第33回(R7年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後106~110】

 

問題106 鍼施術における補法はどれか。

1.速刺速抜する。
2.刺入した鍼を押手で揺るがせる。
3.患者の吸気時に刺入し、呼気時に抜鍼する。
4.抜鍼後は直ちに鍼孔を閉じる。

解答

解説
1.× 速刺速抜する。
2.× 刺入した鍼を押手で揺るがせる。
3.× 患者の吸気時に刺入し、呼気時に抜鍼する。
これらは、瀉法である。瀉法は、捻転の角度は大きく、力は強く、テンポは速く、長い時間をかけて、親指を後ろに引き、人差し指を前に出す。提挿の際には、まず深く、それから浅くし、進めるときには弱く刺し、抜くときには力強く抜くようにする。幅は大きく、テンポは速く、長い時間をかけて、上方向へ戻す方法を主とする。鍼を刺すスピードは速く、抜くスピードは遅いのが特徴である。鍼先は経脈の循行に逆らい、経脈に逆らって刺鍼する。患者が息を吐くときに抜鍼し、息を吸うときに鍼を刺入する。抜鍼後に鍼孔(しんこう)を押して閉じる必要はない。抜鍼時に鍼を揺すって鍼孔を大きくしてもよいとされている。

4.〇 正しい。抜鍼後は直ちに鍼孔を閉じる。補法は、この鍼における捻転は、角度が小さく、力は軽く、テンポは遅く、短い時間で行う。親指を前に出し、人差し指を後ろに引く手技である。提挿の際には、まず浅く刺し、それから深くする。また、進めるときには力強く入れ、抜くときには弱くゆっくりと抜鍼する。手技の幅は小さく、テンポは遅く、短い時間で、下挿を主とする。鍼を刺すスピードは遅く、抜くスピードは速いのが特徴である。鍼先は経脈の方向に従い、経脈に沿って刺鍼する。患者が息を吐くときに鍼を刺入し、息を吸うときに抜鍼する。抜鍼後には、鍼孔を押して閉じる必要がある。

 

 

 

 

 

問題107 経絡系統について正しいのはどれか。

1.経絡は正経十二経脈と奇経八脈で構成される。
2.経脈には十二経別が含まれる。
3.十二経筋は中焦から始まる。
4.十二皮部は臓腑と属絡関係にある。

解答

解説
1.× 経絡は、正経十二経脈と奇経八脈「だけで構成されていない」。なぜなら、絡脈、経別、経筋、皮部なども含めているため。
・経絡とは、違って触れたり、見たりすることの出来る。

2.〇 正しい。経脈には、十二経別が含まれる
・十二経別とは、経脈の流れから分かれて体内深部に走行する支脈のことである。主に肘や膝から分かれ、五臓六腑のいずれかと連絡している。正経十二経脈とは、各々が臓腑と連絡し、独立しながらも連絡しあい人体を循環する1本の環になる。陰経は臓に属して腑に絡し、陽経は腑に属して臓に絡する。

3.× 十二経筋は、「中焦」ではなく四肢末端から始まる。
・十二経筋とは、十二経脈に相い応じた筋肉の部分をいう。

4.× 必ずしも、十二皮部は、臓腑と属絡関係にあるとはいえない
・十二皮部とは、十二経脈に相応した皮膚部分のことをいう。

 

 

 

 

 

問題108 郄穴でないのはどれか。

1.陽谷
2.跗陽
3.交信
4.築賓

解答

解説
1.× 陽谷は、郄穴ではない。ちなみに、陽維脈の郄穴は、陽交である。
・陽谷(※読み:ようこく):手関節後内側、三角骨と尺骨茎状突起の間の陥凹部

2.〇 跗陽は、陽蹻脈の郄穴である
・跗陽(※読み:ふよう):下腿後外側、腓骨とアキレス腱の間、崑崙の上方3寸

3.〇 交信は、陰蹻脈の郄穴である
・交信(※読み:こうしん):下腿内側、脛骨内縁の後方の陥凹部、内果尖の上方2寸

4.〇 築賓は、陰維脈の郄穴である
・築賓(※読み:ちくひん):下腿後内側、ヒラメ筋とアキレス腱の間、内果尖の上方5寸

 

 

 

 

 

問題109 骨度法で最も長いのはどれか。

1.殿溝から膝窩
2.膝蓋骨尖から内果尖
3.膝窩から外果尖
4.脛骨内側顆下縁から内果尖

解答

解説
1.× 殿溝から膝窩は、1尺4寸(14寸)である。

2.× 膝蓋骨尖から内果尖は、1尺5寸(15寸)である。

3.〇 正しい。膝窩から外果尖は、骨度法で最も長い。
・膝窩から外果尖は、1尺6寸(16寸)である。

4.× 脛骨内側顆下縁から内果尖は、1尺3寸(13寸)である。

骨度法とは?

骨度法とは、骨を基準にして、身体各所の長さを尺寸によって定める方法である。

骨度法:1尺10寸、1寸10分
【頭顔面部】
前髪際中点~後髪際中点:1尺2寸
眉間~前髪際中点:3寸
両額角際間:9寸
両乳様突起間:9寸

【胸腹部】
頸切痕~胸骨体端:9寸
胸骨体下端~臍中央:8寸
臍中央~恥骨結合上縁:5寸
両乳頭間:8寸

【上肢】
左右の肩甲棘内端縁間:6寸
中指尖~手関節横紋:8寸5分
腋窩横紋前端または後端~肘窩:9寸
肘窩~手関節横紋:1尺2寸

【下肢】
恥骨結合上縁~膝蓋骨上縁:1尺8寸
膝蓋骨尖~内果尖:1尺5寸
脛骨内側顆下縁~内果尖:1尺3寸
脛骨内側顆下縁~膝蓋骨尖:2寸
大転子頂点~膝窩:1尺9寸
殿溝~膝窩:1尺4寸
膝窩~外果尖:1尺6寸
内果尖~足底:3寸
足指尖~踵(足底):1尺2寸

 

 

 

 

 

問題110 臍中央と恥骨結合上縁を結ぶ線の中点の下方5分にある募穴の臓腑はどれか。

1.胃
2.三焦
3.小腸
4.膀胱

解答

解説
1.× 胃の募穴は、中脘である。
・中脘(※読み:ちゅうかん):上腹部、前正中線上、臍中央の上方4寸

2.× 三焦の募穴は、石門である。
・石門(※読み:せきもん):下腹部、前正中線上、臍中央の下方2寸

3.〇 正しい。小腸は、臍中央と恥骨結合上縁を結ぶ線の中点の下方5分にある募穴の臓腑である。
小腸の募穴は、関元である。
・関元(※読み:かんげん):下腹部、前正中線上、臍中央の下方3寸

4.× 膀胱の募穴は、中極である。
・中極(※読み:ちゅうきょく):下腹部、前正中線上、臍中央の下方4寸

 

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