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問題86 顎関節脱臼でみられないのはどれか。
1.前方脱臼
2.側方脱臼
3.後方脱臼
4.下方脱臼
解答4
解説
1.〇 前方脱臼は、顎関節脱臼で最も多く見られる(約95%)。下顎歯列が上顎歯列の前方に偏位していることで、前方脱臼が示唆される。
2.〇 側方脱臼は、顎関節脱臼でみられる。顎関節の側方脱臼の場合は、下顎が後方に位置する。咬合不能、下顎運動障害。下顎頭が下顎窩の外側または内側で触知される。頻度は少なく、骨折も合併することが多い。下あごやその周囲側頭部に大きな外的ショック(交通事故など)を受けた時に発生する。
3.〇 後方脱臼は、顎関節脱臼でみられる。顎関節の後方脱臼の場合は、前方とは正反対で下顎頭が後方に脱臼した状態である。転倒したり、レスリング、ボクシング等のスポーツで打撃を受けた時(下あごの先端あたりに外的ショックを受けた時)に発生する。
4.× 下方脱臼は、顎関節脱臼でみられない。ちなみに、肩関節にみられる。
問題87 図の整復法はどれか。
1.ミルヒ
2.モーテ
3.クーパー
4.スティムソン
解答4
解説
1.× ミルヒ法とは、肩関節脱臼の治療のひとつで、挙上法ともいわれる。背臥位で行う。
2.× モーテ法とは、肩関節脱臼の治療のひとつで、挙上法ともいわれる。患者は座位または立位をとり、上腕を体幹に沿って内旋し、治療者が肩を押さえながら肘をゆっくりと伸ばし、脱臼した関節を整復する。
3.× クーパー法法は、槓杆法(てこほう)である。槓杆法とは、座位をとった患者の後方より術者の膝を腋窩に入れ、一方の手で肩峰突起部を押さえ、反対側の手で上腕をつかみこれを内下方に圧迫する。この操作で脱臼した上腕骨頭は支点となる膝のまわりを外方にまわるように引かれ整復がえられる。神経血管損傷を起こさないよう注意を要する(Sir Astley Paston Cooperはイギリスの外科医,1768-1841)。
4.〇 正しい。スティムソンは、図の整復法である。スティムソン法は、吊り下げ法である。患者を腹臥位にしてベッドの横から患肢を垂れさせ、患者の手に重りをつけ、重りの力で自然整復を促す方法である。
コッヘル法 (槓杆法)、ヒポクラテス法(踵骨法)、スティムソン法(吊り下げ法)、クーパー法 (槓杆法)、ドナヒュー法(吊り下げ法)、モーテ法 (挙上法)、ミルヒ法 (挙上法)、シモン法(振り子法)、0ポジション法(挙上法)
問題88 フォーク状変形を呈するのはどれか。
1.スミス(Smith)骨折
2.遠位橈尺関節背側脱臼
3.橈骨手根関節背側脱臼
4.掌側バートン(Barton)骨折
解答3
解説
・Smith骨折(スミス骨折):Colles骨折とは逆に骨片が掌側に転位する。
・Colles骨折(コーレス骨折):Smith骨折とは逆に骨片が背側に転位する。
・Barton骨折(バートン骨折):橈骨遠位部の関節内骨折である。遠位部骨片が手根管とともに背側もしくは掌側に転位しているものをいう。それぞれ背側Barton骨折・掌側Barton骨折という。
主な治療として、骨転位が軽度である場合はギプス固定をする保存療法、骨転位が重度である場合はプレート固定を行う手術療法である。
コーレス骨折(橈骨遠位端部伸展型骨折)は、橈骨遠位端骨折の1つである。 橈骨が手関節に近い部分で骨折し、遠位骨片が手背方向へ転位する特徴をもつ。合併症には、尺骨突き上げ症候群、手根管症候群(正中神経障害)、長母指伸筋腱断裂、複合性局所疼痛症候群 (CRPS)などがある。
1.× スミス(Smith)骨折とは、橈骨遠位端骨折のひとつで、遠位骨片が掌側に転位しているのが特徴である。手首が強制的に掌屈されるとき(手首が手の掌側に曲がる動き)に起こりやすい。通常、受傷直後に痛みや腫れなどの明らかな症状がある。
2.× 遠位橈尺関節背側脱臼の外観は、尺骨頭が手首の背側に突出するような変形を呈す。例えば、転倒して手をついた際に、受傷することが多い。
