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問題76.糖質コルチコイドで誤っているのはどれか。
1.血糖値を上昇させる。
2.グリコーゲン分解を促進する。
3.ストレスによって分泌される。
4.免疫抑制作用がある。
解答2
解説
糖質コルチコイドとは、副腎皮質の束状帯の細胞で産生されるステロイドホルモンのことである。副腎皮質ホルモンには、コルチゾール・アルドステロン・アンドロゲン(男性ホルモン)などがある。コルチゾールは、血糖値の上昇や脂質・蛋白質代謝の亢進、免疫抑制・抗炎症作用、血圧の調節など、さまざまな働きがある。過剰になるとクッシング症候群、不足するとアジソン病を引き起こす。
1.〇 正しい。血糖値を上昇させる。なぜなら、糖質コルチコイドは、肝臓で糖新生を促進し、さらに末梢(筋肉・脂肪)で糖の利用を抑制するため。
2.× グリコーゲン分解を「促進」ではなく抑制する。グリコーゲン分解を促進するのは主にグルカゴンやアドレナリンである。糖質コルチコイドはむしろ肝臓にグリコーゲンを蓄積させる方向に作用しつつ、糖新生を亢進する。
3.〇 正しい。ストレスによって分泌される(ストレス応答ホルモン)。なぜなら、糖質コルチコイドは、体にとって「非常時のエネルギー源を確保するホルモン」であるため。強いストレスを受けると体は危険に備えようとして、脳が副腎に分泌を指令する。その結果、血糖を上げたり炎症を抑えたりして、心身がストレスに耐えられるように働く。
4.〇 正しい。免疫抑制作用がある。なぜなら、糖質コルチコイドは、サイトカイン産生を抑制し、炎症細胞の機能を低下させるため。したがって、抗炎症・免疫抑制作用を持つ。
問題77.体内におけるカルシウムイオンの役割で正しいのはどれか。
1.血液の凝固
2.浸透圧の維持
3.酸塩基平衡の調節
4.血液容量の保持
解答1
解説
血液凝固因子とは、Ⅰ:フェブリノーゲン、Ⅱ:プロトロンビン、Ⅲ:トロンボプラスチン、Ⅳ:カルシウムイオン、Ⅴ:プロアクセレリン、Ⅵ:(欠番)、Ⅶ:プロコンバーチン、Ⅷ:抗血友病因子、Ⅸ:クリスマス因子、Ⅹ:スチュアート因子、Ⅺ:PTA、Ⅻ:ハーゲマン因子、XIII:フェブリン安定化因子である。
1.〇 正しい。血液の凝固は、体内におけるカルシウムイオンの役割である。カルシウムイオンは、凝固因子の活性化過程に関与し、特に外因系・内因系両方の経路で重要な補因子である。
2.× 浸透圧の維持は、ナトリウムイオンの役割である。細胞外液の主要陽イオンはナトリウムイオンであり、浸透圧を決定するのはナトリウムイオン濃度である。
3.× 酸塩基平衡の調節は、主にHCO₃⁻やCO₂(呼吸)の役割である。
・代謝性アシドーシスとは、HCO₃⁻(重炭酸イオン)が低下している状態である。重炭酸イオンを含んだ膵液や胆汁の喪失、腎臓での再吸収障害、体内の酸性物質が過剰になり、その中和のための消費増大によって起こる。代償として、CO₂を排出する呼吸代償(呼吸性アルカローシス)が起こる。
4.× 血液容量の保持は、主に水とNa⁺による浸透圧バランスで決まる。血液量は腎臓のNa⁺・水再吸収により調整される。
【酸塩基平衡】
血液(体液)のpH:7.40 ± 0.05
→pH7.30:酸性に傾いている状態
→pH7.50:アルカリ性に傾いている状態
アシドーシス(酸性):pHが低下している状態。
アルカローシス(アルカリ性):pHが上昇している状態。
問題78.上皮小体ホルモンで正しいのはどれか。
1.ビタミンKにより分泌が促進される。
2.甲状腺で産生される。
3.血中のカルシウムイオン濃度を高める。
4.ステロイドホルモンである。
解答3
解説
副甲状腺ホルモン(上皮小体ホルモン)とは、副甲状腺から分泌され、腎臓のカルシウム再吸収およびリンの排泄促進作用などがあり、血中のカルシウム濃度を上昇させる。つまり、副甲状腺ホルモンの分泌が低下すると、血中カルシウム濃度が低下する。それに伴い、しびれ感、テタニー(手指の不随意な筋収縮)、けいれんなどの症状が起こる。別名:パラトルモンである。
