚の細胞を守る働きがある。皮膚の基底層や毛髪の毛母細胞にあるメラノサイトで生成される。
3.× ビリルビンとは、赤血球が壊れたときにできる黄色い色素のことである。総ビリルビンは、①間接ビリルビンと②直接ビリルビンをあわせていう。基準値:0.2〜1.2mg/dLである。肝細胞の障害により、直接ビリルビンが上昇する。急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝臓がん、自己免疫性肝炎などがあげられる。腎臓からも排泄され、主に肝臓で代謝されるため、肝臓や胆嚢の状態を知るための重要な指標となる。
4.〇 正しい。リポフスチンは、褐色萎縮のときに沈着する色素である。リポフスチンは、加齢とともに 蓄積する老化色素であり、血管に溜まることでくすみの原因になると考えられている。特に心筋などの長寿命な細胞での沈着が一般的である。
褐色萎縮とは、細胞や組織の萎縮に伴い、リポフスチンという色素が細胞内に蓄積する病理学的変化を指す。このリポフスチンは、細胞の老化や損傷、長期間のストレスによって生じた脂質の過酸化物が蓄積したものである。
48.右心室肥大をきたす疾患はどれか。
1.大動脈弁狭窄症
2.大動脈瘤
3.原発性肺高血圧症
4.本態性高血圧症
解答3
解説
(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」より)
1.× 大動脈弁狭窄症は、左心室肥大の原因となる。大動脈弁狭窄症とは、心臓の左心室と大動脈を隔てている弁の動きが悪くなり、全身に血液を送り出しにくくなる状態になる疾患である。近年、原因は加齢や動脈硬化が原因である割合が増えてきている。
2.× 大動脈瘤とは、心臓から始まる全身に血液を送る大動脈という臓器が拡大し破裂の恐れを呈する病気である。大動脈瘤破裂は極めて死亡率の高い疾患であり緊急手術を行っても助かる見込みが少ない非常に重篤な病気である。
3.〇 正しい。原発性肺高血圧症は、右心室肥大をきたす疾患である。なぜなら、右心から肺への拍出力が低下し、体循環系にうっ血が生じるため。原発性肺高血圧症とは、肺高血圧症のうち、原因疾患がないにもかかわらず、肺小動脈が狭窄し肺動脈圧が上昇した病態である。平均年齢40歳ぐらいの比較的若い女性に多く、進行性である。
4.× 本態性高血圧症は、左心室肥大の原因となる。高血圧症とは、①本態性高血圧(原因が生活習慣や環境、遺伝などはっきり特定できないもの:高血圧症全体の9割)と、②二次性高血圧(ホルモン分泌異常や臓器の奇形などで生じ原因が特定できるもの:腎血管性高血圧を含む)に分けられる。二次性高血圧症の原因として、①腎実質性、②腎血管性、③内分泌性、④血管性、⑤脳・中枢神経性(脳幹部血管圧迫)、⑥遺伝性、⑦薬剤誘発性などがある。②腎血管性高血圧は、腎動脈硬化症や線維筋性異形成、高安大動脈炎、解離性大動脈瘤などによる腎血流低下により腎臓でレニン産生が増加するてめ高血圧となる。③内分泌性高血圧には、先端巨大症、クッシング症候群、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、レニン産生腫瘍などにより高血圧となる。
心不全とは、組織が必要とする循環血液量を心臓が拍出できない病態である。
心拍出量の低下を起こす原因として、
・左心不全:肺循環系にうっ血が著明なもの
・右心不全:体循環系にうっ血が著明なもの。
右室拡張末期圧の上昇(体循環の静脈系のうっ血)により右心不全は引き起こされる。
49.炎症の経過で最も初期にみられる現象はどれか。
1.炎症巣への白血球の遊走
2.細動脈の収縮
3.血漿成分の血管外への流出
4.線維芽細胞の増生
解答2
解説
①血液凝固期(術後~数時間後):出血による凝固塊が欠損をふさいで止血する時期である。
②炎症期(術直後~3日目ころ):炎症性細胞(好中球、単球、マクロファージなど)が傷に遊走して、壊死組織や挫滅組織などを攻める時期である。
③増殖期(3日目~2週間後):線維芽細胞が周辺から遊走して、細胞外マトリックスを再構築し、血管新生が起こり、肉芽組織が形成される時期である。
④成熟期(2週間~数か月後)(再構築期:リモデリング期):線維芽細胞が減り、線維細胞へと成熟し変化するじきである。コラーゲンの再構築が起き、創部の抗張力が高くなることで創傷が治癒していく。
1.× 炎症巣への白血球の遊走は、炎症期(術直後~3日目ころ)にみられる。血管透過性の亢進と血漿成分の漏出が起こった後に続く現象である。
