第22回(H26年)柔道整復師国家試験 解説【午前61~65】

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問題61.細胞膜にないのはどれか。

1.酵素
2.リボソーム
3.受容体
4.ポンプ

解答

解説

細胞膜とは?

細胞膜とは、細胞の内外を隔てる生体膜である。タンパク質が埋め込まれた脂質二重層によって構成される。物質の輸送や細胞の保護を担う。

1.〇 酵素は、細胞膜に存在する。酵素が、イオン輸送やシグナル伝達に関与している。

2.× リボソームは、細胞膜にない。細胞質や粗面小胞体上に存在する。
・リボソームとは、RNAと特殊なたんぱく質を含む直径15~20nmのダルマ型の顆粒で、遺伝情報をもとにタンパク質を合成する場所である。粗面小胞体の表面に存在する。

3.〇 受容体は、細胞膜に存在する
・受容体(リセプター)は、ホルモンや神経伝達物質を認識する。

4.〇 ポンプは、細胞膜に存在する
・ポンプ(能動輸送体)は、ATPを利用してイオンを濃度勾配に逆らって移動させる膜タンパク質である。

 

 

 

 

 

問題62.血漿には含まれるが血清には含まれないのはどれか。

1.抗A抗体
2.血小板
3.尿素
4.フィブリノゲン

解答

解説

MEMO

血漿とは、血液の細胞以外の成分である。血液の約60%を占め、残り40%が血球(赤血球、白血球、血小板)である。

血清とは、血漿からフィブリノゲンを除いたものである。

1.〇 抗A抗体は、血漿と血清の両方に存在しうる
・抗A抗体とは、血清中に含まれる免疫グロブリンである。免疫グロブリンとは、免疫活性を持つたんぱく質で、B細胞リンパ球より産生される。侵入した異物の排除に働く。

2.〇 血小板は、血漿・血清のいずれにも含まれない。なぜなら、血小板は、血液の「有形成分」であるため。
・血小板とは、血液に含まれる成分の一種で、血管の傷ついた部位に集まってかたまりをつくり、止血する作用がある。そのため、血小板の数が減少すると出血が起こりやすく、血が止まりにくくなる。

3.〇 尿素は、血漿と血清の両方に存在しうる。なぜなら、尿素はタンパク質代謝の最終産物で、血中に溶けて存在する小分子化合物であるため。

4.× フィブリノゲンは、血漿には含まれるが血清には含まれない(そもそも血清は、血漿からフィブリノゲンを除いたものである)。
・フィブリノゲンとは、血漿タンパクの一つであり、凝固因子の活性化によってフィブリンとなり、血液を凝固させる働きを持つ。増加した場合、血漿の粘稠度が上昇し血栓形成傾向を示す。 一方、低値の場合、播種性血管内凝固症候群(DIC)と肝機能障害が疑われる。

 

 

 

 

 

問題63.ヘモグロビンが酸素を解離しやすい要因はどれか。

1.窒素分圧の上昇
2.温度の上昇
3.pHの上昇
4.塩素濃度の上昇

解答

解説

ヘモグロビン酸素解離曲線の曲線が右方向に動くということは、ヘモグロビン酸素親和性が低下(ヘモグロビンが酸素を離しやすい状態=組織への酸素供給の増加)していることを表す。つまり、組織での代謝が高まり、酸素需要度が高くなっているときに曲線の偏位が起こる。

酸素需要度が高い状態

①PaCO2の上昇(pHの低下)
②血中2,3-DPGXの上昇
③H+の上昇(pHの低下)
血液温度上昇

1.× 窒素分圧の上昇と、ヘモグロビンの酸素結合には直接影響しない。なぜなら、窒素(N₂)は酸素や二酸化炭素のようにヘモグロビンと化学的に結合しないため。

2.〇 正しい。温度の上昇は、ヘモグロビンが酸素を解離しやすい要因である。なぜなら、温度が上がると組織での代謝が高まり、酸素需要度が高くなるため。例えば、筋肉などが活動して発熱する際に、酸素をより多く必要とする生理的機構である。