1.× 「ビタミンK」ではなくカルシウムにより分泌が促進される。血中カルシウムが低下すると分泌され、上昇すると抑制される。ちなみに、ビタミンKは、血液凝固因子の合成に関与する。
2.× 「甲状腺」ではなく副甲状腺(上皮小体)で産生される。
・甲状腺ホルモンとは、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)があり、新陳代謝を調節している。脈拍数や体温、自律神経の働きを調節し、エネルギーの消費を一定に保つ働きがある。
3.〇 正しい。血中のカルシウムイオン濃度を高める。副甲状腺ホルモン(上皮小体ホルモン)とは、副甲状腺から分泌され、腎臓のカルシウム再吸収およびリンの排泄促進作用などがあり、血中のカルシウム濃度を上昇させる。
4.× 「ステロイドホルモン」ではなくペプチドホルモンである。
ホルモンとは、①ペプチドホルモン、②ステロイドホルモン、③アミン・アミノホルモン、④糖タンパクホルモン、⑤その他の5つ分類される。①ペプチドホルモンは、成長ホルモン・インスリンなど大部分のホルモンが含まれる。②ステロイドホルモンは、副腎皮質ホルモンの他に性腺ホルモンも含まれる。コレステロールを原料として作られたステロイド骨格を盛るホルモンである。③アミン・アミノホルモンは、副腎髄質ホルモン(アドレナリン、ノルアドレナリン)、甲状腺ホルモンがある。
問題79.体性感覚刺激で誘発されないのはどれか。
1.筋性防御
2.発汗
3.勃起反射
4.くしゃみ反射
解答1
解説
1.〇 正しい。筋性防御は、体性感覚刺激で誘発されない。なぜなら、内臓刺激(腹膜刺激)による防御反応であるため。
・筋性防御とは、腹部を触診した際、腹壁の筋肉が緊張して硬くなる内臓体性反射である。壁側腹膜の炎症を示唆し、腹膜炎や腹腔内出血などで見られる。筋性防御が起こる範囲によって、炎症部位を判断する。
2.× 発汗は、体性感覚刺激でも誘発される。なぜなら、痛みや皮膚刺激などの体性感覚入力は、自律神経系を介して発汗を引き起こすため。例えば、注射の痛みで手に汗をかく反応が該当する。
3.× 勃起反射は、体性感覚刺激でも誘発される。陰茎や陰核への触覚刺激(体性感覚入力)は、仙髄レベルで反射的に勃起を引き起こす。
4.× くしゃみ反射は、体性感覚刺激でも誘発される。鼻粘膜の知覚神経(主に三叉神経枝)が刺激されると、延髄のくしゃみ中枢を介して反射的にくしゃみが起こる。
問題80.筋細胞膜の興奮を伝えるのはどれか。
1.筋小胞体
2.終末槽
3.横行小管
4.アクチン
解答3
解説
【筋収縮の機序】
①神経刺激が筋細胞膜を介して伝わり、筋小胞体からCa²⁺が放出される。
②放出されたCa²⁺はトロポニンに結合する。
③Ca²⁺が結合すると、トロポニンの構造が変化し、トロポミオシンがアクチンのミオシン結合部位から移動。
④ミオシン頭部がアクチンに結合できるようになり、ATP分解のエネルギーで首振り運動が起こる。
⑤アクチンフィラメントがミオシンフィラメントの間を滑走して筋収縮が生じる。
【運動による筋疲労によって起こる事象】
①代謝産物の蓄積(乳酸の増加やpHの低下)
②エネルギー供給率の低下(ATP低下、ADP増加、グリコーゲン低下)
③興奮収縮連関不全(筋小胞体へのCa2+取り込み低下)
1.× 筋小胞体とは、Ca²⁺の貯蔵と放出を担う。
2.× 終末槽とは、筋小胞体の一部で、Ca²⁺の放出部位である。
3.〇 正しい。横行小管は、筋細胞膜の興奮を伝える。
・横行小管とは、筋細胞膜の興奮を内部の筋小胞体に伝える役割を持っている。横行小管の両側に筋小胞体終末槽が配置している構造のことを三連構造(トライアッド)という。
4.× アクチンは、収縮の構造タンパク質である。アクチンは細いフィラメントを構成し、ミオシンとの相互作用で筋収縮を起こす。