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問題91 中足趾節関節脱臼で誤っているのはどれか。
1.第1中足趾節関節の背面脱臼が多い。
2.趾は短縮してみえる。
3.Z字型変形を呈する。
4.固定期間は6週とする。
解答4
解説
1.〇 正しい。第1中足趾節関節の背面脱臼が多い。なぜなら、母趾は、他の指に比べて構造が大きく、体重がかかりやすいこと、また、スポーツ活動や外傷によって強い過伸展力が加わりやすいため。
2.〇 正しい。趾は短縮してみえる。なぜなら、背面脱臼の場合、基節骨が中足骨の背側に乗り上げるため。
3.〇 正しい。Z字型変形を呈する。Z字型変形とは、文字通り視覚的には趾がZ字型に見える変形のことである。足の第1MP関節脱臼は、大抵の場合、外力により発生する。関節脱臼により、関節を固定する靭帯が引き伸ばされることが原因で起こる。
4.× 固定期間は、「6週」ではなく3〜4週程度とする。6週という期間は、比較的重度の骨折や靭帯損傷の場合に考慮されることが多い。
問題92 第1中足趾節関節脱臼の徒手整復で禁忌操作はどれか。
1.趾を足底側に押し出す。
2.趾を遠位方向に牽引する。
3.趾を背側屈曲位に強制する。
4.基節骨背側基部を圧迫する。
解答2
解説
1.〇 趾を足底側に押し出す。
・この操作は、第1中足趾節関節脱臼の徒手整復で有効である。なぜなら、中足趾節関節脱臼では、趾が背側に脱臼することが多く、軽く足底側に圧を加えることで正常な位置に戻す動作になることがあるため。
2.× 趾を遠位方向に牽引する。
・この操作は禁忌である。なぜなら、遠位牽引を行うと、関節包内で種子骨や靭帯構造が引っかかり、かえって整復困難になるため。また、関節内に軟部組織が介在するリスクが高まる。
3.〇 趾を背側屈曲位に強制する。
・この操作は、第1中足趾節関節脱臼の徒手整復で有効である。なぜなら、中足趾節関節脱臼では、趾が背側に脱臼することが多く、すでに趾が背側屈曲位に近い状態にあることが多いが、さらに一時的に背側屈曲させることで、関節包や周囲の靱帯の緊張を緩め、基節骨が中足骨頭を乗り越えるのを助けることができるため。つまり、整復の過程で一時的に背屈させて脱臼を解除することができる。
4.〇 基節骨背側基部を圧迫する。
・この操作は、第1中足趾節関節脱臼の徒手整復で有効である。なぜなら、背側に脱臼している場合、背側基部に軽く圧を加えることで関節を元の位置に戻しやすくなるため。
問題93 肋間筋損傷で正しいのはどれか。
1.直達外力で発生する。
2.皮下血腫は高エコー像となる。
3.体幹を動かすと疼痛が増強する。
4.疲労骨折との鑑別は容易である。
解答3
解説
肋間筋損傷とは、胸の損傷の中で最も多く発生する損傷で肋骨と肋骨の間にある内・外肋間筋などの筋肉の肉離れすることである。原因として、筋肉が疲労したあげく無理にひねった場合になりやすい。症状として、①圧痛、②寝返り・起き上がりに痛み、③くしゃみ、咳、深呼吸により疼痛、④重度では患部に圧痛・腫れなどがみとめられる。治療として、軽度のものはバンドで固定して微弱電流(マイクロカレント)やレーザー治療のコンビネーションなどを用い、約1週間程度で治癒する。
1.× 直達外力で発生するとはいえない。
原因として、筋肉が疲労したあげく無理にひねった場合になりやすい。
2.× 皮下血腫は、「高」ではなく低エコー像となる。
・超音波検査において、液体成分(血液を含む)は通常、超音波をあまり反射しないため、黒っぽく(無エコー)または暗く(低エコー)描出される。一方、高エコーは骨や石灰化、線維性の組織など、超音波を強く反射する構造に見られる。