3.× pHの上昇(=アルカリ化)すると、酸素は解離しにくくなる。なぜなら、pH上昇は、血液の二酸化炭素濃度低下(=H⁺減少)を意味するため。したがって、ヘモグロビンの酸素親和性が高まる。

4.× 塩素濃度の上昇と、ヘモグロビンの酸素結合には直接影響しない。なぜなら、塩素イオン(Cl⁻)は、赤血球内の陰イオン平衡に関与しているため。

ボーア効果とは?

ボーア効果とは、血液内の二酸化炭素量の変化による赤血球内のpHの変化によりヘモグロビンの酸素解離曲線が移動すること。ヘモグロビンの酸素解離曲線がpHの低下や温度上昇などの変化によって右方変移することで、末梢の酸素を解離しやすくなり、pHの上昇や温度低下などで左方偏移することで結合しやすくなる効果である。

 

 

 

 

 

問題64.心筋の特徴で誤っているのはどれか。

1.自動性がある。
2.活動電位の持続は骨格筋より短い。
3.活動電位の経過中にカルシウムイオンが細胞内に流入する。
4.伸展すれば伸展するほど大きな張力を発生する。

解答

解説

(※図引用:「筋の分類(骨格筋、心筋、平滑筋)」もりもと塾HPより)

1.〇 正しい。自動性がある。これは、心筋の特徴である。心筋は、自動性があり、洞房結節から始まった興奮によって収縮が引き起こされる。

2.× 活動電位の持続は骨格筋より「短い」ではなく長い。心筋活動電位はプラトー相を有することが特徴であり、このために活動電位の持続時間が非常に長いのが特徴である。心筋は、骨格筋や神経に比べて再分極相が非常に緩やかである。ちなみに、神経の活動電位持続時間は数msecである。

3.〇 正しい。活動電位の経過中にカルシウムイオンが細胞内に流入する。心筋の収縮力は細胞内のカルシウムイオン濃度に依存する。カルシウムイオンが細胞内に流入すると、トロポニンに結合し、ミオシンとアクチンの相互作用が促進され、結果として発生張力が増大する。

4.〇 正しい。伸展すれば伸展するほど大きな張力を発生する。これをFrank-Starlingの法則(フランクスターリングの法則)という。

 

 

 

 

 

問題65.圧が最も低いのはどれか。

1.動脈
2.細動脈
3.毛細血管
4.静脈

解答

解説

血圧とは?

血圧は心拍出量と末梢血管抵抗の積で規定される。
収縮期血圧:心臓が収縮しているときの最大血圧である。この短時間の強い圧力により弾性血管である大動脈は拡張し、血液を貯留する。
拡張期血圧:心臓の拡張期の最小血圧である。心臓が拡張している間、大動脈に貯留された血液が末梢に送られ、拡張期血圧を形成する。

1.× 動脈は、全身の中で最も圧が高い血管である。なぜなら、動脈は心臓の左心室から拍出された血液を直接受け取るため。

2.× 細動脈の圧は、動脈より低い。ただし静脈よりは高い。
・細動脈とは、微小循環系における静脈系の血管である。つまり、微小循環系における静脈系の血管であり、周囲組織から血管内への水分の吸収を通して、血液量の調節を行っている。細静脈の特性は、組織や器官によって異なるが、一般には物質透過性に富み、白血球のローリングや漏出が比較的容易に起こる場所である。

3.× 毛細血管の圧は低いが、静脈ほどではない
・毛細血管とは、細動脈から流入した血液が組織との物質交換を行う場である。

4.〇 正しい。静脈は、圧が最も低い。なぜなら、静脈(血液が末梢から心臓に戻る際)には、圧の大部分が細動脈・毛細血管で消費されているため。静脈の血圧ほぼゼロに近い。

 

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