3.〇 正しい。橈骨手根関節背側脱臼は、フォーク状変形を呈する。橈骨手根関節の背側脱臼は、手根骨が橈骨に対して背側に転位することで、手首の背側が隆起し、掌側がへこむ特有の変形を呈す。
・フォーク状変形とは、主に橈骨遠位端骨折(手首の骨折)で、手首がフォークを伏せて置いたような形に変形している状態を指す。
・Colles骨折は、折れた橈骨の下端側の骨片が手の甲側にずれた骨折である。フォーク状変形やSudeck骨萎縮などをきたす。
4.× 「掌側」ではなく背側バートン(Barton)骨折にてフォーク状変形がみられる。
・Barton骨折(バートン骨折):橈骨遠位部の関節内骨折である。遠位部骨片が手根管とともに背側もしくは掌側に転位しているものをいう。それぞれ背側Barton骨折・掌側Barton骨折という。
問題89 月状骨脱臼時に発現しうるのはどれか。
1.小指球部尺側の感覚脱失
2.感覚障害のない下垂指
3.示指・中指の感覚鈍麻
4.手背橈側の感覚過敏
解答3
解説
(※引用:「イラスト素材:手の骨」illustAC様より)
月状骨脱臼とは、手関節の強制背屈により生じた月状骨の掌側脱臼である。手首と手が痛み、形状にゆがみが生じることがある。迅速に治療されない場合、合併症として正中神経麻痺や月状骨の虚血性壊死が起こる。
1.× 小指球部尺側の感覚脱失は、尺骨神経の障害で生じる。
・尺骨神経麻痺とは、尺骨神経損傷により手掌・背の尺側に感覚障害やFroment徴候陽性、鷲手がみられる麻痺である。Froment徴候(フローマン徴候)とは、母指の内転ができなくなり、母指と示指で紙片を保持させると母指が屈曲位をとることである。Guyon管を通るものとして、①尺骨神経、②尺骨動脈である。
2.× 感覚障害のない下垂指は、後骨間神経麻痺の障害で生じる。
・後骨間神経とは、肘の辺りで橈骨神経から分岐して回外筋にもぐりこみ、指を伸展する筋肉を支配している神経である。後骨間神経麻痺により下垂指(drop finger)となる。
3.〇 正しい。示指・中指の感覚鈍麻は、月状骨脱臼時に発現しうる。
・正中神経麻痺とは、tear drop sign(ティア ドロップ サイン)または、perfect O(パーフェクト Oテスト)や、Phalen(ファレンテスト)が陽性となる麻痺である。特徴的な症状として、①猿手変形(母指対立障害による)、②母指球筋の萎縮、手指の感覚障害(母指~環指橈側)がみられる。
4.× 手背橈側の感覚過敏は、橈骨神経の障害で生じる。
・橈骨神経麻痺とは、母指背側の感覚障害と上腕三頭筋・腕橈骨筋・長、短橈側手根伸筋、総指伸筋などの伸筋群の麻痺(下垂手)を認める。
問題90 膝蓋骨脱臼で膝蓋骨の関節面が前方を向くのはどれか。
1.外側脱臼
2.回転脱臼
3.垂直脱臼
4.水平脱臼
解答2
解説
膝蓋骨脱臼とは、膝蓋骨がはずれる疾患である。ほとんどは外側に外れる。ジャンプの着地などの時に太ももの筋肉が強く収縮してはずれることが多く、はずれた時には膝に強い痛みや腫れを生じる。脱臼は自然に整復されることもある。
(※引用:「膝蓋骨外側脱臼に対する運動療法の一例」マッサージ鍼灸院考心様HPより)
1.× 外側脱臼は、は、膝蓋骨(膝のお皿の骨)が外傷などにより外側にずれてしまい、関節から外れてしまった状態である。膝関節の形態的特徴により、10代の女性に生じることが多く、受傷者の20~50%の方が脱臼を繰り返す「反復性脱臼」へ移行する。【原因】ジャンプの着地などで、膝を伸ばす太ももの筋肉(大腿四頭筋)が強く収縮した時に起こる。【症状】炎症期は、膝関節の痛みや腫れが生じる。慢性期:脱臼を繰り返す(反復性脱臼)ようになると痛みや腫れなどは少なくなり、不安定感を強く訴える。【治療】脱臼後、直ちに整復を行う。ほとんどの患者では鎮静や鎮痛は不要である。
2.〇 正しい。回転脱臼は、膝蓋骨脱臼で膝蓋骨の関節面が前方を向く(※上図参照)。
3.× 垂直脱臼は、膝蓋骨脱臼で膝蓋骨の関節面が左右どちらかに向いている状態である(※上図参照)。
4.× 水平脱臼は、膝蓋骨脱臼で膝蓋骨の関節面が、膝関節の背側方向へ食い込む形となる(※上図参照)。