2.〇 正しい。細動脈の収縮は、炎症の経過で最も初期にみられる現象である。血液凝固期(術後~数時間後)にみられる現象である。炎症による血管透過性の亢進の結果、 出現する血液成分の血管外移動を滲出といい、 その体液を滲出液という。
3.× 血漿成分の血管外への流出は、血液凝固期(術後~数時間後)にみられる現象であるが、まずは細動脈の収縮が最も初期にみられる。血液凝固期(術後~数時間後)の機序として、①細動脈の一過性収縮→②血管拡張→③血漿成分の漏出→④白血球の遊走である。
4.× 線維芽細胞の増生は、増殖期(3日目~2週間後)にみられる。線維芽細胞増生は、皮膚の創傷治癒過程において血餅の下層にみられる。増殖期には、線維芽細胞が増殖し、コラーゲンや他の細胞外マトリックスを合成して創傷部位を修復する。
慢性炎症の背景は、自己免疫、急性炎症からの移行、微生物の細胞内持続感染がある。
【特徴】
①大食細胞やリンパ球および形質細胞などの浸潤
②炎症細胞の浸潤による組織破壊
③新生血管の増生を含む修復と線維化・瘢痕形成
線維化とは、実際には線維芽細胞の増殖と過剰な細胞外基質の貯蓄のことである。
線維化は、多くの慢性炎症性疾患に共通する所見であり、臓器の機能障害の重要な原因である。
50.アレルギー反応と疾患との組合せで正しいのはどれか。
1.Ⅰ型アレルギー:バセドウ病
2.Ⅱ型アレルギー:アトピー性皮膚炎
3.Ⅲ型アレルギー:全身性エリテマトーデス
4.Ⅴ型アレルギー:グッドパスチャー症候群
解答3
解説
1.× バセドウ病は、「Ⅰ型」ではなくⅤ型(刺激型)アレルギーである。刺激型反応(Ⅴ型)は、ホルモンを分泌する細胞に結合する反応で、甲状腺機能亢進症・低下症を引き起こす。バセドウ病に代表される(Ⅱ型アレルギーの亜型:抗受容体抗体型)である。これも含めてアレルギー型を5つに分類する場合がある。バセドウ病とは、甲状腺刺激ホルモン受容体に対する自己抗体による甲状腺機能亢進症である。症状は、眼球突出、頻脈、びまん性甲状腺腫が特徴的である。
2.× アトピー性皮膚炎は、「Ⅱ型アレルギー」ではなくⅠ型アレルギーである。
・Ⅰ型アレルギーとは、肥満細胞や好塩基球からの化学伝達物質の放出によって起こる即時型アレルギーで、アレルゲンに接触した数分後に、皮膚・粘膜症状が出現する。まれにアナフィラキシーショックとなり重篤化(血圧低下、呼吸困難、意識障害を伴う)することがある。
・アトピー性皮膚炎とは、皮膚のバリア機能が低下し、かゆみを伴う湿疹がよくなったり悪くなったりを繰り返す病気のことである。子どもの頃に発症することが多く、一般的には成長とともに症状は改善していきますが、一部の患者は成人になってからもかゆみや湿疹などの症状が続く。原因は不明、アレルギーを起こしやすい体質や遺伝などが発症に関与していると考えられている。
3.〇 正しい。Ⅲ型アレルギー:全身性エリテマトーデス
・Ⅲ型アレルギーとは、免疫複合体型やArthus型と呼ばれ、抗体はIgG・IgMが関与するが、免疫複合体も関与するアレルギーである。免疫複合体が血管内皮などの組織に沈着すると補体を活性化し、結果として組織障害を生じる。血清病、全身性エリテマトーデスなどに関連する。遅発型で3~8時間で最大の紅斑と浮腫が生じる。
・全身性エリテマトーデスとは、皮膚・関節・神経・腎臓など多くの臓器症状を伴う自己免疫性疾患である。皮膚症状は顔面の環形紅斑、口腔潰瘍、手指の凍瘡様皮疹である。10~30歳代の女性に好発する多臓器に障害がみられる慢性炎症性疾患であり、寛解と再燃を繰り返す病態を持つ。遺伝的素因を背景にウイルス感染などが誘因となり、抗核抗体などの自己抗体産生をはじめとする免疫異常で起こると考えられている。本症の早期診断、早期治療が可能となった現在、本症の予後は著しく改善し、5年生存率は95%以上となった。主な治療法として、①非ステロイド系消炎鎮痛剤、②ステロイド剤などである。診断基準として、顔面紅斑、円板状皮疹、光線過敏症、口腔内潰瘍、抗核抗体陽性など4項目以上満たすと全身性エリテマトーデス(SLE)を疑う。
4.× グッドパスチャー症候群は、「Ⅴ型アレルギー」ではなくⅡ型アレルギーである。
・Ⅱ型アレルギーとは、細胞障害型や細胞融解型と呼ばれ、抗体はIgG・IgMが関与するアレルギーである。自己の細胞にこれらが結合し、補体の活性化による細胞融解や食細胞による貧食を起こす。血液型不適合輸血による溶血、自己免疫性溶血性貧血などに関連する。
・グッドパスチャー症候群(抗糸球体基底膜腎炎)は、肺と腎臓に炎症を引き起こす自己免疫疾患である。肺出血と進行性の腎不全を併発し、急速に悪化することが特徴である。
(※引用:「アレルギー総論」厚生労働省HPより)