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問題96.生体の正常な状態の形態観察を目的に行われるのはどれか。
1.病理解剖
2.系統解剖
3.司法解剖
4.行政解剖
解答2
解説
1.× 病理解剖とは、病気が原因のご遺体を解剖し、臓器、組織、細胞を直接観察して詳しい医学的検討を行うことをさす。これによってきわめて精度の高い病理診断ができ、死因を正しく理解し、治療の適切性についても検討することができる。
2.〇 正しい。系統解剖は、生体の正常な状態の形態観察を目的に行われる。
・系統解剖とは、正常な身体の形態と構成を研究する学問が解剖学であり、このために行う解剖のことを指す。つまり、教育目的で行われる。
3.× 司法解剖とは、犯罪性のある死体またはその疑いのある死体の死因などを究明するために行われる解剖のことである。
4.× 行政解剖とは、異状死体の死因を究明することにより、感染症の発生等を検知し、疾病予防、事故防止等の対策等に資するものであり、公衆衛生等に重要な意味を持つものである。
問題97.他覚的所見はどれか。
1.咳嗽
2.眩暈
3.心肥大
4.倦怠感
解答3
解説
SOAP(subjective, objective, assessment, plan)とは、叙述的経過記録方式の問題志向型記録のことである。
S=主観的データ(自覚症状などの患者の訴え)
O=客観的データ(他覚所見:診察所見・血液検査・検査所見)
A=評価(S・Oをもとにした患者の状態の評価・考察)
P=計画(Aをもとにした今後の検査・治療・患者教育の計画・方針)
で、経過を記録する。
1.× 咳嗽は、自覚症状である。
例えば、患者が「夜中に咳が止まらない」というのは、本人の訴えによる自覚症状である。ちなみに、「診察時に実際に咳を観察」できても分類上は自覚症状である。
2.× 眩暈は、自覚症状である。なぜなら、めまいは「目が回る」「ふらつく」といった本人の感覚異常である。客観的に観察することは困難である。
3.〇 正しい。心肥大は、他覚的所見である。なぜなら、心肥大は、胸部X線写真や心エコー、心電図など客観的検査によって医師が確認する異常であるため。患者本人が直接感じ取ることはできない。
4.× 倦怠感は、自覚症状である。倦怠感とは、自覚症状の一つで、気力がない・だるいといったものである。
問題98.熱傷の説明で誤っているのはどれか。
1.胃・十二指腸の急性出血性潰瘍の原因となる。
2.第2度熱傷は瘢痕を残さずに治癒する。
3.気道熱傷は肺浮腫を起こすことがある。
4.第3度熱傷では潰瘍がみられる。
解答2
解説
1.〇 正しい。胃・十二指腸の急性出血性潰瘍の原因となる。なぜなら、熱傷により大量のストレスが加わり、胃酸分泌増加や粘膜血流低下が起こり、急性胃潰瘍が生じやすくなるため。
・熱傷に合併するストレス性潰瘍病変をCurling潰瘍(カーリング潰瘍)という。受傷後一週間以内に起こることが多く、初期の症状は食欲不振、重度になると、突然の吐血や下血など、胃・十二指腸潰瘍と同じ症状が見られる。
2.× 「すべての」第2度熱傷は、瘢痕を残さずに治癒する「とはいえない」。なぜなら、第2度熱傷は、①真皮浅層、②真皮深層に分けられ、そのうち深達性(②真皮深層)では瘢痕を残すため。
~熱傷の分類~
Ⅰ度:【深さ】表皮【症状】発赤、熱感、軽度の腫脹と疼痛、水泡形成(ー)【治癒】数日間、瘢痕とはならない。
Ⅱ度:【深さ】真皮浅層(SDB)【症状】強い疼痛、腫脹、水泡形成(水泡底は赤色)【治癒】1~2週間、瘢痕再生する。
Ⅱ度:【深さ】真皮深層(DDB)【症状】水泡形成(水泡底は白色、もしくは破壊)、知覚は鈍麻【治癒】3~4週間、瘢痕残す、感染併発でⅢ度に移行。
Ⅲ度:【深さ】皮下組織【症状】疼痛(ー)、白く乾燥、炭化水泡形成はない【治癒】一か月以上、小さいものは瘢痕治癒、植皮が必要。
3.〇 正しい。気道熱傷は、肺浮腫を起こすことがある。なぜなら、熱気・煙を吸入すると上気道・気管支粘膜が直接損傷し、炎症・浮腫・分泌物増加を伴い、さらに低酸素や化学性刺激による肺血管透過性亢進するため。
・気道熱傷とは、火災や爆発事故により高温の煙、水蒸気、有毒ガスを吸入することによって生じる呼吸器系の障害の総称である。進行性に喉に浮腫が生じ、気道閉塞まで発展する危険性も考えられる。
4.〇 正しい。第3度熱傷では潰瘍がみられる。なぜなら、第3度熱傷の深さは、皮下組織まで達するため。壊死した皮膚が脱落すると潰瘍(潰瘍状欠損)となる。
問題99.放射線晩期傷害はどれか。
1.脱毛
2.下痢
3.白血球減少
4.発癌
解答4
解説
1~3.× 脱毛/下痢/白血球減少は、放射線治療の早期障害(急性放射線障害)である。なぜなら、細胞分裂が活発な細胞(毛母細胞、小腸・大腸の上皮細胞、骨髄造血細胞)は、放射線感受性が高く、照射後数日〜数週間で障害が起こるため。
4.〇 正しい。発癌は、放射線晩期傷害である。なぜなら、放射線は、DNAを直接または間接的に損傷し、突然変異を誘発して細胞が腫瘍化するため。この影響は照射後数年〜数十年経過してから現れることが多い。
問題100.アポトーシスで誤っているのはどれか。
1.細胞は膨化する。
2.核は断片化する。
3.マクロファージに貪食される。
4.放射線により誘導される。
解答1
解説
・ネクローシスとは、外部からの高度な傷害により細胞が破壊されて自己融解する病的・受動的な死のことである。壊死ともいい、局所の組織の不可逆的な障害による細胞死をさし、アポトーシスと完全に区別される。
・アポトーシスとは、発生段階などで生理的に生じる自発的な死がある。つまり、プログラムされた細胞死である。生体内のマクロファージに食べられる(apoptosis:アポプトーシス)。多細胞生物の体を構成する細胞の死に方の一種で、個体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされる、管理・調節された細胞の自殺すなわちプログラムされた細胞死のこと。
1.× 細胞は膨化するのは、壊死(ネクローシス)である。アポトーシスは、核・細胞質は萎縮する。
2.〇 正しい。核は断片化する。細胞内での変化は、まず核で起こることが多く、DNAの断片化という独特の分子病態像を示す。①細胞膜構造の変化→②核が凝縮する→③DNAの断片化→④「アポトーシス小胞」と呼ぶ構造となる。
3.〇 正しい。マクロファージに貪食される。アポトーシスは、細胞の内容物は細胞外に放出されず、生体内のマクロファージに食べられる。ちなみに、壊死(ネクローシス)は、マクロファージの浸潤を伴う。
4.〇 正しい。放射線により誘導される。なぜなら、放射線によりDNA二本鎖切断が生じるため。その後、ある遺伝子(p53など)を介したアポトーシス経路が活性化する。
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