第33回(R7年)柔道整復師国家試験 解説【午前81~85】

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問題81 ATPを産生するのはどれか。

1.ゴルジ装置
2.粗面小胞体
3.リソソーム
4.ミトコンドリア

解答

解説
1.× ゴルジ装置とは、小胞体で合成された物質を細胞膜や分泌小胞に振り分けたり、タンパク質を修飾する。リボソームで生成され送り込まれてきた蛋白質に糖鎖を付け加え、濃縮するなどの修飾をする機能を持つ。

2.× 粗面小胞体とは、タンパク質が合成される細胞小器官である。リボゾーム(粗面小胞体に付着)を含む粗面小胞体は、タンパク質の合成を行う。

3.× リソソームとは、細胞質内代謝物の消化と貯蔵に関与する細胞小器官である。

4.〇 正しい。ミトコンドリアは、ATPを産生する。ミトコンドリアとは、細胞内に存在する細胞内小器官で、 ATPの生成やアポトーシス(細胞死)において重要な働きを担っている。

 

 

 

 

 

問題82 心筋で誤っているのはどれか。

1.横紋筋である。
2.不随意筋である。
3.自律神経やホルモンの影響を受ける。
4.心筋細胞はシナプスを介して結合している。

解答

解説

(※図引用:「筋の分類(骨格筋、心筋、平滑筋)」もりもと塾HPより)

1.〇 横紋筋である。心筋は、骨格筋と同様にサルコメアと呼ばれる収縮単位を持ち、アクチンとミオシンフィラメントの規則的な配列によってこの横紋が形成される。

2.〇 不随意筋である。不随意筋とは、私たちの意識的な制御なしに自律的に活動する筋肉のことである。

3.〇 自律神経やホルモンの影響を受ける。心筋の活動は、交感神経により心臓の拍動数を増やし、収縮力を高める一方、副交感神経により拍動数を減少させる。また、アドレナリンや甲状腺ホルモンなども心拍数や心収縮に影響を与える。

4.× 心筋細胞は、「シナプス」ではなくギャップ結合を介して結合している。
・ギャップ結合とは、細胞の介在板にみられる構造で、直径2nmの通路を隣接する細胞間で形成し、その通路をイオンや小分子が通過し、心筋の同期性収縮(繰り返される収縮のこと)に寄与していることである。これは心筋や平滑筋に見られ、この結合を介して興奮伝導が行われる。

 

 

 

 

 

問題83 抑制性シナプスの神経伝達物質はどれか。

1.グルタミン酸
2.アセチルコリン
3.ノルアドレナリン
4.ガンマアミノ酪酸(GABA)

解答

解説
1.× グルタミン酸は、温熱刺激情報を二次ニューロンへ伝達する。グルタミン酸は、非必須アミノ酸の1つで、体内ではアラニン、アスパラギン酸、セリンをつくる際に必要なアミノ酸である。また、グルタミン酸はグルタチオンやガンマアミノ酪酸(GABA)の原料となる。脳内ではアンモニアと結合し、グルタミンとしてアンモニアを無毒化する。

2.× アセチルコリンは、代表的な神経伝達物質であり、①運動神経の神経筋接合部、②交感神経および副交感神経の節前線維の終末、副交感神経の節後線維の終末などのシナプスで放出される。アセチルコリンは、中枢神経で働く場合と末梢神経で働く場合で作用が異なる。①運動神経の神経筋接合部では、筋収縮に作用する。

3.× ノルアドレナリンとは、激しい感情や強い肉体作業などで人体がストレスを感じたときに、交感神経の情報伝達物質として放出されたり、副腎髄質からホルモンとして放出される物質である。ノルアドレナリンが交感神経の情報伝達物質として放出されると、交感神経の活動が高まり、その結果、血圧が上昇したり心拍数が上がったりして、体を活動に適した状態となる。副腎髄質ホルモンとして放出されると、主に血圧上昇と基礎代謝率の増加をもたらす。副腎髄質から分泌されるホルモンは、①アドレナリン、②ノルアドレナリン、③ドーパミンがあり、これらを総称してカテコールアミンという。

4.〇 正しい。ガンマアミノ酪酸(GABA)は、抑制性シナプスの神経伝達物質である。ガンマアミノ酪酸(GABA)の作用が増強すると他の神経の活動を抑制するため、不安や痛覚が軽減するといわれている。

 

 

 

 

 

問題84 自律神経の二重支配を受けないのはどれか。

1.汗腺
2.心臓
3.膵臓
4.唾液腺

解答

解説

”二重支配一覧”

・血管(交:収縮、副:弛緩)
・涙腺(交:涙出ない、副:涙する)
・瞳孔(交:拡大、副:縮小)
・唾液腺(交:濃い、副:薄い)
・肺、気管(交:拡張、副:縮小)
・心臓(交:増加、副:減少)
・肝臓(交:分解、副:合成)
・膵臓(交:分泌減少、副:分泌増加)
・胃(交:消化抑制、副:消化促進)
・大腸~直腸(交:蠕動抑制、副:蠕動促進)
・膀胱(交:蓄尿、副:放尿)

1.× 汗腺は、自律神経の二重支配を受けない。
・汗腺(発汗)は、交感神経優位で分泌活動が増加する。

2.〇 心臓は、自律神経の二重支配で交感Nで増加、副交感Nで減少する。

3.〇 膵臓は、自律神経の二重支配で交感Nで分泌減少、副交感Nで分泌増加する。

4.〇 唾液腺は、自律神経の二重支配で交感Nで粘り気のある唾液分泌(濃い)、副交感Nで水っぽい唾液分泌(薄い)する。

 

 

 

 

 

問題85 誘発筋電図のH波で正しいのはどれか。

1.脊髄が介在して発生する。
2.M波より短い潜時で発生する。
3.筋を刺激することで発生する。
4.振幅の大きさは電気刺激強度に比例する。

解答

解説
1.〇 正しい。脊髄が介在して発生する
・H波とは、感覚神経刺激による発生したインパルスが求心性線維を上行し、後根より脊髄内に入り、脊髄前角細胞を単シナプス性に興奮させ、これにより発生したインパルスが前根より遠心性に運動神経を下行し出現する電位である。

2.× M波より「短い」ではなく長い潜時で発生する。なぜなら、H波が脊髄を介して伝達されることにより、M波が直接筋肉を刺激する結果として発生するのに対して、H波はより間接的に発生するため。
・潜時とは、刺激を与えてからM波が立ち上がるまでの時間のことである。遠位の潜時の遅延があると、刺激部位より遠位での障害が考えられ、絞扼性末梢神経障害などの存在が示唆される。
・M波とは、神経の遠心性神経(α運動ニューロン)が直接刺激されて筋が興奮するために起こる波である。刺激を強めるとM波は一層大きくなり、H波は小さくなり、やがて消失する特徴を持つ。H波の潜時は20〜30ミリ秒、M波の潜時は数ミリ秒潜時はM波はH波より短い。

3.× 筋を刺激することで発生するのは、H波ではなく「M波」である。

4.× 振幅の大きさは電気刺激強度に「比例するわけではない」。電気刺激強度を上げていくとH波の振幅は増加するが、ある刺激強度を超えるとM波が出現し、M波の振幅が増加するにつれてH波の振幅は減少する。これは、同一の電気刺激によってM波とH波を誘発する神経線維の一部が重複しており、M波を誘発する運動神経線維が不応期に入り、H波の伝達を阻害するために生じる現象である。

 

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