3.〇 正しい。体幹を動かすと疼痛が増強する。なぜなら、内・外肋間筋などの筋肉の肉離れしているため。したがって、寝返り・起き上がりに痛みが認められる。
4.× 疲労骨折との鑑別は、「容易である」とはいえない。なぜなら、肋間筋損傷も肋骨疲労骨折も、ともに胸部の痛みや、特定の動作による痛み増強を呈することがあり、症状が類似しているため。臨画像診断(X線、MRI、骨シンチグラフィーなど)がなければ確定診断は困難である。
問題94 腰痛に対する運動療法はどれか。2つ選べ。
1.フレンケル体操
2.バージャー体操
3.ウイリアムズ体操
4.マッケンジー体操
解答3・4
解説
1.× フレンケル体操(フランクル体操、Frenkel体操)は、視覚で代償して運動制御を促通する運動療法であり、脊髄性運動失調などに対して行われる。
2.× バージャー体操は、末梢循環障害に対する体操である。つまり足の血流を良くする体操である。下肢を上げた状態で2分、下げた状態で3分、水平にして5分行う。
3.〇 正しい。ウイリアムズ体操は、腰痛に対する運動療法である。ウイリアムズ体操(Williams体操)は、腰痛症に対して腰部の負担を軽減するために用いられる。方法として、腹筋強化・大殿筋強化・ハムストリングス強化・背筋群のストレッチングを行う。
4.〇 正しい。マッケンジー体操は、腰痛に対する運動療法である。マッケンジー法(マッケンジー法McKenzie体操)とは、ニュージーランドの理学療法士「ロビン・マッケンジー氏」により考案された、腰部の伸展を主に行う運動である。脊柱の生理的前弯の減少に対し、関節可動域を改善することで脊柱前弯を獲得させ、椎間板内の髄核を前方に移動させることを目的に行う。
閉塞性血栓血管炎(バージャー病)とは、脚や腕の細い動脈や中間サイズの動脈が、炎症を起こして閉塞する病気である。喫煙は病変の増悪因子であるが、原因不明である。症状は、腕や脚への血流減少による冷感、しびれ、チクチクする感覚、灼熱感などである。治療で最も重要なのは禁煙で、薬剤も有効なことがある。寒さにより血管が狭くなるため(収縮)、寒さへの曝露を回避することが助けになる。
問題95 尺骨神経の低位麻痺の症状でないのはどれか。
1.鷲手
2.骨間筋の萎縮
3.手関節尺屈力低下
4.フローマン徴候陽性
解答3
解説
1.〇 鷲手/骨間筋の萎縮/フローマン徴候陽性は、尺骨神経の低位麻痺の症状である。
・骨神経低位麻痺とは、ギヨン管症候群ともいい、手首に走行する尺骨神経が圧迫されるために生じる神経障害である。 手の小指側の感覚異常や筋力低下が見られ、手の変形を引き起す。
・ギヨン管:Guyon管は、尺骨神経管ともいい、豆状骨と有鈎骨、そして豆鈎靱帯によって形成されたトンネル(管)のことである。通るものとして、①尺骨神経、②尺骨動脈である。Guyon管症候群は、尺骨神経麻痺が起こる。尺骨神経麻痺の症状として、Froment徴候陽性や鷲手がみられる。Froment徴候(フローマン徴候)とは、母指の内転ができなくなり、母指と示指で紙片を保持させると母指が屈曲位をとることである。
3.× 手関節尺屈力低下は、尺骨神経の低位麻痺の症状でない。
これは、尺骨神経の高位麻痺にみられる。なぜなら、手関節尺屈は主に、尺側手根屈筋により起こり、尺側手根屈筋は、尺骨神経支配であるがギヨン管の前に位置している筋であるため。
・尺側手根屈筋の【起始】上腕頭:内側上顆と前腕筋膜、尺骨頭:肘頭から尺骨中部までの後縁、【停止】豆状骨、豆鉤靭帯、豆中手靭帯、有鉤骨、第5中手骨底、【作用】手関節の掌屈、尺屈、【支配神経】尺骨神経:C7~T1である。