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問題126 腫瘍マーカーと腫瘍の組合せで正しいのはどれか。
1.AFP:絨毛癌
2.CA19-9:胆管癌
3.CEA:喉頭癌
4.PSA:膵癌
解答2
解説
1.× AFP:絨毛癌
・AFP(α-フェトプロテイン)の上昇がみられるのは、主に肝臓の疾患である。健康な成人の血液には含まれないが、肝臓がんになると血液中に増加するため、肝臓がんのスクリーニング検査として用いられる。胆嚢癌では、CA19-9の上昇である。CA19-9は、膵癌の腫瘍マーカーである。ちなみに、CA19-9は、マウスモノクローナル抗体NS19-9で認識されるシアリルLea抗原のことである。また、胆道癌や一部の胃癌でも上昇することがある。
・絨毛癌とは、胎盤を作る絨毛細胞が悪性化して増殖や転移をする悪性腫瘍である。
2.〇 正しい。CA19-9:胆管癌
・CA19-9は、マウスモノクローナル抗体NS19-9で認識されるシアリルLea抗原のことである。膵癌、胆道癌や一部の胃癌でも上昇する。
3.× CEA:喉頭癌
・CEA(Carcinoembryonic Antigen)は、大腸がん、胃がんなどの消化器系がんの腫瘍マーカーである。健康な人でも約3%の人は基準値を超える場合があるとされており、高齢や喫煙、肝硬変、糖尿病でもやや上昇する傾向がある。
4.× PSA:膵癌
・PSA(Prostate Specific Antigen)とは、前立腺特異抗原で、前立腺で作られるタンパク質である。採血で測定し、前立腺がんの腫瘍マーカーとして用いられる。PSAの基準値は、0~4ng/mLとされている。4~10ng/mLは、25~40%の割合でがんが発見され、100ng/mLを超える場合には前立腺がんが強く疑われ、転移も疑われる。
問題127 乳癌で誤っているのはどれか。
1.HER2の過剰発現は予後良好因子とされる。
2.近年日本では若年者に増加している。
3.組織学的には腺癌が多い。
4.男性にも発生する。
解答1
解説
乳癌とは、乳管や小葉上皮から発生する悪性腫瘍である。乳管起源のものを乳管癌といい、小葉上皮由来のものを小葉癌という。年々増加しており、女性のがんで罹患率第1位、死亡率は第2位である。40~60歳代の閉経期前後の女性に多い。
1.× 必ずしも、現在、HER2の過剰発現は、予後良好因子とされる「わけではない」。
・HER2陽性乳がん(HER2-positive breast cancer)は、乳がんのサブタイプの一つで、がん細胞が「ヒト上皮成長因子受容体2」(HER2)というタンパク質を過剰に発現していることが特徴である。現在では、HER2に対する効果的な標的療法が開発されており、治療成績は劇的に改善されている。
2.〇 正しい。近年日本では、若年者に増加している。はっきりした原因は分かっていないが、初潮の早期化や閉経の遅延、出産・授乳経験の減少により、女性ホルモン(エストロゲン)にさらされる期間が長くなることがあげられている。また、食生活の欧米化や飲酒・喫煙などの生活習慣もリスクを高めているという報告もある。
3.〇 正しい。組織学的には腺癌が多い。
・腺癌とは、腺組織とよばれる上皮組織から発生するがんである。 胃、腸、子宮体部、肺、乳房、卵巣、前立腺、肝臓、膵臓、胆のうなどに発生する。なかでも、胃がんの90%以上は、胃壁の最も内側の粘膜上皮細胞から発生する腺癌である。
4.〇 正しい。男性にも発生する。なぜなら、男性も乳腺組織を持っているため。ただし、男性乳癌は、乳癌全体の約1%程度である。
問題128 疾患と遺伝形式の組合せで正しいのはどれか。
1.家族性大腸ポリポーシス:常染色体優性
2.血友病:常染色体劣性
3.マルファン(Marfan)症候群:伴性劣性
4.フェニルケトン尿症:多因子性
解答1
解説
1.〇 正しい。家族性大腸ポリポーシス:常染色体優性
・家族性大腸ポリポーシスとは、前がん病変である大腸ポリープが数百から数千個生じ、そこから大腸がんが発生する腫瘍症候群である。 発症は平均16歳であり、35歳までには95%の家族性大腸ポリポーシス保因者にポリープが生じる。
・常染色体劣性遺伝とは、常染色体上の遺伝子の変異が2つある場合に発症する遺伝形式である。男性と女性の両方に現れる。
2.× 血友病は、「常染色体劣性」ではなく伴性劣性遺伝(男児に多い)である。
・血友病とは、血液を固めるのに必要な「血液凝固因子(第Ⅷ因子または第Ⅸ因子)が不足・活性低下する病気のことである。血友病の検査では、血が止まりにくいかどうかを調べるため、はじめに「血小板数」「プロトロンビン時間(PT)」「活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)」の3つを測定する。そこでAPTTだけが正常よりも延長している場合に血友病が疑われる。
3.× マルファン(Marfan)症候群は、「伴性劣性」ではなく常染色体優性遺伝である。
・マルファン症候群とは、全身の結合組織の働きが体質的に変化しているために、骨格の症状(高身長・細く長い指・背骨が曲がる・胸の変形:漏斗胸など)、眼の症状(水晶体(レンズ)がずれる・強い近視など)、心臓血管の症状(動脈がこぶのようにふくらみ、裂けるなど)などを起こす病気である。
4.× フェニルケトン尿症は、「多因子性」ではなく常染色体優性遺伝である。
・フェニルケトン尿症とは、指定難病の一つの遺伝性疾患で、症状は、通常生後数か月から2歳頃までに脳の発達障害を来す。小頭症、てんかん、重度の精神発達遅滞、行動上の問題などの徴候と症状を示す。特有の尿臭(ネズミ尿臭、カビ臭)、赤毛、色白、湿疹がみられることがある。したがって、血液中にフェニルアラニンの高値が続くと、知的能力の発達が同年代の人に比べて低い水準となる知的障害の原因となる。